委員長 藤井 孝男君 理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君 理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君 理事 末松 義規君 理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君 赤城 徳彦君 伊吹 文明君 池田 行彦君 石川 要三君 衛藤征士郎君 尾身 幸次君 大原 一三君 奥野 誠亮君 田野瀬良太郎君 高鳥 修君 津島 雄二君 中山 正暉君 丹羽 雄哉君 葉梨 信行君 萩野 浩基君 原田昇左右君 松岡 利勝君 三塚 博君 水野 賢一君 持永 和見君 山口 泰明君 石井 一君 海江田万里君 河村たかし君 田中 慶秋君 達増 拓也君 中塚 一宏君 中村 哲治君 長妻 昭君 樋高 剛君 平岡 秀夫君 細野 豪志君 吉田 公一君 米澤 隆君 赤羽 一嘉君 斉藤 鉄夫君 谷口 隆義君 佐々木憲昭君 矢島 恒夫君 中西 績介君 横光 克彦君 西川太一郎君 平成十五年十月一日(水曜日) 午前九時一分開議 出席委員 委員長 藤井 孝男君 理事 赤城 徳彦君 理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君 理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君 理事 末松 義規君 理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君 理事 谷口 隆義君 伊吹 文明君 池田 行彦君 石川 要三君 衛藤征士郎君 大原 一三君 金子 恭之君 岸田 文雄君 北村 誠吾君 倉田 雅年君 左藤 章君 田野瀬良太郎君 高木 毅君 高鳥 修君 津島 恭一君 津島 雄二君 中山 正暉君 丹羽 雄哉君 西川 京子君 額賀福志郎君 萩野 浩基君 蓮実 進君 林 省之介君 菱田 嘉明君 福井 照君 松浪 健太君 三ッ林隆志君 水野 賢一君 持永 和見君 森岡 正宏君 山口 泰明君 吉野 正芳君 石井 一君 石毛えい子君 枝野 幸男君 海江田万里君 河村たかし君 菅 直人君 今野 東君 田中 慶秋君 達増 拓也君 中塚 一宏君 中村 哲治君 長妻 昭君 樋高 剛君 平岡 秀夫君 細野 豪志君 吉田 公一君 米澤 隆君 北側 一雄君 斉藤 鉄夫君 西 博義君 佐々木憲昭君 志位 和夫君 矢島 恒夫君 中西 績介君 横光 克彦君 西川太一郎君 ………………………………… 内閣総理大臣 小泉純一郎君 総務大臣 麻生 太郎君 法務大臣 野沢 太三君 外務大臣 川口 順子君 財務大臣 谷垣 禎一君 文部科学大臣 河村 建夫君 厚生労働大臣 坂口 力君 農林水産大臣 亀井 善之君 経済産業大臣 中川 昭一君 国土交通大臣 石原 伸晃君 環境大臣 小池百合子君 国務大臣 (内閣官房長官) (男女共同参画担当) 福田 康夫君 国務大臣 (国家公安委員会委員長) (青少年育成及び少子化対策担当) (食品安全担当) 小野 清子君 国務大臣 (防衛庁長官) 石破 茂君 国務大臣 (沖縄及び北方対策担当) (個人情報保護担当) (科学技術政策担当) 茂木 敏充君 国務大臣 (金融担当) (経済財政政策担当) 竹中 平蔵君 国務大臣 (規制改革担当) (産業再生機構担当) 金子 一義君 国務大臣 (防災担当) 井上 喜一君 内閣府副大臣 伊藤 達也君 内閣府副大臣 佐藤 剛男君 防衛庁副長官 浜田 靖一君 総務副大臣 田端 正広君 総務副大臣 山口 俊一君 外務副大臣 逢沢 一郎君 財務副大臣 山本 有二君 厚生労働副大臣 森 英介君 経済産業副大臣 坂本 剛二君 内閣府大臣政務官 西川 公也君 内閣府大臣政務官 宮腰 光寛君 防衛庁長官政務官 嘉数 知賢君 総務大臣政務官 平沢 勝栄君 総務大臣政務官 吉田六左エ門君 法務大臣政務官 中野 清君 外務大臣政務官 田中 和徳君 外務大臣政務官 吉田 幸弘君 文部科学大臣政務官 田村 憲久君 文部科学大臣政務官 馳 浩君 厚生労働大臣政務官 竹本 直一君 厚生労働大臣政務官 佐々木知子君 農林水産大臣政務官 福本 潤一君 経済産業大臣政務官 江田 康幸君 経済産業大臣政務官 菅 義偉君 国土交通大臣政務官 佐藤 茂樹君 環境大臣政務官 砂田 圭佑君 政府特別補佐人 (内閣法制局長官) 秋山 收君 参考人 (日本銀行総裁) 福井 俊彦君 参考人 (日本道路公団総裁) 藤井 治芳君 予算委員会専門員 清土 恒雄君 ――――――――――――― 委員の異動 十月一日 辞任 補欠選任 池田 行彦君 左藤 章君 尾身 幸次君 蓮実 進君 奥野 誠亮君 菱田 嘉明君 田野瀬良太郎君 金子 恭之君 津島 雄二君 津島 恭一君 葉梨 信行君 福井 照君 萩野 浩基君 吉野 正芳君 原田昇左右君 倉田 雅年君 松岡 利勝君 西川 京子君 三塚 博君 三ッ林隆志君 水野 賢一君 松浪 健太君 山口 泰明君 額賀福志郎君 田中 慶秋君 石毛えい子君 中村 哲治君 枝野 幸男君 平岡 秀夫君 菅 直人君 細野 豪志君 今野 東君 赤羽 一嘉君 北側 一雄君 矢島 恒夫君 志位 和夫君 同日 辞任 補欠選任 金子 恭之君 田野瀬良太郎君 倉田 雅年君 原田昇左右君 左藤 章君 池田 行彦君 津島 恭一君 津島 雄二君 西川 京子君 林 省之介君 額賀福志郎君 山口 泰明君 蓮実 進君 尾身 幸次君 菱田 嘉明君 森岡 正宏君 福井 照君 岸田 文雄君 松浪 健太君 水野 賢一君 三ッ林隆志君 高木 毅君 吉野 正芳君 萩野 浩基君 石毛えい子君 田中 慶秋君 枝野 幸男君 中村 哲治君 菅 直人君 平岡 秀夫君 今野 東君 細野 豪志君 北側 一雄君 西 博義君 志位 和夫君 矢島 恒夫君 同日 辞任 補欠選任 岸田 文雄君 北村 誠吾君 高木 毅君 三塚 博君 林 省之介君 松岡 利勝君 森岡 正宏君 奥野 誠亮君 西 博義君 赤羽 一嘉君 同日 辞任 補欠選任 北村 誠吾君 葉梨 信行君 同日 理事宮本一三君及び石井啓一君九月二十五日委員辞任につき、その補欠として赤城徳彦君及び谷口隆義君が理事に当選した。 ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 理事の補欠選任 国政調査承認要求に関する件 参考人出頭要求に関する件 予算の実施状況に関する件 -略ー ○額賀委員 次に、イラクの復興支援の問題について質問させていただきたいと思っておりますが、この問題、もう法案も通りまして、どういうふうに我々が国際貢献をしていくかが問われているわけでございます。 確かに、イラクの情勢は、治安問題も悪化をしておりなかなか厳しい環境にありますけれども、国際社会の中で日本の国がやはりどういう役割を果たしていくか、世界じゅうの方々が見守っております。そして、世界の七十カ国の方々がこれに協力をし、イラク人によるイラク国家の再建について協力をしていこうとしているわけであります。しかも、三十カ国余りの国々が軍隊を派遣してこれに貢献をしているわけであります。我が国も、当然、治安の状況等々をよく調査した上で、派遣をしていくことが望ましいと私は考えるのであります。 しかしながら、ああいうイラクの現在のような状況の中で派遣をしていく場合は、いかなる装備を持っていくのか。国内では考えられないような状況が予測されます。砂漠地帯でもあります。あるいはまた、一定の訓練もしていかなければなりません。また、装備も、日本の国内の装備とは違った形できちっとしていく必要もあると思っております。 そうすると、一定の期間が必要になってくるわけでありますから、日本が対応をしていくためには派遣準備期間というものも必要になってくるので、事前に政府がその派遣準備のための指示をしておかなければ、この派遣準備の態勢ができ上がってこないわけであります。 