劣化ウラン弾:国連委、禁止決議を初採択へ
【ニューヨーク小倉孝保】インドネシアなど非同盟諸国が国連総会第1委員会(軍縮・安全保障)に、劣化ウランを含む武器・弾薬の使用禁止を求める 決議案を提出したことがわかった。劣化ウラン武器についてはフセイン政権時代のイラクが、加盟国から意見を聴くよう求める決議案を提出したが、使用禁止要 求決議案は初めて。委員会で11月1日に採択される見通しで、劣化ウラン弾使用に対する国際的な批判の高まりを象徴するとして注目される。
決議案は、劣化ウランを含有する武器の使用が人間の健康や環境に潜在的な危害を及ぼすことを踏まえ、(1)国連事務総長に対し加盟国と関係国際機 関から劣化ウラン武器に関する意見を聴取、総会に報告するよう求める(2)劣化ウランを含む武器・弾薬の人体や環境に及ぼす影響に関する研究結果が出るま で、加盟国にそうした武器・弾薬の使用を禁止するよう求める(3)次期総会の暫定協議事項に、劣化ウランを含む武器・弾薬の使用に関する協議を加える-- ことを盛り込んだ。
劣化ウランを含む武器・弾薬について、イラクが01、02年、事務総長に加盟国からの意見を聴取し、報告するよう求める決議案を提出したが、01 年は委員会で採択されたものの総会で否決。02年には委員会で否決された。当時のフセイン政権は国際的に孤立しており支持を集められなかった。
今回の決議案は、使用中止を明確に求めているのが特徴。また、非同盟諸国としての提出であり、すでに110カ国以上が賛成の意向を示しているとい い、委員会採択は間違いないとみられる。劣化ウラン弾を使用し続ける米国などが反対するのは確実だが、決議案が委員会で採択された場合、11月下旬から開 かれる総会に諮られる。国際世論の高まりから劣化ウラン弾禁止への一歩になる可能性もある。
毎日新聞 2007年11月1日 2時30分 (最終更新時間 11月1日 9時15分)