NODUヒロシマ・プロジェクトMLより転載 2005年12月15日皆様 嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト)11月上旬、来日したイラク帰還兵のジェラルド・マシューさんから、「アメリカ合衆国陸軍省」に対する訴状のPDFファイル(全16頁)が送られてきました。「どうぞ回覧してください」との言葉が添えられていますので、出来るだけ多くの方、特にマスコミ関係者、政治家の方々に知っていただきたく存じます。ただ、全16頁PDFファイルはメーリングリストで流すには重すぎますので、送付ご希望の方はメールにて御一報ください。 (info@nodu-hiroshima.org)訴状は、2005年9月16日に「合衆国・ニューヨーク南部地裁」に提出されたものであり、 被告は「合衆国陸軍省」(United States of America, Department of Army)、 原告はイラク戦争帰還兵及びその家族の計16名―ジェラルド・マシューさんを筆頭に、妻のジャニスさん、 娘さんのヴィクトリアちゃんの他、昨年4月、「ニューヨーク・デイリー・ニュース」紙で取り上げられたイラク戦争帰還兵とその妻などです。(「ニューヨーク・デイリー・ニュース」の連載記事については、詳しくは、「アメリカの戦争と日本の有事法制に反対する署名事務局」ホームページwww.jca.apc.org/~p-news/IRQ/041009iraqdu.htmを参照)訴状の「事実陳述」セクションには、下記のような項目が含まれています。(以下、仮訳)19. イラク駐留中、原告マシューは、放射性の劣化ウラン(以下、DUと表記)に被曝させられた。20. 2004年4月、原告マシューは、検査の結果、劣化ウラン汚染にされていることが明らかとなった。・ ・・・44. 原告たちが被曝した地域は、各原告が被曝する以前に、DUに汚染されていると知られていたし、被告には知られていたはずである。・ ・・・46. 被告は、DU被曝の、知られていた危険を、各原告に対して隠していた。・・・・51. 連合軍の他の国々の軍隊は、DU汚染への被曝の危険から自国の軍隊を守り、安全を確保するため、司令官によって当該地域から移動させられた。・ ・・・53. 各原告がイラクに派遣される以前に、被告は、DU兵器の燃焼より生じる高濃度の酸化ウランを含有する、容易に吸引される微粒子からなるエアゾール状チリの毒性について知っていたか、知っている所以があった。54. ミクロン・サイズのDU粒子は、大気中に広まり、難なく20キロも運ばれ、頻繁に風の吹くイラクではさらに遠くまで運ばれるものであることを、当該のあらゆる時点において知っていたし、知っている所以があった。64. 当該のあらゆる時点において、被告は、アルファ放射線は、発ガン過程や変異に広く結びつけられている遺伝子の不安定化を引き起こす強力な原因であると知られている、ということを知っていたか、知っている所以があった。・・・・「第一救済請求」73. 被告は、警告や保護を与えずに、各原告をDU汚染の周知の危険に曝したことにより、各原告に対する義務に違反した。・・・・以下、略。 this is the law suit you can contact the lawyers
国際キャンペーン
[劣化]ウラン兵器禁止を求める緊急ヒロシマ・アピール
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2004年11月6日「ウラン兵器禁止を求める国際行動デー」計画 (起草 嘉指信雄) 2004年10月11日 イラク戦争開始間際の2003年3月2日、広島におよそ6000人の人々が集まり、人文字メッセージ「NO WAR NO DU!(戦争にNO 劣化ウラン弾にNO!)」を作った。そして、その空撮写真を用いた意見広告(3月24日付『ニューヨークタイムズ』掲載)で訴えた。「ヒロシマはNOと言う これ以上ヒバクシャ(放射能被害者)を出すことに。ホワイトハウスは、劣化ウラン弾の放射性および毒性の影響を否定しているが、これは偽りである」と。アメリカとイギリスは、イラクによる大量破壊兵器保有を理由にイラク戦争を強行したが、今や、その大義は崩壊した。しかし、今回の戦争でも使用されたウラン兵器がまさに大量破壊兵器であることを見据える時、イラク戦争の「正当性」は、さらに一層深く、根底から覆される。イラク戦争は、「イラクの自由作戦」の名の下に行われたが、ウラン兵器を使用しての戦争が、人々を解放する「正義の戦争」などと、どうして言えようか。