7/25、広島「イラクの今 現場からの証言—— バスラの医師が訴える劣化ウラン被害」

日時:2010年7月25日(日)午後4時〜午後6時半
場所:広島平和記念資料館東館地下1階 会議室II
共催:NODUヒロシマ・プロジェクト、ICBUW-ジャパン
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7月22〜30日、イラク南部のバスラから二人の医師、ジャワッド・アルアリ先生とオムラン・ハビブ先生が来日されます。イラクでは、がんや先天性異常の急増が問題となってきていますが、その一因として、湾岸戦争やイラク戦争で使われた劣化ウラン兵器の影響が挙げられてきています。
アルアリ先生が初めて来日し、広島などで、劣化ウラン被害の実態を訴えられたのは、イラク戦争開始間際の2002年12月上旬でした。私たちは、こうしたアピールに応えるため、同月後半、「市民平和調査使節団」としてバグダットやバスラの病院・学校などを訪れ、帰国後、劣化ウラン兵器禁止キャンペーンに本格的に取り組むこととなりました。アルアリ先生は、イラク戦争後にも二度、三度来日し、2006年8月のICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)広島大会にもメイン・スピーカーの一人として参加してくださいました。
早いものでイラク戦争から7年、劣化ウラン弾が初めて大量に使われた湾岸戦争からは20年近くが経過しようとしています。イラクからはるばるやって来てくださるアルアリ先生たちの「現場からの証言」に改めて耳を傾け、劣化ウラン兵器の全面的禁止に向けた、日本内外での取り組みを大きく前進させる機会にできればと思います。
皆様、ご多忙かと思いますが、奮ってご参加ください。
ICBUW運営委員
:嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表)
:森滝春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト事務局長)
* 連絡先:090-9064–4705(森滝)
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プログラム
:司会・森滝春子
[1]ICBUW-ジャパンから
1)バスラ疫学調査プロジェクトについて:振津かつみ
2)ICBUWキャンペーンの現状と展望:嘉指信雄
[2] バスラの病院で起きていること—
「バスラがん疫学調査」の現状と展望—
1)ジャワド・アルアリ先生:アルサドル教育病院、腫瘍専門医、「バスラがん研究グループ」(BCRG)メンバー。
2) オムラン・ハビブ先生:バスラ医科大学教授(地域医療・疫学)医師、「バスラがん研究グループ」(BCRG)メンバー。
【アルアリ先生・ハビブ先生、来日の経緯】
アルアリ先生は、バスラのアルサドル教育病院でがん患者の治療に携わる中で、1990年代中頃から増え始めたがん患者と「劣化ウラン」被曝との関連を早くから指摘してこられました。そして、2003年のイラク戦争前後から、日本や欧州各国に度々招聘され、「劣化ウラン弾」の危険性を、現地の医療現場の実態に基づき、国際社会に訴えて来ておられます。
また、アルアリ先生は、バスラでの健康被害を明らかにしたいと、疫学調査への協力を国際社会に訴えました。アルアリ先生の呼びかけに応え、 「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)は「核兵器禁止国際医師会議」(IPPNW)ドイツ支部とともに、2005年から「バスラ疫学調査」への支援に取組み始めました。
オムラン・ハビブ先生は、アルアリ先生などとともに、「バスラ・がん研究グループ」を創設し、バスラでの健康被害の実態の究明に取り組んで来られています。その結果、登録データに基づいて、過去10年間で(1995年と2005年を比較)、バスラでは乳がんが3倍以上、その他のがんや白血病も1.5〜2倍ほど増加していることなどが明らかになっています。
国連での「劣化ウラン決議」採択(2007年、2008年)など、国際的にも劣化ウラン兵器の危険性と禁止をめぐる議論が進む中で、2009年にノルウェー政府は、「バスラ疫学調査」を支援するICBUWの「調査プロジェクト」への資金援助を決めました。それを契機に、バスラでの癌増加と劣化ウランを含む「危険因子」との関係を調べるための「症例対象調査」(ケース・コントロール・スタディ)に向けた準備が進められています。
今後の「バスラ疫学調査」を進めるにあたっての科学的問題点を議論し、日本の研究者とも意見交換することを目的として、今回、アルアリ先生、ハビブ先生のお二人を日本へ招聘することとなりました。大阪、広島、愛知、長野の各地の大学、研究所等を訪問する予定です。また、来日の機会に、バスラの現状について、日本の市民の皆さんにもお話しして頂き、交流を深めたいと考え、各地で市民集会開催をお願いしています。(振津かつみ)
[劣化ウランを初めとする様々な危険因子との関連に関する科学的研究はこれからの課題ですが、ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)としては、放射性物質の軍事利用である劣化ウラン兵器は、いわゆる「予防原則」の観点からも、また人間としての常識的判断からしても、今すぐにも全面的に禁止されるべきと考えます。]