*対政府交渉と院内学習会の日時、場所 場所:参議院会館/第1会議室(院内学習会と政府交渉は同じ会場です) 日時:5月8日(火) 1時半ー2時15分:劣化ウラン兵器問題・院内学習会 2時15分ー2時半:交渉参加者・打ち合わせ 2時半-4時半:対政府交渉(外務省、防衛省、経済産業省、内閣府・原子力安全委員会) *劣化ウラン兵器問題・院内学習会: 内容:ウラン兵器全面禁止と被害者支援に向けて―国際的な動き/環境・健康影響/被害者支援の課題― 報告者:嘉指信雄(ICBUW評議員、アジア・太平洋地域コーディネーター)/振津かつみ(ICBUW評議員)/佐藤真紀(日本イラク医療支援ネットワーク、事務局長) 司会: 森瀧春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長)
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豊田直巳写真展 「ウラン兵器の人的被害」
・豊田直己ホームページ> ヨーロッパ議会写真展『ウラン兵器の人的被害』開催にあたって この度は『ウラン兵器の人的被害(The Human Cost of Uranium Weapon)』の写真をご覧いただき、ありがとうございます。 この一連の取材は、1999年、イラクで、劣化ウラン弾による“ヒバクシャ”と出会ったことから始まりました。ヒロシマ、ナガサキを経験し、「唯一の被爆国」と呼ばれる日本に暮らしていながら、それまで、私はウラン兵器の恐怖を実感せずにいました。しかし、「湾岸戦争」から10年を迎えようとするイラクで出会った人々の姿は、ウラン兵器による戦争には、終わりがないことを教えてくれました。それもそのはずです。ウラン238の放射能の半減期は45億年という、地球の年齢に匹敵する長さなのですから。しかも、ナノ単位の微粒子と化したウランの化学的毒性などの問題が加わっているのです。 ところが、その想像を超えた事態がようやく広く世界に知られ始めた頃、次の戦争が起こされました。現在も続く「イラク戦争」です。そして、この戦争でもまた、アメリカ軍やイギリス軍はウラン弾をイラクの人々の頭上に打ち込みました。 2003年4月8日、バグダッドにいた私は、目の前でアメリカ軍のA-10攻撃機が街中(まちなか)に劣化ウラン弾を無数に打ち込む姿を目撃しました。数日後、その砲撃された地点に行くと、たくさんの劣化ウラン弾が転がり、強烈な放射能を放っていました。私はこの事実を全国ネットのテレビや雑誌で報じました。日本では、私の他にもジャーナリストがイラクでの劣化ウラン問題の実態を報じました。しかし、それでも日本政府は長い間、イラクでの米英軍の劣化ウラン弾に使用すらも認めませんでした。そして今も、日本政府はその危険性を認めていません。 しかし、ウラン兵器の影響は、既に「湾岸戦争」の後から多発したガンや白血病に体を蝕まれ続けるイラクの子どもたちが、身をもって告発していただけでなく、「湾岸戦争」に参加したアメリカ、イギリスなどの兵士も告発していました。 そして今、「イラク戦争」でのさらなる劣化ウラン弾使用によるとしか考えられない病気に苦しむ人々が、イラクはもちろん、アメリカからも(この部分を削除しました)声を上げ始めています。自分の体内からウランが検出されたイラク帰還兵の声と、今も戦火の下で、ガンや白血病に苦しむイラクの子どもたちの声が重なります。 こうした、自分の体で知ったゆえに消すことのできない真実の声に、耳を傾けて欲しいと思います。それは、ウラン兵器の使用を許している私たち世界市民の責務というだけではありません。ウラン兵器の影響は、人間が引いた国境を越えて広がる地球規模の問題でもあるからです。そして、だからこそ私も貴方も、国境を越えて繋がって、問題を解決することも出来ると信じるからです。 私の拙い写真が、その解決の一助になれば、こんな嬉しいことはありません。 私の写真に写ってくれた人々、とりわけ、その苦しむ姿をカメラの前に晒してくれた子どもたちに感謝しながら。 豊田直巳 ヨーロッパ議会で豊田直巳写真展(5月14-16日) 5月14-16日、ブリュッセルのEU議会内にて豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』(The Human Cost of Uranium Weapons)が開かれる運びとなりました。合わせて、5月15日には国際フォーラム『ウラン兵器禁止に向けて』が開かれます。今回の企画は、劣化ウラン兵器問題を憂慮するEU議員グループとICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)の協力で実現したものです。 豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』 「オープニング式典」:5月14日18:00- 場所:ヨーロッパ議会ビル3階、大回廊展示スペース スピーカー ・ 豊田直巳(写真家、日本)・ エルス・デ・グローエン(EU議会議員、オランダ)・ キャロリン・ルーカス博士(EU議会議員、イギリス)・ 森滝春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局 長、日本) 2007年5月14日― EU議会写真展での挨拶 EU議会写真展「ウラン兵器の人的被害」開催に寄せて 豊田直巳(フォト・ジャーナリスト) まず最初に、今回の写真展と、このように皆さん前で話しをする機会を準備してくださった、友人の皆さん、そしてEU議会の関係者の皆さんにお礼を申し上げます。 EU議会のThe…
「ウラン兵器の人的被害」ヨーロッパ議会で豊田直巳写真展(5月14-16日)