地球に生命が誕生してから40億年と言われるが、ウラン238の半減期は45億年。まさにウラン兵器の使用は、時の蓄積のたまものである生命の奇跡、生きとし生けるものに対する冒涜であり、後からやってくる世代に対する無責任きわまりない蛮行と言わなければならない。イラク南部など、湾岸戦争中、アメリカとイギリスによって[劣化]ウラン弾による爆撃が行われた地域では、癌や白血病、先天障害の憂慮すべき増加が報告されている。バスラのジャワード・アル- アリ医師は、今年5月ベルリンで開かれた「IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ヨーロッパ大会」で、次のように訴えていた。「アブ-グレイブ収容所での虐待が問題になっていますが、イラク国民は、湾岸戦争以降ずっと、劣化ウラン弾によって虐待し続けられているのです」と。私たちは、こうした胸も張り裂けんばかりの訴えに応え、放射能兵器であるウラン兵器の全面的禁止の一日も早い実現と被害者への支援を求めて、ヒロシマから、日本から、世界中の全ての良心ある人々に向けて改めて訴えたい。(1)ウラン兵器の使用は、国際刑事裁判所規定の「人道に対する罪」に該当する。ウラン兵器は、非人道的な大量破壊兵器であり、一刻も早く、その製造、使用、売買が全面的・明示的に禁止しなければならない。(2)兵士のみならず、多くの市民が、とりわけ、放射線の影響を最も受けやすい子どもたちが[劣化]ウランの深刻な被害を受けていると考えられる。被害に苦しんでいる人々・子どもたちに、一刻も早く、救済と援助の手を差し伸べねばならない。(3)アメリカやイギリスは、今日までに使用したウラン兵器の情報を全面的に開示すべきである。国際社会は、現地の専門家たちと連携しつつ、被害の実態を早急に明らかにし、対応策を立案・実施しなければならない。****ウラン兵器、いわゆる[劣化]ウラン兵器は、核燃料サイクルや核兵器の製造過程で排出される放射性[廃棄]物質の軍事利用である。[劣化]ウランは、放射性毒性と化学毒性を持っており、ウラン兵器は環境に、長期にわたる広範囲の汚染をもたらす。ウラン兵器は、その及ぼす被害の範囲が空間的にも時間的も限定できないという意味で、まぎれもない非人道的大量破壊兵器である。ウラン兵器は第一次湾岸戦争で初めて大規模に??米軍側の公式発表でも三〇〇トン以上投入され、続いて、ボスニア、ユーゴスラビアにおいてはNATO軍によって、さらにアフガニスタンでもアメリカによって?して再びイラク戦争ではアメリカとイギリスによって湾岸戦争を上回る量が使用されたと推定されている。劣化ウラン弾は、周知のように、第一次湾岸戦争後ほどなくして、「湾岸戦争症候群」の原因として論争を引き起こした。1996年以降、国連の人権小委員会において、劣化ウラン弾は、「兵士、市民のいずれに対しても大量無差別的被害をもたらす」、現存の国際人道法や人権法と「両立しがたい」非人道的兵器とみなす決議が三度にわたり採択されている。また、コソボ紛争後、ヨーロッパ兵士の間に「バルカン症候群」が発生し、2001年1月には、ヨーロッパ議会が、劣化ウラン弾禁止を求める決議を採択している。さらに今年9月、ベトナムのハノイで開かれた第5回「アセム(=アジア・ヨーロッパ会合)・ピープルズ・フォーラム」で採択された声明においても、核兵器のみならず、劣化ウランや枯葉剤を大量破壊兵器としてみなし、その使用禁止、および被害者に対する救済を要請している。なお、今年一月、ベトナム戦争終結後30年にして初めて、ベトナムの被害者が補償を求めて、アメリカの化学会社三十数社をニューヨークの連邦裁判所に集団提訴している。原爆のみならず、枯葉剤、ウラン兵器による測り知れない被害を思う時、アメリカによる戦争は未だに一つとして終わっていないと言わざるをえない。現在、ウラン兵器を保有する国は、約二十カ国??アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、ギリシャに加え、トルコ、ヨルダン、イスラエル、サウジアラビア、アラブ首長国連合、クウェート、バーレーンなどの中東諸国、さらに、パキスタン、タイ、韓国、台湾などのアジア諸国である。ウラン兵器は、すでに「拡散」してしまっているのである。例えばパレスチナでも、2000年末、インティファーダが再び激しくなった頃、イスラエルによって使用されているとパレスチナ自治政府内務大臣が発言し、問題とされたことがある。