ご支援のお願い:ウラン兵器全面禁止に向けて

—ICBUWの取り組み2007—(対日本政府/国連/ヨーロッパ議会など)

2006年12月18日

皆さま

今年も残すところ後わずかとなりました。お忙しい毎日をお送りのことと存じます。

今年はICBUW広島国際大会の成功のために、皆さんとともに全力で取組んできました。おかげさまで「ヒロシマから世界へ—届けよう“劣化ウランヒバクシャ”の声を!」という思いを実現できた大会となり、今後の運動の発展に向けた重要なステップとなりました。大会の報告論文集の作成は、年越しの「宿題」となりますが、翻訳と編集の作業に取り組んでいるところです。

*日本政府への「申し入れ(案)」への賛同のお願い*

「ICBUW広島アピール」でも確認された「ウラン兵器禁止」・「被害者支援・連帯」の思いを引き継ぎ、日本国内においても一層具体的に取り組んで行くため、下記のような「日本政府への申し入れ—ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査に向けて(案)」を提案させて頂きます。(すでに、11月「国際共同行動デー」に各地の集会などの取組みの中でも提案し、議論をお願いしているところです。)


「申し入れ(案)」の趣旨は、項目の前文に記してありますが、「ウラン兵器の全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極 的な役割を果たすべき」ということを、改めて真正面から日本政府に突きつけたいと思います。嘉手納基地をはじめ在日米軍基地でのウラン兵器の貯蔵問題など は、日本でのICBUWキャンペーンとしても取組まねばならない課題としてICBUW広島国際大会でも提起されました。現状では、これらの問題に関する日 本政府の態度を大幅に転換させることは決して容易なことではありません。しかし、新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被 爆国日本」として当然なすべき国際的責務です。そして、それを求め続けることは、日本で禁止キャンペーンに取り組んでいる私たちの責任であると考えます。

全国各地で「ウラン兵器禁止」に取り組む皆さん、反核・平和、環境保護、人権擁護、被害者支援など、さまざまな活動に取り組む皆さん、ICBUW広島国際 大会にご協力・ご参加下さった多くの皆さんの力を結集して、日本政府に申し入れたいと思います。「申し入れ(案)」への賛同(団体・個人)を何卒よろしく お願い致します。また、皆さんの周囲でも賛同者を拡げて下さるよう、お願い致します。「申し入れ(案)」の内容や項目について、具体的なご意見なども寄せ て頂ければ幸いです。広く皆さんと議論する中で、運動を拡げ強めてゆきたいと思います。

日本政府への「申し入れ(案)」への賛同、及びご意見等は下記までご連絡下さい。

嘉指信雄/E-mail: info@nodu-hiroshima.org

森瀧春子/E-mail: haruko-m@f3.dion.ne.jp

振津かつみ/E-mail: du-ban-hibaku@theia.ocn.ne.jp

政府への申し入れに際しては、関係省庁との交渉、「国際署名」の提出、国会議員への働きかけなども行いたいと考えております。(具体的な日程は現時点で決められませんが、来春2—3月以降を目標に準備を進めたいと思います。)

*世界各国で展開されているキャンペーン*

すでにメーリングリストなどでいくつかご紹介しておりますように、広島大会に参加した人々、被害者、科学者・医師、ジャーナリスト、ICBUWメンバー は、世界各地で精力的に活動を展開しています。11月の「ウラン兵器禁止を求める国際共同行動デー」も、ベルギー、イギリス、イタリア、アメリカ、カナ ダ、日本など、世界各国で取り組まれました。最近の動きの中から、いくつか主だったものを挙げてみます。

(1) ICBUWは「国際共同行動デー」に際し、国連宛に、ウラン兵器禁止の意義とその実現に向けた戦略をまとめた「ICBUW-国連レポート2006」と「ICBUW広島アピール」を提出しました。

(2) ICBUWのリア・ベルヤウさんらがロビー活動を展開しているベルギーでは、ウラン兵器全面禁止を定める法案の審議のための公聴会が「国防委員会」で開催 されました(11月20日)。今回証言をした一人は、ヒロシマ大会にも参加した元WHO専門官のベイヴァーストック博士です。(なおベルギーは、1995 年、世界で初めて「対人地雷の製造、使用、輸出、移譲禁止法」を成立させ、続いて、EUが対人地雷禁止に向けて共同行動を決定することとなります。)

