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Responses from abroad 1
バグダッドのバスマン・アル-ジャレリさんから



「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」代表の嘉指です。
 
 下記の文章は、本日、4月11日夕刻、バグダッドのバスマン・アル-ジャレリさんから届いたメールを訳したものです。アル-ジャレリさんは、写真家の豊田直巳さんなどの通訳をされたことがあり、高遠菜穂子さんの活動もよくご存じの方です。昨夜、豊田さんの依頼で、アル-ジャレリさんに国際電話をかけました。それは、高遠さんが親しくしていた「ストリート・チルドレン」をできるだけ早く見つけ出して、バグダッドのテレビ局に連れていき、子どもたち自身に、高遠さんがどんな活動をしていたのか、イラクの人たちに向けて訴えてもらえないか、お願いするためです。何度目かの電話でようやく掴まり、電話口に出て来られたアル-ジャレリさんは、すぐにこちらのお願いの趣旨を理解してくださり、「今すぐ動きます。全力を尽くします」と言ってくださいました。
 幸いにも、それから数時間後、日本の深夜、「人質解放声明出される」のニュースが流れましたが、今日アル-ジャレリさんから届いたメールには、改めて、高遠さんの活動がどんなにイラクの子どもたちに喜ばれていたか、また、アル-ジャレリさんのようなイラクの一般の方が、今回の事件をどんな風に受けとめているのか、日本や日本人に何を求めているのかが、とてもはっきりと表れていると思いますので、翻訳してお伝えする次第です。三人が無事解放されるよう、あらゆる方法で懸命の努力をされてきた全国の人々にぜひお伝えしたいメールです。(なお、文中に言及されています高遠菜穂子さんの写真は、添付ファイルを忘れたのか、メールには付いていませんでした。)

 「解放」の事実が一刻も早く確認されることを祈りつつ。  草々

***
「拝啓
 まず、解放されるとのニュースが流れたこと、とても喜んでおります。次に申し上げたいのは、私へのお礼など全く必要ないということ、なぜなら私は、一人の人間として、またイラク人として当然のことをしようとしただけですから。
 どうぞ、(拘束されてしまった三人の)ご家族の方々や全ての日本の方々に宜しくお伝えください。私は、今回起きたことが、イラク人と日本人の間の良い関係に何ら影響を及ぼすことのないことを望みます。そして、占領を支持することのないよう、あなた方の政府に言ってください。
 また、広島の(反劣化ウラン)グループの努力に敬意を表します。
 このメッセージには、私がテレビ局を通じて放送しようと試みたナホコの写真何枚かを添えて送ります。豊田直巳さんに宜しくお伝えください。あなたやナホコさんに会えることを楽しみにしています。
 私は、ナホコさんが助けていたストリート・チルドレンの一人を見つけました。この少年は、彼女のためなら何でもするつもりだ、そして、「彼女の代わりに僕を人質に取ってくれ」とまで言いました。

 追伸:もっと早く連絡しようと思ったのですが、電気や安全上の理由でできませんでした。
 日本の全ての人々にお詫び申し上げます。 
                 敬具  バスマン・アル-ジャレリ」

***
英語原文

Dear sir
First of all I want to congratulate you about the news for the release .
Then I want to tell you that you don't need to thank me at all because I only did my duty as a human and as Iraqi person .
Please give my regards to their families and all Japanese people and I hope that what happened would never influence the good relationship between Iraqis and Japanese , and please try to tell your government not to support the occupation.
Also best regards to Hiroshima group (anti DU) for their efforts.
With this message you will find some photos of Naoko which I was trying to broadcast through the T.V.
Best regards to you and to Mr. Naomi Toyoda and I wish to meet you and also Miss Naoko.
I met one of the street boys which she used to help and he said that he is ready to do anything for her even he said ((((Let them take me instead of her))))

Notice::
I could not get connected with you earlier because of electricity and security conditions My appologize for all japanese people.
Yours
Bassman Al-Jalely



-----Original Message-----
From: Kazashi [mailto:horizons@cc22.ne.jp]
Sent: Tuesday, April 13, 2004 4:26 AM
To: nodu
Cc: cpnodu
Subject: [noduproject][01395] 高遠さんとイラクの子どもたち(2)