また、アメリカの劣化ウラン兵器製造工場や、イギリス・スコットランドやイタリア・サルディニアの射爆場周辺、また韓国の離島・梅香里(メヒャンニ)演習場でも、劣化ウラン弾による汚染被害が以前から取り沙汰されてきている。日本でも、1995年末から翌年の初めに、米軍が射爆場のある沖縄の鳥島で1520発の劣化ウラン弾を「誤射」していたことが、約一年後に発覚して問題となった。[劣化]ウラン弾問題は、焦眉の地球的問題である所以である。ウラン兵器の全面的禁止と被害者支援を求める声が上げられるようになってすでに久しいが、ようやく昨年10月、これらの声をひとつに合わせるため、「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW=International Coalition to Ban Uranium Weapons)が結成された。本部事務局はアムステルダムに置かれ、現在までの参加・賛同団体は、アメリカ・イギリス・日本・ドイツ・オランダ・ベルギー・イタリアなど17カ国66団体にのぼる。先月からは、「国際社会による被害者支援」の規定も含む「ウラン兵器の全面的禁止条約」締結などをめざし、「インターネット国際署名キャンペーン」が開始されている。また、国連総会により、11月6日が「戦争と武力紛争における環境収奪を防止する国際デー」とされていることを踏まえ、この日を「ウラン兵器禁止を求める国際行動デー」として設定し、世界各地での連帯した取り組みを呼びかけている。(以上)※このアピールは、「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」代表の嘉指信雄が起草しました。※このアピールは、2004年10月10日・11日、広島に於いて開催された「WTI(イラク世界民衆法廷)・広島公聴会」で提案され、参加者により承認されました。
DU関連資料, 国際キャンペーン
ウラン兵器の開発、製造、貯蔵、輸送、使用の禁止に関する条約案(原文)
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Draft Convention on the prohibition of development, production, stockpiling, transfer and use of uranium weapons and on their destruction. Draft Convention Prepared by M. Mohr and A. SamselDraft Convention on the prohibition of development, production, stockpiling, transfer and use of uranium weapons…
国内キャンペーン, 国際キャンペーン
[劣化]ウラン兵器禁止を求める緊急ヒロシマ・アピール
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2004年11月6日「ウラン兵器禁止を求める国際行動デー」計画 (起草 嘉指信雄) 2004年10月11日 イラク戦争開始間際の2003年3月2日、広島におよそ6000人の人々が集まり、人文字メッセージ「NO WAR NO DU!(戦争にNO 劣化ウラン弾にNO!)」を作った。そして、その空撮写真を用いた意見広告(3月24日付『ニューヨークタイムズ』掲載)で訴えた。 「ヒロシマはNOと言う これ以上ヒバクシャ(放射能被害者)を出すことに。ホワイトハウスは、劣化ウラン弾の放射性および毒性の影響を否定しているが、これは偽りである」と。 アメリカとイギリスは、イラクによる大量破壊兵器保有を理由にイラク戦争を強行したが、今や、その大義は崩壊した。しかし、今回の戦争でも使用されたウラン兵器がまさに大量破壊兵器であることを見据える時、イラク戦争の「正当性」は、さらに一層深く、根底から覆される。 イラク戦争は、「イラクの自由作戦」の名の下に行われたが、ウラン兵器を使用しての戦争が、人々を解放する「正義の戦争」などと、どうして言えようか。 地球に生命が誕生してから40億年と言われるが、ウラン238の半減期は45億年。まさにウラン兵器の使用は、時の蓄積のたまものである生命の奇跡、生きとし生けるものに対する冒涜であり、後からやってくる世代に対する無責任きわまりない蛮行と言わなければならない。 