EU議会・豊田直巳写真展記録冊子

『ウラン兵器の人的被害』(Human Cost of Uranium Weapons)       写真展冊子の予約購入について 今年5月14−16日、ブリュッセルのEU議会で開催されました豊田直巳写真展「ウラン兵器の人的被害」の記録冊子を一部1,500円(送料込み)にてお分けいたします。 56頁(表紙・裏表紙カラー印刷)、収録写真(白黒)全23枚収録。加えて、5月15日にEU議会内で開催された国際フォーラムでの報告要旨(英文)が録されています。 要旨が収録されているのは、イラクのジャワッド・アル-アリ医師、アメリカの湾岸戦争帰還兵ジェラルド・マシュー氏、アメリカのマウント・サイナイ病院のトーマス・フェイジー医師、EUROMIL(ヨーロッパ軍関係者組合連合)のウィム・ヴァン・デン・ブルク氏、それに、ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)の振津かつみ、森瀧春子、嘉指信雄などによる報告・挨拶です。  

劣化ウランによる内部被曝が明らかとなった住民や元従業員の発言

2007年12月5日、ニューヨーク州都オルバニーの州庁舎で開かれた記者会見:右から、ランドール・パリッシュ教授、ジョー・リトーさん(パリッシュ教授の後ろ)、ジョン・アーナソン教授、トーマス・ドネリーさん、トニー・シアルフェロさん、デイヴィッド・カーペンター教授 被曝後20年以上経過した労働者からDU検出—除染作業後も、近隣住宅からDUのチリ—12月5日、ニューヨーク州都オルバニーで記者会見と集会 2007年12月9日 12月5日(水)には、国連総会で、「劣化ウラン兵器使用の影響に関する決議」が圧倒的多数の賛成で採択されたが、奇しくも、同じ日、ニューヨーク州のオルバニーでは、1982年に操業をやめた劣化ウラン兵器製造工場の周辺で今も続く劣化ウラン汚染に関する調査結果が記者会見で発表された。今回の調査を行った科学者チームが調査結果の要点について説明をした後、今回の検査で陽性結果が出た元従業員など4名の被害者が、劣化ウラン被曝を知った困惑、憤りを訴えた。(なお、一人からは、劣化ウランではなく、濃縮ウランが検出。)記者会見室は、マスコミ、被害者、支援グループの人たちなど、およそ30人の人で一杯となった。今のところ、全国レベルでの報道はほとんど出てきていないようだが、今回の調査結果の深刻な意味が理解されるに従い、反響が広がっていくだろうと思われる。 また、午後6時半からは、工場があった地域の中学校で集会が開かれ、元従業員、周辺住民、支援グループの人々など、100名程が集まった。記者会見と同様、科学者グループからの説明、4名の被害者からの発言があった後、質疑応答がもたれたが、内部被曝のメカニズム、地域住民の被害調査に向けた取り組み、まだ残っていることが明らかとなった劣化ウランのほこりをどう除去したらよいのか、等々について、真剣な質問が次から次に出され、この問題への強い関心と憂慮がひしひし伝わってきた。 オルバニーは、ニューヨークの北約200キロのところに位置する、ニューヨーク州の州都だが、その近郊で、「ナショナル鉛産業会社」が、60年代後半より劣化ウランを含む30ミリ砲弾および飛行機のバランサー(平衡錘)などを製造していた。劣化ウランの微粒子が、40キロ以上離れた地点の空気フィルターから見つかったことが引き金となり、1982年2月、ニューヨーク州裁判所からの命令で操業停止となった。しかし、20年以上経っても、元従業員や周辺住民の間では、がんなど様々な健康障害が絶えず、劣化ウラン被曝が問題とされてきた。今回の検査結果は、アメリカ国内における劣化ウラン被曝の実態に光りをあてる画期的なものと言えよう。 嘉指信雄NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)運営委員 [追記: 12/15] オルバニーは、ニューヨークの北約200キロのところに位置する、ニューヨーク州の州都ですが、その隣町のコロニーで、「ナショナル鉛産業会社」の工場が1958年から操業を開始し、劣化ウランを含む30ミリ砲弾および飛行機のバランサー(平衡錘)などを製造していました。しかし、大気中へのウランの違法放出が判明し、1982年2月、ニューヨーク州裁判所から操業停止命令を受け、1984年には完全に閉鎖されました。しかし、20年以上経っても、元従業員や周辺住民の間では、がんなど様々な健康障害が絶えず、劣化ウラン被曝が問題とされてきていました。今回の尿検査の結果により、検査を受けた人の内かなりの割合の人が劣化ウランに被曝していることが明らかになるとともに、周辺の住宅のチリが除染基準を上回る劣化ウランをいまだに含んでいることが判明しました。 今回の検査は、イギリスのランドール・パリッシュ教授と地元のオルバニー大学の科学者たちの協力で実現した試験的なもので、23名が検査対象となっています。そのうち元労働者は5名で、5名全員が劣化ウラン陽性と判明し、周辺に5年以上住んでいた住民18名のうち4名も劣化ウランに被曝していることが判明しました。また今回の報告書は、工場が操業していた1958年から1982年までの間に、少なくとも5トンの劣化ウラン・エアロゾル(煙霧状微粒子)が、10平方キロメートルを越える周辺の住宅・商業地域に放出されたものと推定しています。アメリカ国内における劣化ウラン被曝の実態に光をあてる画期的なものと言えます。研究チームは、地元の市民グループと協力して、さらなる検査を計画しているようです。 今回の記者会見は、科学ジャーナル「Science of Total Environment」(2007)への、パリッシュ教授らの掲載論文「Depleted Uranium Contamination by Inhalation Exposure and its Detection after 20 Years: Implications for Human Health Assessment」に基づくものです。   ニューヨーク州都オルバニーでの集会の詳細記事はこちらをご覧下さい。 記者会見の映像  

