2009年5月6-7日、イラクのバスラで第一回国際がん会議が開催された。(主催:バスラ医科大学、バスラ保健省/後援:イラク保健省など)
参加者総数:約400名(主催者報告)
外国人参加者:約40名(うち招待ゲスト16名)
日本人参加者:9名(内招待ゲスト7名)
佐藤真紀:JIM-NET(日本イラク医療ネットワーク)事務局長/井下俊医師:同スタッフ/小野万里子:弁護士・「セイブ・イラクチルドレン名古屋」代表/山縣忍:同事務局/大江厚子:「セイブ・ザ・イラクチルドレン広島」共同代表/影山あさ子:ドキュメンタリー監督・「セイブイラクチルドレン札幌」共同代表/嘉指信雄:ICBUWヒロシマ・オフィス代表//森住卓・フォトジャーナリスト、豊田直巳・フォトジャーナリスト
今回の会議は、90年代半ば以降、特にイラク南部でがんや小児白血病が大きく増加しているとの認識のもと、イラク保健省の後援も受けて開催されたもので、「がんの増加」という深刻な事態にイラクが国家プロジェクトとして取り組み始めたことを意味する、画期的なものと言えよう。イラク南部の人々の間では、自分もがんに罹るのではないかという怖れが広まっていて、「がん恐怖症」と言った表現さえ使われるとのこと。
がん増加の一因として、湾岸戦争やイラク戦争で使われた劣化ウラン(DU)弾の影響が挙げられてきているが、いくつもの発表でDUの影響の可能性が言及され、DU問題がイラクの医師たちの間ではっきりと認識されているのを実感した。
会議冒頭での講演を、「DU問題における新たなパースペクティブ」というタイトルでする機会を与えられた私は、日本や世界各地での禁止キャンペーンの取り組みをパワーポイントも使いながら紹介するとともに、2007年、2008年と2年連続して国連総会で採択された「DU決議」に応え、最大の被害国であるイラクが声を上げることの意義をアピールすることができた。
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会議冒頭での招待講演「DU問題に関する新たなパースペクティブ」[撮影:豊田直巳]