(3) フィンランドでは、9月の「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会」やフィンランド政府へのロビー活動に引き続き、国会質問(9月)、国会議員への働きかけ(12月8日)などが取組まれています。

(4) 中米のコスタリカでも、ICBUW創設メンバーのダマシオ・ロペスさんが、外相や国会議員と会談して「ウラン兵器禁止条約」への支持を求めるとともに、中 米の他の国々への働きかけも模索するなどのロビー活動を開始しました(11月)。ロペスさんは11月30日〜12月2日、米国アリゾナ州のナバホ自治区で 開催された「世界先住民ウラン・サミット」でもDU問題を報告し、ICBUWの評議会からの連帯のメッセージを届けました。

(5) ヨーロッパ議会では白燐弾などとともに、劣化ウラン兵器の使用停止を求める決議が改めて採択されました(11月6日)ヨーロッパ議会による劣化ウラン兵器使用停止決議は、これで四回目になります。

(6) アメリカでは、ジェラルド・マシューさん、ハーバート・リードさんらイラク戦争帰還兵とその家族の計16名が、「劣化ウラン被害賠償請求」を米国陸軍省に 求める訴えをニューヨークの連邦裁判所に出しています(2005年9月)。米国政府側は裁判の棄却請求を出していましたが、今年の9月、予審公聴会が開か れ、部分的ながらも原告側の訴えを認める裁決が下され、本格的に裁判が開始されることになりました。

(7) 国連人権理事会によって設置された「レバノン調査委員会」も、その報告書(11月11日付、暫定版)の「勧告」の中で、クラスター爆弾の禁止とともに、 「特に一般市民に対し無差別的被害を及ぼす、劣化ウランを使用した兵器を含む幾つかの兵器」の違法性を問題にするよう国際機関に要請しました。

[詳細は、ICBUWニュースレター “Friendly Fire”の12月号をご参照ください。ニュースレター “Friendly Fire”は、ICBUWメンバーの方々に配信されておりますが、ICBUWウェブサイトにもアップされております。なお、ICBUWのホームページのURLが変わり、内容も全面的にリニューアル中です。新しいURLは、 www.icbuw.org/です。]

 

*ICBUWの取組み 2007*

 

こうした世界各地での動きを加速させるため、「ウラン兵器禁止」がグルーバルな緊急課題であることを、さらに強く国際社会に訴えなければなりません。ICBUWは、ウラン兵器禁止に向けた具体的な国際的動きを作り出すことをめざし、各国政府、国際機関などに、さまざまルートでの働きかけを強めようと、来年の取組みの準備を進めています。

 

(1) 2月にはイギリスでも、「劣化ウラン反対キャンペーン」(CADU)が中心になって、国会でのセミナーを開催するなどロビー活動が行われます(2月7日)。

(2) 3月初旬にはジュネーヴで、ICBUWとして、国連機関、各国政府代表、軍縮関連NGOなどに向けたワークショップを含めたロビー活動を、「女性国際平和自由連名」(WILPF)や「国際平和ビューロー」の協力を得て行います。

(3) 5月には、ブリュッセルのヨーロッパ議会内で、ウラン兵器禁止とイラクでの劣化ウラン被害調査支援などを呼びかける取り組みが予定されています。(5月14−16日)。イラクのジャワッド・アルアリ医師やアメリカのトマス・フェイジー博士などの講演に加え、豊田直巳さんの写真展・プリゼンテーションなどが予定されています。この画期的な試みは、ベルギーのICBUWメンバーが中心となって、欧州議会議員の支援を受けて取り組んでいます。

(4) 秋には、ニューヨークで第4回ICBUW国際大会が計画されています。(広島大会のような形の”国際大会”ではなく、様々な平和・軍縮NGOなどに参加を呼びかけて、具体的なキャンペーンに焦点をあてた”実務的”ワークショップ形式となる見込みです。)

 

これら世界の運動と結んで、日本でも、「国際署名」や「日本政府への申し入れ」など、皆さんとともに粘り強く運動を進めて行きたいと思います。

 