皆様 5月14-16日、ブリュッセルのEU議会内にて豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』(The Human Cost of Uranium Weapons)が開かれる運びとなりました。合わせて、5月15日には国際フォーラム『ウラン兵器禁止に向けて』が開かれます。今回の企画は、劣化ウラ ン兵器問題を憂慮するEU議員グループとICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)の協力で実現したものです。 (1) 豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』 場所:ヨーロッパ議会3階、大回廊展示スペース 今回の写真展用ポスターのPDFファイル、展示写真一覧、及び豊田直巳さんの挨拶『ヨーロッパ写真展開催にあたって』が、「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」ホームページにアップされておりますので、ぜひご参照ください。(http/www.nodu-hiroshima.org/ なお、豊田直巳さんのホームページ『境界線の記憶』は、www.ne.jp/asahi/n/toyoda/)[展示される写真パネルは全部で22枚。そのうち5枚は120x180cmの大型サイズで、他の17枚は60x90cmのサイズのものです。展示会場が、EUの建物の中心に位置する大回廊であるため、広いスペースでもアピールするように、たたみ一畳大の大型パネルが5枚含まれることになりました。] 「オープニング式典」:5月14日午後6時〜 スピーカー ・ 豊田直巳(写真家、日本) ・ エルス・デ・グローエン(EU議会議員、オランダ) ・ キャロリン・ルーカス博士(EU議会議員、イギリス) ・ 森滝春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長、日本) (2) 国際フォーラム『ウラン兵器禁止に向けて』 5月15日:ヨーロッパ議会、会議室(ASP 1G2) スピーカー ・ ジャワッド・アル-アリ博士(バスラ教育病院がんセンター長、イラク) 「バスラにおける“がん研究”:資金問題及び様々な障害」 ・ 振津かつみ博士(医師・放射線学者、日本) 「ウラン兵器が禁止されるべき科学的・医学的理由」 ・ トマス・フィエジー博士(医師、マウントサイナイ病院、アメリカ)…
豊田直巳写真展 「ウラン兵器の人的被害」
[画像無断使用不許可] ・スライドショー: ウラン兵器の人的被害> ・豊田直己ホームページ> ヨーロッパ議会写真展『ウラン兵器の人的被害』開催にあたって この度は『ウラン兵器の人的被害(The Human Cost of Uranium Weapon)』の写真をご覧いただき、ありがとうございます。 この一連の取材は、1999年、イラクで、劣化ウラン弾による“ヒバクシャ”と出会ったことから始まりました。ヒロシマ、ナガサキを経験し、「唯一の被爆国」と呼ばれる日本に暮らしていながら、それまで、私はウラン兵器の恐怖を実感せずにいました。しかし、「湾岸戦争」から10年を迎えようとするイラクで出会った人々の姿は、ウラン兵器による戦争には、終わりがないことを教えてくれました。それもそのはずです。ウラン238の放射能の半減期は45億年という、地球の年齢に匹敵する長さなのですから。しかも、ナノ単位の微粒子と化したウランの化学的毒性などの問題が加わっているのです。 ところが、その想像を超えた事態がようやく広く世界に知られ始めた頃、次の戦争が起こされました。現在も続く「イラク戦争」です。そして、この戦争でもまた、アメリカ軍やイギリス軍はウラン弾をイラクの人々の頭上に打ち込みました。 2003年4月8日、バグダッドにいた私は、目の前でアメリカ軍のA-10攻撃機が街中(まちなか)に劣化ウラン弾を無数に打ち込む姿を目撃しました。数日後、その砲撃された地点に行くと、たくさんの劣化ウラン弾が転がり、強烈な放射能を放っていました。私はこの事実を全国ネットのテレビや雑誌で報じました。日本では、私の他にもジャーナリストがイラクでの劣化ウラン問題の実態を報じました。しかし、それでも日本政府は長い間、イラクでの米英軍の劣化ウラン弾に使用すらも認めませんでした。そして今も、日本政府はその危険性を認めていません。 しかし、ウラン兵器の影響は、既に「湾岸戦争」の後から多発したガンや白血病に体を蝕まれ続けるイラクの子どもたちが、身をもって告発していただけでなく、「湾岸戦争」に参加したアメリカ、イギリスなどの兵士も告発していました。 そして今、「イラク戦争」でのさらなる劣化ウラン弾使用によるとしか考えられない病気に苦しむ人々が、イラクはもちろん、アメリカからも(この部分を削除しました)声を上げ始めています。自分の体内からウランが検出されたイラク帰還兵の声と、今も戦火の下で、ガンや白血病に苦しむイラクの子どもたちの声が重なります。 こうした、自分の体で知ったゆえに消すことのできない真実の声に、耳を傾けて欲しいと思います。それは、ウラン兵器の使用を許している私たち世界市民の責務というだけではありません。ウラン兵器の影響は、人間が引いた国境を越えて広がる地球規模の問題でもあるからです。そして、だからこそ私も貴方も、国境を越えて繋がって、問題を解決することも出来ると信じるからです。 私の拙い写真が、その解決の一助になれば、こんな嬉しいことはありません。 私の写真に写ってくれた人々、とりわけ、その苦しむ姿をカメラの前に晒してくれた子どもたちに感謝しながら。 豊田直巳 ヨーロッパ議会で豊田直巳写真展(5月14-16日) 5月14-16日、ブリュッセルのEU議会内にて豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』(The Human Cost of Uranium Weapons)が開かれる運びとなりました。合わせて、5月15日には国際フォーラム『ウラン兵器禁止に向けて』が開かれます。今回の企画は、劣化ウラン兵器問題を憂慮するEU議員グループとICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)の協力で実現したものです。 豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』 場所:ヨーロッパ議会ビル3階、大回廊展示スペース 今回の写真展用ポスターのPDFファイル、展示写真一覧、及び豊田直巳さんの挨拶『ヨーロッパ写真展開催にあたって』が、「NODU ヒロシマ・プロジェクト」ホームページにアップされておりますので、ぜひご参照ください。(http://www.nodu-hiroshima.org/ なお、豊田直巳さんのホームページ『境界線の記憶』は、http://www.ne.jp/asahi/n/toyoda/) ヨーロッパ議会写真展:全点のキャプション> [展示される写真パネルは全部で22枚。そのうち5枚は120x180cmの大型サイズで、他の17枚は60x90cmのサイズのものです。展示会場が、EUの建物の中心に位置する大回廊であるため、広いスペースでもアピールするように、たたみ一畳大の大型パネルが5枚含まれることになりました。] 「オープニング式典」:5月14日18:00- スピーカー ・ 豊田直巳(写真家、日本) ・ エルス・デ・グローエン(EU議会議員、オランダ) ・ キャロリン・ルーカス博士(EU議会議員、イギリス) ・ 森滝春子(NO DU…