イラク南部など、湾岸戦争中、アメリカとイギリスによって[劣化]ウラン弾による爆撃が行われた地域では、癌や白血病、先天障害の憂慮すべき増加が報告されている。バスラのジャワード・アル- アリ医師は、今年5月ベルリンで開かれた「IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ヨーロッパ大会」で、次のように訴えていた。 「アブ-グレイブ収容所での虐待が問題になっていますが、イラク国民は、湾岸戦争以降ずっと、劣化ウラン弾によって虐待し続けられているのです」と。 私たちは、こうした胸も張り裂けんばかりの訴えに応え、放射能兵器であるウラン兵器の全面的禁止の一日も早い実現と被害者への支援を求めて、ヒロシマから、日本から、世界中の全ての良心ある人々に向けて改めて訴えたい。 (1)ウラン兵器の使用は、国際刑事裁判所規定の「人道に対する罪」に該当する。ウラン兵器は、非人道的な大量破壊兵器であり、一刻も早く、その製造、使用、売買が全面的・明示的に禁止しなければならない。 (2)兵士のみならず、多くの市民が、とりわけ、放射線の影響を最も受けやすい子どもたちが[劣化]ウランの深刻な被害を受けていると考えられる。被害に苦しんでいる人々・子どもたちに、一刻も早く、救済と援助の手を差し伸べねばならない。 (3)アメリカやイギリスは、今日までに使用したウラン兵器の情報を全面的に開示すべきである。国際社会は、現地の専門家たちと連携しつつ、被害の実態を早急に明らかにし、対応策を立案・実施しなければならない。 **** ウラン兵器、いわゆる[劣化]ウラン兵器は、核燃料サイクルや核兵器の製造過程で排出される放射性[廃棄]物質の軍事利用である。[劣化]ウランは、放射性毒性と化学毒性を持っており、ウラン兵器は環境に、長期にわたる広範囲の汚染をもたらす。ウラン兵器は、その及ぼす被害の範囲が空間的にも時間的も限定できないという意味で、まぎれもない非人道的大量破壊兵器である。 ウラン兵器は第一次湾岸戦争で初めて大規模に??米軍側の公式発表でも三〇〇トン以上投入され、続いて、ボスニア、ユーゴスラビアにおいてはNATO軍によって、さらにアフガニスタンでもアメリカによって?して再びイラク戦争ではアメリカとイギリスによって湾岸戦争を上回る量が使用されたと推定されている。 劣化ウラン弾は、周知のように、第一次湾岸戦争後ほどなくして、「湾岸戦争症候群」の原因として論争を引き起こした。1996年以降、国連の人権小委員会において、劣化ウラン弾は、「兵士、市民のいずれに対しても大量無差別的被害をもたらす」、現存の国際人道法や人権法と「両立しがたい」非人道的兵器とみなす決議が三度にわたり採択されている。また、コソボ紛争後、ヨーロッパ兵士の間に「バルカン症候群」が発生し、2001年1月には、ヨーロッパ議会が、劣化ウラン弾禁止を求める決議を採択している。 さらに今年9月、ベトナムのハノイで開かれた第5回「アセム(=アジア・ヨーロッパ会合)・ピープルズ・フォーラム」で採択された声明においても、核兵器のみならず、劣化ウランや枯葉剤を大量破壊兵器としてみなし、その使用禁止、および被害者に対する救済を要請している。 なお、今年一月、ベトナム戦争終結後30年にして初めて、ベトナムの被害者が補償を求めて、アメリカの化学会社三十数社をニューヨークの連邦裁判所に集団提訴している。原爆のみならず、枯葉剤、ウラン兵器による測り知れない被害を思う時、アメリカによる戦争は未だに一つとして終わっていないと言わざるをえない。 現在、ウラン兵器を保有する国は、約二十カ国??アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、ギリシャに加え、トルコ、ヨルダン、イスラエル、サウジアラビア、アラブ首長国連合、クウェート、バーレーンなどの中東諸国、さらに、パキスタン、タイ、韓国、台湾などのアジア諸国である。ウラン兵器は、すでに「拡散」してしまっているのである。例えばパレスチナでも、2000年末、インティファーダが再び激しくなった頃、イスラエルによって使用されているとパレスチナ自治政府内務大臣が発言し、問題とされたことがある。 また、アメリカの劣化ウラン兵器製造工場や、イギリス・スコットランドやイタリア・サルディニアの射爆場周辺、また韓国の離島・梅香里(メヒャンニ)演習場でも、劣化ウラン弾による汚染被害が以前から取り沙汰されてきている。日本でも、1995年末から翌年の初めに、米軍が射爆場のある沖縄の鳥島で1520発の劣化ウラン弾を「誤射」していたことが、約一年後に発覚して問題となった。