「低線量放射線は・・・最終的にはなんらかの健康影響をもたらすのです。低線量被曝を、医療被曝や自然のバックグラウンド放射線と比較することによって、軽視することは正しくありません。」2011年4月4日
皆様
3月26-27日、ICBUW国際事務所のある英国マンチェスアーでICBUWの運営委員会が開かれ、来年の国連総会に向けての国際的取組み、理論的課題、キャンペーン強化のためのワーキンググループの立ち上げなどについて議論がなされました。
日本の震災、津波、そして福島第一原発のニュースは、イギリスでも随時報道されていて、運営委員会に参加した各国のメンバーは、日本の仲間のことを思い、メッセージを送ってくれました。被災され亡くなられた方々への哀悼と、被災された全ての方々への心からのお見舞いの思いとともに、皆さんに、ICBUWからの連帯のメッセージをお伝えしたいと思います。
日本国内でのICBUWの取組みは、福島原発の危険な状態がまだ収束しない中で、日本政府・外務省への働きかけなどを行うのは事実上困難な状況にあります。これまで回を重ねてきた議員勉強会も、しばらくはお休みせざるをえません。また、ICBUWの日本の賛同者の多くの方々が、すでに福島原発事故の放射能汚染と被曝の問題に関わり、それぞれの地でお忙しくご活動をされていることと思います。
私たちは、日本でのこの事態が中長期化することも見据えながらも、一方で着実に進んでゆく国際的なウラン兵器禁止のキャンペーンとも連携しつつ、ICBUW本来の活動—ウラン兵器の禁止に向けた取り組みと被害者支援—を継続してゆきたいと思います。
下掲のICBUWからのメッセージにもありますように、今、日本で起こっている原発による放射能汚染とウラン兵器とは、いろんな意味でつながっています。放射能汚染とヒバクによる被害をこれ以上拡げさせないために、皆さんとともに努力して行きたいと思います。
「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW運営委員):嘉指信雄、森瀧春子、振津かつみ
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ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)運営委員会からのメッセージ
2011年3月27日 マンチェスターにて
いくつかの大陸から、英国のマンチェスターに集った「ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW)」運営のメンバーは、地震、津波、そして人災である「核の危機」(福島第一原発事故)という、「三重の災難」にみまわれている日本の人々に、心からお見舞い申し上げます。
私たちは、家も家族も失い、そして核の被害に直面している人々のことを深く心配しています。被災された人々、全ての方々に思いをよせています。日本の皆さんが、この困難と悲しみにもかかわらず、お互いに助け合いながら事態を乗りこえようとしておられる姿は、私たちを勇気づけるものです。全世界の人々とともに、私たちも連帯の気持ちを表明したいと思います。
2006年に私たちICBUWは広島で国際大会を持ちました。広島から世界へ、劣化ウランのヒバクシャがメッセージを発しました。私たちは、戦争や核放射線による悲劇のない世界をめざすという、日本の友人たちの考えと信念に非常に感銘を受けました。そして、私たちの願いを「ヒロシマ・アピール」として表明し広めました。
ICBUWはウラン兵器禁止とその被害者支援のために活動しています。劣化ウラン被害者は、戦争による破壊だけでなく、それに加えてウラン兵器による放射能汚染の被害に苦しんでいます。
戦争と自然災害は、質的に違います。しかしながら、核事故(原発事故)による放射能汚染もウラン兵器による放射能汚染のいずれも、人間が生み出した災害であり、人間の手で、その政治的意志によって避けることができるものです。
ウラン兵器は、核燃料の製造過程でできる廃棄物の軍事利用です。米国内で製造された核燃料が日本に輸出され原発で使用されています。このように、日本の原発事故と、米国が使用したウラン兵器とは、いずれも核燃料を通じてつながっているといえます。米国がイラクで使用したウラン兵器によって、人々が放射線にヒバクしています。私たちは、「人間がもたらした放射性物質の使用」という、同じ敵と危険に直面しているのです。
どんな低線量の放射線でも、何年も後になってがんや白血病を引き起す可能性があります。それは事実です。低線量放射線は、直ちに危険を及ぼすとはいえないかもしれませんが、最終的にはなんらかの健康影響をもたらすのです。低線量被曝を、医療被曝や自然のバックグラウンド放射線と比較することによって、軽視することは正しくありません。私たちは、日本で、適切な緊急時の放射線防護対策が、速やかにとられることを望みます。感受性の高い、子どもたちや妊婦を守る配慮がなされるべきです。損傷を受けた原子炉の危機が速やかに収束し、労働者と住民の危険が最小限に抑えられるよう願っています。この「三重の災害」にみまわれている人々が、一日も早く、生活を取り戻し、新たな再出発をできるようになることを願っています。
私たちは、日本の人々とともに、そして被災された方々とともに、放射能汚染の脅威のない平和な世界に向けて、進みたいと思います。そのような世界を享受することは、全ての人々の基本的人権です。私たちは日本から地理的には遠く離れていても、私たちの心はいつも皆さんとともに、被災された方々とともにあります。