劣化ウラン兵器:「禁止」削除し調査要求 国連委が採択、総会決議確実

劣化ウラン兵器:「禁止」削除し調査要求 国連委が採択、総会決議確実

【ニューヨーク小倉孝保】国連総会第1委員会(軍縮・安全保障)は1日、劣化ウラン兵器の影響調査を求める決議案を賛成多数で採択した。提案した非同盟諸国は当初、決議案に同兵器の使用禁止条項を含めていたが、採択直前に削除した。欧米の圧力があったとされ、同兵器の使用制限に根強い反発があることを証明した。ただ、決議案が今月後半からの総会で採択されるのはほぼ確実となり、劣化ウラン問題は初めて国連の場で動き出すことになる。

決議案は、劣化ウランを含有する武器・弾薬の使用が健康や環境に潜在的に有害な影響を及ぼすことを考慮し、(1)国連事務総長に加盟国と関係国際機関から意見を聴取し、総会に報告するよう要求する(2)次期総会の暫定協議事項に使用に関する協議を含める--との内容。非同盟諸国や日本など122カ国が支持。米英仏やイスラエルなど6カ国は反対し、ロシアなど35カ国は棄権した。

「人体や環境に及ぼす影響に関する研究結果が出るまで、加盟国に劣化ウランを含有する武器・弾薬の使用を禁止するよう求める」との条項は、採択前に非同盟諸国が削除した。 決議案の採決を前に、米国代表は「劣化ウラン弾の影響調査は米国防総省や北大西洋条約機構(NATO)がすでに行っている」と主張した。しかし、NATO内でもドイツやイタリアは決議案を支持した。

非同盟諸国外交筋によると、欧米の一部から「使用禁止条項」の削除を要求された。欧米の反対によって総会で否決されることを危惧(きぐ)し、妥協に応じたという。 劣化ウラン兵器に関しては、01、02年にイラクから国連事務総長に調査を要求する決議案が提出された。01年は委員会で採択されたが、総会で否決。02年には委員会で否決されている。

毎日新聞 2007年11月2日 東京夕刊

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