[劣化]ウラン弾問題は、焦眉の地球的問題である所以である。 ウラン兵器の全面的禁止と被害者支援を求める声が上げられるようになってすでに久しいが、ようやく昨年10月、これらの声をひとつに合わせるため、「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW=International Coalition to Ban Uranium Weapons)が結成された。本部事務局はアムステルダムに置かれ、現在までの参加・賛同団体は、アメリカ・イギリス・日本・ドイツ・オランダ・ベルギー・イタリアなど17カ国66団体にのぼる。 先月からは、「国際社会による被害者支援」の規定も含む「ウラン兵器の全面的禁止条約」締結などをめざし、「インターネット国際署名キャンペーン」が開始されている。また、国連総会により、11月6日が「戦争と武力紛争における環境収奪を防止する国際デー」とされていることを踏まえ、この日を「ウラン兵器禁止を求める国際行動デー」として設定し、世界各地での連帯した取り組みを呼びかけている。(以上) ※このアピールは、「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」代表の嘉指信雄が起草しました。 ※このアピールは、2004年10月10日・11日、広島に於いて開催された「WTI(イラク世界民衆法廷)・広島公聴会」で提案され、参加者により承認されました。 2004年11月6日「ウラン兵器禁止を求める国際行動デー」計画 (起草 嘉指信雄)2004年10月11日…
DU関連資料, 国際キャンペーン
ウラン兵器の開発、製造、貯蔵、輸送、使用の禁止に関する条約案
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[劣化]ウラン兵器禁止を求める国際キャンペーン始まる! 条約(協定)案 (2004.2.26暫定訳:振津かつみ/ヒバク反対キャンペーン) 2003年12月21日付 M.Mohr及びA.Samselによる提案 ウラン兵器の開発、製造、貯蔵、輸送、使用の禁止に関する条約案 前文 この条約の締約国は、以下を念頭に置いて、本条約の諸条項に合意するものである。地上戦における法と慣例に関するハーグ条約の原則、及び、ジュネーヴ協定とその追加条項、とりわけ戦争行為の影響から一般市民を保護するための国際法の一般原則を想起する。国際法においては、武力紛争に関わる国々が、戦闘行為の方法や手段を選択する権利についての原則は制限されてはおらず、過度の損害や不必要な被害を与えるような性質の武器や戦術が禁じられていることを重要視する。ハーグ条約の第23条の第1項と、毒ガス議定書に基づく有害兵器使用の禁止、ハーグ条約とジュネーブ協定への第一追加議定書に基づく自然環境への広範な危害と正当化できない破壊の禁止、また、サンクトペテルブルグ宣言に含まれる「人道的均整(humanitarian proportionality)」の原則を参照する。ウラン弾の使用は、現行の国際・人権法に反するという国連人権小委員会決議(1996年決議16及び1997年決議36)を確認する。上記の考察と原則に基づき、ウラン兵器の使用は違法であると確信するものである。ウラン弾は、戦闘の行われた地域の全ての人々、つまり罪のない市民、とりわけ子供達にも無差別に健康被害を与える。その結果、傷害を受けた人々や彼らの家族にも長期にわたる治療が必要となる。最近の戦闘におけるこのようなウラン兵器の使用がもたらし被害を終わらせ、苦痛を軽減すべく努力する。軍事紛争におけるウラン兵器の使用が今後は行われないよう、そしてウラン兵器のさらなる開発、拡大、完備を阻止することを堅く決意する。ウラン弾使用による被害者が居住する諸国に対する支援が必要であると確信する。その支援は、国際的レベルでの有効で対等な協力関係に基づき、被害者とその家族の治療のために物的支援及び専門家の派遣を行うとともに、彼らの社会的・経済的状況の回復を達成することによってなされるものである。被害者の保護とリハビリテーションを行うと同時に、汚染地域を明確に表示し、除染を行うことによって、ウラン兵器使用による後障害を避けられることを望むものである。ウラン兵器を地球上から廃絶するためには、ウラン兵器の開発、生産、蓄積、移転、使用を禁止し、それらの兵器の廃棄を定めた条約が必要であると確信する。 第1条 一般的義務 1)各締約国はいかなる状況においても、決して以下のことを行ってはならない。