中国新聞 2005年5月6日

NY、核関連集会盛ん
広島などの市民グループ

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劣化ウラン弾をテーマに広島の市民グループが開いたワークショップ

 【ニューヨーク5日宮崎智三】米ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に併せ、各国の非政府組織(NGO)が連日、国連ビル内などで核関連の集会を開いている。広島など日本の市民グループも、劣化ウラン弾(DU)やプルトニウム再処理問題などを取り上げ、存在感を示している。

 DU問題を考えるワークショップ(研究集会)を四日に主催したのは広島の団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」と「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」。米国や欧州のNGOメンバーたち約五十人が参加し、米軍がイラクで使ったDUが原因とみられる健康被害を、写真や科学者の証言で指摘した。

 原爆投下直後に大気中のちりを吸い込むなど、これまで被爆地でも軽視されがちだった体内被曝(ひばく)の問題も取り上げ、意見を交わした。

 放射線被害という共通項で原爆とDU問題をつなぐ試み。背景には、核実験や原発事故、DU被害者と、ヒバクシャが拡大する現実がある。同プロジェクトの嘉指信雄代表は「核兵器だけに焦点を限定すれば、現在進行中の放射線被害や汚染を見過ごす」と指摘し、被爆地広島だからこそこの問題を考える役割がある、と訴える。

 米国の「憂慮する科学者同盟」が五日開いたプルトニウム再処理問題の集会には、スピーカーの一人として原子力資料情報室(東京都中野区)の伴英幸共同代表が招かれ、日本が青森県六ケ所村で進める商業用の再処理計画と核拡散の恐れも議題に上った。

 国連ビル内ではほぼ毎日、これらNGO集会が三〜五カ所で開かれ、日本のメンバーたちも積極的に出席して意見を表明。政府代表による演説だけが被爆国の主張ではないことをアピールする機会にもなっている。

(2005.5.6)