4月27日、コスタリカ議会で「ウラン兵器禁止法」が可決されました。コスタリカ領土内における、いわゆる劣化ウラン兵器の使用、製造、移送、売買、貯蔵を禁ずる国内法です。(手続きとしては、この後、大統領の署名が必要ですが、ほぼ確実と見られています。) 劣化ウラン兵器禁止法は、世界に先駆けてベルギーが2007年3月に可決(2009年6月に発効)していますが、今回のコスタリカでの禁止法可決は、ベルギーに続くものです。同様の法案は、ニュージーランドやアイルランドでも検討されており、国際的な劣化ウラン兵器禁止へ向けた動きが加速化されることが期待されます。
*** コスタリカでの劣化ウラン兵器禁止法に向けた取り組みは、アメリカの活動家のダマシオ・ロペスさんとイラク戦争帰還兵のハーバート・リードさんが、2007年3月、コスタリカを訪れ、アリエス大統領(ノーベル平和賞受賞者)などの政治家や現地の平和活動家などに会い、劣化ウラン兵器禁止の必要性を訴えたことから始まりました。ロペスさんとリードさんは、2006年8月のICBUW広島大会に参加して親しくなり、一緒にコスタリカでロビー活動をすることになりました。ロペスさんは、アメリカのニューメキシコ州出身ですが、劣化ウラン弾の射爆場がある自宅周辺でのがん・先天性異常などに疑念を抱き、1990年代から劣化ウラン兵器禁止運動に関わり始め、2002年12月に、フォト・ジャーナリストの豊田直巳さんの提案で「イラクへの市民平和使節・調査団」が組織された際にも、アメリカ人として一人参加してくれました。そんなロペスさんですが、広島大会の後、こう語っていました——「長いこと、劣化ウラン兵器問題に関わってきたけれど、疲れてしまっていた。でも、こんなに多くの人が集まってくれた広島大会に参加して、もう一度、取り組んでみる気持ちが蘇ってきた」と。
スペイン語が話せて、コスタリカにも友人のいるロペスさんは、コスタリカの平和団体「ピース・センター」と協力してロビー活動を展開しました。イラク戦争帰還兵のリードさんと一緒にアリエス大統領などに直接会って、劣化ウラン兵器禁止を訴えるというアイデアは、色々な具体的成果を生み、2009年3月にはICBUWコスタリカ大会が開催されました。また、コスタリカ大会に合わせて、モラモラ議員によって劣化ウラン兵器禁止法案が議会に提出されました。その後、劣化ウランの兵器への利用を禁止するいくつかの法案が国会に出され、今回の禁止法採択に至ることとなります。 福島原発震災で日本は大変厳しい状況にありますが、今回のコスタリカでの禁止法可決で、劣化ウラン兵器禁止に向けた国際社会の取り組みが大きく前進することが期待されます。
ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)運営委員:嘉指信雄、振津かつみ、森瀧春子