「ウラン兵器の人的被害」ヨーロッパ議会で豊田直巳写真展(5月14-16日)
皆様 5月14-16日、ブリュッセルのEU議会内にて豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』(The Human Cost of Uranium Weapons)が開かれる運びとなりました。合わせて、5月15日には国際フォーラム『ウラン兵器禁止に向けて』が開かれます。今回の企画は、劣化ウラ ン兵器問題を憂慮するEU議員グループとICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)の協力で実現したものです。 (1) 豊田直巳写真展『ウラン兵器の人的被害』 場所:ヨーロッパ議会3階、大回廊展示スペース 今回の写真展用ポスターのPDFファイル、展示写真一覧、及び豊田直巳さんの挨拶『ヨーロッパ写真展開催にあたって』が、「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」ホームページにアップされておりますので、ぜひご参照ください。(http/www.nodu-hiroshima.org/ なお、豊田直巳さんのホームページ『境界線の記憶』は、http://www.ne.jp/asahi/n/toyoda/) [展示される写真パネルは全部で22枚。そのうち5枚は120x180cmの大型サイズで、他の17枚は60x90cmのサイズのものです。展示会場が、EUの建物の中心に位置する大回廊であるため、広いスペースでもアピールするように、たたみ一畳大の大型パネルが5枚含まれることになりました。] 「オープニング式典」:5月14日午後6時〜 スピーカー ・ 豊田直巳(写真家、日本) ・ エルス・デ・グローエン(EU議会議員、オランダ) ・ キャロリン・ルーカス博士(EU議会議員、イギリス) ・ 森滝春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長、日本) (2) 国際フォーラム『ウラン兵器禁止に向けて』 5月15日:ヨーロッパ議会、会議室(ASP 1G2) スピーカー ・ …
日本政府への「申し入れ」賛同お願い/ 5月初め、対政府交渉へ
皆様 「ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査」への積極的取り組みを日本政府に求めるため、5月上旬、対政府交渉を行います。昨年11月に提案させて頂 き、賛同をお願いしております「日本政府への申し入れ書」および「国際署名」を提出するとともに、関係各省との交渉や国会議員への働きかけを予定していま す。(まだ確定はしておりませんが5月8日で日程調整中です。) すでにお知らせしていますように、先月、ベルギー議会では、「ウラン兵器禁止法」が可決されました。地雷やクラスター爆弾に続いて、同じく「無差別殺傷兵器」であるウラン兵器の禁止の流れを作り出してゆくため、大切な時期を迎えています。 そのような中で、日本におけるICBUWの活動としても、「日本は、ウラン兵器の全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極的な役割を果たすべき」ということを、改めて真正面から日本政府に突きつけたいと思います。嘉手納基地をはじめ在日米軍基地でのウラン兵器の貯蔵問題などは、昨年のICBUW広島国際大会でも提起された重要な課題です。新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被爆国日本」として当然なすべき国際的責務のはずです。 昨年のICBUW広島国際大会にご協力・ご参加下さった多くの皆さん、全国各地で反核・平和、環境保護、人権擁護など様々な活動に取り組む皆さんの力を今一度、ひとつに結集して、日本政府に申し入れ、交渉に臨みたいたいと思います。5月連休明けの交渉まで、あと1ヶ月足らずですが、できるだけ多くの皆さんの賛同とご協力を頂きたく、再度お願いする次第です。「申し入れ(案)」への賛同(団体・個人)を、何卒よろしくお願い致します。また「申し入れ(案)」 の内容や項目についての具体的なご意見なども、引き続き寄せて頂ければ幸いです。 (5月6日賛同受付終了いたしました。皆様のご賛同・応援に感謝申し上げます。) 嘉指信雄(ICBUWアジア・太平洋地域コーディネーター)/E-mail: info@nodu-hiroshima.org 森瀧春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長)/E-mail: haruko-m@f3.dion.ne.jp 振津かつみ(ICBUW評議員) /E-mail: du-ban-hibaku@theia.ocn.ne.jp ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査に関する日本政府への申し入れ(案) 内閣総理大臣 安倍 晋三 様 外務大臣 麻生 太郎 様 経済産業大臣 甘利 明 様 防衛大臣 久間 章生 様 ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW) 昨年8月、「ヒロシマから世界へ―届けよう“劣化ウランヒバクシャ”の声を!」