ICBUW ウラン兵器禁止を求める国際連合 www.bandepleteduranium.org CADU Campaign Against Depleted Uranium (UK) CARE Campaign Against Radiation Exposure (Japan) Center for Peace and Justice Center for Peace and Justice, Albuquerque, New Mexico (US) For Mother Earth For Mother Earth (Belgium) Grassroots Actions for Peace…
Monthly Archives: December 2006
英語版「ヒロシマ・アピール」改訂・短縮版
2005年6月11日 英語版『劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール』の改訂・短縮版が完成いたしました。 今回の改訂・短縮版(8頁:全頁カラー)は、とても軽く、かつ全頁カラーですので、読む人を強く惹きつけるリーフレットとなっています。 「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」のホームページにも、紹介セクションを近々アップいたしますが、ぜひ、一度手に取ってご覧になってみてください。 外国から来られた方に会われる際に、あるいは外国にお出かけの際にご活用していただけたら幸いです。製作実費一冊あたり100円(プラス送料)にてお送りいたします。お申し込みは、ご注文フォームよりお願いいたします。[改訂・短縮版目次:1頁(表紙):NO WAR NO DU!人文字写真2頁:ニューヨークタイムズ・人文字意見広告3頁:国際キャンペーン始まる!―子どもたちを救おう!地球を救おう!ウラン兵器を禁止せよ!4-5頁:イラク・レポート/劣化ウランとは何か6ー7頁:ホワイトハウスへの反論8頁(裏表紙):NO WAR NO NUKES NO DUキャンドル・メッセージ][付記-「短縮版完成」のお知らせメールが出された後、すぐに、「実費100円(プラス送料)とありますが、1000円の間違いではないのですか」という問い合わせをいただきました。実際は、一冊100円でも、赤字になってしまうのですが、出来るだけ多くの方に劣化ウラン問題を知っていただくことが目的ですので、メンバーと相談して、今回は、「一冊100円の製作実費」をいただく、ということになりました。最初は、「全部、無料配布しては、」という意見もありましたが、そうしますと、継続的に発行して行くこが出来なくなってしまうので、気軽に負担していただけるであろう「一冊100円」ということにいたしました。(勿論、「カンパ」は、いつも「大歓迎」です!)日本語版初版が2003年8月6日に発行されました「ヒロシマ・アピール」は、おかげさまで、学習会などで広くご活用いただき、今までの発行部数は、日本語版・英語版合わせて、1万8千部に達しました。今回の改訂・短縮版は、先月、ニューヨークで開催されたNPT再検討会議でも、セントラル・パークでの平和大集会や国連での劣化ウラン問題ワークショップなどで配布いたしましたが、とても好評で、持って行きました1600冊は、すぐになくなってしまいました。従来の「ヒロシマ・アピール」と合わせてご利用いただけましたら、とても有り難く存じます。 嘉指信雄]
『知られざる劣化ウランの恐怖~イラクの子どもたちは今~』
バージョン:ビデオ・DVD日・英二ヶ国語版 前半:日本語版(23分) 後半:英語版(23分) リポート:豊田直巳、ディレクター:清水仁頒価:ビデオ・DVD、いずれも各2,000円(送料別) ※日本語版・英語版各23分の両方が、一つのビデオあるいはDVDに入っている二カ国語版ですが、海外用に、英語版のみのDVDもあります。 2005年10月29日 皆様 劣化ウラン兵器問題についての最新ドキュメンタリー『知られざるDUの恐怖~イラクの子どもたちは今~』(23分/リポート:豊田直巳、ディレクター:清水仁)が完成いたしました。 今回の『知られざるDUの恐怖』では、11月上旬、来日するイラク米兵帰還兵のジェラルド・マシュー夫妻の他、日本でも良く知られたイラクのアル-アリ 医師、ジャナン医師やドラコヴィッチ博士、さらには、コソボでの任務後、ガンで亡くなったイタリア人兵士ステファノ・メローネさんの残された妻パオラ・メ ローネさんなどが、様々な立場から、様々な声で、劣化ウラン被害について訴えています。 サマワへの自衛隊派遣がいかに大きな問題かが自ずから明らかとなる、とても秀逸な出来栄えです。 今年6月、ブリュッセルのヨーロッパ議会で開かれたICBUW年次大会や、8月、広島で開かれた平和市長会議のNGOブースなどで上映され、とても好評だったバージョンがさらに改訂された最新版です。 集会や学習会などで、ぜひご活用ください。 また、今回のバージョンは、日本語版・英語版(各23分)の両方が、一つのビデオあるいはDVDに入っている二カ国語版になっていますので、海外の平和活動グループなどにもそのまま送っていただくことができます。
