2005年5月19日

報告:熱気あふれた劣化ウラン・ワークショップ(国連、5月3日・4日)

               嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト)

                        
 5月2日からニューヨークの国連本部で開催されているNPT(核不拡散)再検討会議に参加して、先週、戻って参りました。
 出発前にお知らせしましたように、今回のNPT再検討会議では、ヒバク問題・劣化ウラン問題をテーマとした、NGO主催のワークショップが二つ開かれました。
 5月3日午前の「劣化ウラン・ワークショップ」(ICBUW主催)と、4日午後の「“ヒバク”(体外および体内)再考―ヒロシマ・ナガサキからイラクまで」(HANWA=「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」・「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」共催)です。(プログラム詳細は、改めて、このメールの一番下に貼り付けましたので、ご参照ください。)
 どちらのワークショップも、多くの方が参加してくださり、熱気にあふれた、大変充実したワークショップとなりました。(3日のワークショップの方は、時間がNPT再検討会議のオープニングと重なってしまっていましたので、参加者数が心配されましたが、収容定員50名程の会議室ではとても収容できない数の方々が来てくださり、途中、会場を大きな会議室に移して続行することになりました。)


反応:NGOニューズレター: News in Reviewsから
   「もう一つの放射性兵器」
   「メガ・サイズの被害を引き起こすナノ・サイズの粒子」
 
 これらのワークショップについては、News in Review(5月末まで続くNPTの会期中、毎日発行されるNGOニューズレター)が、5号と6号で報告記事を、それぞれ、”The Other Radioactive Weapons(もう一つの放射性兵器)” 及び ”Internal Radiation: Nano-sized particles causing mega-size damage(体内ヒバク―メガ・サイズの被害を引き起こすナノ・サイズの粒子)というタイトルのもとに掲載してくれています。
(これらの記事も、できるだけ早く日本語に訳してお知らせできればと思いますが、News in Reviewのバックナンバーは、以前の再検討会議の分も含めて、発行団体であるReachingCriticalWillのホームページにアップされていますので、ご参照ください。
 http://www.reachingcriticalwill.org/legal/npt/nirindex.html
 また、5月2日発行の第一号には、HANWAが出した「ヒロシマのアピール」および「ニューヨーク・タイムズ」への意見広告紙面(4月29日掲載)なども掲載になっていますので、ご覧になっていただけたら幸いです。これらのアピール・意見広告の日本語訳は、HANWAのホームページにアップされています。)

 なお、ご存じのように、今回は、これらのワークショップの他にも、劣化ウラン問題関連のイベントが二つ、ニューヨークで行われました。
 3日午後、国連チャーチセンターで開かれたワークショップ「劣化ウラン被害者の声に耳を傾けて」、および、3日夜、ニュースクール・ユニバーシティで開かれた、「NPT再検討会議参加者歓迎レセプション」(どちらも「国際行動センター」、「劣化ウラン廃絶キャンペーン」、「イラク・ホープ・ネット」などの共催)です。これらの会も、大成功で、特に、3日夜のレセプションには、とても多くの人が集まりました。


 平和大行進

 5月1日の平和大行進、それに続く、セントラル・パークでの集会も、大変感銘深いものでした――前日も雨、当日の朝も雨模様で、心配されたものの、行進開始の正午にはカラッとあがり、国連からセントラル・パークまで、マンハッタンのビル街をたっぷり2時間かけて大行進。色んなプラカードの中、私たちは、「Hiroshima Appeal NO NUKES」- 「Hiroshima Appeal NO DU」-「Hiroshima Appeal NO WAR」と濃い青と赤で描き出された、三幕一組のバナーなどを掲げて歩き通しました。

「ヒロシマ・アピール」(改訂・短縮版) 

 また、「NO DUヒロシマ・プロジェクト」では、文字通り出発間際にギリギリ完成させることのできた「劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール」英語版の「改訂・短縮版」(全8頁:全頁カラー)をニューヨークに持って行ったのですが、セントラル・パークでの大集会でも、ワークショップなどでも、とても好評で、持って行った1600冊は全てなくなってしまいました。(この「ヒロシマ・アピール」(改訂・短縮版)については、近日中に、改めて、お知らせをさせていただきます。)