とのICBUWの呼びかけに応え、被爆地ヒロシマに、世界各地からウラン兵器の被害者、専門家、活動家、ジャーナリストなどが集い、「ウラン兵器禁止を求める国際大会」が開かれました。 私たちは、ヒロシマ大会で確認されたアピールに基づき、日本政府に申し入れます。 ウラン兵器は、ジュネーヴ条約などの国際人道・人権法に明らかに反する「無差別殺傷兵器」です。国連人権小委員会ではウラン兵器を、核兵器、化学兵器、クラスター爆弾、生物兵器など並んで「大量あるいは無差別な破壊をもたらす兵器」として批難する決議がなされ(1996、1997、2002年)、アナン国連事務総長(当時)も「戦争と武力紛争による環境収奪を防止する国際デー」に際し、ウラン兵器の環境へ及ぼす危険性を指摘し批難しています(2002年)。また、欧州議会でもウラン兵器使用の「モラトリアム決議」が再三再四採択されています。(2001、2003、2005、2006年) ウラン兵器は、核燃料・核兵器の製造過程で生じる放射性廃棄物「劣化」ウランを材料とした兵器です。しかし、「劣化」ウランは、日本では「原子炉等規制法」で核燃料物質として規制されている放射性物質です。そのような「劣化ウラン」兵器がイラクなどで繰り返し投入され、放射性物質が大量に環境にばらまかれたのです。 「劣化」ウラン弾は、戦車などの強固な標的にあたると3000℃以上もの高温を発して燃え上がり、生じた酸化ウランの微粒子は遠くまで飛散し、環境を広範囲に汚染します。兵士のみならず多くの一般市民が長期に被曝します。またウラン兵器は、その試射・使用のみならず、製造・運搬・貯蔵など、全ての過程で汚染と被曝を引き起します。 ウランは放射能毒性や化学毒性を合わせ持つ有害物質です。ウラン兵器使用の際に生じる酸化ウランの微粒子が吸入などによって体内に取り込まれ、人々の健康に有害な影響を及ぼすことを示す科学的知見が、すでに数多く報告されています。世界の多くの科学者がその危険性を指摘しています。 ウランによる長期にわたる環境の汚染から、現在と将来の生態系や人々の健康を守らなくてはなりません。「重大あるいは取り返しのつかない損害のおそれのあるところでは、十分な科学的確実性がない」場合でも対策を遅らせてはならないという「予防原則」からも、ウラン兵器を即刻禁止すべきです。 米・英軍によるウラン弾の攻撃を受けたイラクの被災地域の医師たちは、住民の癌・白血病などの憂慮すべき増加を報告し、「ウラン兵器をはじめとする戦争による深刻な環境破壊がその要因である」と訴えています。医療機器や医薬品の不足と闘っているイラクの医師たちは、本格的な医療支援と、汚染・被害調査への協力を国際社会に求めています。 また、欧米ではウラン兵器が使用された地域からの帰還兵の多くが健康障害を訴えています。米国コネチカット州などでは、帰還兵の汚染検査・健康登録を行う州条例が制定されました。またニューヨーク連邦裁判所は、劣化ウラン被曝したイラク帰還兵が国に対し損害賠償請求の訴訟を起こすことを認める裁決を下しました(2006年9月26日)。 嘉手米軍納基地には2001年の時点で40万発ものウラン弾が貯蔵されていたことが米軍の資料でも明らかになっています。日本国内での、このようなウラン兵器の貯蔵・運搬・試射などを決して容認することはできません。 日本政府は、ウラン兵器の使用・試射・運搬・貯蔵などの全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極的な役割を果たすべきです。とりわけ、新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被爆国日本」として当然なすべき国際的責務だと考えます。 このような状況をふまえ、私たちは日本政府に以下の事項を要請します。 1.…
日本政府への「申し入れ」賛同お願い/ 5月初め、対政府交渉へ
皆様 「ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査」への積極的取り組みを日本政府に求めるため、5月上旬、対政府交渉を行います。昨年11月に提案させて頂 き、賛同をお願いしております「日本政府への申し入れ書」および「国際署名」を提出するとともに、関係各省との交渉や国会議員への働きかけを予定していま す。(まだ確定はしておりませんが5月8日で日程調整中です。) すでにお知らせしていますように、先月、ベルギー議会では、「ウラン兵器禁止法」が可決されました。地雷やクラスター爆弾に続いて、同じく「無差別殺傷兵器」であるウラン兵器の禁止の流れを作り出してゆくため、大切な時期を迎えています。 そのような中で、日本におけるICBUWの活動としても、「日本は、ウラン兵器の全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極的な役割を果たすべき」ということを、改めて真正面から日本政府に突きつけたいと思います。嘉手納基地をはじめ在日米軍基地でのウラン兵器の貯蔵問題などは、昨年のICBUW広島国際大会でも提起された重要な課題です。新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被爆国日本」として当然なすべき国際的責務のはずです。 昨年のICBUW広島国際大会にご協力・ご参加下さった多くの皆さん、全国各地で反核・平和、環境保護、人権擁護など様々な活動に取り組む皆さんの力を今一度、ひとつに結集して、日本政府に申し入れ、交渉に臨みたいたいと思います。5月連休明けの交渉まで、あと1ヶ月足らずですが、できるだけ多くの皆さんの賛同とご協力を頂きたく、再度お願いする次第です。「申し入れ(案)」への賛同(団体・個人)を、何卒よろしくお願い致します。また「申し入れ(案)」 の内容や項目についての具体的なご意見なども、引き続き寄せて頂ければ幸いです。 (5月6日賛同受付終了いたしました。皆様のご賛同・応援に感謝申し上げます。) 