季刊『軍縮地球市民』創刊号
2005年6月6日発行 皆様季刊『軍縮地球市民』創刊号が6月6日に発行されました。特集は「核の世界を超える」です。創刊号には、森住卓さんのグラビアをはじめ、高橋昭博さん、木村朗さん、澤地久枝さん、岡真理さん、きくちゆみさん、高遠菜穂子さん、野間伸次さん、 熊岡路矢 さん、柳田真さん、原文次郎さんなど、数多くの方々が論考・報告を寄せていますが、拙稿「抑圧された[劣化]ウラン兵器問題」も収録されております。ご利用いただけ たら幸いです。詳しい内容は、下記目次をご参照ください。草々 嘉指信雄 明治大学軍縮平和研究所のホームページが出来ました。 ここから季刊『軍縮地球市 民』創刊号の目次を見ることが出来ます。www.gunsyuku.org/ 表紙/母子像 広河隆一<グラビア>セミパラチンスクの核汚染 森住卓(フォトジャーナリスト)<『軍縮地球市民』創刊への思い>三木睦子(明治大学軍縮平和研究所特別顧問)宇都宮恭三(?ミノファーゲン製薬代表取締役社長)ショーン・グレゴリー(ブラッドフォード大学平和研究学部長)納谷廣美(明治大学学長)福田邦夫(明治大学軍縮平和研究所所長)<宇都宮徳馬 人と思想>國弘正雄(エディンバラ大学特任客員教授)<特集 核の世界を超える>原爆とは何か井上ひさし(作家)第9条は光り輝く宝石高橋昭博(元広島平和記念資料館長)核兵器廃絶に向けての提言伊藤一長(長崎市長)原爆投下への共通認識を求めて木村朗(鹿児島大学教授)解かれた封印斉藤光政(東奥日報社編集委員)抑圧された「劣化」ウラン兵器問題嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表)原爆加害国になった日本笹本征男(占領史研究者)モルデハイ・バヌヌ氏とイスラエルの核兵器開発野間伸次(日本アムネスティ・インターナショナル 日本ひろしまグループ)<連載>平和は実現できる 第1回 アメリカを変える市民力伊藤千尋(朝日新聞記者)分断される「市民」 第1回 この街は 通報する街 見てる街斎藤貴男(ジャーナリスト)ブッシュ政権 和平達成の道険しく布施広(毎日新聞論説委員)<戯曲・映画評>「父と暮せば」の寓意 澤地久枝(作家)<平和思想と運動>希望 イスラエル兵役拒否者と共生の思想 decencyと他者の痛み岡真理(京都大学教員)平和省を日本に創ろうきくちゆみ(グローバルピースキャンペーン)第5回世界社会フォーラムを見て長沼節夫(ジャーナリスト)平和論の社会科学的地平へ マルクスとヴェーバーの根底にある平和の思想内田芳明(元横浜国立大学教授)9・11とアメリカ・キリスト教平和思想 プロセス神学の場合延原時行(敬和学園大学教授)<「自己責任論」と国際ボランティア>化石男に騙されるな 辛淑玉(人材育成コンサルタント)生命に国境はない 中東から見える日本 高遠菜穂子・森沢典子自己責任論の深層にあったもの 醍醐聰(東京大学教授)<戦争の記憶>東京大空襲とルメイ将軍 早乙女勝元(作家)<平和の歌>戦争の愚かさを歌う 「バルバラ」 村田健司(シャンソン歌手)<軍事>「中国脅威」異聞 岩島久夫(国際政治軍事アナリスト)新「防衛計画の大綱」とその実質化 池田五律(派兵チェック編集委員会)<まんが> 西岡由香<運動紹介>日本国際ボランティアセンター(JVC) 熊岡路矢たんぽぽ舎 柳田真<ワールド・ナウ>チェチェン 戦争は終わったか? 常岡浩介スペイン バスク「負の遺産」の清算と再生 渡部哲郎イラク 環境改善の進まないバグダッドの病院 原文次郎マダガスカル 乱掘されるアフリカの鉱物資源 吉田敦中国 社会主義市場経済の「奇跡」と現実 朱永浩メキシコ 1997年以降、最悪の失業率 所康弘EU ヨーロッパの理想と現実 ミカエル・クレブノベトナム 街角から消えたストリートチルドレン 野地みず江日本 もうひとつの日本 河合理恵<風聞書感>書評『嘘つき大統領のアブない最終目標』ポール・クルーグマン著 千田亮吉評『脳力のレッスン』寺島実郎著 中川雄一郎評いま読みたい3冊『地球買いモノ白書』『経済学と人間の心』『帝国を壊すために』小林尚朗評資料 今日の核戦力研究所活動案内・編集後記