 下記の文章は、本日、4月13日、零時過ぎ、バグダッドのバスマン・アル-ジャレリさんから届いた第二信を訳したものです。

 (昨日のメールにも書きましたように、アル-ジャレリさんは、写真家の豊田直巳さんなどの通訳をされたことがあり、高遠菜穂子さんの活動もよくご存じの方です。 一旦「24時間以内に解放」のニュースが流れましたが、事態が再びきわめて危惧されるものに変わってしまったため、再び、アル-ジャレリさんに、高遠さんが助けていた子どもたちをできるだけ早く見つけ出して、バグダッドのテレビ局に連れていき、子どもたち自身に、高遠さんがどんな活動をしていたのか、イラクの人たちに向けて訴えてもらえないか、お願いしました。以下は、アル-ジャレリが、昨日どんな風に動いてくださったのか、また、明日どんな行動を計画されているのかの報告です。
 
 昨日のメールと同様、今回のメールも、人質になっている三人のご家族や、心配されている全国の人々にぜひお伝えしたいメールですので、全文を訳してみました。
  「解放」が一刻も早く実現されることを祈りつつ。  草々
       嘉指信雄「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」代表
***
今日、私は、施設で少年たちを見つけようと試みました。少し努力して、幾人かの少年がいる場所を見つけました。世話係の人たちに私に手を貸してくれるように頼み始めました。彼らは「菜穂子に同情していますが、こうした訴えのために少年たちを衛星テレビに連れていかせることはできない」と言いました。彼らが挙げた弁解は次のようなものです。1.少年たちはカメラを怖れている。2.彼らを政治に関わらせることはできない。3.彼らにとって安全でない、等々です。結局、交渉は一時間半続きましたが、駄目でした。世話係の人たちは、「菜穂子に感謝しているのですが、こちらの願いを受け入れることはできない」というのです。
私が、「少年たちに聞いてみては?」というと、彼らは言いました―「少年たちはいいというだろうけど、彼らにとって何が最善かは私たちが知っている。だから、願いを聞き入れることはできない」と。しかし、後から、世話係の人たちは、彼ら自身がターゲットになるのではと怖れているのだと分かりました。なぜなら、彼らの施設はNGOなので、防御がないのです。いずれにせ、彼らの考え方は狭いと思います。その後、私は彼らに、彼らの施設に入っていない他の少年たちを見つけだすのを手伝ってくれないか、と頼みました。「OK、少年たちに聞いてみましょう」と言ってくれました。
ちょうどその時、少年たちの一人が入ってきて、全ての事情を理解しました。そして、少年は、「僕らは、彼女が解放されたと聞いて、とっても嬉しかった」と言いました。私が、「いいや、彼女はまだ解放されていないんだよ」と言うと、「どうしたら彼女を助けられる?彼女は、本当に僕らを助けてくれた。彼女は、僕らの何人かのため、よく洗濯さえしてくれた。僕らをいろんな所に連れて行ってもくれた。私は言いました―「よし分かった。君らの他の仲間はどこにいるか教えてよ。」彼は、他の少年たちの名前を教えてくれました。「マジド、ムタール-ハイダール、モハマド-アリ、フセイン-ドゥヒア、モハマダ-モハメド、フセイン-ハイダル、シェメーン」「君の名前は?」「モハメド・サードゥーン」私は、他の少年たちを探し始め、実際、一人見つけました。彼の名前は聞きませんでしたが、アルジャジーラ衛星テレビの前でアピールをするため連れていけるように、バグダッド時間で明日の朝10時、他の少年たち全員をどこか一個所に集めるよう頼みました。