嘉指信雄(ICBUWアジア・太平洋地域コーディネーター)/E-mail: info@nodu-hiroshima.org 森瀧春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長)/E-mail: haruko-m@f3.dion.ne.jp 振津かつみ(ICBUW評議員) /E-mail: du-ban-hibaku@theia.ocn.ne.jp ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査に関する日本政府への申し入れ(案) 内閣総理大臣 安倍 晋三 様 外務大臣 麻生 太郎 様 経済産業大臣 甘利 明 様 防衛大臣 久間 章生 様 ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW) 昨年8月、「ヒロシマから世界へ―届けよう“劣化ウランヒバクシャ”の声を!」とのICBUWの呼びかけに応え、被爆地ヒロシマに、世界各地からウラン兵器の被害者、専門家、活動家、ジャーナリストなどが集い、「ウラン兵器禁止を求める国際大会」が開かれました。 私たちは、ヒロシマ大会で確認されたアピールに基づき、日本政府に申し入れます。 ウラン兵器は、ジュネーヴ条約などの国際人道・人権法に明らかに反する「無差別殺傷兵器」です。国連人権小委員会ではウラン兵器を、核兵器、化学兵器、クラスター爆弾、生物兵器など並んで「大量あるいは無差別な破壊をもたらす兵器」として批難する決議がなされ(1996、1997、2002年)、アナン国連事務総長(当時)も「戦争と武力紛争による環境収奪を防止する国際デー」に際し、ウラン兵器の環境へ及ぼす危険性を指摘し批難しています(2002年)。また、欧州議会でもウラン兵器使用の「モラトリアム決議」が再三再四採択されています。(2001、2003、2005、2006年) ウラン兵器は、核燃料・核兵器の製造過程で生じる放射性廃棄物「劣化」ウランを材料とした兵器です。しかし、「劣化」ウランは、日本では「原子炉等規制法」で核燃料物質として規制されている放射性物質です。そのような「劣化ウラン」兵器がイラクなどで繰り返し投入され、放射性物質が大量に環境にばらまかれたのです。 「劣化」ウラン弾は、戦車などの強固な標的にあたると3000℃以上もの高温を発して燃え上がり、生じた酸化ウランの微粒子は遠くまで飛散し、環境を広範囲に汚染します。兵士のみならず多くの一般市民が長期に被曝します。またウラン兵器は、その試射・使用のみならず、製造・運搬・貯蔵など、全ての過程で汚染と被曝を引き起します。 ウランは放射能毒性や化学毒性を合わせ持つ有害物質です。ウラン兵器使用の際に生じる酸化ウランの微粒子が吸入などによって体内に取り込まれ、人々の健康に有害な影響を及ぼすことを示す科学的知見が、すでに数多く報告されています。世界の多くの科学者がその危険性を指摘しています。 ウランによる長期にわたる環境の汚染から、現在と将来の生態系や人々の健康を守らなくてはなりません。「重大あるいは取り返しのつかない損害のおそれのあるところでは、十分な科学的確実性がない」場合でも対策を遅らせてはならないという「予防原則」からも、ウラン兵器を即刻禁止すべきです。 米・英軍によるウラン弾の攻撃を受けたイラクの被災地域の医師たちは、住民の癌・白血病などの憂慮すべき増加を報告し、「ウラン兵器をはじめとする戦争による深刻な環境破壊がその要因である」と訴えています。医療機器や医薬品の不足と闘っているイラクの医師たちは、本格的な医療支援と、汚染・被害調査への協力を国際社会に求めています。 また、欧米ではウラン兵器が使用された地域からの帰還兵の多くが健康障害を訴えています。米国コネチカット州などでは、帰還兵の汚染検査・健康登録を行う州条例が制定されました。またニューヨーク連邦裁判所は、劣化ウラン被曝したイラク帰還兵が国に対し損害賠償請求の訴訟を起こすことを認める裁決を下しました(2006年9月26日)。 嘉手米軍納基地には2001年の時点で40万発ものウラン弾が貯蔵されていたことが米軍の資料でも明らかになっています。日本国内での、このようなウラン兵器の貯蔵・運搬・試射などを決して容認することはできません。 日本政府は、ウラン兵器の使用・試射・運搬・貯蔵などの全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極的な役割を果たすべきです。とりわけ、新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被爆国日本」として当然なすべき国際的責務だと考えます。 このような状況をふまえ、私たちは日本政府に以下の事項を要請します。…
ベルギー、劣化ウラン弾禁止へ――地雷、クラスター爆弾に続いて世界初
2007年3月18日 皆さま2007年3月7日、ベルギー議会の国防委員会で、「劣化ウラン弾禁止法案」が、全会一致で可決されました。これは、通常兵器システムの範疇に入れられている劣化ウラン弾、および劣化ウランを用いた装甲の、ベルギーの領土内における製造、使用、貯蔵、売買、入手、供給、移送を、「予防原則」に基づき禁止するものです。 間もなく、この委員会の決定は国会審議にかけられ、上院でも議論されますが、今回の決定が全会一致であったため、今後の審議は、単に形式的手続きにすぎな いとのこと。 Belgium bans DU ベルギーは、対人地雷、クラスター爆弾に続いて、劣化ウラン弾に関しても、世界に先駆けて禁止する国となることが確実と なったのです。言うまでもありませんが、ベルギーのこの決定は、文字通り画期的なものであり、劣化ウラン兵器の国際的禁止に向けた第一歩が大きく踏み出さ れたことを意味します。 *** 「ベルギー国防委員会」での駆け引きなお、「全会一致」とは言え、投票を避けて欠席した議員もおり、最終段階では、可決が危ぶまれる局面もあったようです。今回の法律は、「劣化ウランおよび工業生産された他のいかなるウランにせよ、それらが用いられた砲弾や装甲を全面的に禁止する」ものですが、核兵器は対象外であることを明確にするため、”weapons“(兵器)という言葉は削除され、”ammunitions”(砲弾)という言葉が用いられることになったとこと。{ベルギー北部のクライネ・ブローゲルにあるNATO軍の米空軍基地には核兵器が配備されています。