国連総会で「ウラン兵器決議」採択/投票結果

2007年12月6日 皆様 すでに速報でお知らせしましたように、12月5日午後(現地時間)、国連総会で「劣化ウランを含む兵器・砲弾の使用の影響に関する決議」が、賛成多数で採択されました。投票の内容は、賛成136、反対5(米国、英国、イスラエル、チェコ、オランダ)、棄権36、欠席(無投票)15でした。(下記のリストをご参照下さい。) この決議を受けて、国連憲章と国際人道法に基づき、「DU兵器使用が人体や環境に及ぼす潜在的に有害な影響を考慮」し、(1)国連事務総長の名において、 国連加盟国と国連関連機関に対し、DU兵器の影響に関する意見の提出を求め、来年の国連総会でその報告を提出すること、そして、(2)来年の国連総会の正 式な議題にDU兵器問題を含めることが要請されます。私たち「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)としても、この決議を歓迎し、「対人地雷」 「クラスター爆弾」に引続き、国際的にウラン兵器禁止の議論を前進させるための大きなステップにしてゆきたいと考えています。 11月の第一委員会での投票の際には反対票を投じたフランスが、今回の総会での投票では「無投票」に転じました。(詳細な背景はまだわかりませんが、フランスの代表は、この決議の投票の場にはおり、この日の午後に行われた他の決議の投票には、全て参加していたとのことです。)前回、棄権したいくつかのNATO加盟国は、国内でのICBUW賛同団体の働きかけにもかかわらず、残念ながら今回も棄権のままでした。 第一委員会での投票には欠席していた非同盟運動(NAM)加盟国のうち9カ国と、NAM加盟国ではない2カ国が、今回は投票に参加し、賛成票を投じました。特に、セルビア(第一委員会では棄権)とボスニア・ヘルツェゴヴィナ(前回は欠席)は、いずれもNAM加盟国ではありませんが、今回賛成票を投じました。ウラン兵器の被害国として、この問題への関心を改めて示したものとして注目されます。 他に、前回は欠席で今回は棄権した国(いずれもNAM以外の国で3カ国)、また、今回の投票には事情があって参加できなかったNAMの国(2カ国)がありました。なお、記録上は、前回、棄権票を投じたカンボジア(NAM)は、第一委員会での投票後、「賛成票を投じるつもりだったが、誤って棄権票を投じてしまった」ことを正式に表明し、今回は、賛成票を投じています。 投票の数日前に、オランダ国会では「賛成票を投じるように」との決議が出されていたのですが、オランダ政府は、前文の「潜在的に有害な影響(potentialharmful effects)を考慮に入れつつ」という文言に難色を示し、結果的には反対の態度を変えませんでした。しかし、総会での決議採択の後、次のように発言しています—ウラン兵器の問題についての調査の必要性を認識しており、国連がこの問題に関心を示したことに感謝する。また、WHOなどの国際機関による科学的調査では、決議で言及されている「潜在的に有害な影響」を支持するような確定的結論は出されていないが、オランダ政府としては、この問題についての現在進行中及び今後の調査を注視し、採択された同決議に従って報告される他の国連加盟国や国際機関の見解を注意深く検討したい、と。 いずれにしましても、国連総会において劣化ウラン決議に関する決議が採択されたのは今回が初めてです。しかも圧倒的賛成による採択です。劣化ウラン問題への、より積極的な取り組みの実現のため、今後も皆さんとともに、国際社会や日本政府への働きかけを、さらに強めてゆきたいと思いますので、ご支援とご協力をよろしくお願い致します。 ICBUW運営委員嘉指信雄 森瀧春子 振津かつみ 国連総会での各国の投票結果: 賛成: Afghanistan, Algeria, Antigua and Barbuda, Argentina, Armenia, Austria, Azerbaijan, Bahamas, Bahrain, Bangladesh, Barbados, Belarus, Belize, Benin, Bhutan, Bolivia, Bosnia and Herzegovina, Botswana, Brazil, Brunei…