鎌田七男著『広島のおばあちゃん』
―ヒバク問題の学習テキストとして最適― 2005年7月19日 45年間原爆被爆者と向き合い、医学者の立場で原爆の悲惨さをみつめてきた鎌田七男先生(元・広島大学原爆放射能医学研究所所長、広島原爆養護ホーム倉掛のぞみ 園園長)が、「まさにこんな解説書が欲しかったのです!」と言いたくなる本を作ってくださいました。 ぜひ、ぜひ御一読ください!!! 著者の言葉より―― 「わたし達は、原子爆弾の災害がどのようなものであるかをしっかりと伝え「三たび使われることのないように」と大きな声で叫ばなくてはなりません。この本が核兵器のない平和な世界構築に向けて、自分に何ができるかを考えるきっかけになれば大変うれしく思います。」 吉永小百合さんの推薦の言葉より―― 「『広島のおばあちゃん』は、原爆が与える影響、核兵器の本当の恐ろしさを誰にでもやさしく分かるように書かれた本です。このような本はたいへん少なく、とても貴 重です。一人でも多くの方に読んで戴きたいと思います。」 森瀧春子さんの推薦の言葉――ヒロシマ・ナガサキの被爆者の平均年齢が78才を越える今日、「広島のおばあちゃん」たち証言者がいなくなってしまう日が近い今日、広島で長く被爆者の医療に取り 組んでこられた医科学者である鎌田七男先生のこの著書は、まさに若い人たちへの時宜を得たすばらしい贈り物だと思います。 核兵器がもたらす破壊が、一瞬にして奪う数知れない人命や生活環境のみならず、生き残ったものたちへの放射能等の後障害、次世代への影響の恐れ、家族を奪われる などの人間関係の破壊であることを、人間としての科学者の視線から分かりやすく紐解いてくださっています。 原爆について知っていたつもりの私たちにとっても、改めて多くのことが学べる必読書だと思います。 なお、『広島のおばあちゃん』のデザイン・編集を担当しているのは、『劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール』のデザインも担当してくださっている、シフトプロジェクトの鈴木和満さんです。 今回の『広島のおばあちゃん』も、鈴木和満さんのプロとしての徹底した気配り、 デザイン・編集の冴えが、表表紙から裏表紙まで漲っていて、装丁としても、本当に素晴らしい出来栄えです。 完成した実物を拝見し、この本は広く読まれることになるだろうとの思いを改めて 強くいたしましたが、私どもも、メーリングリストを通じて、ささやかながらPRのお 手伝いさせていただくことに致しました。 なお、すでにご存じの方も多いかと思いますが、先月出版された肥田舜太郎・鎌仲 ひとみ著『内部被曝の脅威―原爆から劣化ウラン弾まで』(ちくま新書)もお奨めの 一冊です。 (嘉指信雄:NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表) 本書の特長――● 過去のできごと、現在のできごと、未来に向かっての3部構成。● 左ページは中・高校生向けに、右ページはより詳しく社会人向けに解説。● 質問に対しておばあちゃんが答える、Q&A方式のわかりやすい編集。 1冊1000円(税込み)プラス送料実費 (1冊340円; 2~3冊450円; 4~5冊590円、6冊以上は、「ゆうパック」実費)
「ヒロシマ発日本政府への反論 劣化ウラン兵器廃絶への道」
ヒロシマ発日本政府への反論「劣化ウラン兵器廃絶への道」 イラクの人々のため、日本がすべきことは何なのか?大量破壊兵器だけでなく、劣化ウラン兵器(DU)についても、アメリカ政府の欺瞞がようやく暴かれつつある。 DU禁止に向けた国際キャンペーンも動きだした。 (以下、『世界』2004年5月号より抜粋・修正) 「ヒロシマ発 日本政府への反論-ウラン兵器廃絶への道」 嘉指信雄(かざしのぶお) 「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」代表 アメリカとイギリスは、大量破壊兵器保有の可能性を理由にイラク戦争を強行したが、今や、その大義が大きく揺らいでいる。しかし、今回の戦争でも大量に使用された劣化ウラン弾の問題を視野の中心に据える時、イラク戦争の「正当性」は、さらに一層深く、根底から覆される。 三月二〇日、広島では、イラクの若い医師二人(名古屋大学医学部で研修中)が、原爆ドーム横での集会に参加し、「状況は悪化する一方であり、イラク人の苦しみを止めるには、外国の軍隊が撤退するしかない」と占領の早期終結を訴えた。