a)直接、間接の如何を問わず、ウラン弾、ウラン装甲板、その他のウラン兵器の、開発、生産あるいは入手、蓄積、保持及び移転。b)相手の如何を問わず、ウラン弾、ウラン装甲板、その他のウラン兵器を使用すること。c)本条約の締約国に禁止されているいかなる行為についても、相手や手段の如何を問わず、それを支援、奨励、誘引すること。d)ウラン兵器の開発と生産に必要な前生産物(pre-products)の入手と配置。e)手段の如何を問わず、劣化ウランの軍事的目的での使用。2)各締約国は、本条約の規定に基づいて、自国が保持・所有する、あるいはその管轄(jurisdiction)・支配(control)下にある、ウラン弾、ウラン装甲板、その他のウラン兵器、あるいはその開発と生産に必要な前生産物を、可及的速やかに、遅くとも当該締約国に対する条約発効の5年後には、廃棄する、あるいは廃棄を確約する。3)全ての締約国は、本条約の規定に基づいて、自国が保持・所有する、あるいはその管轄・支配下にある、いかなるウラン弾、ウラン装甲板、その他のウラン兵器の生産施設をも、可及的速やかに、遅くとも当該締約国に対する条約発効の5年後には、廃棄する、あるいは廃棄を確約する。4)全ての締約国は、ウラン弾やその生産施設の破壊課程で生じた劣化ウランを、安定した化学物質に転換し、安全な最終貯蔵所に保管する。5)全ての締約国は、条約の定める義務の遂行についての報告を作成し、それを国連事務総長及びウラン兵器センターへ送付する。 第2条 定義 1)「ウラン弾」とは、高密度と硬度ゆえに鉄の装甲を貫通するとされているウランの弾芯(anchor)を有する砲弾のことである。2)「ウラン装甲板」とは、硬度を増し、射撃に対する抵抗性を高めるために、劣化ウランを含有させた装甲のことである。3)「ウラン兵器」とは、対象を破壊したり危害を加えたりするための機構であり、その作動(戦闘)形態において劣化ウランが使用されているものである。4)「汚染地域」あるいは「汚染水」とは、ウラン弾が使用されたために汚染された地域と水のことである。5)「除染」とは、ウラン兵器の使用によって生じた、人々の健康に対して否定的な影響を及ぼすような放射線影響と、その他の結果を除去することである。6)「移転(transfer)」とは、ウラン弾あるいはウラン装甲板を、国の領域内で物理的に移動させること、及び、ウラン弾の所有権やウラン弾の管理権の譲渡を含む。7)「前生産物」とは、ウラン弾とウラン兵器の生産様式の如何を問わず、そのあらゆる課程において使用された、化学反応成分のことである。8)「ウラン製造施設」とは、ウラン弾が、開発、生産、あるいは完成されるに至った施設のことである。 第3条 例外 ウランが化学的に安定した化合物として安全に最終貯蔵される保障があるならば、破壊するためにウラン弾やその他のウラン兵器を移転することは許される。劣化ウランの民間利用は禁止される。 第4条 ウラン汚染地域の除染 1)各締約国は、自国の管轄・支配下にある、軍事行動及びその他の理由で汚染された地域を、可及的速やかに、遅くとも当該締約国に対するの条約発効の5年後には、除染する、あるいは除染を確約すること。以前から汚染されている地域の除染は、本条約の付帯議定書によって規定される。2)各締約国は、自国の管轄・支配下おいて、ウラン弾が明らかに使用されたか、あるいは使用された可能性のある地域の全て、特に、戦場、軍事演習場、事故現場などを、明確にし、表示をするよう努めること。3)各締約国は、自国の管轄・支配下おいて、ウラン弾が明らかに使用されたか、あるいは使用された可能性のある地域の全てに居住する人々に対して、危険性を警告し、完全な除染がなされるまでの間、あらゆる支援を行うこと。特に、汚染地域を隔離し、原子・生物・化学チーム(ABC-teams)による予防的手段を講じ、住民に情報を提供し、検診を行うこと。以前に傷害を受けた全ての人々に対する医療については、本条約の付帯議定書によって規定される。4)汚染地域に居住する市民の健康と生命に対し、相当な危険が存在する場合は、締約国は、危険が除去されるまでの間、市民を他の非汚染地域へ移住させるよう努めねばならない。5)汚染地域、特に戦場、軍事演習場、事故現場などに関する情報は、ウラン兵器センターへ報告しなければならない。6)もし、ある締約国が、第1項で指摘された全ての汚染地域を、指定された期間内に除染、あるいは除染を確約することができない場合は、その国は、除染終結期間を10年を限度に延長するための締約国会議、あるいは再検討会議の開催を求めることができる。