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劣化ウラン弾に関する国会質疑がありました。

第157回国会  衆議院 予算委員会
会議録より抜粋 (2003年10月1日(水)
(劣化ウラン弾に関するところは水色の網掛け)

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この会議録の全文はこちらへ転載しています。


菅(直)委員 こういうのがマニフェストに当たらない表現ですよね。最善を尽くすとか、後の予算を見てくれとか。結局、項目まですべて具体化してその皆さんが要請をされた中で、何一つ答えていないわけであります。
 そこで、この問題はまたこれからの他の議員の皆さんの議論にも任せるとして、外交、安全保障について少しお話をしたいと思います。
 特に、イラクと北朝鮮の問題についてであります。
 私は、イラクの戦争はまさに大義名分なき戦争であったと思います。総理は、大量破壊兵器が独裁国やテロ組織に拡散するおそれがあるからということを大義名分にしてアメリカの武力行使に賛成をされました。そして、最近、CIAが大量破壊兵器は見つからずという報告書を出す、こんなふうに報道されております。
 総理は、二カ月前の通常国会では、いや、見つかるはずだ、このように答弁されております。総理は今でも、この大量破壊兵器がこれから見つかる、そう信じておられるんですか。またあのフセイン元大統領が見つからないからみたいな詭弁で逃げようとされるんでしょうか。
 はっきりとこの点については、まさにイラクの戦争に対する、小泉政権のスタートの、国民に対する、いわば賛成をした根拠でありますから、国民の皆さんにきちっと説明をしていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、いずれ見つかると思っております。
 現に、過去、大量殺人をイラクは行っております。化学兵器、大量破壊兵器、自国民に対してフセイン政権は行って、既に数千人あるいは数万人と言われる遺体なり遺骨が出てまいりました。そういうことから、私はいずれ大量破壊兵器は見つかると思っておりますし、今回のイラク戦争も国連憲章にのっとって支持したわけでありますので、私は、その点につきましては、民主党の菅さんの意見とは違います。
菅(直)委員 アメリカの中でも、イギリスの中でも、この問題では、どうも大統領やブレア首相の国民に対する開戦当時の説明が少なくとも正確ではなかったんではないか、こういうことで大変な反発が起きております。我が国は、小泉総理の説明が大変うまいのか、それともその言葉のマジックに乗せられているのか、必ずしもそういう動きが大きくなっておりませんけれども、私は、今の説明は全く説明になっていない。
 イラン・イラク戦争当時のイラクは、多分アメリカも応援をしていた時代だと思いますけれども、確かに大量破壊兵器を持っておりました。そして、その後湾岸戦争があって、さらにいろいろな時期がありますけれども、査察も行われ、直前にはかなり厳しい査察も行われて、そして、さらなる査察をやるべきだという我が党の主張に対して、総理は、もう戦争を始めることに賛成だと言われたという経緯があります。それを全部飛ばして、湾岸戦争のずっと前にあったから今でもあるんだと言われるのは、私は説得力に欠けていると思いますが、この点は国民の皆さんに判断をしていただきたいと思います。
 そこでもう一点。このイラクの戦争で劣化ウラン弾が使われたと言われております。放射能被害が出ているんではないか。私も広島でイラクの現地から来られた医師にお会いをいたしました。この点について、総理はどういうふうに考えておられますか。
川口国務大臣 劣化ウラン弾につきまして、アメリカ軍のブルックス准将が、アメリカ軍は少量を持っているけれども、それをイラクで使ったかどうかということについては何も言っていないということでございます。
 それで、政府といたしまして、アメリカ軍に対して、米政府に対しまして、それを使ったかどうかということの問い合わせをいたしました。何回かいたしましたけれども、それに対しては、米軍としては、ブルックス准将が言ったように、米軍は持っているけれども、それは少量であって安全性に問題はないと考えている、それをイラクにおいて使ったかどうかということについては言わないという回答を得ております。
菅(直)委員 今のは答弁なんですか、何ですか。単に事実関係の説明だけじゃありませんか。
 劣化ウランというのは、総理は御存じですか。私も調べてみました、話を聞いて、電力会社の人からも。ウラン鉱から、原子力発電所とかそういうものに使えるような、いわゆる燃えるウランを抽出した後のウランのことを劣化ウランと呼ぶんだそうであります。そしてこれは、ウランというのは大変原子量が高いですから、比重が重いわけですね、その重いウラン鉱を使って、ウランという金属を使った砲弾だ。
 一般的には、単にあるだけではそれほど放射能は強くないそうであります。多分、アルファ線だと聞いておりますけれども、余り飛ばないそうでありますが、弾頭として戦車に当たったとき、それが高熱を発して、いわば気化状態になって、空中に飛散して体の中に入る。そうすると、体の中に入った放射性物質は、外にあるものと違って、長年内側から放射能を体に与えますから、それでいろいろな被害が出ている。このように、少なくともイラクのお医者さんや、日本でもそういうことに関心を持っている方は言われておりました。
 先日も、あるテレビ報道で現地の報告を、私もそれも拝見しました。お会いをしたのはもっと前ですけれども、イラクの方にお会いしたのは。広島で、あの原爆の記念碑で私はお会いをいたしました。
 核兵器そのものでは全くありませんけれども、しかし、日本において、この被曝という状況は核兵器と似たようなことがあります。ぜひ総理にも、しっかり関心を持って、単に米軍が使ったかどうかはっきりしないという報告を外務大臣にさせるのではなくて、もしそういうことであれば、それは日本も、それこそイラク支援の一環として積極的に取り組むんだぐらいのことは言ってほしいなと思って申し上げたところであります。

