ウラン兵器禁止ニューヨーク・アピール

2007年10月29日

皆様

10月2-3日、ニューヨークで「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)の第4回国際大会が開催(「NGO軍縮委員会」協賛)されました。国連 本部の真向かいにあるUNチャーチセンター内の会場には、約80名(部分参加、報告者、ICBUWスタッフを含む)が参加し、内容の深い報告と活発な議論 が行われました。

開催国の米国内からの参加者が多く、湾岸戦争・イラク戦争帰還兵、ウラン兵器製造工場周辺の住民、各地でウラン兵器反対に取組む活動家、被害調査・被害者支援に取組む科学者・医師、法律家、軍縮・平和活動家などが参加しました。また、英国、ベルギー、ドイツ、アイルランド、スウェーデン、カナダ、コスタリカ、ニュージーランド、日本など、各国からも、ウラン兵器禁止に取組む仲間が参加しました。今回はビザの関係もあり、ウラン兵器の攻撃を受けた国々から直接に参加してもらうことはできませんでしたが、イラクのバスラのアルアリ医師が連帯のメッセージをよせて下さいました。また会場では、日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-Net)の皆さんの協力で、白血病や癌と闘うイラクの子どもたちの絵(写真とメッセージ入りのポスター)の展示も行なわれ、大会冒頭にはJIM-Netの佐藤真紀さんから、イラク医療支援の現状について報告がなされました。そしてレセプションでは、豊田直巳さんの写真のスライドショーも行われ、戦争とウラン兵器の被害を受けた国々からの強いメッセージも伝えられました。{flickrbadge?id=15317727@N03&set=72157602632720513&size=m&count=3;}

ウラン兵器を最も大量に製造・所有し使用し続けている米国内で開催されたこともあり、帰還兵のみならず、兵器の製造過程で一般の人々の住環境が劣化ウランで汚染され、知らされないままに人々が被曝させられてきた深刻な実態を、改めて認識させられるものとなりました。帰還兵の汚染調査と健康登録の州条例を求める運動も、各州で前進していることが報告されました。今回の大会は、米国内での被害者や活動家を結ぶ、ICBUWのネットワーク作りの第一歩ともなりました。

国際的な取組みとしては、ベルギー議会での「ウラン兵器禁止法」採択の報告を受け、その成果を各国に拡げ「非ウラン兵器地帯」の設置を呼びかけようとの提案がなされ、各国でのウラン兵器禁止の運動を強め、国際的なネットワークを拡げてゆくことの重要性も指摘されました。今後の、禁止条約を求める取組みについては、地雷やクラスター爆弾禁止の国際的キャンペーンの前進に引き続き、様々なルートを通じて国際的働きかけを強めることが議論されました。また、具体的な行動提起として、11月の国際共同行動デーの取組み(ウラン兵器製造企業へ投資している各国の金融機関への抗議など)が提案されました。また、議論の中で米国の参加者から、日本の「憲法9条改悪」の動きへの懸念も出され、ウラン兵器を使用するような戦争そのものを起こさない国際社会を作るという、グルーバルな意味でも「憲法9条」を守ることの重要性も指摘されました。

大会最後には「ウラン兵器禁止ニューヨーク・アピール」が発表されました(下記日本語訳、ご参照下さい)。大会後のロビー活動では、このアピールを各国の国連代表に手渡し、大会参加者の思いを伝えました。

日本から遠いところをニューヨークまで参加して下さった皆さん、大会開催にあたって準備段階からいろいろと支えて下さった皆さん、ほんとうにありがとうございました。特に、ピースボートのニューヨーク事務所(UNチャーチセンター内)のスタッフの方々には大変お世話になりました。心から御礼申し上げます。

今回の大会での成果、その後のロビー活動の成果などもふまえ、さらにウラン兵器禁止の国内外での取組みを、皆さんとともに前進させたいと思います。今後ともどうぞよろしくご協力お願いいたします。

尚、大会の各セッションでの報告と議論の詳細については、別途報告させて頂きます。

大会プログラムはこちらをご参照下さい

ICBUW運営委員:

嘉指信雄/NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表

振津かつみ/ヒバク反対キャンペーン・DU担当

森瀧春子/NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長

 

ウラン兵器禁止ニューヨーク・アピール─第4回ICBUW国際大会─

2007年10月3日

私達は、被害者とともに、ウラン兵器の全面禁止を求めるために、全世界からニューヨークに集まりました。ここニューヨークで私達が大会を開催したのは、米国が、世界中でも率先して、ウラン兵器を製造・保有・販売・使用している国だからです。また、ここで国連総会が開催されており、国連が、第一委員会でもまた、ウラン兵器の問題に取組むように動き出すべきだと考えたからです。この大会は、米国内でのウラン兵器禁止連合を作り上げるための第一歩ともなりました。