私は、そういう派遣準備のための態勢を整えるべき、それは総理大臣が指示をすべきであると思っておりますが、総理のお考えを聞かせてください。 ○小泉内閣総理大臣 イラクの人道復興支援につきましては、国連でも既に決議されております。 日本として今どういう復興支援が必要か、それに対していろいろな意見があることは承知しておりますが、現在、政府調査団でイラク現地調査をしている最中でございます。その状況を踏まえまして、私どもとしては、どういう地域に、またどういう規模で自衛隊派遣すべきか、あるいは政府職員、民間人がどのような分野で役に立つことができるか、総合的に考えながら判断をしていきたいと思っております。 ○額賀委員 そうすると、自衛隊を派遣していくためには一定の準備期間が要るから、これは、政府がそういう準備を整えさせるために、それにきちっと対応していきますという意味でございますか。 ○小泉内閣総理大臣 さきの国会でイラク支援法案成立いたしましたので、いつでもそのような派遣決定された場合には対応できるような準備はしていかなきゃならないと思いますので、状況を見ながら適切に指示をしていきたいと思います。 ○額賀委員 政府としても、万全の態勢で送り出すことができるように、きちっと指示をしていただきたいというふうに思っております。 ー略ー ――――◇――――― 午後一時一分開議 ー略ー ○菅(直)委員 こういうのがマニフェストに当たらない表現ですよね。最善を尽くすとか、後の予算を見てくれとか。結局、項目まですべて具体化してその皆さんが要請をされた中で、何一つ答えていないわけであります。 そこで、この問題はまたこれからの他の議員の皆さんの議論にも任せるとして、外交、安全保障について少しお話をしたいと思います。 特に、イラクと北朝鮮の問題についてであります。 私は、イラクの戦争はまさに大義名分なき戦争であったと思います。総理は、大量破壊兵器が独裁国やテロ組織に拡散するおそれがあるからということを大義名分にしてアメリカの武力行使に賛成をされました。そして、最近、CIAが大量破壊兵器は見つからずという報告書を出す、こんなふうに報道されております。 総理は、二カ月前の通常国会では、いや、見つかるはずだ、このように答弁されております。総理は今でも、この大量破壊兵器がこれから見つかる、そう信じておられるんですか。またあのフセイン元大統領が見つからないからみたいな詭弁で逃げようとされるんでしょうか。 はっきりとこの点については、まさにイラクの戦争に対する、小泉政権のスタートの、国民に対する、いわば賛成をした根拠でありますから、国民の皆さんにきちっと説明をしていただきたいと思います。 ○小泉内閣総理大臣 私は、いずれ見つかると思っております。 現に、過去、大量殺人をイラクは行っております。化学兵器、大量破壊兵器、自国民に対してフセイン政権は行って、既に数千人あるいは数万人と言われる遺体なり遺骨が出てまいりました。そういうことから、私はいずれ大量破壊兵器は見つかると思っておりますし、今回のイラク戦争も国連憲章にのっとって支持したわけでありますので、私は、その点につきましては、民主党の菅さんの意見とは違います。 ○菅(直)委員 アメリカの中でも、イギリスの中でも、この問題では、どうも大統領やブレア首相の国民に対する開戦当時の説明が少なくとも正確ではなかったんではないか、こういうことで大変な反発が起きております。我が国は、小泉総理の説明が大変うまいのか、それともその言葉のマジックに乗せられているのか、必ずしもそういう動きが大きくなっておりませんけれども、私は、今の説明は全く説明になっていない。 イラン・イラク戦争当時のイラクは、多分アメリカも応援をしていた時代だと思いますけれども、確かに大量破壊兵器を持っておりました。そして、その後湾岸戦争があって、さらにいろいろな時期がありますけれども、査察も行われ、直前にはかなり厳しい査察も行われて、そして、さらなる査察をやるべきだという我が党の主張に対して、総理は、もう戦争を始めることに賛成だと言われたという経緯があります。それを全部飛ばして、湾岸戦争のずっと前にあったから今でもあるんだと言われるのは、私は説得力に欠けていると思いますが、この点は国民の皆さんに判断をしていただきたいと思います。 そこでもう一点。このイラクの戦争で劣化ウラン弾が使われたと言われております。放射能被害が出ているんではないか。私も広島でイラクの現地から来られた医師にお会いをいたしました。この点について、総理はどういうふうに考えておられますか。 ○川口国務大臣 劣化ウラン弾につきまして、アメリカ軍のブルックス准将が、アメリカ軍は少量を持っているけれども、それをイラクで使ったかどうかということについては何も言っていないということでございます。 それで、政府といたしまして、アメリカ軍に対して、米政府に対しまして、それを使ったかどうかということの問い合わせをいたしました。何回かいたしましたけれども、それに対しては、米軍としては、ブルックス准将が言ったように、米軍は持っているけれども、それは少量であって安全性に問題はないと考えている、それをイラクにおいて使ったかどうかということについては言わないという回答を得ております。 ○菅(直)委員 今のは答弁なんですか、何ですか。単に事実関係の説明だけじゃありませんか。 劣化ウランというのは、総理は御存じですか。私も調べてみました、話を聞いて、電力会社の人からも。ウラン鉱から、原子力発電所とかそういうものに使えるような、いわゆる燃えるウランを抽出した後のウランのことを劣化ウランと呼ぶんだそうであります。そしてこれは、ウランというのは大変原子量が高いですから、比重が重いわけですね、その重いウラン鉱を使って、ウランという金属を使った砲弾だ。 一般的には、単にあるだけではそれほど放射能は強くないそうであります。多分、アルファ線だと聞いておりますけれども、余り飛ばないそうでありますが、弾頭として戦車に当たったとき、それが高熱を発して、いわば気化状態になって、空中に飛散して体の中に入る。そうすると、体の中に入った放射性物質は、外にあるものと違って、長年内側から放射能を体に与えますから、それでいろいろな被害が出ている。このように、少なくともイラクのお医者さんや、日本でもそういうことに関心を持っている方は言われておりました。 先日も、あるテレビ報道で現地の報告を、私もそれも拝見しました。お会いをしたのはもっと前ですけれども、イラクの方にお会いしたのは。広島で、あの原爆の記念碑で私はお会いをいたしました。 核兵器そのものでは全くありませんけれども、しかし、日本において、この被曝という状況は核兵器と似たようなことがあります。ぜひ総理にも、しっかり関心を持って、単に米軍が使ったかどうかはっきりしないという報告を外務大臣にさせるのではなくて、もしそういうことであれば、それは日本も、それこそイラク支援の一環として積極的に取り組むんだぐらいのことは言ってほしいなと思って申し上げたところであります。 そこで、さらにお聞きします。 ブッシュ大統領が今月来日をされると聞いております。総理は、その来日のとき、あるいは来日までに自衛隊のイラク派遣を決めるおつもりですか。 私たちは反対しましたが、法律はもう既にできています。当初は十月にも派遣すると言われておりました、当初はですね。しかし、最近は、選挙への影響を考えて、選挙前には派遣しない、あるいは現地状況が厳しいから派遣しないと聞いておりましたが、また、アメリカのいろいろな要請が強まって、やはり行かざるを得ないだろうといった声も聞こえてきます。 総理として、みずからこの場所で、非戦闘地域について、あれだけ元気よく、雄弁とはあえて申し上げませんが、答弁をされた中で、強行して通されたこのイラク支援法に基づく自衛隊派遣をやられるつもりですか。 私たちの姿勢は先日の本会議でも申し上げました。少なくとも、先制攻撃を加えて占領している米英占領軍に対して、その占領軍に後から参加するような形のイラク支援法に基づく自衛隊派遣には絶対に反対です。 