国連総会での投票を前に、ICBUWとして急遽、日本政府へ申し入れ

2007年12月5日 皆様 今日(5日)の現地時間の午後に、「劣化ウラン兵器使用の影響に関する決議」への投票が国連総会にて行われます。(12月4日付、嘉指さんの投稿をご参照下さい。)11月1日の第一委員会での決議採択の後、世界各国の「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)のメンバーは、特に第一委員会で「棄権」や「反対」した国々において、それぞれの政府に対し、総会での投票で賛成票を投じるようにとの働きかけを行ってきました。   日本でも、国連総会での投票に先だって、ICBUWとしての日本政府への申し入れを急遽、行いました。本日(5日)午前、ICBUW運営委員の森瀧、振津 が、佐藤真紀さん(日本イラク医療支援ネットワーク=JIM-Net)、社民党福島みずほ議員と秘書の方々とともに、外務省を訪問し、下記の「申し入れ 書」と「世界の科学者からの共同声明」(5日現在67名の科学者の賛同リストを添付)を、軍縮管理軍縮課長の森野泰成氏に手渡しました。 森野軍縮課長は、「劣化ウラン兵器が環境や人々の健康に影響を及ぼす可能性があるとされている問題については、政府としてもきちんとフォローして行くということで、国際機関の報告を注視している。そういう意味で今回の決議案に賛成した。」と、第一委員会での決議賛成の経緯を述べ、総会での投票でも同決議に賛成する意向であることを明言しました。また、「今後のことは検討中だが、新しい要素が出て来る必要があるので、国際機関の報告を注視している。」と述べました。今後の影響評価については、「科学者の共同声明」にある内容についても勘案しながら検討を進めるとも述べました。 ICBUWとしては、これまで日本政府が繰り返し述べてきたように「国際機関の報告を注視する」だけでなく、既存の報告の不十分点を認識した上で、新しい科学的知見や、「予防原則」の重要性も検討し、被害者や被害地域の現状もしっかりふまえて、日本政府としての独自の影響評価を積極的に行うよう要請しました。また、検討にあたっては、国際キャンペーンに取組むICBUWからの情報提供も受け入れ、ウラン兵器禁止に取組む国内外のNGOとも「前向きな対話」をしながら行うよう求めました。 今後、この国連決議に賛成票を投じた日本政府が、どこまで真剣にウラン兵器の問題に取組むのかが問われています。ウラン兵器の危険性を正しく評価するのか否か、国際的な軍縮の課題として、「被爆国日本」としてもその禁止に向けて積極的に関与するのか否か、日本の米軍基地に保管されている劣化ウラン弾をどうするのかなど、引続き、具体的に問うて行きたいと思います。 今後とも、国際キャンペーンと結んで、皆さんとともに、日本政府への働きかけを強めてゆきたいと思いますので、ご支援とご協力をよろしくお願いします。 ICBUW運営委員森瀧春子振津かつみ 劣化ウラン兵器に関する国連決議について日本政府への感謝と要請 2007年12月4日 内閣総理大臣 福田康夫 様 外務大臣   高村正彦 様 私たち「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)は、劣化ウラン兵器の環境と健康への有害な影響を懸念し、同兵器が国際人道法に反する「無差別殺傷兵器」のひとつであると認識し、その禁止と被害者の救済を求める国際キャンペーンに取組むNGOです。現在、日本を含む世界25カ国で、92団体が私たちのキャンペーンに賛同しております。 2007年11月1日に、国連第一委員会で採択されました「劣化ウラン兵器使用の影響に関する決議」の票決において、日本政府が同決議を支持されたことを私たちは心から歓迎し、感謝致します。また、来る総会での票決においても、支持の立場を堅持されるようお願い致します。さらに、決議が採択され、国連事務総長が「劣化ウランを含む武器・砲弾の使用がもたらす影響」に関する見解を加盟国に求める場合には、日本政府として、最新の国際的な科学的調査研究の成果について、独自に、十分な検討を行い、その成果をふまえた報告書を作成して、議論に積極的に参加されますようお願い致します。 同決議は、国連第一委員会において、世界の多くの国々が、「劣化ウランを含む武器・砲弾の使用が人体や環境に及ぼす、潜在的に有害な影響を考慮に入れつつ」(前文第4項)、「環境を保護するため直接的手段を取る必要をより強く認識しているが故に、そうした努力を脅かす事柄に対しては、いかなるものであっても、必要な措置を速やかに講じる必要があると確信し」(前文第3項)、採択されたものです。また、国連憲章と国際人道法に従い(前文第1項)、武器規制と軍縮を進めることの決意(前文第2項)を劣化ウラン兵器の問題においても示したものであると考えます。[周知のように、すでに1996年、「国連差別防止及び少数者保護に関する小委員会」(99年に「人権促進・擁護小委員会と改称」)において、ウラン兵器を、核兵器、化学兵器、クラスター爆弾、生物兵器など並んで「大量あるいは無差別な破壊をもたらす兵器」として批難する決議がなされ、1997年、2002年にも同様の決議が採択されています。] 私達は、この決議が総会においても採択されることよって、劣化ウラン兵器使用の影響について、国連加盟国の中で真剣な議論がなされ、「対人地雷」や「クラスター爆弾」に続いて、劣化ウラン兵器の問題が、国際的な軍縮の重要課題のひとつとして取り上げられ、その全面禁止に向けて国際社会が進んでゆく第一歩となることを期待しています。 劣化ウラン兵器は核兵器ではありません。しかし劣化ウランは、日本の国内法でもその取扱いが厳しく管理規制されている放射性物質です。劣化ウランが兵器として使用され、環境が汚染されつつある現状を重く受け止め、その影響評価について真剣に調査・検討し、これ以上の環境の放射能汚染を防ぐべく努力することは、「被爆国日本」の政府としての国際的責務です。日本政府が、その責務をぜひとも果たされるよう要請致します。 以上、感謝を表明すると同時に、申し入れ致します。 「ウラン兵器禁止を求める国際連合」運営委員嘉指信雄森瀧春子振津かつみ