バスラ教育病院の内科医アサド・アーメルさん(34)とバグダッド教育中央病院の小児科医モハマド・ハッサンさん(30)は、夕方、原爆資料館で開かれたフォーラムにも参加し、「医療設備が破壊され、電気も水も、薬も不足している。湾岸戦争以前と比べると、がん患者の数は10倍以上になっている。子どもの白血病も年々、増加する一途であり、劣化ウラン弾の影響によるものとしか考えられない」と窮状を訴えた。 二人は、翌日、広島赤十字・原爆病院や広島大学原医研(原爆放射能医学研究所)などを訪れ、専門家の方々と交流した後、名古屋に戻って行ったが、別れ際、「平和を求める人たちと共に行動し、強く励まされた。バグダッド陥落の頃は、家にも帰らず病院で患者の治療に必死であたったが、その時の気持ち―自分は、微力ながら、イラクの人々のために力を尽くしているのだという気持ちが甦ってきた。広島に戻ってきたい」との言葉を残して行った。 劣化ウラン兵器は、無差別破壊兵器である いわゆる「劣化」ウランは、核兵器や原子力発電に必要な濃縮ウランを作った後に生じる廃棄物であるが、鉛よりも重く、鉄よりもはるかに固いという希有な性質をもつ。劣化ウラン弾の貫通力は、同じサイズの鋼鉄の弾丸と比較すると、二,四倍。したがって、その破壊力は「革命的」であり、従来の戦車は無意味になったと言われる。さらに、劣化ウラン弾は、衝突後、燃焼し、マイクロレベルの微粒子となって拡散してしまう。劣化ウランは、化学的毒性もきわめて高く、放射能に関しても、「劣化」という不適切な形容がつけられているが、天然ウランの六〇パーセントの放射性を有し、その半減期は四五億年。(地球上に生命が誕生したのが、およそ四十四億年前と言われる。)したがって、劣化ウラン弾は、その及ぼす被害の範囲が空間的にも時間的も限定できないという意味で、まぎれもない非人道的大量破壊兵器である。劣化ウラン弾は一九九一年の湾岸戦争で初めて大規模に―米軍側の公式発表でも三〇〇トン以上―投入され、続いて、ボスニア、ユーゴスラビアにおいてはNATO軍によって、さらにアフガニスタンでアメリカによって、そして再びイラク戦争ではアメリカとイギリスによって湾岸戦争を上回る量が使用されたと推定されている。 今回の戦争は、「イラクの自由作戦」の名のもとに行われたが、放射線という目に見えない危険に数知れない人々・子どもたちを曝す非人道的兵器を使用しての戦争が、どうして、人々を解放する「正義の戦争」などと言えようか。 被爆国日本が先頭に立つべき劣化ウラン弾被害調査 自衛隊が、「人道復興支援」のために送られているサマワからは、日々、自衛隊員の善意あふれる笑顔と言葉がメディアを通じて届く。しかし、「イラク戦争とは何だったのか」、「日本が、今、イラクの人々のためになすべき、なすことのできる最も重要なことは何なのか」を考える時、劣化ウラン弾が引き起こしている想像を絶する悲惨、特に子どもたちに及ぼしている被害の深刻さを直視する必要がある。(写真家の森住卓氏の『イラク・湾岸戦争の子どもたち?劣化ウラン弾は何をもたらしたか』や豊田直巳氏の『イラク 爆撃と占領の日々』などを参照) 自衛隊は、安全のため「放射線測定器」を携行すると報道されているが、日本が被爆国としてイラクの人々のために第一になすべきことは、劣化ウラン弾による放射能汚染の実態調査、被害者救済の先頭に立つことではないだろうか。 アメリカ人の社会学者ロバート・ベラーによれば、「民主主義の成否は、何に注意を払うかにかかっている」。劣化ウラン弾問題に焦点があてられれば、イラク戦争はイラクの人々を「解放」する戦争などといったレトリックは到底通用せず、また、自衛隊による「人道復興支援」がいかに問題の根幹を覆い隠す役割を果たしてしまっているかが明らかとなろう。その意味で、劣化ウラン弾問題は、日本にとっては、今後の憲法改正論議の行方も左右しかねない、鍵となる問題(キー・イシュー)である。 (中略) アメリカの「欺瞞の構造」 一方、アメリカ政府も、一貫して、「劣化ウラン弾は人体に影響がない」との主張を繰り返してきている。ホワイトハウスのホームページのイラク関連ページには、「欺瞞の構造?サダム・フセインの情報工作とプロパガンダ 1990-2003年」と題されたセクションがあり、「イラク政府は近年、連合軍が使用した劣化ウラン弾が、イラク国内でのガンや先天性異常を引き起こす原因となってきたとの虚偽の主張を広めようとしている」、そして、国際的な反劣化ウラン弾キャンペーンも「プロパガンダ」に乗せられたものだとの主張が掲載されている。