裁判で闘い続ける韓国の写真家・李時雨(イ・シウ)氏(国家保安法違反嫌疑など)

2009年7月20日、福岡の緒方貴穂さんからのアピールです。


[転送転載歓迎、重複ご容赦ください]
皆様

韓国の写真家、李時雨(イ・シウ)氏の裁判情報です。
日本の写真家の方々へのお願いにも言及していますので、
ご協力していただける方は、よろしくお願い致します。

李時雨氏の裁判は、現在2つ行われています。
ひとつは、2007年4月の逮捕(国家保安法違反等の嫌疑)に関するもので、
一審・二審とも李時雨氏側の無罪。現在最高裁(大法院)で係争中です。

もうひとつは、上記逮捕に関連して、
李時雨氏のフィルムが毀損されたこと対する損害賠償請求訴訟で、
原告は李時雨氏、被告は大韓民国。
去る7月8日(水)14:30より、ソウル地方法院で第7回口頭弁論が開かれ、
傍聴しましたのでご報告します。

ソウル地方法院460号法廷。
傍聴席は40席ありましたが、傍聴者は7名ほど。
裁判官1名、双方の弁護士各1名と李時雨氏。
そして、証人席に警察(被告側)が1名着席し、尋問が進められました。
(私は韓国語が分かりませんので、
裁判終了後に李氏と通訳の知人に内容を伺いました。)

警察は、元々フィルムが保管されていた李氏の作業室の保存状態の悪さを強調し、
フィルムを押収し、証拠資料にする過程での毀損を否定。
他方、李時雨氏側は、警察が証拠資料作成のためにフィルムをスキャンする過程で、
多大な毀損が生じたと主張。
李時雨氏によれば、警察は「ドラム・スキャン」という方法でフィルムから証拠資料を作成。
この方法は解像度は高いが、フィルムに化学薬品(ジェル)を付けるので扱いが難しいとのこと。
にもかかわらず、警察は同じフィルムを何度もドラム・スキャンしたそうです。
警察に没収されたフィルムは、40,000カット。
そのうち、毀損したフィルムは、9,000カット。
主としてDMZや韓・日・独の米軍基地のフィルムとのことです。

尋問は40分ほどで終わり、
次回裁判(8月上旬)で鑑定人が採用される予定。
鑑定人による毀損の鑑定がこの裁判のカギであり、
年内にも判決が出されるのではないかとのことでした。
李時雨氏の印象では、
裁判官は李氏の主張に対して否定的で、
このままでは良い判決は期待できないようです。

なお、日本のフォト・ジャーナリスト、豊田直巳氏が
李時雨氏のために裁判官宛の要請書を書いてくださったので、
この日に提出させていただきました。
李氏も大変感謝されていました。

また、李時雨氏より日本の写真家の方々へのお願いとして、
豊田氏のように、裁判官宛の要請書を書いてくださるとありがたいとのことです。
個人・団体を問いません。
要請文の内容は、フィルム原本が写真家にとっていかに重要であるか等で、
日本語で構いません。
李氏の支援者がハングルに翻訳し、原文と一緒に裁判所に提出させていただきます。
要請書を書いてくださる方には、それに関する李時雨氏からのメールを
転送しますので、 私(緒方)までメールをください。
特に、フィルム毀損に対する損害賠償の判例について
ご存知の方がおられましたら、教えていただけると大変助かります。

ご質問等ありましたら、お気軽にお寄せください。
取り急ぎ、ご報告とお願いまで

2009年7月19日
緒方貴穂 oga1@dream.ocn.ne.jp