今年3月、ベルギーは世界で初めて、国内でのウラン兵器の製造・使用・貯蔵・販売・取得・供給・移送の禁止を採択しました。私達は、世界の国々に呼びかけます。ベルギーの例に続き、それぞれの国の領内で、ウラン兵器を禁止するように。そして世界中の国々や都市に、「非ウラン兵器地帯」を設置するよう呼びかけます。その目標のため、ウラン兵器を憂慮する様々なグループに呼びかけます。それぞれの国での(ウラン兵器禁止)国内連合を強め、ICBUWとともに国際的なネットワークを作り上げ、発展させてゆきましょう。

私達はニューヨークの大会で、ウラン兵器の被害者、科学者、法律家、活動家の訴えに耳を傾けました。ウラン採掘場から戦場に至るまで、ウランは人々の健康を蝕み命を奪い、環境を汚染し、死をもたらします。そして、本大会のタイトルにも示されているように、世界に、より多くの危険をもたらしているのです。低線量であれば放射線は人々の健康に害は無いという軍や核関連産業の主張に対して、私たちは強く異議を唱えなければなりません。低線量被曝の影響については、アメリカ国立科学院のBEIR-VII報告(「電離放射線の生物影響」第7報告―低線量電離放射線被曝による健康リスク)でも明らかにされています。

私たちは、あらゆる分野の科学者に呼びかけます。ウランの化学的毒性と放射性毒性の危険性を明らかにしてください。なぜなら、エアロゾール状になったウランは、独特の性質を持ち、人々の健康や環境に大変有害だからです。

私たちは、アメリカやイギリスの軍隊が、イラク・バルカンで、ウラン兵器を大量に使用したことを、強く非難します。またICBUWは、アフガニスタンでもウラン兵器が大量に使用された可能性があることを深く憂慮しています。

さらに、私たちは全ての国々に呼びかけます。いつ、いかなるところでも、ウラン兵器が使われるような軍事行動には決して加担しないように。

私たちは、世界の、とりわけアメリカとイギリスのマスコミの人々に呼びかけます。ウラン兵器問題を、とりわけ、ウラン兵器が健康と環境に影響を与える違法な兵器であるということを、調査・取材してください。マスコミは本当に急いで、人々にウラン兵器の問題を知らせ、世界のウラン兵器廃絶運動のことを知らせなければなりません。

ウラン兵器の使用は、国際人道法・人権法、環境保護法に反するものです。国連人権小委員会は、環境及び人々の健康と生命に長期にわたる影響をもたらし、戦闘終結後も市民に対して危害を与える、「無差別殺傷兵器」として、核兵器・化学兵器・クラスター爆弾などと並んで、ウラン兵器を非難する決議を採択しました。さらに、ウラン兵器使用によって生じる毒性のある、放射性の金属の粉塵は、国境を越えて拡散し、制御することができないことからも、(国際)法に反するものです。

私達は、これまでの国際法や決議および説得力のある科学的研究にもとづき、予防原則を固く支持します。そして完全で永久的な禁止を実現するために、あらゆる法的手段を駆使するつもりです。

ICBUWは、「地雷廃絶国際キャンペーン」(ICBL)と「クラスター爆弾連合」(CMC)が進んできた、成功への歩みに引き続き、全ての通常兵器システムにおいてウラン兵器を禁止する明確な条約の締結を求めます。そして、全ての無差別殺傷兵器の禁止を求めます。地雷やクラスター爆弾の禁止に続くステップとして、ウラン兵器禁止条約の締結を求める私達のキャンペーンを推し進めることは、当然のことです。

ここで、私たちが支持しているICBUWの声明を読み上げます。

1)ウランおよびその他の放射性物質の軍事利用を直ちに全面的に禁止すること

2)これらの兵器による汚染地域の除染および全ての被害者への補償

3)ウラン兵器の製造、実験、販売、貯蔵、輸送、輸出の中止および、現存する全てのウラン兵器の廃棄

4)ウラン被曝による被害者への速やかな医学的アセスメント・治療・長期的モニタリング

5)今までに使用したウラン兵器の量と汚染地域に関する情報の完全開示

6)被災した国・地域に関する医学的・環境学的調査を独立して行うために必要な資金援助

7)ウラン兵器を使う国の政府との同盟に基づいた軍隊の撤収

8)「ウラン兵器禁止条約」の締結

私たちICBUWは世界の皆さんに呼びかけます。

国際署名に加わってください。

11月6日に行われるウラン兵器禁止のための国際行動に参加してください。

同時に呼びかけます。

みんなの地球、そしてみんなの未来を化学的汚染や放射能汚染から守るために、

どうか私たちのキャンペーンを支持してください。

今こそ立ち上がろうではありませんか!