(日本語訳は、在日アメリカ大使館のホームページから取ったものである。より詳しくは、「ヒロシマ発―ホワイトハウスへの反論」、『劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール』一二~一四頁参照) しかし、こうしたアメリカ政府の主張こそ、この上ない「欺瞞」をはらんでいる。昨年十二月のニュース(NHKニュース電子版)によれば、イラク暫定内閣のアッバス保健相は、米国を訪れた際、米軍が十二年前の湾岸戦争や今回のイラク戦争で使用した劣化ウラン弾について、「イラクの子供にがん患者が増えていることと関連があるのか調査すべきだ」と訴えている。フセイン独裁体制が倒れた後も、劣化ウラン弾被害についての訴えは、イラクから公式に発せられているのである。 さらに、次の、「米海軍は一九八四年にはDUの危険性を知っていた」という情報が意味するところは深甚である。(イギリスのCADU=劣化ウラン反対キャンペーンの『ニュースレター・二〇〇三年冬号』収録。訳文は、田中久美子:「劣化ウラン研究会」の訳に基づく)アメリカ兵士は、湾岸戦争後まで、劣化ウランの危険性について全く知らされていなかったのである。 「グレン・ミルナー氏(米国「非暴力行動のためのグランド・ゼロ・センター」)が情報公開法により入手した文書によって、米海軍はDU兵器の危険性やこの兵器の取扱い及び除染には特別な注意が必要であることを以前から認知していたことが分かった。一九九一年の湾岸戦争において、兵士はDU兵器の安全な取扱いに関する指導を受けておらず、それ以前の時点で作成されていたこの文書は、重要な証拠となる。文書はまた、DUの使用は健康に影響を及ぼさない、使用後の除染は必要ないという米軍の主張が嘘であることを暴露している。文書の3ページ目には、次のように書かれている: 8.粉末状DU(DU兵器は発射されるとその発火性から粉末状となる)を取扱う際や、DU弾が火事などの事故によって酸化した場合、DUエアロゾルや灰を吸ったり飲み込んだりして体内に取り込むと、体内被曝の恐れがある。 9.体液中に取り込まれた特定のDU成分は、その溶解性によっては、特に肝臓に対して毒性を持つ可能性がある。 10.事故の際やDUの腐食が発見された場合には、許可を受けた者によって除染処理が行われなければならない。 11.DU汚染の可能性がある物質に触れてしまった場合は、すぐに許可を受けた者の検査を受け、汚染の可能性のある衣服や手、武器、顔等被曝した部分すべてを石鹸と水で洗浄すること。完全に除染されるまでは、飲食、喫煙、化粧をしてはならない。この文書の全文は、以下のウェブサイトで見ることができる:www.gzcenter.org/NavyDU.htm」 同様の情報は、一九九五年に「AEPI=陸軍環境政策研究所」が作成した「劣化ウラン使用による健康・環境への影響」にも収録されている。また、同じ年、米国陸軍が、「劣化ウランの危険性」について兵士に教育するために作成していたトレーニング用ビデオも、インターネット上で暴露されている。(www.informationclearinghouse.info/article3582.htm) 抑圧されてきた劣化ウラン弾問題 劣化ウラン弾は、周知のように、第一次湾岸戦争後ほどなくして、「湾岸戦争症候群」の原因として論争を引き起こした。一九九六年以降、国連の人権小委員会において、劣化ウラン弾は、「兵士、市民のいずれに対しても大量無差別的被害をもたらす」、現存の国際人道法や人権法と「両立しがたい」非人道的兵器とみなす決議が三度にわたり採択されている。さらに、コソボ紛争後、ヨーロッパ兵士の間に「バルカン症候群」が発生し、二〇〇一年一月には、ヨーロッパ議会が、劣化ウラン弾禁止を求める決議を採択している。 それにもかかわらず、アメリカとイギリスの政府や軍部は、すでに見たように、劣化ウランの危険性をはっきりと認識していながらも、公式的には、劣化ウラン弾は安全だと言い立ててきたのだ。こうした主張の「科学的」根拠とされてきたのは、WHO(国際保健機構)などによる調査結果だが、最近、WHOの調査結果の「科学性・中立性」に関して、重大な疑念が投げかけられた。二月二二日付『サンデー・ヘラルド』(スコットランド)は、以下のように伝えている。(原文は、 www.sundayherald.com/40096 を参照。