ちなみに、ベルギー上院は2006年4月に、下院は2005年7月に、核軍縮と核不拡散を求める決議を採択し、ヨーロッパに配備されたアメリカの核兵器の撤去を要求しています。} ベルギーの議員で反劣化ウラン運動推進者のDirk van der Maelen また、こうした禁止をベルギー政府が国外でも促進するには時間を要するし、他の国々もベルギーにならって後に続くかどうか知りたいと、オランダ語圏の自由民主党が主張したため、この法律が「ベルギー制定法令書」に記載されても実際の発効は2年後となることが付記されました。つまり、ベルギーが国際社会で孤立することが危惧されたのです。[ベルギーのICBUWメンバーによりますと、「2年後に発効」という条件も、投票直前の各党間での政治的駆け引きの結果のようです。投票前日の6日になって、オランダ語圏の自由民主党が、「閣僚委員会と王室裁決を経て法案を発効させるべき」との修正案―このプロセスを踏むと法案発効には実に10年!はかかるーを出してきて、実質的にこの法律を「無効化」してしまおうとしたため、妥協案として「2年後に発効」との一文が入れられることになった。自由民主党は、審議の中でも、他のNATO諸国との共同歩調を維持したいとの意向を強く示してきていたとのこと。] * ** ICBUWベルギーの取り組み 今回の法案可決は、ベルギーの「ストップ・ウラン兵器!」連合が、国会議員とともに、昨年来取組んできた運動の大きな成果です。とりわけ「地球の友」(Friends of Earth)のメンバーであるリア・ヴェルヤオさん(ICBUW広島大会にも参加したICBUW評議員)とヴィレム・ファン・デン・パンフイセンの懸命の取り組みは、この成功に大きく貢献しました。 昨年11月に開かれた公聴会では、ヴェルヤオさんたちの推薦を受けたキース・ベイヴァーストック博士(ICBUW広島大会にも参加されたWHOの元放射線部門専門官)などが劣化ウランの危険性について訴えました。しかしその後、法案に反対する側が巻き返しを図り、証言者としてNATOやEUの安全保障委員会の代表が証人として招かれ、「ウラン兵器の危険性については実証されていない」「ベルギーがウラン兵器を禁止すれば、国際的軍事協力の観点から問題が生じる」などの反論を展開、委員たちの間に「判断しかねる」といった雰囲気が拡がり、最後の審議となった今年2月14日の委員会が終わった時点では、ヴェルヤオさんも、「法案の可決はかなり困難」との印象をもったようです。 「ヘルプ!委員会のメンバーにメールで訴えて!」――そんな内容のメールがヴェルヤオさんから流されました。それに応えて、キャンペーンを支えてくれている科学者や専門家(ICBUW広島大会にも参加したバーテル博士や、イタリアのガッティ博士とモンタナリー博士など)や他の国のICBUWメンバーからも、次々と外務大臣や国防委員会の主要メンバーへ要請メールが送られました。日本からも、振津が科学的観点からのアピール文を送るとともに、ICBUW広島大会で採択された「ヒロシマ・アピール」が送られました。 投票があった3月7日の朝、私たちは、前日のジュネーブ国連本部内での「劣化ウラン・セミナー」に続いてロビー活動をするため相談をしていました。リアさんの携帯電話が鳴り、「委員会が始まってすぐに投票がされ、全会一致で法案が可決された」との連絡がベルギーの仲間から入りました。かなり「悲観的」になっていたヴェルヤオさんは、嬉しさのあまり涙を流しながら、一緒にいた私たちに投票結果を伝えてくれました。このニュースは、ICBUWのメンバーだけでなく、ウラン兵器禁止を求めてきている全ての人々を勇気づけるものとなりました。 *** クラスター爆弾禁止条約を目指す「オスロ宣言」 クラスター爆弾に関しても、新条約作りが有志国によって進められることが、2月23日に採択された「オスロ宣言」によって確定しました。伝えられているところによりますと、最初は、かなりの国が、「動きがあまりに速すぎる」と躊躇していたものの、「一気に条約作りを開始しよう」という大勢がはっきりするや、それまで躊躇していた国々も、条約制定プロセスの外に置かれること、「歴史の間違ったサイドに取り残されること」(地雷禁止キャンペーンにも最初から関わったデイヴィッド・アトウッドさんの言葉)を恐れて、一挙に賛成する側に回ったとのこと。[オスロ会議の参加49カ国中、「オスロ宣言」を支持しなかったのは、日本、ポーランド、ルーマニアの三カ国のみ。米国、中国、ロシア、イスラエル、インドなどは会議そのものに不参加。オスロ会議については、毎日新聞のシリーズ記事がとても参考になります。 www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/stopcluster/] ICBUWとしては、地雷禁止に続いて、クラスター爆弾の禁止条約作りが始まった勢いも活かしつつ、引き続き各国政府への働きかけを強めると同時に、ベルギーでの成果をさらに欧州や他の地域にも拡げ、国際的禁止に向けた具体的な動きにつなげてゆきたいと考えています。一層のご支援を何卒宜しくお願いいたします。 なお、今回のベルギーの法令文は、ベルギーのメンバーがオランダ語から英語への翻訳作業を進めてくれていますので、英語版を入手次第、皆さんにもご紹介したいと思います。 嘉指信雄(ICBUW評議員、アジア・太平洋地域コーディネーター) 振津かつみ(ICBUW評議員、科学チーム) ICBUW=International Coalition to…
ベルギー、劣化ウラン弾禁止へ――地雷、クラスター爆弾に続いて世界初