しかし、人道支援という問題での費用負担は従来からあり得ると申し上げておりますし、また、間違った戦争であったと思いますが、それでもフセイン政権を倒した以上は、それにかわるイラク人による政権を、国連との協力のもとにいち早くそれを回復すべきだ。そういうイラク人が主体となった政権や国連からの要請があった場合には、私は、PKOあるいはPKF、あるいはそういうものを前提とした人的貢献、人的支援も前向きに検討していい、このように考えております。 このことを申し上げ、総理は自衛隊派遣について、国民の皆さんが一番心配されていることですから、はっきりとお答えをいただきたい。 ○小泉内閣総理大臣 イラク支援法に基づいて、自衛隊派遣が必要だと思ったら、自衛隊を派遣いたします。政府職員が必要だと思ったら、政府職員も派遣します。民間人が必要だと思ったら、民間人でできる方があれば民間人も行っていただきます。 日本にふさわしいイラク人の人道復興支援、イラク人のイラク人による政府の国づくりに日本として努力を続けていきたいと思っております。 ○菅(直)委員 というのは、今の答弁はどういうことですか。たしかあの法案のころは、派遣が必要だから法律をつくるんだと言われたはずですが、今はあれですか、派遣が必要なら派遣すると。 では、派遣が必要でないかもしれない、しかし法律だけつくったということですか、総理。 ○小泉内閣総理大臣 私は、あの法案の審議の最中にも言っております。イラク復興支援、人道支援のために自衛隊を派遣しなければならないという法律ではない、自衛隊を派遣可能ならば派遣できるための法律だということを法案審議の最中からはっきり言っております。そこを間違えないでいただきたい。何でもかんでも自衛隊を派遣しなきゃならないという法案じゃないんです。 一般の人よりも自衛隊がすぐれた能力を持っております。できないことでも、自衛隊ができることがあったらば、イラクの復興支援のために、人道支援のために派遣することがいいという状況ならば、私は、自衛隊を派遣します。 ○菅(直)委員 こういうのを普通は法匪と言うんですけれどもね。確かに法律はそのとおりになっています。ただ、わざわざあれだけの反対を押し切って出されたのは、必要だと考えるからそういう法律をつくられたというのは、そういうふうに国民は受けとめるのは当然じゃないですか。それは、必要でも初めからないんであれば、法律をつくる必要がないわけですから。 そういった意味で、我が党の修正案も、御存じのように、自衛隊の派遣を外した形の法案ならいいですよということを申し上げました。しかし、あえて自衛隊派遣を含む法案をつくられたわけですから、そういった意味で、国民の皆さんに対してミスリードしちゃだめですよ。幾ら防衛庁長官が首を振ったって、そういう詭弁で逃げようと思ってもだめです。 ですから、あえて申し上げますけれども、そうしますと、総理は、例えば今回ブッシュ大統領から要請があったときには、そのとき改めて検討するということですか、自衛隊の派遣について。 ○小泉内閣総理大臣 私は、ブッシュ大統領との会談におきましても、日本としていかに協力できるかというのは、日本が独自に考える、主体的に考えるということをブッシュ大統領との会談でもはっきり申しております。そういう観点から、日本にできることを行う。 今、菅さん言われましたけれども、自衛隊の派遣には反対だ、人的貢献には派遣には反対していないというようなことを言われましたけれども、自衛隊が派遣すると危険で、一般の民間人の方が派遣されると危険でない、(発言する者あり)そういうケースもあるでしょうし、逆に、自衛隊だったらばより安全に十分な活動ができる、一般の民間人ではできないという分野もあると思います。 私は、そういう面で、日本にふさわしい貢献をする。何も、戦闘に参加しなさいというための支援法案ではありません。イラク人の復興人道支援のための活動でありますから、自衛隊であろうが民間人であろうが政府職員であろうが、日本にふさわしい貢献をする。人に言われてやるものじゃありません。日本が国際社会の中で責任ある一員として何が必要か、日米同盟、国際協調、この重要性をよく考えて、日本として主体的に判断したいと思います。 ○菅(直)委員 ですから、その主体的な判断をお尋ねをしているんですが、主体的判断をする、主体的判断をすると言うだけで、主体的判断の中身が一向に聞こえてこないから、あえてこちらがお聞きをしているんです。 これ以上聞いても、小泉総理の主体的判断はブッシュ大統領との会談の後に出るんでしょうから、結局は、国民の前できちんとみずからの責任で、もう調査団も、岡本さんも行ってこられたんでしょう、一度は。そう言っていながら、そういうふうに言を左右にするというのは、私は、総理大臣として本当に潔さに欠ける、こう思います。 ー略ー ○志位委員 日本共産党を代表して、小泉総理に質問いたします。 きょうは、限られた質問時間ですので、イラクへの自衛隊派遣を中心に伺います。 この問題を取り上げるのは、十月十七日に米国ブッシュ大統領の来日が予定され、その場でも日本政府が自衛隊の派兵を確約するのではないか、巨額の財政支出を約束するのではないかと報道で一斉に伝えられるなど、事態が差し迫ってきているからであります。 加えて、これまでも自衛隊の海外派兵というのは繰り返されてきたわけですが、今度のイラクへの自衛隊の派兵というのは、これまでの自衛隊の海外派兵とは質の異なる重大性を持っていると私は思います。 すなわち、テロ特措法に基づいてアフガン戦争の支援のために自衛隊は出たわけですが、活動しているのは主に公海上、インド洋上です。それから、PKO法に基づいて世界各地に自衛隊が派遣されましたが、PKO法というのは、ともかくも、紛争当事者同士の停戦合意が成立しているというのが前提のもとでの派遣です。 ところが、今度のイラク特措法というのは、現に戦闘が行われている外国領土に自衛隊の地上部隊を送り込むという点でまさしく戦後初めてのこととなります。ですから、この問題への対処というのは、私は、日本国民の命のかかわる問題、日本の平和がかかわる重大な問題として徹底的に問題点が究明されなければならないと思います。 そうした立場に立って幾つかの角度から総理に伺いたいと思います。 まず、イラク特措法の基本問題について総理に確認しておきたい点があります。 ここに議事録を持ってまいりましたが、総理は、七月二十五日の参議院外交防衛委員会の締めくくり質疑の中で次のようなやりとりをされておられます。質問者が、「現在のような戦闘状態にあって非常に危険だというときに派遣をしないということだってあり得るんですか。簡単に言いますと、空振ることはあり得るんですか。」こう聞いているのに対して、総理は、「それは可能性ということを言えば、あり得ると。これは自衛隊を派遣しなければならないという法案じゃないんですから、自衛隊を派遣できるという法案ですから、状況を見て派遣しない場合もあるし、派遣する場合もあるということであります。」こうおっしゃられておりますね。これは事実の確認をしたいんですが、いかがですか。 ○小泉内閣総理大臣 そうなんです。何回も申し上げていますように、このイラク支援法案は、自衛隊を派遣しなければならないという法案じゃないんです。自衛隊を派遣することもできるという法案なんです。 ○志位委員 今の確認していただきました。 すなわち、七月二十五日の時点でも総理がおっしゃられていたのは、イラク特措法を発動して自衛隊を派遣するという選択肢と、派遣しないという選択肢と、二つの選択肢が政府にあるということをはっきり明言していたわけであります。 ところが、それから一カ月半後の九月八日、自民党総裁選が始まった日の夜のテレビの討論番組で、イラクの自衛隊派遣について、首相は、イラク支援に日本はひるんではならないと述べた後、質問者から自衛隊が行かない選択肢はあるのかと問われて、ありませんと断言されております。私は、それを聞いてあっと思いました。