皆様
すでに速報でお知らせしましたように、12月5日午後(現地時間)、国連総会で「劣化ウランを含む兵器・砲弾の使用の影響に関する決議」が、賛成多数で採択されました。投票の内容は、賛成136、反対5(米国、英国、イスラエル、チェコ、オランダ)、棄権36、欠席(無投票)15でした。(下記のリストをご参照下さい。)
この決議を受けて、国連憲章と国際人道法に基づき、「DU兵器使用が人体や環境に及ぼす潜在的に有害な影響を考慮」し、(1)国連事務総長の名において、 国連加盟国と国連関連機関に対し、DU兵器の影響に関する意見の提出を求め、来年の国連総会でその報告を提出すること、そして、(2)来年の国連総会の正 式な議題にDU兵器問題を含めることが要請されます。私たち「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)としても、この決議を歓迎し、「対人地雷」 「クラスター爆弾」に引続き、国際的にウラン兵器禁止の議論を前進させるための大きなステップにしてゆきたいと考えています。
11月の第一委員会での投票の際には反対票を投じたフランスが、今回の総会での投票では「無投票」に転じました。(詳細な背景はまだわかりませんが、フランスの代表は、この決議の投票の場にはおり、この日の午後に行われた他の決議の投票には、全て参加していたとのことです。)前回、棄権したいくつかのNATO加盟国は、国内でのICBUW賛同団体の働きかけにもかかわらず、残念ながら今回も棄権のままでした。
第一委員会での投票には欠席していた非同盟運動(NAM)加盟国のうち9カ国と、NAM加盟国ではない2カ国が、今回は投票に参加し、賛成票を投じました。特に、セルビア(第一委員会では棄権)とボスニア・ヘルツェゴヴィナ(前回は欠席)は、いずれもNAM加盟国ではありませんが、今回賛成票を投じました。ウラン兵器の被害国として、この問題への関心を改めて示したものとして注目されます。
他に、前回は欠席で今回は棄権した国(いずれもNAM以外の国で3カ国)、また、今回の投票には事情があって参加できなかったNAMの国(2カ国)がありました。なお、記録上は、前回、棄権票を投じたカンボジア(NAM)は、第一委員会での投票後、「賛成票を投じるつもりだったが、誤って棄権票を投じてしまった」ことを正式に表明し、今回は、賛成票を投じています。
投票の数日前に、オランダ国会では「賛成票を投じるように」との決議が出されていたのですが、オランダ政府は、前文の「潜在的に有害な影響(potentialharmful effects)を考慮に入れつつ」という文言に難色を示し、結果的には反対の態度を変えませんでした。しかし、総会での決議採択の後、次のように発言しています—ウラン兵器の問題についての調査の必要性を認識しており、国連がこの問題に関心を示したことに感謝する。また、WHOなどの国際機関による科学的調査では、決議で言及されている「潜在的に有害な影響」を支持するような確定的結論は出されていないが、オランダ政府としては、この問題についての現在進行中及び今後の調査を注視し、採択された同決議に従って報告される他の国連加盟国や国際機関の見解を注意深く検討したい、と。
いずれにしましても、国連総会において劣化ウラン決議に関する決議が採択されたのは今回が初めてです。しかも圧倒的賛成による採択です。劣化ウラン問題への、より積極的な取り組みの実現のため、今後も皆さんとともに、国際社会や日本政府への働きかけを、さらに強めてゆきたいと思いますので、ご支援とご協力をよろしくお願い致します。
ICBUW運営委員
嘉指信雄
森瀧春子
振津かつみ
国連総会での各国の投票結果:
賛成:
Afghanistan, Algeria, Antigua and Barbuda, Argentina, Armenia, Austria, Azerbaijan, Bahamas, Bahrain, Bangladesh, Barbados, Belarus, Belize, Benin, Bhutan, Bolivia, Bosnia and Herzegovina, Botswana, Brazil, Brunei Darussalam, Burkina Faso, Burundi, Cambodia, Cameroon, Cape Verde, Central African Republic, Chile, Colombia, Comoros, Congo, Costa Rica, Côte d’Ivoire, Cuba, Cyprus, Democratic People’s Republic of Korea, Djibouti, Dominican Republic, Ecuador, Egypt, El Salvador, Eritrea, Ethiopia, Fiji, Gabon, Gambia, Germany, Ghana, Grenada, Guatemala, Guinea, Guinea-Bissau, Guyana, Haiti, Honduras, India, Indonesia, Iran, Iraq, Ireland, Italy, Jamaica, Japan, Jordan, Kenya, Kuwait, Lao People’s Democratic Republic, Lebanon, Lesotho, Liberia, Libya, Liechtenstein, Madagascar, Malawi, Malaysia, Maldives, Mali, Marshall Islands, Mauritania, Mauritius, Mexico, Mongolia, Montenegro, Morocco, Mozambique, Myanmar, Namibia, Nauru, Nepal, New Zealand, Nicaragua, Niger, Nigeria, Oman, Pakistan, Panama, Papua New Guinea, Paraguay, Peru, Philippines, Qatar, Rwanda, Saint Kitts and Nevis, Saint Lucia, Saint Vincent and the Grenadines, Samoa, San Marino, Sao Tome and Principe, Saudi Arabia, Senegal, Serbia, Sierra Leone, Singapore, Solomon Islands, Somalia, South Africa, Sri Lanka, Sudan, Suriname, Swaziland, Switzerland, Syria, Thailand, Togo, Tonga, Trinidad and Tobago, Tunisia, Turkmenistan, United Arab Emirates, United Republic of Tanzania, Uruguay, Uzbekistan, Venezuela, Viet Nam, Yemen, Zambia, Zimbabwe.
反対:
Czech Republic, Israel, Netherlands, United Kingdom, United States.
棄権:
Albania, Andorra, Australia, Belgium, Bulgaria, Canada, Croatia, Denmark, Estonia, Finland, Georgia, Greece, Hungary, Iceland, Kazakhstan, Latvia, Lithuania, Luxembourg, Malta, Micronesia (Federated States of), Moldova, Norway, Palau, Poland, Portugal, Republic of Korea, Romania, Russian Federation, Slovakia, Slovenia, Spain, Sweden, Tajikistan, The former Yugoslav Republic of Macedonia, Turkey, Ukraine.
欠席:
Angola, Chad, China, Democratic Republic of the Congo, Dominica, Equatorial Guinea, France, Kiribati, Kyrgyzstan, Monaco, Seychelles, Timor-Leste, Tuvalu, Uganda, Vanuatu.