国連第一委員会/劣化ウラン兵器使用の情報公開請求を含む「新決議案」議論 (10.21)

国連第一委員会/劣化ウラン兵器使用の情報公開請求を含む「新決議案」議論
2010年10月21日
10月4日からニューヨークで国連総会第一委員会(軍縮関連)が始まりました。ご存知のとおり、今回の総会では、新たな「劣化ウラン兵器決議」が議論されています。「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)から、アメリカ、イギリス、ドイツ、ベルギー、オランダ、コスタリカ、日本の運営委員を中心にとしたメンバーがニューヨークで10月4日から二週間、各国政府代表や関連機関へのロビー活動を展開しました。日本の運営委員からは、振津がロビー活動に参加しました。(現地での詳細な活動報告は、別途まとめたいと考えています。)
私たちのニューヨーク滞在中、10月13日には新たな「劣化ウラン兵器」決議案が第一委員会に提出されました。同決議案は、これまでの二回の決議案(2007、2008年)と同じく「非同盟運動」(NAM)諸国全体の一致した案として、NAMを代表してインドネシアによって提出されました(下記暫定訳参照)。
これまでの国連決議は、劣化ウラン兵器使用の「潜在的に有害な影響を考慮」し、国連加盟国と関連国際機関に同兵器使用の影響についての見解を国連事務総長に提出することを求める等の内容でしたが、今回の決議案では、それらに加えて、すでに同兵器を戦闘で使用した国に対して、使用地域と使用量をできる限り詳細に、影響を受けた国の政府に対して報告するように求めるなど、前決議からさらに前進した内容が盛り込まれています(主文第6項)。このことは、米軍が2003年のイラク戦争などで使用した劣化ウラン兵器の使用地域・量を、未だに一切明らかにしていない現状に対し、情報を公開させ、被害調査や被害者支援を進めるためにも重要です。
ICBUWとしては、1)予防原則に基づき劣化ウラン兵器使用をやめること、 2)汚染サイトの評価・管理を促すために、同兵器を使用した国は使用場所・量を全て明らかにすること、 3)同兵器による被害者のケア、汚染除去・危険性軽減のための技術的・経済的相互支援を行うこと、 4)同兵器禁止に向けた国際的諸方策の可能性を検討すること、などを含む新たな決議案を実現させることをめざして、これまで国際キャンペーン、ロビー活動を行ってきました。そして、ニューヨークでは、新たな決議案を作成していたNAM諸国とも議論をしました。劣化ウラン兵器所有国も含むNAMの統一を守りつつ、NATO諸国等の動きにも配慮しながら作成された案文には、「使用の凍結(モラトリアム)」などが含まれるところまでは、残念ながら至りませんでした。しかし「使用地域・量などの情報公開」が盛り込まれたことは、今年ICBUW調査団が行ったバルカン諸国調査や、イラクのバスラでの疫学調査支援などの活動をもとに、具体的に「情報公開」の重要性を、国際的にも国内的にも訴え続けた私たちNGOの活動の成果だと思います。
同決議案は、10月26日〜11月1日に第一委員会での採決がなされる予定です。新たな内容が加わった「決議案」を、前回よりもさらに多くの国々の賛成票で可決させることが重要です。ニューヨークでのICBUWのロビー活動では、これまでに賛成票を投じた国々には新たな内容が盛り込まれた決議案に引続き賛成するよう、また前回棄権票を投じた国々には今回はぜひ賛成票を投じるようにと、働きかけを行いました。
今回のICBUWのロビー活動には、オブザーバーとして「日本イラク医療支援ネットワーク」(JIM-NET)の望田さんが、イラクでガン・白血病で闘病中の子どもたちが描いてくれた絵柄の容器に入った「特製チョコレート」を持って参加してくれました。また「1000 PEACE」の皆さんが託して下さったキルト(イラクの子どもたちの絵柄の刺繍を中央にして、多くの皆さんメッセージを縫い込んだもの)も、ロビー活動の合間に拡げて紹介しました。イラクの被害地域の子どもたちの現状を訴え、多くの方々の思いや支援NGOの活動を紹介しながら、同兵器の禁止を訴えられたことは、今回のロビー活動の大きな力になったと思います。思いを託して下さった皆さん、ありがとうございました。
ICBUWは現在、各国で、それぞれの政府に対し賛成票を投じるように働きかけを強めようと呼びかけています。<www.bandepleteduranium.org/en/a/343.html&gt;
日本政府はこれまでの二回の決議では賛成票を投じていますが、新たな内容が盛り込まれた今回の決議案にも引続き賛成するよう、来週早々に外務省を訪問し、改めて強く要請したいと思います。
今後ともご支援の程、どうぞよろしくお願い致します。
「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW運営委員):
嘉指信雄、森瀧春子、振津かつみ
*外務省訪問時には、また皆さんからの「一言メッセージ」(国連「新決議案」に引続き賛成するように…など)も届けたいと思いますので、ぜひお寄せ下さい![至急!メイルかファックスで、下記まで]
ファックス: 0798-44-2614 (担当:振津)
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