七月二十五日には、派遣する選択肢と、派遣しない選択肢と二つがある、状況を見て判断する、こうおっしゃっていたのが、九月八日には、行かない選択肢はありません、行く選択肢しかありません、これは明らかに大きな立場の変化であります。 私、伺いたいんですが、一体、総理は、九月八日の時点で、イラクのどういう状況を見て、行かない選択肢はありませんということを判断したんですか。 ○小泉内閣総理大臣 可能性を問われれば、一%の可能性も可能性であります、九九%の可能性も可能性であります。状況を満たせば自衛隊を派遣しないということはあり得ない、状況を満たせば自衛隊を派遣するということでございます。 ○志位委員 これは説明になっていませんね。七月二十五日の時点は、行かない選択肢、行く選択肢、二つの選択肢があると言ったうち、行かない選択肢はありませんと言ったわけですよ、九月八日には。それは、イラクのどういう状況を見て総理がそういう判断をしたのかと私が聞いたのに対して、答えになっていないですね、今のは。なっていません。 私、じゃ、続けて聞きたいと思います。 七月二十五日から九月八日までの間に、じゃ、イラクの状況は一体よくなったのか悪くなったのか、総理はどういう認識を持っておられたのか。これは自衛隊派遣を判断する上での一番重要になる問題です。派遣しない選択肢はありませんと断言したからには、それなりの認識があったはずです。この間にイラクの状況はよくなったのか悪くなったのか、どういう認識を持っておられたんですか。 ○小泉内閣総理大臣 テロ活動等、厳しい状況もありますが、全体的に見れば、イラク人のイラク人による政府づくりのために、アメリカ、イギリス初め各国が協力し出しているな、そして、イラクの国民も、フセイン政権が打倒されて、悪い悪いばかりじゃない、解放されたな、今後国づくりに励もうという意欲も見えているなという状況になってきておりますので、ここで私は、イラクの復興支援をひるんで、各国がイラク復興支援に取り組もうとしているときに、日本はやりませんということはない、また、してはいけない、テロに屈せず、イラク人のイラク人のための政府づくりに日本もふさわしい貢献をすべきだと思っております。 ○志位委員 これもまた設問に答えておりません。私は、この期間にイラクの状況がよくなったと認識されているのか悪くなったと認識されているのかと聞いたんです。国際社会の協力が進んだとか、イラクの国民がどう思っているとか、そういう一般論を聞いたんじゃない。よくなっているか悪くなっているか、これを聞いたんですよ。 七月二十五日から九月八日までのこの期間にイラクで起こった主な武力衝突やテロを見てみますと、占領軍である米英軍への攻撃は引き続き拡大するとともに、明らかにそれまでとは質の違った状況の悪化が見られます。 まず、八月七日、バグダッドのヨルダン大使館前で車両が爆発し、十九人が死亡しました。バグダッドの陥落後、外国公館をねらった攻撃はこれが初めてであって、世界に衝撃を与えました。 それから、八月十六日、バスラでパトロール中のデンマーク兵がイラク人と銃撃戦になり、兵士一人が死亡、米軍以外のイラク駐留兵が攻撃によって死亡したのはこれが初めてで、これも衝撃を与えました。そして、八月十九日、国連の駐イラク事務所が爆弾テロで襲撃され、国連のイラク復興の責任者デメロ事務総長特別代表を初め二十二人が死亡し、百人以上が負傷する大惨事になりました。 もとより、私たちも、ああいうテロ行為は絶対に反対です。許すことはできません。しかし、この事態は、米軍も国連も見境なく攻撃の対象になっている、この事態を世界に象徴的に明らかにするものでありました。こういう事件が次々に起こったのが、まさに八月のこの時期ですよ。この期間にイラクの状況が全体として深刻な悪化をたどったのは明らかだと思います。これだけ事態が次々に起これば、私は、日本政府はイラクへの自衛隊派兵により慎重になって当然のはずだと思う。 この状況の悪化そのものは、当時の外務大臣の記者会見を見ましても、あの事件、バグダッドの国連事務所爆破の意味というのは、今までは米兵中心に治安上の問題があったわけですが、それが広がっている、文民に対する攻撃があるとか、バグダッド以外の場所にも広がってきている、事態が悪化しているという認識を示しています。 そういう状況のもとで、こういうことが次々に起こればイラクの派兵については慎重になってしかるべきなのに、逆に、そういう状況が次々に起こる中で、九月八日、総理は、行かない選択肢はありませんと。これはなぜでしょうか。逆の方向にカーブを切ったのはなぜでしょうか。 ○小泉内閣総理大臣 状況をよく見きわめて、自衛隊ができることがあれば、自衛隊を派遣しないという選択肢はないと。自衛隊が民間人よりもよく活動できれば自衛隊を派遣するということでありまして、私は、今の時点において、厳しい状況ということはよく認識しております。そういう点も踏まえてよく状況を調査して、民間人よりも自衛隊の方がイラク人の復興支援、人道支援のためによく仕事ができる、能力も発揮できるということであれば、自衛隊を派遣します。 ○志位委員 条件を満たせば派遣すると言ったんですけれども、九月八日のテレビの番組では、派遣しない選択肢はないと。要するに、いつ派遣するかは別にして、もう派遣するんだということを断言されておられるわけですよ。 そして、私が、この間にこれだけ治安が悪くなる、状況が悪くなるのに、なぜそういう方向に切りかえたんだ、こういうふうに聞いたのに対して、答えがない。私は、実は答えられないんだと思っています。アメリカの圧力だったからですよ。 経過を調べてみますと、八月に起こったイラクでのこの連続的な重大事態を前にして、日本政府にもちゅうちょが見られた時期があったようです。 例えば、国連事務所が大規模テロに遭った翌日の八月二十日の防衛庁長官の発言を見ますと、人道支援をやっていれば襲われることはないという考えは通用しない、年内派遣は難しいかもしれないと語ったと報道されています。かなりちゅうちょがあった、これは明らかだと思います。 ところが、その後、アメリカから猛烈な圧力がかかった。八月末に複数の日米関係筋からの情報として、アーミテージ米国務副長官が中東担当特使の有馬政府代表と会談し、日本側の慎重姿勢に触れて、これは問題だ、逃げるな、お茶会じゃないと強い口調で派兵を迫ったということが一斉に報道されたのは八月の末でした。その後、日本政府の態度が早期派兵に急カーブを切ってくる。 九月一日に政府は、自衛隊派兵のための政府調査団の早期派遣を表明しました。九月六日に岡本首相補佐官が、治安情勢などの調査のためにイラクに向けて出発しました。十四日には慌ただしく政府調査団がイラクに向かって出発して、今活動しているようであります。これは調査団自体も、アメリカから一喝されて慌てて出したものであります。 首相は口を開けば自主的に判断すると言うけれども、アメリカの一喝で一気に早期派兵に向けた動きが強まったというのが事の真相じゃありませんか。 これは私は、七月二十五日には二つの選択肢があると言っておきながら、九月八日には、事態が悪化しているにもかかわらず、行かない選択肢はない、ありませんと言い切ってしまったことにはっきり示されていると思います。 次に進みたい。 イラクの現状が、果たして、首相の言うように、戦闘地域には行かない、戦闘行為には参加しないなどという生易しい建前が通用するものなのか。イラクの現地で活動している当事者は何と言っているかについて、幾つか私は示したいと思っております。 これは、アメリカの国防総省のホームページからとったものでありますけれども、イラク駐留米軍のサンチェス司令官が、七月三十一日にかなり長い記者会見をやっております。そこで、日本のNHKが質問しております。イラクの全領土において、我々が非戦闘地域と呼べる地域は存在するのか、もし存在するのならそれはどこか、また、戦闘地域と非戦闘地域の間に線を引くことは可能か、こういう質問をサンチェス司令官にしています。