劣化ウラン決議、国連総会での投票は5日午後3時以降に

2007年12月4日   皆様 12月5日午後、「劣化ウラン兵器使用の影響に関する決議」に関する投票が国連総会にて行われます。午後3時から午後5時(日本時間では、6日早朝、午前5時から7時の間)に予定さえているセッションで、他の決議とともに投票にかけられるとのことです。 すでにお知らせしておりますように、今回の決議案は、NAM(非同盟運動)加盟国によって提出され、11月1日、国連第一委員会(軍縮・安全保障関連)に て、賛成122票の圧倒的多数で可決されています。(日本政府も賛成票を投じ、反対したのは、米国、英国、フランス、オランダ、イスラエル、チェコの6カ 国のみで、35カ国が棄権。) その内容は、(1)国連事務総長の名において、国連加盟国と国連関連機関に対し、DU兵器の影響に関する意見の提出を求め、来年の国連総会でその報 告を提出すること、そして、(2)来年の国連総会の正式な議題にDU兵器問題を含めることを要請するものです。また、前文では、国連憲章と国際人道法に基 づき、「DU兵器使用が人体や環境に及ぼす潜在的に有害な影響を考慮する」ことが明記されています。 第一委員会での可決後、アメリカが各国に圧力をかけているという情報も伝わってきていますが、今日、決議案を起草したキューバの外交官から聞いた話 によりますと、おそらく、第一委員会とほぼ同じ投票結果になるだろうとのことです。キューバは、昨日、NAM加盟国に対し、総会での投票にできるだけ出席 するように改めて要請したとのこと。(第一委員会での投票には、なんらかの理由で欠席せざるを得なかったNAM加盟国が十数カ国あったため。) 明日可決されれば、劣化ウラン兵器問題に関する決議が国連総会で初めて採択されることになり、長い間あいまいな形で片付けられてきた劣化ウラン問題が国連の場で正式に検討されることになりますす。 草々 嘉指信雄ICBUW運営委員、NODU ヒロシマ・プロジェクト代表