*ICBUWのキャンペーンを支えて下さい!カンパのお願い*

 

なお、ICBUWは、いままで会費などお願いせずに進めてきておりますが、以上のような国際的取り組みを本格的に展開していくためには、かなりの資金が必要となります。現在、英国の「劣化ウラン反対キャンペーン」(CADU)のスタッフが担ってくれているICBUW国際事務局も、ICBUWとしての専従スタッフの確保なども含め、国際キャンペーンを責任持って担える体制を整えなければなりません。そのため、国際的にもICBUW賛同グループ(個人も含む)の拡大キャンペーンと合わせてカンパ・キャンペーンに取り組むこととなりました。日本の皆さまにも、何卒ご理解・ご支援を宜しくお願いいたします。

ICBUW国際キャンペーンについては、「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」ホームページをご参照ください。

 

*ICBUWへの加入(団体・個人)の申し込み先:

info@nodu-hiroshima.org

*ICBUWへの資金カンパは、ICBUWホームページ上でもクレジットカードを使って行っていだけますが、日本国内でも下記の郵便振替口座に寄せていただくことができます。

郵便振替口座名:ICBUW・国際キャンペーン

口座番号:01310−0−83069

一口:団体5,000円/個人1,000円 (複数口、大歓迎!)

備考欄に「ICBUW賛同カンパ」と明記ください。

 

ご協力のほど、重ねてお願い申し上げます。

 

嘉指信雄(ICBUW評議員、アジア・太平洋地域コーディネーター)

振津かつみ(ICBUW評議員)

森瀧春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長)

 


 

ウラン兵器全面禁止と被害者支援・被害調査に関する日本政府への申し入れ(案)

 

内閣総理大臣 安倍 晋三 様

外務大臣   麻生 太郎 様

経済産業大臣 甘利  明 様

防衛庁長官  久間 文生 様

 

ウラン兵器禁止を求める国際連合

(ICBUW=International Coalition to Ban Uranium Weapons)

 

今年8月、「ヒロシマから世界へ-届けよう“劣化ウランヒバクシャ”の声を!」とのICBUWの呼びかけに応え、被爆地ヒロシマに、世界各地からウラン兵器の被害者、専門家、活動家、ジャーナリストなどが集い、「ウラン兵器禁止を求める国際大会」を開きました。私たちは、ヒロシマ国際大会で確認されたアピールに基づき「被爆国日本」の政府に申し入れます。

ウラン兵器は、ジュネーヴ条約などの国際人道・人権法に明らかに反する「無差別殺傷兵器」です。国連人権小委員会ではウラン兵器を、核兵器、化学兵器、クラスター爆弾、生物兵器など並んで「大量あるいは無差別な破壊をもたらす兵器」として批難する決議がなされ(1996,97,2002年決議)、アナン国連事務総長も「戦争と武力紛争による環境収奪を防止する国際デー」に際し、ウラン兵器の環境へ及ぼす危険性を指摘し批難しました(2002年)。欧州議会でもウラン兵器使用の「モラトリアム決議」(2001,03,05,06年)がなされました。

ウラン兵器は、核燃料・核兵器の製造過程で生じた放射性廃棄物「劣化」ウランを素材にした兵器です。「劣化」ウランは、日本では「原子炉等規制法」で核燃料物質として規制されている放射性物質です。そのような「劣化」ウランが兵器としてイラクなどで大量に繰り返し使用され、その環境にばらまかれたのです。

ウラン弾は、戦車などの強固な標的にあたると3000℃以上もの高温を発して燃え上がり、生じた酸化ウランの微粒子は戦場や試射場から遠く離れた地域まで拡散し、環境を広範囲に汚染します。兵士のみならず多くの一般の人々が長期に被曝します。またウラン兵器は、その試射・使用のみならず、製造・運搬・貯蔵など、全ての過程で汚染と被曝を引き起します。

ウランは放射能毒性や化学毒性を持つ有害物質です。ウラン兵器使用の際に生じる酸化ウランの微粒子が吸入などによって体内に取り込まれ、人々の健康に有害な影響を及ぼすことを示す科学的知見が、すでに数多く報告されています。世界の多くの科学者がその危険性を指摘しています。