 ニューヨークでのこうした様々な活動は、できるだけ早く、きちんとした報告にまとめたいと思いますが、とりあえず、ホームページに少しずつアップいたしますので、ご覧になっていただけたら嬉しく存じます。(皆さんにご協力いただきました「ウラン兵器禁止を求める国際署名」や「劣化ウラン兵器禁止と被害者支援を求める緊急アピール」などについては、改めてご報告させていただきます。)

***
[ワークショップ―1]
タイトル: 「劣化ウラン」
主催: 「ウラン兵器禁止を求める国際連合」= ICBUW
       (ICBUW=International Coalition to Ban Uranium Weapons)
日時:5月3日:午前10―午後1時
場所: UN Conference Room E(国連会議室E)
目的:劣化ウラン問題に関する、アメリカ・イギリス・日本などにおける市民運動、ジャーナリスト、専門家、政治家などの取り組みを検討し、被害者支援も含めた今後の国際的キャンペーンの方策を探る。
   
参加者
:ローザリー・バーテル
  (放射能問題に長く取り組んできている疫学者:その業績は国際的に高く評価されており、いくつかの賞を受賞している。最近の著作Planet Earthは、近々、日本語訳が発行される)
:メリッサ・ステリー
  (コネチカット州の湾岸戦争帰還兵。州議会に後遺症を訴えていたが、今年3月、劣化ウラン問題調査委員会が設立されることとなる)
:キャロル・ドゥワイヤー/グレーテル・モンロー
  (劣化ウラン兵器製造工場周辺のコミュニティで草の根運動に取り組んできている)
:クリス・バランス(イギリス・スコットランドの議員。スコットランドでも、劣化ウラン弾射爆場周辺で汚染がずっと問題になってきている。)
:ICBUWキャンペーンについて・・・アメリカ―タラ・ソーントン(軍事毒物プロジェクト)/日本―振津かつみ(ヒバク反対キャンペーン)、福山真劫(原水禁)、嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト)

[ワークショップ―2]
タイトル:「”ヒバク”(体外および体内)再考―ヒロシマ・ナガサキからイラクまで」(Rethinking "Radiation" Inside and Out: From Hiroshima-Nagasaki to Iraq)
  
主催:「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」
   「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」
日時:5月4日午後3時―6時
場所: UN Conference Room E(国連会議室E)
目的:これまで軽視されてきた体内ヒバクの問題も含めて、原爆や劣化ウランによるヒバクの問題について再検討するとともに、国際社会に向けて、核兵器と劣化ウラン兵器の禁止・廃絶を改めて訴える場とする。

参加者
:ヘレン・カルディコット(医師、「核政策研究所」所長:反核啓蒙家としての活動を評価され、多くの賞を受賞。特に、1985年には、ノーベル平和賞候補となる。)
:ロザーリー・バーテル博士(放射能問題に長く取り組んできている疫学者:その業績は国際的に高く評価されており、いくつかの賞を受賞している。最近の著作PlanetEarthは、近々、日本語訳が発行される)
:ジャワード・アル―アリ医師(バスラ・がんセンター所長)
        ・・・スライドを使った代替発表・国際社会へのアピール
:森滝春子(NO DU ヒロシマ・プロジェクト)
        ・・・イラクから持ち帰ったサンプルの分析結果の報告など)
:振津かつみ(放射線学者/ヒバク反対キャンペーン)
        ・・・チェルノブイリなどでの被害、および支援活動など
:佐藤真紀(日本国際ボランティアセンター/CADU-Japan)・・・イラクへの医療支援活動
:豊田直己・・・イラク戦争の写真プリゼンテーション
:岡本三夫(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会)・・・まとめの言葉
:嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト)・・・コーネディータ

(なお、森住卓さんと鎌仲ひとみさんにも、参加していただく予定でしたが、残念ながら、色々な事情で都合がつかず、ジャーナリストとしては豊田直己さんお一人による参加となりましたが、とても印象深いプリゼンテーションでした。)