司令官の答えは、戦闘地域を安定した地域や支援の地域からはっきりと区別する線を引けるだろうか、もちろんできない、つまり、テロリストのような動き回る小集団に遭遇する危険が常にあるということだ、彼らは望むところはどこでも動き回れるのだ、こう言っております。 つまり、当事者の米軍の現地の司令官自身が、イラクは全土どこでも戦闘地域になり得るという認識をもうこの時点で述べているわけです。総理はどういう認識をこの問題でお持ちでしょうか。 ○小泉内閣総理大臣 私は、八月中旬にポーランドを訪問したときだと思うんですが、そのときに国連の事務所が爆破して、デメロ氏が亡くなった。その報道を聞いた直後に、私は、晩さん会の席上で、テロは許されざる行為だ、このテロに国際社会は屈してはならぬ、その国々の持てる力でイラク復興支援のために協力しなきゃいかぬということをはっきり述べております。 今いろいろな言葉を引用されて、アーミテージ氏が、お茶会じゃないとか言ったとかどうか話されましたけれども、それはわかりませんけれども、確かにお茶会とは違います。イラク復興支援のためには、こういう厳しい状況の中でも多くの国の人々が今一生懸命汗をかいている、そんなお茶会みたいな生易しい状況じゃないと思います。 日本としても、どこでテロが起きるかわからないといえば、ニューヨークでもテロは起こったわけです。インドネシアのバリでもテロが起こったわけです。日本でも、それは可能性をとらえれば、いつ起こるかわかりません。そういう面においては、安全なところはないと言っても過言ではありません。 しかし、私は、いろいろ状況が許せば、自衛隊の派遣というのは派兵じゃありませんから、戦闘行為に参加するというものでもありません、また、治安の警備に当たるわけでもありません、イラク人の人道支援、復興支援のために、それは民間人ではできないことは、自衛隊でできるところがあるだろうと。自衛隊の持てる能力を、そういう戦争ではない、平和構築のために、イラク人の復興支援のために活用する場があれば、状況が許せば派遣するということを言っているのであって、私は、共産党の考え方は、根本的な違いというのは、それはもうわかります。日米安保条約反対、自衛隊のいかなる派遣も反対という立場はわかりますが、私は、今の憲法の条文ともよく照らしながら、憲法九条を守りながら、そして、国際社会の中で名誉ある一員として、国力にふさわしい国際協調体制をとるためにはどうしたらいいかという観点から、自衛隊員ができることはやります、民間人ができることはやります、政府職員がやることはイラク復興支援のためにやりますという観点から話しているのであって、一方的に、自衛隊を派遣すると戦争に参加するとか、派兵だとか、そういう領土のことについて何か懸念を持たせるような、そういう誤解はぜひともやめていただきたい。 ○志位委員 総理、私の質問に答えないで別のことを長々としゃべるのは、短い時間ですから、本当に国会を愚弄する態度だと私は思うんですよ。 それで、私が聞いたのは、サンチェス司令官がイラク全土どこでも戦闘地域になり得ると、そういう認識を持っているかということを聞いたのに対して、テロは世界どこでも起こるんだと、そういう一般論でごまかすというのは、これは答弁になっていないですよ。 それから、世界の国々がどこでも軍隊を出しているかのような言い方をした。しかし、いいですか、フランスだってドイツだってロシアだって、あるいは中国だって、派兵しない。あるいは、インドだってパキスタンだって派兵しない。二十二カ国が構成するアラブ連盟も派兵はしない。これは大きな大勢ですよ。 私は、イラクの人道支援、これは国連中心のものに非軍事の方法で参加することは当然だと思います。しかし、占領軍の米英軍を支援する形での派兵は絶対に反対というのが私たちの立場です。日米軍事同盟に対する立場の違いはありますよ。しかし、私が聞いているのは、これはこういうやり方をしたら憲法にも反するんじゃないか、国連憲章にも反するんじゃないかという立場で私は質問しているんで、本当にこういうことに対する答弁はしっかりしてもらわないと、こういう場が本当にむだな場になると思います。 そこで、もう一つ。イラク現地で活動している当事者の国連がどういう認識を示しているか。国連のイラク事務所の治安局は、セキュリティー・アップデート、最新治安情報というものを、一日ないし四日ごとに出しております。これはインターネットで公表され、国際NGOなども参考にできるようになっている文章です。毎日のように、驚くほど多数の武力事件がイラクで発生して、その多くは米英軍への襲撃事件ですが、文字どおり全土にわたって発生していることが詳細に出ております。 これは総理、御存じでしょうか。御存じですか。――じゃ、一部ちょっとお渡ししたいんですが、よろしいですか。 それをちょっと見ながら聞いていただきたいんですが。かなり詳細なものです。現在入手できる最新のセキュリティー・アップデートを見ますと、九月二十四日から二十五日に出されたもので、九月二十三、二十四、二十五の三日間に発生した武力事件が報告されておりますが、この最新のものだけ見ても、バグダッド地区で十二件、その他の地域三十七件、合計四十九件の武力事件がわずか三日間で起こっている。 ちょっとこれを図にしたものがこれであります。これは、九月八日から二十五日までに発生したイラク国内における武力事件です。これは国連のセキュリティー・アップデートが明らかにしているものであります。一番大きな丸は五十一件以上、次が二十一件から五十件、次が十一件から二十件、一番小さなのが一件から十件ですが、これ見てください、わずか十八日間ですよ、わずか十八日間でイラク全土、ほとんどの場所で武力事件が起こっていることがわかります。 バグダッドで八十九件、ラマディが三十一件、モスルが三十七件。これ全部合わせますと、十八日間で三百四十九件ですよ。この白いところがありますけれども、これはハジャラ砂漠、砂漠地域ですから、これは人の住んでいない場所であります。人の住んでいる場所はほとんど武力事件が起こっている。 イラク全土が戦場ですよ。自衛隊を送る余地なんかないじゃないですか。どうですか。 ○小泉内閣総理大臣 よく状況を見きわめて、戦闘地域でない、そして自衛隊が貢献できるような地域があれば自衛隊を派遣します。 ○志位委員 この地図を見る限り、砂漠の中しかそんな場所ないですね。砂漠の中へ行って旗を立ててくるおつもりでしょうか。 結局、私がこの問題について大変印象深かったのは、これは九月二十四日にナイトリッダーという会社のインタビューに答えてサンチェス司令官が言っているんですが、米軍がイラクにとどまる限り、攻撃と死傷者は続くだろう、こう述べているんです。 さっきも三百四十九件あると言いましたけれども、数えてみましたら、三百四十九件のうち二百九十三件、八四%は米英軍に対する攻撃ですよ。米軍がいるところが戦闘地域になる。そして、その米軍を支援しに行くというのが今度の法律ですから、そこに自衛隊が出ていけば、そこが戦闘地域になる。 ですから、私は、この問題というのは、戦闘地域に行かせない、戦闘行動はやらないという政府の立場というのは虚構の上のまた虚構だ、そういう虚構に基づいて自衛隊を派兵することは絶対に私たちは反対です。 次に進みたいと思うんですが、それでは、なぜイラクの情勢が泥沼化の一途をたどっているのかという根本問題であります。 私は、一言で言えば、米軍によるイラク戦争が間違った戦争だったからだ、こう思います。無法な戦争に続く不法な軍事占領に対して、イラク国民の全体が怒りと反発と憎しみを強めているということが泥沼化の根源にあります。 最近、これは朝日新聞ですけれども、現地のルポルタージュを出しています。「対米感情、悪化の一途」「襲撃現場 市民がゲリラ支援」「金曜礼拝「占領者にノーを」」と聖職者は語った、こういう状況があるんですね。 やはり、これはもちろんフセインの残党もある、テロリストもある、それだけじゃないですよ。国連のこの資料を見ても、民衆自身が個人で抵抗しているという事態もずうっと広がっているということは報告されています。