7)各締約国は、自国の管轄・支配下のウラン汚染地域の除染作業状況について、隔年ごとに報告しなければならない。 第5条 国際協力と支援 1)本条約に基づいて、この義務を遂行するため、適切であると判断される場合には、各締約国は、他の締約国に可能な範囲で支援を求め、それを受けることができる。2)各締約国は、本条約の履行に関する科学技術的情報の交換を促進し、意見交換に参加する権利を有する。3)支援できる条件のある全ての締約国は、福祉事業、医療支援、復興、及びウラン兵器使用による被害者の社会・経済的な差別状態からの回復のための支援を行うこと。ウラン兵器の使用についての説明に関するプログラムを支援すべきである。このような支援は、他の援助とともに、国連や、国際的、地域的、国内的諸組織及び諸機関、また国際及び地域の赤十字社、赤新月社と、それらの国際連盟、非政府組織、あるいは二国間の枠組みで行われるであろう。4)支援できる条件のある全ての締約国は、ウラン汚染地域と水の除染、その他の活動を支援すること。このような支援は、他の援助とともに、国連や、国際的、地域的、国内的諸組織及び諸機関、また国際及び地域の赤十字社、赤新月社と、それらの国際連盟、非政府組織、あるいは二国間の枠組みで行われるであろう。5)締約国は、国連、地域諸組織、他の締約国、他のいかなる政府間及び非政府委員会に対しても、自国の行政当局や国の担当部署が国内除染プログラムを策定するのを支援するように要請することができる。そのプログラムは以下のような項目を含む。a)ウラン弾使用に起因する問題の範囲と規模b)プログラムの遂行に要する財政的、技術的、人的手段c)当該締約国の管轄・支配下にある地域の除染に要すると想定される期間d)ウラン弾使用による被害者への支援、特に治療と非汚染地域への移住e)当該締約国と、プログラム遂行に係わる政府、政府間、及び非政府組織との関係6)各締約国は、ウラン兵器センター及び締約国会議に対して、特に除染の様々な手法や技術、専門家や専門機関、国家担当部門のリストについての情報や報告の提出を促す。7)この条項に基づく支援を供与、あるいは受理する全ての締約国は、策定されたプログラムの完全かつ速やかな遂行を確実に行うべく、協力して作業を進めなければならない。 第6条 協力 1)第5条で概説された、ウラン兵器使用による被害を被った締約国に対する支援は、締約国間の協力によって行われる。2)とりわけ、ウラン弾使用による被害を受けたが、本条約の義務を自力では遂行できないような他の締約国に対して、ある締約国から行われる協力のモデルは、発案計画、資材、人材面での支援をも含む。 第7条 国内実施条例 1)各締約国は、この条約に基づく義務を遂行するために、刑事処罰を課することを含む、全ての適切な法的、行政的、その他の手段を講じること。2)特に各締約国は、領域内のいかなる場所においても、またその他の自国の管轄下のいかなる場所においても、本条約が締約国に対して禁じているいかなる行為をも、人々(natural and legal person)が行うことを、特に禁止しなければならない。3)各締約国は、他の締約国と協力して、第1条に定めた義務の遂行を促すために適切な形での法的支援を供与すること。 第8条 ウラン弾使用に対する支援と防護 ウラン弾の使用、あるいは使用の脅威がある場合には、各締約国は、この使用と使用の脅威に対して、支援、救助、防護を要請し、それを受ける権利がある。 第9条 締約国会議 1)締約国は、定期的に会合を開き、以下の項目を含む、本条約の適用と実施に関するいかなる問題をも十分に検討すること。a)本条約に基づいて提出された報告から生じた問題b)第5、第6条に基づく、国際的協力c)第4条の第6項に基づく、締約国の提案に関する決定d)第1条の第5項、第4条の第7項、第15条の第9項に関する報告の再検討e)第5条の第8項に基づく義務の遂行2)初回締約国会議は、本条約の発効後1年以内に国連事務総長によって招集される。その後の会議は、初回再検討会議までの間、毎年、国連事務総長によって招集される。3)本条約の非締約国を、合意された手続きに基づき、国連、その他の関連国際組織や機関、地域組織、赤十字委員会と関連の非政府組織と同様に、これらの会議にオブサーバーとして招待することができる。 第10条 再検討会議 1)再検討会議は、本条約の発効の4年後に国連事務総長によって招集される。その後の再検討会議は、ひとつ以上の締約国の要請があれば、国連事務総長によって招集されるが、再検討会議の間隔はいかなる場合も3年より短くするべきではない。