訳文は、吉田正弘:「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局」) 「イラクでの劣化ウランによるガン発症の怖れに関する科学的研究を、WHOは“差し止めていた”」 ―放射線専門家たちは未公開報告の中において、湾岸戦争中に連合国によって使われた劣化ウラン兵器は長期にわたり健康障害を引き起こす危険ありと警告―環境問題編集者 ロブ・エドワード 米英の劣化ウラン兵器によってイラクの一般市民の健康が長期的に危険にさらされるだろうと警告する専門家の報告書が秘密にされていた。 優れた三人の放射線科学者によって行われたその研究は、放射能と化学毒性を持つ劣化ウランを含むチリを吸いこむと、子供も大人もガンにかかる可能性があると警告した。しかしその報告書は、主筆のケイス・ベイバーストック博士を上席放射線アドバイザーとして雇用しているWHOによって、公表を妨害された。WHOは否定しているが、博士は意図的に差し止められたと断言する。 ベイバーストック博士の研究は、今は『サンデー・ヘラルド』紙の手元に渡っているが、イラクの乾燥した気候では劣化ウランの微粒子は風で撒き散らされ、市民によってこの先何年にも渡って吸引されることを指摘している。体内に入れば、その放射線と毒性が悪性腫瘍の成長の引き金を引く可能性を警告している。…
ご支援のお願い:ウラン兵器全面禁止に向けて
—ICBUWの取り組み2007—(対日本政府/国連/ヨーロッパ議会など) 2006年12月18日 皆さま 今年も残すところ後わずかとなりました。お忙しい毎日をお送りのことと存じます。 今年はICBUW広島国際大会の成功のために、皆さんとともに全力で取組んできました。おかげさまで「ヒロシマから世界へ—届けよう“劣化ウランヒバクシャ”の声を!」という思いを実現できた大会となり、今後の運動の発展に向けた重要なステップとなりました。大会の報告論文集の作成は、年越しの「宿題」となりますが、翻訳と編集の作業に取り組んでいるところです。 *日本政府への「申し入れ(案)」への賛同のお願い* 「ICBUW広島アピール」でも確認された「ウラン兵器禁止」・「被害者支援・連帯」の思いを引き継ぎ、日本国内においても一層具体的に取り組んで行くため、下記のような「日本政府への申し入れ—ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査に向けて(案)」を提案させて頂きます。(すでに、11月「国際共同行動デー」に各地の集会などの取組みの中でも提案し、議論をお願いしているところです。) 「申し入れ(案)」の趣旨は、項目の前文に記してありますが、「ウラン兵器の全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極 的な役割を果たすべき」ということを、改めて真正面から日本政府に突きつけたいと思います。嘉手納基地をはじめ在日米軍基地でのウラン兵器の貯蔵問題など は、日本でのICBUWキャンペーンとしても取組まねばならない課題としてICBUW広島国際大会でも提起されました。現状では、これらの問題に関する日 本政府の態度を大幅に転換させることは決して容易なことではありません。しかし、新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被 爆国日本」として当然なすべき国際的責務です。そして、それを求め続けることは、日本で禁止キャンペーンに取り組んでいる私たちの責任であると考えます。 全国各地で「ウラン兵器禁止」に取り組む皆さん、反核・平和、環境保護、人権擁護、被害者支援など、さまざまな活動に取り組む皆さん、ICBUW広島国際 大会にご協力・ご参加下さった多くの皆さんの力を結集して、日本政府に申し入れたいと思います。「申し入れ(案)」への賛同(団体・個人)を何卒よろしく お願い致します。また、皆さんの周囲でも賛同者を拡げて下さるよう、お願い致します。「申し入れ(案)」の内容や項目について、具体的なご意見なども寄せ て頂ければ幸いです。広く皆さんと議論する中で、運動を拡げ強めてゆきたいと思います。 日本政府への「申し入れ(案)」への賛同、及びご意見等は下記までご連絡下さい。 嘉指信雄/E-mail: info@nodu-hiroshima.org 森瀧春子/E-mail: haruko-m@f3.dion.ne.jp 振津かつみ/E-mail: du-ban-hibaku@theia.ocn.ne.jp 政府への申し入れに際しては、関係省庁との交渉、「国際署名」の提出、国会議員への働きかけなども行いたいと考えております。