出発前の慌ただしい中で、十分なご報告ができずに申し訳ありません。交渉内容の詳細につきましては、後日、テープ起こしなどもした上で、改めてご報告させて頂きたいと思います。下記はとりあえずのメモですので、ご了承下さい。
政府の主な回答:
1.ウラン兵器の国際的全面禁止に向けた日本政府の外交努力について (外務省)
・劣化ウランの影響評価については国際機関で調査が行われているが、これまでのところ確定的な結果が得られていない。日本政府としては国
際機関の評価を注視してゆきたい。
・禁止については、「特定通常兵器禁止制限条約」(CCW)の協議の中でウラン兵器禁止の動きがない。国際的動きを注視する。
・ベルギーでの禁止法など、新たな動きに対しては回答はなし。こちらの再度の問いかけに対し、「国際的な動きを注視している」と繰り返す
のみで、実際には法案もまだ見ていないかった。
・「被爆国日本」の責務については、特に回答もなし。
・劣化ウランの潜在的危険性を認めるか否かについては「国内での劣化ウランの規制と、兵器としての劣化ウランの禁止は別問題。」と。
・ウラン兵器が、非人道的兵器かどうかということについては、何らかの確定的な結論に国際社会では至っていないので注視している。
2.日本国内の米軍基地に貯蔵されているウラン兵器について(外務省)
・在日米軍が保有する戦闘能力の詳細と特定の弾薬の保管場所、これについては公表しないという方針を米側は示している。
・劣化ウラン弾については、政府から米側に管理に万全を期するよう申し入れている。米国としても厳重な管理の基準の元に安全な管理に万全
を期している。
・訓練については劣化ウラン弾を使用しないとの通知を米側から受けている。
・米軍の指定地域で劣化ウラン弾の搭載や保管しているか否かについては、在日米軍が日米安保条約の目的を達成する上での運用の問題。改め
て米側から過去の実績をふくめ、事情聴取する必要があるとは考えていない。
・嘉手納基地のウラン兵器貯蔵の問題については、昨年8月に報道があったことは承知している。海兵隊が寄港してイラクへ出向すること自体は問題であるとは考えていない。
3.日本の原発・核燃料推進の中ですでに生じている「劣化ウラン」について(経済産業省、内閣府・原子力安全委員会、防衛省)
・原子力安全委員会:劣化ウランは核燃料物質であり使用については国の許可が必要。仮に国内で劣化ウラン弾の製造、使用、移動の申請が出されれば、平和目的以外に利用される恐れがあるので許可されない。国内で発生した劣化ウランについては、厳重に管理している。
・防衛省:劣化ウランを使用した武器はない。今後も保有する計画はない。
・経済産業省:日本の電力会社が米国に委託しているウラン濃縮過程で発生した劣化ウランは、平和目的に限って利用されることを確保するということにはなっていない。民間の企業契約なので、政府はその実態を把握する立場にない。
4.イラクの戦争被害地域への具体的な医療支援に関連して(外務省)
・イラクへの支援は医療分野を重点にしている。2月に新たに無償資金協力1億ドルを決定している。その3分の2は病院修復などの支援。そのような支援を通じて、癌患者に対してもそのための基礎的な支援も行っている。
・消耗品の支援ができないというのは、必ずしも正しくはない。イラクに対するODAはNGOと連携して考えている。その観点から日本プラットホームという形でNGOと協力しながら行っている。それには医薬品も含まれている。
・近隣国へ難民が多く流入している。そういった中で受け入れ国側でいろんな事情がある。ビザの問題は受け入れ国の主権にかかわる問題なので、日本政府としてそれについて、指示をするような状況にはない。交渉の中で、こちらから、現地の困難な実情を訴えると、「ケース・バイ・ケース」で対応することもできるとの返答。
5.イラクから帰還した自衛隊員全員のウラン被曝検査と健康調査について(防衛省)
・劣化ウラン弾の健康への被害は、確定的なものはない。イラク復興支援については、万が一のために、放射線検知器を携帯、通常と異なる放射線レベルを検知した場合にはその場所に立ち入らないよう指示、砂嵐の場合には防塵マスクを配布。仮に劣化ウラン汚染があっても、自衛隊員が自然界の放射線を越える放射線を、劣化ウランの粉塵を大量に吸い込むということは考えにくいと認識している。自衛隊員の検診項目は一般的なもので問題ない。劣化ウラン弾の影響を考慮した特別な健康診断や追跡調査は必要ない。
・健康影響評価は国際的な機関が行っており、日本が独自に影響調査をする必要はない。