2007年3月18日 皆さま 2007年3月7日、ベルギー議会の国防委員会で、「劣化ウラン弾禁止法案」が、全会一致で可決されました。 これは、通常兵器システムの範疇に入れられている劣化ウラン弾、および劣化ウランを用いた装甲の、ベルギーの領土内における製造、使用、貯蔵、売買、入手、供給、移送を、「予防原則」に基づき禁止するものです。 間もなく、この委員会の決定は国会審議にかけられ、上院でも議論されますが、今回の決定が全会一致であったため、今後の審議は、単に形式的手続きにすぎな いとのこと。 Belgium bans DU ベルギーは、対人地雷、クラスター爆弾に続いて、劣化ウラン弾に関しても、世界に先駆けて禁止する国となることが確実と なったのです。言うまでもありませんが、ベルギーのこの決定は、文字通り画期的なものであり、劣化ウラン兵器の国際的禁止に向けた第一歩が大きく踏み出さ れたことを意味します。 *** 「ベルギー国防委員会」での駆け引きなお、「全会一致」とは言え、投票を避けて欠席した議員もおり、最終段階では、可決が危ぶまれる局面もあったようです。今回の法律は、「劣化ウランおよび工業生産された他のいかなるウランにせよ、それらが用いられた砲弾や装甲を全面的に禁止する」ものですが、核兵器は対象外であることを明確にするため、”weapons“(兵器)という言葉は削除され、”ammunitions”(砲弾)という言葉が用いられることになったとこと。{ベルギー北部のクライネ・ブローゲルにあるNATO軍の米空軍基地には核兵器が配備されています。ちなみに、ベルギー上院は2006年4月に、下院は2005年7月に、核軍縮と核不拡散を求める決議を採択し、ヨーロッパに配備されたアメリカの核兵器の撤去を要求しています。} ベルギーの議員で反劣化ウラン運動推進者のDirk van der Maelen また、こうした禁止をベルギー政府が国外でも促進するには時間を要するし、他の国々もベルギーにならって後に続くかどうか知りたいと、オランダ語圏の自由民主党が主張したため、この法律が「ベルギー制定法令書」に記載されても実際の発効は2年後となることが付記されました。つまり、ベルギーが国際社会で孤立することが危惧されたのです。[ベルギーのICBUWメンバーによりますと、「2年後に発効」という条件も、投票直前の各党間での政治的駆け引きの結果のようです。投票前日の6日になって、オランダ語圏の自由民主党が、「閣僚委員会と王室裁決を経て法案を発効させるべき」との修正案―このプロセスを踏むと法案発効には実に10年!はかかるーを出してきて、実質的にこの法律を「無効化」してしまおうとしたため、妥協案として「2年後に発効」との一文が入れられることになった。自由民主党は、審議の中でも、他のNATO諸国との共同歩調を維持したいとの意向を強く示してきていたとのこと。] * ** ICBUWベルギーの取り組み 今回の法案可決は、ベルギーの「ストップ・ウラン兵器!」連合が、国会議員とともに、昨年来取組んできた運動の大きな成果です。とりわけ「地球の友」(Friends of Earth)のメンバーであるリア・ヴェルヤオさん(ICBUW広島大会にも参加したICBUW評議員)とヴィレム・ファン・デン・パンフイセンの懸命の取り組みは、この成功に大きく貢献しました。 昨年11月に開かれた公聴会では、ヴェルヤオさんたちの推薦を受けたキース・ベイヴァーストック博士(ICBUW広島大会にも参加されたWHOの元放射線部門専門官)などが劣化ウランの危険性について訴えました。しかしその後、法案に反対する側が巻き返しを図り、証言者としてNATOやEUの安全保障委員会の代表が証人として招かれ、「ウラン兵器の危険性については実証されていない」「ベルギーがウラン兵器を禁止すれば、国際的軍事協力の観点から問題が生じる」などの反論を展開、委員たちの間に「判断しかねる」といった雰囲気が拡がり、最後の審議となった今年2月14日の委員会が終わった時点では、ヴェルヤオさんも、「法案の可決はかなり困難」との印象をもったようです。 「ヘルプ!委員会のメンバーにメールで訴えて!」――そんな内容のメールがヴェルヤオさんから流されました。それに応えて、キャンペーンを支えてくれている科学者や専門家(ICBUW広島大会にも参加したバーテル博士や、イタリアのガッティ博士とモンタナリー博士など)や他の国のICBUWメンバーからも、次々と外務大臣や国防委員会の主要メンバーへ要請メールが送られました。日本からも、振津が科学的観点からのアピール文を送るとともに、ICBUW広島大会で採択された「ヒロシマ・アピール」が送られました。 投票があった3月7日の朝、私たちは、前日のジュネーブ国連本部内での「劣化ウラン・セミナー」に続いてロビー活動をするため相談をしていました。リアさんの携帯電話が鳴り、「委員会が始まってすぐに投票がされ、全会一致で法案が可決された」との連絡がベルギーの仲間から入りました。かなり「悲観的」になっていたヴェルヤオさんは、嬉しさのあまり涙を流しながら、一緒にいた私たちに投票結果を伝えてくれました。このニュースは、ICBUWのメンバーだけでなく、ウラン兵器禁止を求めてきている全ての人々を勇気づけるものとなりました。 *** クラスター爆弾禁止条約を目指す「オスロ宣言」 クラスター爆弾に関しても、新条約作りが有志国によって進められることが、2月23日に採択された「オスロ宣言」によって確定しました。伝えられているところによりますと、最初は、かなりの国が、「動きがあまりに速すぎる」と躊躇していたものの、「一気に条約作りを開始しよう」という大勢がはっきりするや、それまで躊躇していた国々も、条約制定プロセスの外に置かれること、「歴史の間違ったサイドに取り残されること」(地雷禁止キャンペーンにも最初から関わったデイヴィッド・アトウッドさんの言葉)を恐れて、一挙に賛成する側に回ったとのこと。[オスロ会議の参加49カ国中、「オスロ宣言」を支持しなかったのは、日本、ポーランド、ルーマニアの三カ国のみ。米国、中国、ロシア、イスラエル、インドなどは会議そのものに不参加。オスロ会議については、毎日新聞のシリーズ記事がとても参考になります。 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/stopcluster/] ICBUWとしては、地雷禁止に続いて、クラスター爆弾の禁止条約作りが始まった勢いも活かしつつ、引き続き各国政府への働きかけを強めると同時に、ベルギーでの成果をさらに欧州や他の地域にも拡げ、国際的禁止に向けた具体的な動きにつなげてゆきたいと考えています。一層のご支援を何卒宜しくお願いいたします。 なお、今回のベルギーの法令文は、ベルギーのメンバーがオランダ語から英語への翻訳作業を進めてくれていますので、英語版を入手次第、皆さんにもご紹介したいと思います。 嘉指信雄(ICBUW評議員、アジア・太平洋地域コーディネーター) 振津かつみ(ICBUW評議員、科学チーム) ICBUW=International Coalition to Ban Uranium…