(具体的な日程は現時点で決められませんが、来春2—3月以降を目標に準備を進めたいと思います。) *世界各国で展開されているキャンペーン* すでにメーリングリストなどでいくつかご紹介しておりますように、広島大会に参加した人々、被害者、科学者・医師、ジャーナリスト、ICBUWメンバー は、世界各地で精力的に活動を展開しています。11月の「ウラン兵器禁止を求める国際共同行動デー」も、ベルギー、イギリス、イタリア、アメリカ、カナ ダ、日本など、世界各国で取り組まれました。最近の動きの中から、いくつか主だったものを挙げてみます。 (1) ICBUWは「国際共同行動デー」に際し、国連宛に、ウラン兵器禁止の意義とその実現に向けた戦略をまとめた「ICBUW-国連レポート2006」と「ICBUW広島アピール」を提出しました。 (2) ICBUWのリア・ベルヤウさんらがロビー活動を展開しているベルギーでは、ウラン兵器全面禁止を定める法案の審議のための公聴会が「国防委員会」で開催 されました(11月20日)。今回証言をした一人は、ヒロシマ大会にも参加した元WHO専門官のベイヴァーストック博士です。(なおベルギーは、1995 年、世界で初めて「対人地雷の製造、使用、輸出、移譲禁止法」を成立させ、続いて、EUが対人地雷禁止に向けて共同行動を決定することとなります。) (3) フィンランドでは、9月の「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会」やフィンランド政府へのロビー活動に引き続き、国会質問(9月)、国会議員への働きかけ(12月8日)などが取組まれています。 (4) 中米のコスタリカでも、ICBUW創設メンバーのダマシオ・ロペスさんが、外相や国会議員と会談して「ウラン兵器禁止条約」への支持を求めるとともに、中 米の他の国々への働きかけも模索するなどのロビー活動を開始しました(11月)。ロペスさんは11月30日〜12月2日、米国アリゾナ州のナバホ自治区で 開催された「世界先住民ウラン・サミット」でもDU問題を報告し、ICBUWの評議会からの連帯のメッセージを届けました。 (5) ヨーロッパ議会では白燐弾などとともに、劣化ウラン兵器の使用停止を求める決議が改めて採択されました(11月6日)ヨーロッパ議会による劣化ウラン兵器使用停止決議は、これで四回目になります。 (6)…
ご支援のお願い:ウラン兵器全面禁止に向けて
—ICBUWの取り組み2007—(対日本政府/国連/ヨーロッパ議会など) 2006年12月18日 皆さま 今年も残すところ後わずかとなりました。お忙しい毎日をお送りのことと存じます。 今年はICBUW広島国際大会の成功のために、皆さんとともに全力で取組んできました。おかげさまで「ヒロシマから世界へ—届けよう“劣化ウランヒバクシャ”の声を!」という思いを実現できた大会となり、今後の運動の発展に向けた重要なステップとなりました。大会の報告論文集の作成は、年越しの「宿題」となりますが、翻訳と編集の作業に取り組んでいるところです。 *日本政府への「申し入れ(案)」への賛同のお願い* 「ICBUW広島アピール」でも確認された「ウラン兵器禁止」・「被害者支援・連帯」の思いを引き継ぎ、日本国内においても一層具体的に取り組んで行くため、下記のような「日本政府への申し入れ—ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査に向けて(案)」を提案させて頂きます。(すでに、11月「国際共同行動デー」に各地の集会などの取組みの中でも提案し、議論をお願いしているところです。) 「申し入れ(案)」の趣旨は、項目の前文に記してありますが、「ウラン兵器の全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極 的な役割を果たすべき」ということを、改めて真正面から日本政府に突きつけたいと思います。嘉手納基地をはじめ在日米軍基地でのウラン兵器の貯蔵問題など は、日本でのICBUWキャンペーンとしても取組まねばならない課題としてICBUW広島国際大会でも提起されました。現状では、これらの問題に関する日 本政府の態度を大幅に転換させることは決して容易なことではありません。しかし、新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被 爆国日本」として当然なすべき国際的責務です。そして、それを求め続けることは、日本で禁止キャンペーンに取り組んでいる私たちの責任であると考えます。 