「少年たち全員が喜んで助ける」と彼は言いました。)私は、必ず成功して、誘拐犯人たちの同情をかちとることを願っています。日本の方々に申し訳なく思っております。
バスマン アル-ジャレリ
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メールの英語原文
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Today I tried to find the boys at the institute, and, after some efforts, I found the place where some of the boys are. I started to ask the corresponding people to support me. They sympathize with Naoko, but they cannot let me take the boys to any satellite channel for such demonstration. They gave the following excuses.
1- The boys are afraid of cameras.
2- We cannot let them participate in politics.
3-It is not safe for them, and many other reasons.
Any way the negotiation continued for 1.5 hour, but it was useless. They are grateful for her, but they cannot accept. When I said: Ask the boys??, they said ((( They will say yes, but we know their best, so we can not accept))) 
but later I discovered that they are afraid that they could become the target ((corresponding)) because they are NGO and they don’t have protection. Anyway I think they are limited in thinking. They said OK we will ask the boys.
just in that time one of the boys came in and he understood the whole thing, and he asked (((we were very happy we heard she was released)) ((no she was not))how can I help her .. she really helped us a lot she even used to wash for some of us.. she took us in some trips -O.k tell me where can I find the rest of you??
he gave me other names((Majid Mutar-Haydar Mohammad-Ali Husain-Dheaa mohammad-Mohammed husain-Haydar shmen)) what is your name??
Mohammed Saadoon
I started looking for the other boys and really found one (I did not get his name and asked him to collect all the other boys in some place for tomorrow at 10 am Baghdad time to take them for a demonstration in front of Al-Jazeera satellite channel. he said all the boys are ready to help. ( I hope I Will succeed in that and get the sympathy of the kidnappers.
sorry for Japanese people

Bassman Al-Jalely




-----Original Message-----
From: Kazashi [mailto:horizons@cc22.ne.jp]
Sent: Sunday, May 30, 2004 11:09 PM
To: noduproject@yahoogroups.jp
Subject: [noduproject][01712] バグダッドからのメール/本当に誠実な「抵抗する人々」はジャーナリストを殺したりはしない

 [転送・転載歓迎。重複受信される方ご容赦ください。]

 一昨日、バグダッドのバサマン・アル-ジャレリィさんから下記のようなメールが届きましたので、翻訳して皆さんにお知らせします。(少し意を取りにくいところもありますが。)
[アル-ジャレリィさんは、高遠菜穂子さんたち三人の日本人がいまだに拘束されていた頃、写真家の豊田直巳さんの依頼で、高遠さんが助けていたストリート・チルドレンを見つけ出すのに奔走してくれた方です。そして、「ナホコのためなら何でもするつもりだ、彼女の代わりに僕を人質に取ってくれ」とまで言う子どもたちを見つけてテレビ局に連れて行き、イラクの人々に直接訴えさせてもらえるようにと掛け合ったりしてくれた方です。詳しい経緯については、「ヒロシマ・プロジェクト」ホームページを参照ください。]

***

2004年5月28日

親愛なる友人へ

  サマワ[マフムディア]の近くで二人の日本人ジャーナリストに起きたことを聞いたばかりで、とても申し訳なく思っています。でも、少なくとも彼らは自分の使命を果たしている時に亡くなったので良かったのではと思います。私たちモスレムは、こうした人たちを「シャヒード=殉教者」と呼びます。
  イラクは、あらゆる種類の諜報組織やテロリストが自由に動き回れる場所になってしまっているということを分かってください。彼らは、「抵抗」の名の下にしたい放題をしています。そのため、本当に誠実な「抵抗する人々」は、たとえアメリカ人であったとしても決してジャーナリストを殺したりはしないということを、誰も証明することができない状態になってしまっています。 何故なら、彼らは、「アメリカ製の自由」の名の下にイラクで一体何が起きつつあるのかを世界に示すためなら誰にでも手をかけるのです。
 ありがとう。       バサマン・アル-ジャレリィ


[英語メール原文]

Dear Friend

I have just heard about what happened for the 2 Japanese journalists near Samawah and I am very sorry for that but any way I am happy for them because they died during their duty and we call that for Muslims “Shaheed.”
Please try to understand that Iraq became an open field for all kind of intelligence and terrorist which are using the cover of “resistance” to do what they want to do and no one can prove that the real honest resistance people would never kill a journalist even if he is American, because they need everyone to show the world what is really going in Iraq under the cover
of “American ready made freedom.”        Thank you
               Bassaman Al-Jalely