本条約の全ての締約国は、各再検討会議に出席することができる。2)再検討会議の目的は:a)本条約の運用状況を再検討するb)第9条に述べられている締約国会議の、今後の必要性や間隔について再検討するc)条約の組織的機構とあらたな権限の確立についての議論と決定d)必要であれば、本条約の実施に関する最終結論報告の採択3)本条約の非締約国を、合意された手続きに基づき、国連、その他の関連国際組織や機関、地域組織、赤十字委員会と関連の非政府組織と同様に、これらの再検討会議にオブサーバーとして招待することができる。 第11条 ウラン兵器センター 1)初回締約国会議において、ウラン兵器センターを招集する。このセンターは国連組織内に設立される。2)センターは、制限なくアクセスできる情報のデーターベースを提供する。それらの情報は、センター設立後、遅くとも90日以内に締約国によって提出され、情報を求めている各締約国が使用できるように維持されるべきである。3)国連事務総長との合意の下で、センターは、センターや締約国の要請に応えて助言する資格を有する専門家のリストを提供し、更新すること。国連事務総長は、第14条に基づいて、その専門家のリストから現地調査団のメンバーを指名する。現地調査団に参加する専門家の氏名、国籍、その他の適切なデータを含むリストは、締約国に伝えられねばならない。4)自由に使用できる(disposable)基金の枠組みで、また基金管理部に相談の上で、締約国がプログラムを遂行するための資金配分と支援についての締約国の要請に応え、専門的調査報告を指示することができる。 第12条 基金 1)締約国の初回会議において、自主的な基金を創設すべきである。この基金は国連事務総長が管理運営すること。2)この基金の目的は、ウラン兵器の使用及び被害規模に関する専門的調査報告に資金を提供することである。ウラン汚染地域の除染のためのプログラムは、自由に使用できる基金から出資される。3)各締約国は、初回会議において、自国の自主的寄付金の金額を明らかにしなければならない。 第13条 諸問題の明確化(clarification) 1)もし、ひとつ以上の国から、他国による本条約の規定の遵守に関する諸問題の明確化と解決の要望が出された場合には、国連事務総長を通じて、その締約国に対し、問題明確化のための要請を行うことができる。そのような要請は、あらゆる適切な情報とともになされるべきである。問題明確化のための要請を受けた締約国は、国連事務総長を通じ、要望を出した締約国に対して、4週間以内に、この問題を明らかにするのに役立つ全ての情報を提供すること。2)もし要望を出した締約国が、国連事務総長を通じて、この期限内に何ら返答を得ることがない場合には、あるいは明確化のための要請が成功していないと考える場合には、その国は、国連事務総長を通じて次回の締約国会議にこの問題を提案することができる。これらについての全ての情報は、要請を受けた国に対してもなされ、その国は返答の権利を有するものとする。3)締約国会議の間に、当該のいずれの締約国も、国連事務総長に対し、問題の明確化を促すための調停を図るように要請することができる。 第14条 現地調査団 1)もし締約国会議での問題の明確化が不可能な場合には、締約国会議は現地調査団に権限を与え、締約国の多数決により委任を決議すること。2)要請を受けた締約国は、自国領内、あるいは自国が管轄・支配するその他のいずれの地域へも、現地調査団が入れるよう通行を保証する義務がある。3)調査団には9名の専門家が指名され権限を与えられる。国連事務総長は、要請を出した締約国に相談の上、現地調査団メンバーと事務官(administrator、訳者:この場合は団長か?)を指名すること。調査団の要請を出している締約国の国籍を有する者や、それらの国々と直接的な結びつきのある者は、調査団には指名することができない。4)国連事務総長は、第11条の第3項に定めるリストから専門家を指名すべきである。締約国が、ある専門家を受け入れられないことを文書で表明した場合には、その専門家は、拒否を表明している締約国の領内、あるいはその国が管轄・支配するその他のいずれの地域への現地調査団へも参加するべきではない。5)現地調査団のメンバーは、通知を受けてから遅くとも48時間以内に、可及的速やかに、要請を受けた締約国の領内に到着すること。6)現地調査団のメンバーは、1946年2月13日に採択された国連の特権と免除に関する条約(the…