全国各地で「ウラン兵器禁止」に取り組む皆さん、反核・平和、環境保護、人権擁護、被害者支援など、さまざまな活動に取り組む皆さん、ICBUW広島国際 大会にご協力・ご参加下さった多くの皆さんの力を結集して、日本政府に申し入れたいと思います。「申し入れ(案)」への賛同(団体・個人)を何卒よろしく お願い致します。また、皆さんの周囲でも賛同者を拡げて下さるよう、お願い致します。「申し入れ(案)」の内容や項目について、具体的なご意見なども寄せ て頂ければ幸いです。広く皆さんと議論する中で、運動を拡げ強めてゆきたいと思います。 日本政府への「申し入れ(案)」への賛同、及びご意見等は下記までご連絡下さい。 嘉指信雄/E-mail: info@nodu-hiroshima.org 森瀧春子/E-mail: haruko-m@f3.dion.ne.jp 振津かつみ/E-mail: du-ban-hibaku@theia.ocn.ne.jp 政府への申し入れに際しては、関係省庁との交渉、「国際署名」の提出、国会議員への働きかけなども行いたいと考えております。(具体的な日程は現時点で決められませんが、来春2—3月以降を目標に準備を進めたいと思います。) *世界各国で展開されているキャンペーン* すでにメーリングリストなどでいくつかご紹介しておりますように、広島大会に参加した人々、被害者、科学者・医師、ジャーナリスト、ICBUWメンバー は、世界各地で精力的に活動を展開しています。11月の「ウラン兵器禁止を求める国際共同行動デー」も、ベルギー、イギリス、イタリア、アメリカ、カナ ダ、日本など、世界各国で取り組まれました。最近の動きの中から、いくつか主だったものを挙げてみます。 (1) ICBUWは「国際共同行動デー」に際し、国連宛に、ウラン兵器禁止の意義とその実現に向けた戦略をまとめた「ICBUW-国連レポート2006」と「ICBUW広島アピール」を提出しました。 (2) ICBUWのリア・ベルヤウさんらがロビー活動を展開しているベルギーでは、ウラン兵器全面禁止を定める法案の審議のための公聴会が「国防委員会」で開催 されました(11月20日)。今回証言をした一人は、ヒロシマ大会にも参加した元WHO専門官のベイヴァーストック博士です。(なおベルギーは、1995 年、世界で初めて「対人地雷の製造、使用、輸出、移譲禁止法」を成立させ、続いて、EUが対人地雷禁止に向けて共同行動を決定することとなります。) (3) フィンランドでは、9月の「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会」やフィンランド政府へのロビー活動に引き続き、国会質問(9月)、国会議員への働きかけ(12月8日)などが取組まれています。 (4) 中米のコスタリカでも、ICBUW創設メンバーのダマシオ・ロペスさんが、外相や国会議員と会談して「ウラン兵器禁止条約」への支持を求めるとともに、中 米の他の国々への働きかけも模索するなどのロビー活動を開始しました(11月)。ロペスさんは11月30日〜12月2日、米国アリゾナ州のナバホ自治区で 開催された「世界先住民ウラン・サミット」でもDU問題を報告し、ICBUWの評議会からの連帯のメッセージを届けました。…
ヒロシマ・アピール改訂版の中国新聞記事
中国新聞地域ニュース 劣化ウラン冊子を改訂 ’06/11/20 劣化ウラン弾(DU)の禁止運動に取り組む市民団体「NO DUヒロシマ・プロジェクト」が、DUの危険性を指摘する小冊子「ヒロシマ・アピー ル」の改訂版を発行した。8月に広島市で開いた「NO DU国際大会」での議論や、イラク戦争の帰還米兵が起こした損害賠償請求訴訟の概要などを盛り込ん だ。A4判、68ページ。1000円(送料別)。同プロジェクト雨宮さん=電話090(7500)8687。 【写真説明】「NO DUヒロシマ・プロジェクト」が作成した小冊子「ヒロシマ・アピール」の改訂版
『ヒロシマ・アピール』改訂版刊行のお知らせ
劣化ウラン兵器禁止を訴える『ヒロシマ・アピール』の改訂版を、2006年11月に刊行しました 『ヒロシマ・アピール』発行部数の推移 タイトル 発行部数 日付 日本語版初版 2,000部 2003/8/6 日本語版 第1次改訂版 5,000部 2003/9/6 英語版 3,000部 2003/8/6 日本語版 第2次改訂版 5,000部 2003/12/15 英語版 増刷 1,000部 2004/5/6 日本語版 第2次改訂版増刷 2,000部 2004/8/3 合計 17,000部 2004/8/3