「米軍は、湾岸戦争帰還兵の劣化ウラン被曝を懸念していた」—米下院公聴会(7/27)で判明

「長い間、(米国)政府は、・・・湾岸戦争やイラク戦争で使われた砲弾に含まれた劣化ウラン(DU)によってイラク市民や兵士たちが有害な影響をこうむってきていることを否定してきた。
しかし、1993年に、当時の陸軍准将エリック・シンセキ、現在の退役軍人省長官[注:祖父母が日本人の日系三世。なお、祖父母の出身地は広島]により書かれた、今までほとんど知られていなかった国防省メモにより、米国防省は、劣化ウラン汚染を懸念していて、毒性物質に曝露した全ての兵士を検査するよう命じていたことが明らかとなった。
2010年7月28日
マイク・ルードゥウィック、「Truthout(真実を明るみに)」紙
[全文は、右記サイトを参照—— http://bit.ly/b40Cjk ]
以下抄訳——
「議会への報告草稿の検討:米陸軍における、劣化ウランの健康及び環境への影響——行動メモ」(”Review of Draft to Congress – Health and Environmental Consequences of Depleted Uranium in the U.S. Army — Action Memorandum”)と題されたシンセキのメモは、国防省からの、以下のような三つの指示の詳細に小さな修正を加えるものである。
1.劣化ウランに汚染された装備と接触するかもしれない兵士に十分なトレーニングを与えること。
2.湾岸戦争において、劣化ウランに曝露した全ての兵士に対する医学的検査を完全に行うこと。
3.将来の軍事作戦のため、劣化ウランに汚染された装備を復旧するための計画を立てること。
しかしながら、復員軍人省は、医学的検査を決して行わなかった。そのため、何十万という帰還兵たちが、劣化ウラン被曝によって引き起こされたガンや他の病気のための医療的ケアを受けるチャンスを奪われてしまったのかもしれない。[中略]
火曜日[7月27日]、復員軍人省は湾岸戦争関連の病気の診断や治療を今に至るまでずっと怠ってきているという事実が、下院・復員軍人小委員会の公聴会において判明した。この公聴会の場で、帰還兵支援グループのメンバーは、慢性的病気と、湾岸戦争における劣化ウラン被曝との間の関連について包括的調査を行うよう、シンセキに対し強く要請した。[中略]
[1990年-1991年の湾岸戦争に従軍した697,000人の男女の兵士のうち、およそ250,000人が、湾岸戦争症候群と呼ばれる様々な症候をやんでいる。[中略]
今回の公聴会において、帰還兵支援グループVCS(Veterans for Common Sense=常識のための帰還兵たち)事務局長のポール・サリヴァンは、最近数ヶ月、イラクのファルージャからは、先天性障害やガンが急増しているという、大変気がかりな報告が出てきているとも証言した。こうした異常は、2004年に米英軍によって行われたファルージャ猛攻の際に使用された、劣化ウランを含む砲弾が原因となっているのではと推測されている。また、報じられているところによれば、イラクの人権担当官たちは訴訟を準備している。[中略]
またサリヴァン氏は本紙「Truthout」に対し、1993年のメモにおいて指示が出され、実施されるはずだった医学的な諸検査は、あるトレーニング・ビデオが兵士たちを怖がらせたため中止されたのだと、述べた。「計画が引っ込められたのは、トレーニング・ビデオを見た幾人かの兵士たちが、宇宙服を来てガイガー・カウンターを持った兵士が出てくるのを見て、動揺してしまったからだ。敵を殺そうとするには被曝云々のことは無視しなければならない戦場のことを考えると、トレーニングはかえって問題となると軍は考えたのだ」とサリヴァン氏は語った。[以下略]