第4回「劣化ウラン兵器禁止を考える勉強会」(2011年2月8日)

2011年2月8日、参議院議員会館にて第四回「劣化ウラン兵器禁止を考える勉強会」が開催されました。今回は、「日本イラク医療支援ネットワーク」(JIM-NET)事務局長の佐藤真紀が、「クウェートは劣化ウランにどう取り組んでいるか」の報告と、「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)の振津かつみが、「新たな『劣化ウラン兵器国連決議』の意義と日本の役割」についての報告を行いました。国会議員及び秘書を含め28名が参加し、政党も、民主、国民新党、社民、共産をはじめ、前与党の自民、公明からも参加があり関心の高い事が窺われました。JIM-NETがまとめた「クウェートは劣化ウランにどう取り組んでいるのか」は、以下のサイトからダウンロードが可能です。   www.jim-net.net

佐藤がクウェートの調査を終えて、強調したのは、1)湾岸戦争から20年たち、イラクとクェートがようやく政治的に和解しつつある。しかし、当時使用された劣化ウランの影響が未だに環境問題としてクウェートでは取り上げられている。2)環境NGOが主体となり、政府に情報公開を迫り、また、アメリカに汚染土を引き取らせるなど、重要な役割を担っている。3)政治的な枠組みを取り払って、被害国であるイラクとクウェートがともに声をあげるべきであり、日本政府は、そういった枠組みをサポートすべき。

また、振津からは、昨年12月8日に国連総会で、前回(2008年)を上回る賛成票で採択された「劣化ウラン兵器国連決議」について解説しました。今回の決議は、ウラン兵器を戦闘で使用した国は、被害を受けた国の要請に応じ、使用地域と使用量の詳細を報告するように求めるなど、前回よりも踏み込んだ内容になっています。国会議員に、劣化ウラン兵器の環境と、人々への健康の危険性と非人道性を理解し、禁止に向けた具体的な動きを国政の場でも作っていくように訴えました。
国会議員からは、以下のような質問が出ましたーー「政治家になる前に総理秘書官をしていた。アメリカからは危険性を認めるコメントを取る事が出来ないなか、海外で実際に被害が起きている問題もあるし、日本の自衛隊がどう扱うのかという問題もあり、心を痛めていた。政府を離れ野党となったので、多くの人たちが理解できるように厳しく追求していきたい。日本がリーダーシップを取っていくべきだと決意表明したい」小野次郎(みんなの党)
「DUの話は政治的だ。91年から93年クウェート内のイラク国境に近いアブダリなどに戦車がならべて戦利品として展示した。外国人も観光に多く訪れている。クウェートは、アメリカと同じく、劣化ウランの危険性を否定していた。クウェート政府にも責任があると思うが、そのあたり国内でとわれているのだろうか?」大野もとひろ(民主党)ーーー「2001年ごろ環境NGOが活動を活発化してきた。クウェート政府と対立しており、裁判にもなっている。政府は政治的にしか動けないが、こういったNGOが、市民を守る上で重要な役割を担っていること。裁判の行く末など、また調べて報告したい」佐藤真紀
「国内法で禁止している国があるとのこと中身はどうなのか」服部良一(社民党)ーーー「ベルギーは2009年に禁止法が発効。NATOの問題もあるが、世界で初めて毒ガス兵器が使われた国として非人道兵器禁止の意思が強く、地雷、クラスター爆弾も世界に先駆けて国内禁止法を制定した。コスタリカは、今月中にも禁止法が可決しそうだと聞いている。アイルランド、ニュージーランドでも国会での議論がなされている。劣化ウラン兵器を所有していない国で、禁止法を制定しようという積極的な動きがあることの意義は大きいと考えている。次回(3月)の学習会で、各国の動きを国会図書館の調査員から報告していただく予定。」振津
「予防原則から禁止すべきというが、因果関係に関しての研究はされているか」井上哲士(共産)ーーー「現在信州大学にイラクから医師が留学し、遺伝子解析の研究をされている。イラクとヨルダンの小児白血病患者の血液サンプルを採取し、解析中。何かわかるかもしれない」佐藤ーーー「遺伝子解析で因果関係を解明するのは難しいと私は考えている。バスラの医者達のガン登録制度確立の支援を行ってきたが、環境汚染の実態も調べなければいけない。環境科学の専門家にも協力を求めたい。疫学調査の結果が出るのは広島の例をみても、10年―20年、あるいはもっとかかるかもしれない。それまで待っているわけにはゆかない。禁止に向けた政治家の決断がもとめられる。」振津

 

第4回「劣化ウラン兵器禁止を考える議員勉強会」