ですから、今そういう中で、国際社会が根源にある戦争の無法性そのものを厳しく追及しているということに目を向けるべきだと私は思います。 私は一昨日の代表質問で、九月二十三日の国連総会でアナン国連事務総長が、米英軍の先制攻撃戦略について、過去五十八年間、世界の平和と安定が依拠してきた原則、国連憲章の原則に対する根本的な挑戦と批判したことについて総理はどう答えるのか、総理はこの批判を認めるべきではないかとただしました。総理のそれに対する答弁は、アナン事務総長が一般論として武力行使のあり方について問題提起を行ったことは承知しているというものでした。一般論とおっしゃった。 しかし、アナン発言の全体を読めば、一般論などというごまかしは到底通用するものじゃありません。その該当箇所を今から読み上げてみたいので、総理はしっかりお聞きいただきたい。アナンさん、こういうふうにおっしゃっています。 国連憲章五十一条は、攻撃された場合、すべての国が自衛の固有の権利を有することを規定している。しかし、これまでは、国家がそれを超えて国際の平和と安全へのより幅広い脅威に対処するために武力の行使を決定するには、国連が与える特別の正当性が必要だと理解されてきた。 だが、今や大量破壊兵器による武力攻撃がいつ何どきにも、警告なしに、あるいは秘密グループによって起こされかねないので、こうした理解はもはや通用しないと唱えている若干の国がある。これらの国は、それが起こるのを待つものではなく、国家には先制的に武力を行使する権利と義務があり、たとえ他国の領土に対するものであっても、また、たとえ攻撃に使われる可能性のある兵器システムはまだ開発途上であっても行使できるのだと主張している。この主張に従えば、国家は安保理での合意を待つ義務はなく、かわりに、単独で、あるいは臨時の連合を組んで行動する権利を保持しているということになる。 この論理は、たとえ完全ではないにしても、過去五十八年間、世界の平和と安定が依拠してきた原則、言うまでもなく国連憲章の原則です、に対する根本的な挑戦である、こうアナンさんは述べているんですよ。 アナン国連事務総長が述べたことは明らかです。 まず、アナンさんは、国連憲章というのは、加盟国の武力行使について、侵略に対する自衛反撃以外は国連の決定があったときのみしか認めていない、これが大原則だと述べています。 その上で、大量破壊兵器などの対抗のためだと言って、こうした理解はもはや通用しないと唱えている若干の国があると述べ、そしてこれらの国は、国家には先制的に武力を行使する権限と義務があり、安保理での合意を待つ義務はなく、単独で、あるいは臨時の連合を組んで行動する権利を保持していると主張しているとし、この論理について国連憲章への根本的な挑戦と批判しているんです。 一般論じゃありませんよ。先制攻撃の論理、単独行動の論理、こういう論理を国連憲章への挑戦とはっきり言っている。 世界に現実に存在している国が現実に唱えている論理に対する、これは批判です。先制攻撃の論理と単独行動の論理を堂々と主張している国はアメリカ以外にありますか、まさにアメリカ以外にない。米国ブッシュ政権がそうした論理を公然と唱えていることは否定することができない事実であります。アナン演説というのは、名指しこそしていませんが、アメリカへの批判であることは明瞭です。一般論じゃない、アメリカへの批判です。事実上の批判です。それははっきり認めるべきです。いかがですか。 ○小泉内閣総理大臣 アナン発言の今の発言は事実であります。しかし、一方で、今言ったアナン発言の根本的挑戦であるという後、アナン氏はこういう発言をしています。 私の懸念は、この論理が受け入れられるのならば、正当性の有無にかかわらず、一方的かつ不法な武力の行使の拡散につながる先例をつくることになりかねないということである。しかし、ここからです、しかし、特に危機にさらされていると感じている加盟国の懸念に正面から対処しなければ、一国主義を非難するだけでは不十分である。なぜなら、これらの懸念こそが一国主義に向かわせるからである。我々は、集団的行動を通じて、これらの懸念に有効に対処できる、また将来することを示さなければならないということも述べているんです。 我々は、こういうことも感じ、よく認識しながら、国際社会が協力してイラクの復興支援に当たらなきゃならない。同時に、確かにフランスやドイツはイラクに軍隊を派遣しておりません。しかし、軍隊を派遣している国も多数あります。同時に、フランスもドイツも、今、アメリカ、イギリスの軍隊を引き揚げろということは言っておりません。 ○志位委員 全文の訳は私たちもつくりました。それで、あなたが続けて読んだ箇所というのは、まず、ちゃんと外務省は訳していないかもしれないけれども、もしこれが受け入れられるなら、それが先例になって、正当性のいかんにかかわらず、単独行動主義による不法な武力行使の拡散を招く結果になることを懸念する。やはり、こういうことが許されるなら、どこの国も、じゃ、うちも先制攻撃やる、うちも先制攻撃やる、そういう世界になることを懸念する、こう述べているんですよ。 そして、もちろんその後、単独行動主義を非難するだけでは十分でない、懸念について正面から受けとめる必要があるということは述べていますが、こうした懸念は集団的行動を通じて効果的に対処できるし、するべきだということを示す必要がある、これが結論なんですよ。つまり、そういう懸念があったとしても、単独行動でやっちゃいけないんだ、集団的行動、つまり国連がきちんとした枠組みを示す必要があるんだというのがアナンさんが言っている趣旨なんですよ。 私が聞いたことに小泉さんは答えていないです、答えていないです。私が聞いたのは、その前の段階、ずうっと述べました、先制攻撃の論理、単独行動の論理、これは国連憲章への正面からの挑戦だとアナンさんが言っていることは、これは事実なんです。批判しているのは事実なんです。この批判がアメリカに対して向けられたものだ、一般論で言ったんじゃない。名指しするということは、国連の事務総長というのはできませんよ、立場上。大体、国連の総会で名指しの批判というのはほとんどないです。しかし、これだけ明瞭な、名指しこそないけれども、アメリカに向けられた批判がこれだけ明々白々ということはないですよ。 私が聞いたのは、アナンさんが国連憲章への正面からの挑戦と言ったこの批判は、アメリカに対する批判なのかどうか、そういう認識があるのかどうか聞いたんです。はっきりお答えください。 ○小泉内閣総理大臣 しかし、一方的にアメリカが先制攻撃しているというふうに志位さんは言っておられますが、アメリカも国連憲章に基づいてイラク戦争を開始したんですよ。日本も国連憲章にのっとってアメリカのイラク攻撃を支持したんですから。その辺は見解の相違です。 しかも、今このときに、イラクの復興支援について、米英軍が撤退したらどうなるかということを現実の問題として考えなければならない。イラクの安定というのは、イラクだけじゃありません、中東全体、日本にも、世界にも、イラクの安定、復興は大きな影響を及ぼします。今ここに全部手を引け、アメリカは手を引けと言って、果たしてイラクの安定はあるんでしょうか。 だから、フランスでも、ロシアでも、ドイツでも、アメリカを撤退させようなんて全然言っていない。むしろ、お互い協力できるように国連の関与を強めることは言っても、手を引けなんてことは一言も言っていない。そういう点を、やはり現実を考えなきゃいかぬ。 ○志位委員 最後に総理がおっしゃったことについては、私たちは、今のイラクをほっとけと言っているわけじゃありません。米軍主導のやり方を、国連中心の復興支援の枠組みに軌道を移しなさいと言っているんです。この軌道のもとに、一刻も早くイラク人に主権を返しなさいと言っているんです。そうしてこそ初めてイラク人が主人公になった国づくりができる。そのための支援を本当に国連中心にやるべきだというのが、私たちの立場であります。