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内閣総理大臣 小泉純一郎 様
外務大臣 川口 順子 様
防衛庁長官 石破 茂 様

第九条の会ヒロシマ 代表世話人 岡本三夫
(広島修道大学教授)

  イラクで拘束されている3人の命を守ることを最優先にして下さい。
  イラク特措法に基づき、戦闘地域となったイラクから自衛隊を即時撤退させるよう求めます


 4月8日、イラクで今井紀明さん、郡山総一郎さん、高遠奈穂子さんが拘束されました。犯人グループは「3日以内に自衛隊が撤退しなければ3人を殺害する」との声明を発表しています。

 米英占領軍後方支援としての自衛隊イラク派遣が、イラクの人々に寄り添い、支援活動をしている NGOなどの人々の活動を妨げ、且つ、危険にさらすことが懸念されていましたが、現実のものとなってしまいました。丸腰の民間人への武器を突きつけた拘束は決して許すことはできません。しかしイラクに自衛隊派兵をした日本政府が責任があることも確かです。

 小泉首相は「自衛隊を撤退させる考えはない」、福田官房長官は「撤退する理由はない」と言っていますが、イラク特措法にも「非戦闘地域に限り派遣する」と明記されています。イラク戦争は泥沼化しており、サマワの自衛隊基地の近くにまで砲弾が打ち込まれるなど、イラクのどこもが戦闘地域になっている今、「戦闘地域に派遣しない」という自衛隊派遣の前提さえもすでに大きく崩れているのではないでしょうか。

 一刻を争うこの事態で人質にされている人たちを見殺しにするようなことは絶対に許されません。このまま政府が自衛隊をイラクに駐留させ続けると、今回のようにイラクで復興支援のために活動している民間人だけでなく、自衛隊員自身の生命をもいたずらに危険にさらすかもしれません。報道によると「自分たちの存在が、イラクの人たちのためにならないならば帰った方がよい」とさえ言っている自衛隊員もいるようです。改めて自衛隊の撤退を強く求めます。

 今、自衛隊を撤退させることは、決して「テロに屈する」ことではありません。イラクの現状況を見極め、法律に基づく正当な決断であり、イラクの人々の日本への信頼を取り戻すことにもつながるものです。そしてそれがイラクの混乱を沈めるきっかけになるのではないでしょうか。

 だれの命もかけがえのない重いものです。イラクで拘束されている3人の命を守るために、自衛隊をイラクから即時撤退させて下さい。そして日本政府が軍事占領をやめさせる話し合いのテーブルを用意して下さい。それがイラクの人たちが自分たちの力で復興することのできるプロジェクトを立ち上げるための支援となるよう強く求めます。
2004年 4月9日

藤井純子  第九条の会ヒロシマ
E-mail fujii@jca.apc.org
HP http://www.jca.apc.org/~fujii/index.htm