報告「ウラン兵器禁止に向けて」3月6日,ジュネーブ国連本部でのセミナー
2007年3月13日 皆さまICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)は、3月5~9日、ジュネーヴで国連本部内セミナー「ウラン兵器禁止に向けて」、ロビー活動(各国代表部やWHOへの訪問)、軍縮関連国際NGOとの交流・意見交換などを行いました。ベルギー、ドイツ、イギリスのICBUWメンバーとともに、日本からは嘉指、振津が参加し、一昨日帰国いたしました。今回の活動は、国連軍縮会議(UN Conference on Disarmament)の会期に合わせて行われたもので、6日は朝から、軍縮会議の会議場入口で各国代表に同日午後開催のセミナーへの参加を呼びかけ、その後、会議の傍聴をしました。周知のように、軍縮会議は核軍縮問題で膠着状態に陥ってしまっていますが、国連の枠組みの外では、10年前の「対人地雷禁止条約」締結や先月下旬のオスロ会議で動き始めた「クラスター爆弾禁止」への取り組みなど、「無差別殺傷兵器」禁止に向けた成果が具体的にあがりつつあります。そのことが、軍縮会議に対し、良い意味で大きなプレッシャーとなっていることが各国代表の発言からはっきりと伝わってきました。ICBUW主催のセミナーには、ベルギーをはじめ10カ国ほどの軍縮会議代表、軍縮・人権関連の国際NGO、ジャーナリストなど約40名の参加者があり、地雷、クラスター爆弾に続いて、「ウラン兵器禁止」への関心も確実に高まって来ていると感じられました。セミナーでは、ウラン兵器の健康影響、禁止条約も含む国際法的なプロセスなどについてICBUWメンバーなどによる報告がされ、その後、参加者との間で熱のこもった質疑・応答がされました。(下掲プログラム参照)なお、ジュネーヴでのICBUWによる取り組みは、二年前のワークショップに続き二回目ですが、今回の取り組みも、長年、平和や人権問題に取組んでいる「女性国際平和自由連盟」(WILPF)や国際平和ビューロー(IPB)など、ジュネーヴに本部をおく国際NGOの協力を得て実現したものです。国際的ネットワーク作りの観点からも、大変意義の大きいものでした。翌日からは、ベルギー、アイルランド、ニュージーランド、コスタリカ、ペルー、アルゼンチン、チリなどの各国の国連代表部を訪問し、国連第一委員会での決議採択を初めとする、本格的取り組みを展開してくれるように要請しました。とりわけベルギーでは「ウラン兵器禁止」の国内法制定が国防委員会において「全員一致」で決まった当日だったこともあり、国際的禁止に向けた外交努力に前向きな姿勢が感じられました。コスタリカなど中南米の国々でも好意的な対応がみられました。(なお、コスタリカでは、昨年8月のICBUW広島大会にも参加したダマシオ・ロペス氏が、同じく広島大会に参加した米国のイラク戦争帰還兵ハーバート・リード氏とともに講演会やロビー活動を今月下旬に予定しています。)また、嘉指、振津は、スイス北東部の町ヴィル近郊での講演会にも招かれて出かけ、劣化ウラン兵器問題に強い関心を持つ医師グループなどと交流を行って来ました。(このグループは、昨年11月、イタリアを訪問中の写真家の豊田直巳さんや映像ジャーナリストの清水仁さんを急遽スイスにまで呼んで集会を開いたグループです。)さらに、滞在の最後の夜には、「対人地雷禁止キャンペーン」のコーディネーターの一人、スーザン・ウォーカーさんにも会い、運動の経験などを伺うことができました。今回の活動の詳細は、また別途ご報告させて頂きたいと思いますが、今回の行動は、劣化ウラン兵器禁止国際キャンペーンにとって大変大きなステップになったと感じています。それと同時に、目標実現のための課題も一層明確になったと思います。このような取り組みのさらなる前進のため、ICBUWでは、今年5月には、ヨーロッパ議会内部でワークショップに加えて豊田直巳さんの写真展を開催し、さらに、10月には、国連総会の開始時期にあわせて、ニューヨークで第4回ICBUW国際大会を開催する予定です。また、国際的な取り組みと連携しつつ、皆さんとともに日本国内での取り組みも拡げてゆきたいと思います。今後とも、皆さんのご協力・ご支援を何卒よろしくお願い致します。取り急ぎ、帰国早々のご報告のみで、失礼致します。嘉指信雄(ICBUW評議員、アジア・太平洋地域コーディネーター)振津かつみ(ICBUW評議員、科学チーム) ***プログラム「劣化ウラン兵器セミナー」主催: ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)日時: 2007年3月6日(火)午後1―3時場所: ジュネーブ国連本部、Palais des Nations、会議室11・「イントロダクション:ICBUW創設の理由とその目標」 レイ・ストリート(CADU、ICBUW評議員)・「劣化ウラン兵器に対するEUROMILの立場」 エマニュエル・ヤコブ(代表、EUROMIL=European Organization of Military Associations)・ 「ウラン兵器禁止に向けて」 マンフレート・モーア(国際人権法律家、国際反核法律家協会、ICBUW評議員)・ 「ウラン兵器が禁止されるべき科学的・医学的理由」 振津かつみ(ヒバク反対キャンペーン、ICBUW評議員)・ 「閉会の言葉/劣化ウラン兵器禁止運動を加速化するために」 嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト、ICBUW評議員) 司会:スージー・スナイダー(事務局長、WILPF=婦人国際平和自由連盟)より詳しい情報については、ICBUWホームページをご参照ください。 www.bandepleteduranium.org/日本国内連絡先:info@nodu-hiroshima.org/ICBUW事務局:info@bandepleteduranium.org/