これを言っているんだということをまずはっきり言っておきたい。 それで、私、何度聞いても答えないですね、総理は。私が聞いているのは、アナン事務総長が批判の対象にしたのはアメリカかということを聞いているんですよ。この一点聞いているんです。 アメリカが国連憲章に基づいて行動した、国連安保理決議に基づいて行動した、これはアメリカが言っていることでしょう。それをうのみにあなたが言っているだけのことでしょう。これは国連憲章に違反だというのは、国際的な世界の常識ですよ。 国連安保理決議に根拠がない、これは根拠がないからこそ、アメリカは新しい決議を求めて、国連安保理の場で新決議を通して、武力行使容認の決議をくれと言った。通らなかったわけでしょう。通らなかったこと自体、国連安保理決議に根拠なんかないんです。アメリカの行動については、そういう状況を踏まえて、アナンさんが国連憲章への正面からの挑戦と言っているわけですよ。この是非については意見は分かれますよ。 ですから、私が聞いているのは、アナンさんが批判した相手はアメリカなんでしょう、これを認めないのかと聞いているんです。単純な質問なんです。答えてください。アメリカ以外にないでしょう。 ○小泉内閣総理大臣 それは、アナンさんにじかに聞かないとわからない点もありますが、必ずしもアメリカ一国を非難しているんじゃないんです。趣旨は……(発言する者あり) ○藤井委員長 御静粛に願います。 ○小泉内閣総理大臣 国連も現状ではいけないと……(発言する者あり) ○藤井委員長 御静粛に願います。 ○小泉内閣総理大臣 安保理改革も必要だと、国連が無力であってはいけないと、国連強化のためにはどうしたらいいかということも触れているんです。(発言する者あり) ○藤井委員長 御静粛に願います。 ○志位委員 必ずしもアメリカのこととは限らないと言うから、若干の国がある、これらの国はと言っているんですよ。では、先制攻撃をやるのは権利がある、単独行動をやるのは権利があると言っている国がアメリカ以外にどこかありますか。ないでしょう。どこにありますか。これらの国はと言っているんです。そういう国があると言っているんです。アメリカ以外にありますか。何でこれだけ聞いても答えないんですか。どうですか、アメリカ以外にありますか。 ○小泉内閣総理大臣 アナン事務総長は、志位さんみたいに断定していません。国連改革も必要だと言っているんです。そんなに聞きたかったら、アナン事務総長によく、会って聞いて、問いただしてください。 ○志位委員 これははっきり言い切っているんですよ。つまり、若干の国がある、これらの国は……(小泉内閣総理大臣「全然言い切ってない」と呼ぶ)先制的な武力行使の権利と義務があると言っている、(小泉内閣総理大臣「名指ししていないよ、アメリカを」と呼ぶ)安保理の合意を待つ義務はなく、かわりに単独でやれるよと言っている、言い切っていますよ。(小泉内閣総理大臣「よく読んでごらん、言い切ってないよ」と呼ぶ)言い切っていますよ。 私は、これほど明瞭なアメリカ批判をアメリカ批判と認めないというのは驚きました。 ここにニューヨーク・タイムズがありますけれども、見てくださいよ。ブッシュ大統領とアナン事務総長を並べて、アナン、ワシントンを批判とはっきり書いてありますよ。これは世界じゅうがみんなわかっている話ですよ。これだけのことを聞いても、アナンさんがアメリカ批判した事実も認めない、アメリカが言うことは何でも言いなりになるくせに、アメリカが批判されたときにはその事実すら認めない、これをアメリカ言いなりというんですよ。イラクの早期の自衛隊派兵に傾いたのも、アメリカの一喝で派兵にカーブを切る、それから、アナンさんが批判したのに対しても、アメリカへの批判だと絶対に認めない、これがアメリカ言いなりなんです。(小泉内閣総理大臣「反米とは違うよ、反米とは」と呼ぶ) 私たちは、アメリカとは……(小泉内閣総理大臣「反米だろう」と呼ぶ)アメリカとは日米友好条約をつくるということを目標にしておりまして……(小泉内閣総理大臣「反米の共産党と違うんだよ」と呼ぶ)本当の友好というのは、対等、平等の関係でこそできるのであって、あなたのように従属的な関係では本当のフレンドシップなんかできない、はっきり言っておきます。 私は、こういうアメリカ言いなりに…… ○藤井委員長 ちょっとお待ちください、ちょっと、もっと冷静に、冷静に、冷静に。 ○志位委員 総理、これはちょっと問題ですよ。アメリカ言いなりにイラクへの派兵計画を進めるのは、これは中止すべきだ。日本は取り返しのつかない道に足を踏み入れることになると思います。やはり、イラクの真の解決というのは、米軍主導の占領支配から国連中心の復興支援に軌道を切りかえて、イラクの国民に主権を返還し、そして、イラク国民が本当に国の主人公になった国づくりへの支援を行うことにあると思います。 ー略ー ○藤井委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。 次に、横光克彦君。 ○横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。 ー略ー さて、その戦争でございますが、アフガン戦争の後を受けてのテロ特措法、この延長の問題がこの国会の最大の課題であろうと思っております。 テロ特措法によりまして海上自衛艦がインド洋に派遣されてから、既に二年が経過しようといたしております。この二年間のいわゆる活動にかかった経費、百二十一億円という報告がされました。そして、給油も三十二万キロリットル給油した。しかし、ピーク時は月に一万六千キロリットル給油していたのが、現在ではもう二千キロリットルの給油の状況である。つまり、もう八分の一ぐらいの給油しかやっていないわけですね。 そういった意味では、テロ特措法の我が国の後方支援の任務というものはもう一応終わった、そういうふうに受けとめておるわけでございますが、そういった中でさらに延長されるということはなぜなんでしょうか、お聞かせください。 ○石破国務大臣 お答え申し上げます。 確かに、数字は今先生がおっしゃったとおりでございます。ただ、ピーク時は、これはアフガンに対する攻撃と、それからテロリストの捕獲というものが並行いたしておりました。攻撃の場合には大きな艦船が当然参加をいたしております。現在は、テロリストの逃亡というものを防ぐということに特化をいたしておりますので、船は小さい船になってまいりました。隻数というものは、アメリカは確かに減らしておりますが、ほかの国の海軍の船はそんなに減ってはおりません。 要は任務が変わったということでございまして、ニーズがなくなったとは私ども判断をいたしておらない次第でございます。 ○横光委員 ニーズがなくなったとは言っていません。しかし、もう相当ニーズも少なくなった状況にあるということは、今説明ありましたね。しかも、ラムズフェルド国防長官が既に五月に、アフガンに対する作戦はもう一応区切りがついたと発言しておるんですよ。その発言一言とってみても、もうテロ特措法の役目は終わったということになるんじゃないんですか。米軍の後方支援からむしろこのアフガン復興の方に軸足を移すときだと私は思うんですよ。 ですから、イージス艦、昨年大変な大騒動の中で、反発がある中、イージス艦をインド洋に派遣しましたよね、テロ特措法の支援とかいうことで。そのイージス艦は、あれだけ騒がれて出したにもかかわらず、現在どうなっているんですか。イージス艦、インド洋には一隻もいないじゃありませんか。 あのときに、イージス艦を派遣する理由として、居住性が一つありました。もう一つは、みずからを守るためにいわゆるイージス艦の高いレーダー能力、これが有効である、こういう理由で、あのかなりの反発のある中イージス艦を出したわけですよ。イージス艦の高いレーダーの能力ですね。それが今インド洋にいないというわけですから、もういわゆる高いレーダー能力を必要としない状況にまで落ちついたわけでしょう。