 そこで、さらにお聞きします。
 ブッシュ大統領が今月来日をされると聞いております。総理は、その来日のとき、あるいは来日までに自衛隊のイラク派遣を決めるおつもりですか。
 私たちは反対しましたが、法律はもう既にできています。当初は十月にも派遣すると言われておりました、当初はですね。しかし、最近は、選挙への影響を考えて、選挙前には派遣しない、あるいは現地状況が厳しいから派遣しないと聞いておりましたが、また、アメリカのいろいろな要請が強まって、やはり行かざるを得ないだろうといった声も聞こえてきます。
 総理として、みずからこの場所で、非戦闘地域について、あれだけ元気よく、雄弁とはあえて申し上げませんが、答弁をされた中で、強行して通されたこのイラク支援法に基づく自衛隊派遣をやられるつもりですか。
 私たちの姿勢は先日の本会議でも申し上げました。少なくとも、先制攻撃を加えて占領している米英占領軍に対して、その占領軍に後から参加するような形のイラク支援法に基づく自衛隊派遣には絶対に反対です。
 しかし、人道支援という問題での費用負担は従来からあり得ると申し上げておりますし、また、間違った戦争であったと思いますが、それでもフセイン政権を倒した以上は、それにかわるイラク人による政権を、国連との協力のもとにいち早くそれを回復すべきだ。そういうイラク人が主体となった政権や国連からの要請があった場合には、私は、PKOあるいはPKF、あるいはそういうものを前提とした人的貢献、人的支援も前向きに検討していい、このように考えております。
 このことを申し上げ、総理は自衛隊派遣について、国民の皆さんが一番心配されていることですから、はっきりとお答えをいただきたい。
小泉内閣総理大臣 イラク支援法に基づいて、自衛隊派遣が必要だと思ったら、自衛隊を派遣いたします。政府職員が必要だと思ったら、政府職員も派遣します。民間人が必要だと思ったら、民間人でできる方があれば民間人も行っていただきます。
 日本にふさわしいイラク人の人道復興支援、イラク人のイラク人による政府の国づくりに日本として努力を続けていきたいと思っております。
菅(直)委員 というのは、今の答弁はどういうことですか。たしかあの法案のころは、派遣が必要だから法律をつくるんだと言われたはずですが、今はあれですか、派遣が必要なら派遣すると。
 では、派遣が必要でないかもしれない、しかし法律だけつくったということですか、総理。
小泉内閣総理大臣 私は、あの法案の審議の最中にも言っております。イラク復興支援、人道支援のために自衛隊を派遣しなければならないという法律ではない、自衛隊を派遣可能ならば派遣できるための法律だということを法案審議の最中からはっきり言っております。そこを間違えないでいただきたい。何でもかんでも自衛隊を派遣しなきゃならないという法案じゃないんです。
 一般の人よりも自衛隊がすぐれた能力を持っております。できないことでも、自衛隊ができることがあったらば、イラクの復興支援のために、人道支援のために派遣することがいいという状況ならば、私は、自衛隊を派遣します。
菅(直)委員 こういうのを普通は法匪と言うんですけれどもね。確かに法律はそのとおりになっています。ただ、わざわざあれだけの反対を押し切って出されたのは、必要だと考えるからそういう法律をつくられたというのは、そういうふうに国民は受けとめるのは当然じゃないですか。それは、必要でも初めからないんであれば、法律をつくる必要がないわけですから。
 そういった意味で、我が党の修正案も、御存じのように、自衛隊の派遣を外した形の法案ならいいですよということを申し上げました。しかし、あえて自衛隊派遣を含む法案をつくられたわけですから、そういった意味で、国民の皆さんに対してミスリードしちゃだめですよ。幾ら防衛庁長官が首を振ったって、そういう詭弁で逃げようと思ってもだめです。
 ですから、あえて申し上げますけれども、そうしますと、総理は、例えば今回ブッシュ大統領から要請があったときには、そのとき改めて検討するということですか、自衛隊の派遣について。
小泉内閣総理大臣 私は、ブッシュ大統領との会談におきましても、日本としていかに協力できるかというのは、日本が独自に考える、主体的に考えるということをブッシュ大統領との会談でもはっきり申しております。そういう観点から、日本にできることを行う。
 今、菅さん言われましたけれども、自衛隊の派遣には反対だ、人的貢献には派遣には反対していないというようなことを言われましたけれども、自衛隊が派遣すると危険で、一般の民間人の方が派遣されると危険でない、(発言する者あり)そういうケースもあるでしょうし、逆に、自衛隊だったらばより安全に十分な活動ができる、一般の民間人ではできないという分野もあると思います。
 私は、そういう面で、日本にふさわしい貢献をする。何も、戦闘に参加しなさいというための支援法案ではありません。イラク人の復興人道支援のための活動でありますから、自衛隊であろうが民間人であろうが政府職員であろうが、日本にふさわしい貢献をする。人に言われてやるものじゃありません。日本が国際社会の中で責任ある一員として何が必要か、日米同盟、国際協調、この重要性をよく考えて、日本として主体的に判断したいと思います。
菅(直)委員 ですから、その主体的な判断をお尋ねをしているんですが、主体的判断をする、主体的判断をすると言うだけで、主体的判断の中身が一向に聞こえてこないから、あえてこちらがお聞きをしているんです。
 これ以上聞いても、小泉総理の主体的判断はブッシュ大統領との会談の後に出るんでしょうから、結局は、国民の前できちんとみずからの責任で、もう調査団も、岡本さんも行ってこられたんでしょう、一度は。そう言っていながら、そういうふうに言を左右にするというのは、私は、総理大臣として本当に潔さに欠ける、こう思います。