ウランによる長期にわたる環境の汚染から、現在と将来の生態系や人々の健康を守るためには、「重大あるいは取り返しのつかない損害のおそれのあるところでは、十分な科学的確実性がない」場合でも対策を遅らせてはならないという「予防原則」からも、ウラン兵器を即刻禁止すべきです。

米・英軍によるウラン弾の攻撃を受けたイラクの被災地域の医師たちは、住民の癌・白血病などの増加を報告し、「ウラン兵器をはじめとする戦争による深刻な環境破壊がその要因である」と訴えています。医療機器や医薬品の不足する困難な中で治療にあたっているイラクの医師たちは、具体的な医療支援と、独立した汚染・被害調査への協力を国際社会に求めています。

欧米ではウラン兵器が使用された地域からの帰還兵の多くが健康障害を訴えています。米国コネチカット州などでは、帰還兵の汚染検査・健康登録を行う州条例が制定されました。またニューヨーク連邦裁判所は、劣化ウラン被曝したイラク帰還兵が国に対し損害賠償請求の訴訟を起こすことを認める裁決を下しました(2006年9月26日)。

嘉手米軍納基地には2001年に40万発ものウラン弾が貯蔵されていたことが米軍の資料でも明らかになっています。日本国内での、このようなウラン兵器の貯蔵・運搬・試射などを決して容認することはできません。

日本政府は、ウラン兵器の使用・試射・運搬・貯蔵などの全面禁止と、イラクなどの被害地域への医療支援と汚染・被害調査に向け、積極的な役割を果たすべきです。とりわけ、新たな放射能汚染と被曝をもたらすウラン兵器の禁止を求めることは、「被爆国日本」として当然なすべき国際的責務です。

このような状況をふまえ、私達は日本政府に以下の事項を要請します。

1. ウラン兵器が国際人道・人権法に反する「無差別殺傷兵器」であることを踏まえ、ウラン兵器全面禁止を求める「国連決議」の採択、さらに「禁止条約」の締結に向け、具体的外交努力を行うこと。

2. 嘉手納米軍基地のウラン兵器貯蔵の現状を明らかにするよう米国政府に求めること。

もし現在も嘉手納基地にウラン兵器が貯蔵されているならば、すみやかな撤去を米国政府に求めること。

嘉手納以外の在日米軍基地、寄港米艦船等についても同様に、ウラン兵器の貯蔵や搭載の有無、現状を明らかにさせること。

3. 日本の原発・核燃料推進の中ですでに生じ、日本にある「劣化」ウランは厳重に管理し、日本がウラン兵器を製造・装備するようなことは決して行わないこと。

日本の電力会社が米国に委託しているウラン濃縮過程で発生した「劣化」ウランが、米国でウラン兵器製造に軍事転用されないよう求め、その管理の実態を明らかにさせること。

4. イラクの戦争被害地域への具体的な医療支援を行うこと。

5. イラクから帰還した自衛隊員全員の適切なウラン被曝検査と健康調査をすみやかに行い、公表すること。

6. 日本政府として、ウラン兵器の健康・環境影響に関する独自の科学的調査・評価を行い、公表すること。

 

以上。

 

ICBUW日本連絡先:

嘉指信雄(ICBUW評議員、アジア・太平洋地域コーディネーター)

〒731-5159 広島市佐伯区安芸五日市郵便局私書箱3号

Tel: 090-7897-2095    E-mail: info@nodu-hiroshima.org

森瀧春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長)

〒731-5135 広島市佐伯区海老園3-2-18

Tel: 082-921-1263    E-mail: haruko-m@f3.dion.ne.jp

振津かつみ(ICBUW評議員)

〒663-8183 兵庫県西宮市里中町2-1-24

Tel: 0798-44-2614   E-mail: du-ban-hibaku@theia.ocn.ne.jp

 

ICBUW国際事務局:

International Coalition to Ban Uranium Weapons (ICBUW)

Bridge 5 Mill 22a, Beswick Street, Ancoats, Manchester

UK, M4 7HR

ICBUW Homepage: www.icbuw.org

Telephone: +44 (0)161 273 8293

Fax: +44 (0)161 273 8293

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