つまり……(発言する者あり)今はインド洋のことを言っているんだよ。つまり、政府はみずからがテロ特措法の任務は終了していると断言している何よりの証拠じゃないですか、このことが。いかがですか。 ○石破国務大臣 お答え申し上げます。 先ほど申し上げたことと重複して恐縮でございますが、テロリストがアフガニスタンから世界じゅうに逃亡するということを防ぐということは、我が国としてどうしてもやらねばならないことでございます。そしてまた、諸外国の海軍が展開をいたしておりますが、補給をする能力というのはそんなに多くの国の海軍が持っているわけではございません。先生御案内のとおり、六時間、補給する船とされる側が全く同じ距離を保ち、同じ速度でずっと真っすぐ走る、その能力はそんなに多くの国が持っているものではございません。 我が国は、テロリストの拡散を防ぐということ、そしてまたそこにおいて我が国が持っている能力を最大限に発揮をするということだろうと私どもは考えておる次第でございます。 ○横光委員 ニーズが少なくなった、ラムズフェルド国防長官はもう一応作戦は区切りがついた、そして、必要であると言って出したイージス艦も行っていない。いろいろな状況を見れば、もう状況は、我が国のやるべきことはもうやったということになるわけでしょう。百二十一億という膨大な金を使って貢献しておるんですよ。 ですから、そういった状況の中で、それは、ニーズがゼロになるまでやるといったら永久にやらざるを得ませんよ。ですから、ここのところは、そういった二年間という時限法なんですから、それは一回区切りをつけるべきだと私は思います。私は延長には反対であるということを申し上げておきます。いいんです、次のに行きます。 次に、イラク問題。また石破さんにイラク問題についてお尋ねしますが、これは、さきの国会で四十日間も会期延長して、一日も早くという理由で、最後は強行採決をして成立させた。しかし、法はできたけれども施行できない、二カ月たってもできる状況ではない、今そういった状況になっておるんでしょう。今のイラクに、先ほどの質問もございましたように、自衛隊を派遣できるような状況であるわけがないじゃないですか。 総理があの七月のイラク特措法の質疑のときに、いわゆる戦闘地域、非戦闘地域がどこにあるか聞かれたってわかるわけがないという答弁をせざるを得ないほど混迷していたわけですよ、あの当時でも。あれから二カ月、さらに混迷は深くなっておるんですよ。平和の代名詞と言われております国連の事務所までが襲撃の対象になっている。しかも、その代表者が犠牲になっている。あるいは、イラク統治機構のナンバーツーも犠牲になっている。連日のようにいろいろな襲撃。それに対してまた、逆に市民の人たちを襲撃しているというような状況が今起きておるわけですよ。 それで、そもそも、日本は最初に支持をいたしましたけれども、この戦争そのものが今問われているわけでしょう、間違いの戦争ではなかったのかと。つまり、国連の決議もなく、国連を無視して戦争に踏み切った、そして、その理由が大量破壊兵器、この大義である大量破壊兵器は今なお発見されていないんですよ。そして、このことによって、理由なき戦争であったといって、アメリカやイギリスでは今大変な状況になっておるんですよ、国民の不信が。そして、制圧はしたが、治安するどころか、戦争の前より今のイラクの治安はひどい状況になっておる。結局、アメリカはどうしたか。あの無視した国連に行って、新たな決議を要請するような事態に立ち至っているんですよ。 ですから、今本当にかつてのベトナムのような泥沼化状況にあると言ってもいいぐらいのところに、本当に自衛隊を派遣するおつもりなのか。 私は、総理があのときに、どこが戦闘地域でどこが非戦闘地域か、私に聞かれてもわかるわけがないと答えた、あれはまさに、私から言えば無責任きわまる答弁だと思う。しかし、今こそ責任ある言葉で、今のイラクに自衛隊を派遣できるわけがない、このように答弁すべきだと思いますが、いかがですか。 ○小泉内閣総理大臣 私が、党首討論でしたか、あの質問で、どこが戦闘地域でどこが非戦闘地域か言ってみろと言われるから、そんなの私に聞かれてもわかるわけない、当たり前の答弁でしょう。どこがおかしいのか。おかしいと言っている方がおかしいと思いますよ。私は専門家でもないし、イラクに行ったことないんだから。 そういう中で、今、政府調査団、専門家を派遣しております。そして、イラクの復興支援については、今、支援国会合を開こうとして、国際社会が協力して、イラクの復興のために、安定のために協力しようとしている。あの開戦時の国連の中での意見の相違はともかく、今は、フランスもドイツもロシアも、やはり国際協調体制をとって、イラクの復興支援、人道支援は必要だということについては、協力体制をとろうとしております。 そういう中で、私は、日本として、自衛隊にできること、政府職員にできること、民間にできること、これを、やはり日本としていろいろな状況を見きわめて、できるだけの人的支援も、あるいは資金支援もしなきゃならないと思っております。 現状を見れば、決して安閑としていられる状況ではございません。厳しい状況には変わりません。しかし、こういう中にあって、もし今アメリカが手を引いたら、もっとイラクの混乱はひどいものになると思います。そういうことを考えて、日本は、アメリカとも協力する、国際社会とも協力する、そういう方向で、今後日本としてふさわしい貢献をしていかなければならないと思っております。 ○横光委員 総理はかねてから、アメリカとの同盟関係の強化ということをおっしゃっておられます。これは、同盟関係、日米同盟の重要性は私もよくわかっております。しかし、本当の信頼関係を築くには、何でもかんでも、はいはいという形では、私は信頼関係は築けないと思うんです。 フランスやドイツがいい例じゃないですか。ちゃんと物申すじゃないですか。私たちの国も、しっかりと物申さなきゃいけない。ここまではできます、テロ特措法の延長も、ここまでやりましたので、ここからはもう私たちはできません、はっきり言えることは言うべきですよ。あるいは、日本の、私たちの国はこういった憲法を持っておりますのでここまでしかできないんですと。 それを、特別措置法をつくってまでどんどんどんどんやろうという状況。これはもう、いわゆる日米同盟の強化というより、私は、アメリカの従属的な形がどんどん進んでいくという気がしてならないんですね。本当の信頼関係は、物を申すということから私は信頼関係ができるとむしろ思っております。 そもそも、このイラクへの海外の派遣。これは、専守防衛を信じて自衛隊に応募した自衛官、あるいはその家族の皆様方、こういった方々に対する私は契約違反に当たるんじゃないかと思いますよ。そうでしょう。 私たちの国は、PKO、国連のもとでの平和維持活動なら海外で活動できます、自衛隊の皆様方が。しかし、国連決議もない中、特別措置法で、あの敵意に満ちたイラクの戦地へ送られるなんて、自衛官のだれが想像していますか。そういったことを今やろうとしている。今のイラクに派遣すれば、総理は七月に言いましたよ、殺すかもしれないし殺されるかもしれない、絶対ないとは言えないと言った。そういうところに派遣するということ。私は、日本の若者をそんなところに送り出すことには絶対に反対でございます。 イラクのこの問題に対しましては、国民の願い、そしてまた意思、これにも反しているんです。 九月十一日の毎日新聞の世論調査によりますと、「イラクへの自衛隊派遣を可能にする法整備」、いわゆる今回の特措法ですね、この特措法に賛成はわずか二%なんですよ、総理。わずか二%、この法整備に賛成する人。そして逆に、間違っていたと思う人、四三%。あとの三十何%はわからないという方。いわゆる国民の多くは自衛隊のイラクへの派遣を望んでいないというのがはっきり出ているんですよ。 こういった国民の声を、私は、総理大臣であるならば大事にしていただきたい。断固として自衛隊のイラク派遣には反対であるということを申し上げておきます。
|