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今井紀明さんのドイツでの紹介の翻訳

----- Original Message -----
送信者 : "Taichiro Kajimura"
宛先 : <uketugu@yahoogroups.jp>
送信日時 : 2004年5月7日 23:43
件名 : [uketugu] 今井紀明さんのドイツでの紹介の翻訳

みなさま、

昨日、ドイツのNHKにあたる公共テレビ放送が、今井紀明さんの近況をニュースで伝えました。
以下、そのテキストの翻訳と解説です。

必要であれば転送転載していただいて結構です。

よろしく

梶村
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ドイツ公共テレビ第一放送(ARD)のニュースの翻訳と解説

1)2004年5月6日午後8時および10時30分のニュースで放送されたナレーション部分の翻訳です。
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タイトル:「日本:元イラク人質に思いやり無し」
      
  マリオ・シュミットARD極東特派員、札幌発

本文:日本の北の札幌です。街はずれの自宅に18歳の今井紀明君が座っています:


「私は自分の国で囚人のように感じています」と彼は言います。4月に彼の姿が世界中に報道されました。彼と、あとふたりの日本人がイラクの誘拐犯の手に落ちたのです。誘拐犯は日本人が兵士を撤退させなければ、生きたまま3人を焼き殺すつもりでした。一週間後に3人は解放されました。

 ところが、人質になったショックに次がすぐに続いたのです:彼と他の人質が日本国内でおびただしい非難に埋もれているのです。それに加えて日本政府は6000ドルの帰国航空運賃まで請求しています。「私が解放の直後、日本での反響を知ったときには信じられませんでした。全く絶望して、最初の数日は玄関を一歩も出られませんでした。」


小見出し:何千もの不親切な手紙

 今井紀明君は平和のイニシアティブのためにイラクに入りました。一週間にわたり、アメリカの劣化ウラン弾の証拠を捜し、アメリカの爆弾の影響を記録しようと望んだのです。彼は他の二人、社会福祉活動家の女性とフリーのジャーナリストと同じように独力で出発しました。ところが叱責があらゆる方向から来ているのです:政府、メディア、そして住民達からです。彼の両親の家の居間には手紙が積み重なっています。

 毎日のように手紙が来て、それに多くのE・メールを加えると1万通を優に越えています。全部にではありませんが、すさんだ悪口が多く含まれています。いくつかの例です:「おまえ達は日本の恥だ。日本の政府と兵士に謝罪せよ!」または、「税金を返せ、寄生虫、低能、軽率な馬鹿者」、最も多い非難は:「紀明とその他の人は政府が(危険を)勧告しているにもかかわらずイラクに入った。その軽率さがイラクに派遣されている日本の兵士の貢献を危うくした。政府はそれでなくとも難しい情勢にあるのに、彼らによってさらに問題を持つことになった。」というものです。


小見出し:これまで市長にだけは謝罪

 何日間も紀明は食事がのどに通りませんでした。日本に帰ってから、彼には発疹ができ、同じ人質であった高遠菜穂子さんは一時病院に入らねばなりませんでした。圧力が大きすぎたのです。政府もまた非難の合唱に調子を合わせています。たとえば、小池百合子環境大臣は、イラクに入った決心を「無責任だ」と言いました。しかし紀明君は今日にいたってもそうは思っていません。彼は、彼らのために配慮した彼の市長だけには、全く日本的に、掛けた心配に謝罪はしました。しかし国民と政府に対して、それをしようとは彼は望んではおらず:「多分、私はイラクの危険性に間違った見通しを持ったのでしょう、でも、そこに行く義務があると感じていたのです。危機にある地域の生活を記録しようとすれば、危険であっても、また自国政府が警告しようとも、その場所にいなければなりません」といいます。日本のジャーナリストたちも外務省から、攻撃される心配があるので出国するように警告されています。

 いろいろな平和運動のイニシアティブの仲間達は人質達の側に立ちました。NGO、独自に環境や平和プロジェクトを追及している諸組織は、日本では数が少なく、多くの日本人の理解を得ることは少ないのです。特に平和運動の活動家たちは、外務省の業務に干渉する共産主義者だとされ、あっさり片づけられてしまいます。紀明君の家族はしっかりと彼を支えています。家族はすでに人質事件の最中から他の日本人から悪く言われたのです。お母さんの今井直子さんは:「私の息子がイラクに自己責任を示して、真剣に打ち込んだのは正しいと思います。でも今はあまり何も出来ません。私たちは一緒に乗り越えねばなりません。耳を貸さないのが一番でしょう。手紙の中には私たちを励ますものも沢山あります。それが私たちの精神的支えになっています。」と述べています。


小見出し:数分間の外出

 その間に多くの日本人は、人質達がどれほどの叱責に曝されなければならなかったかに驚いています。毎日、同情の手紙も今井家に届いています。例えば「こんなに勇気のある、若い日本人がいることは私たちの喜びです」と書いてあるものです。非難される恐怖にもかかわらず、紀明君はしだいに人々の中に毎日数分間ずつ外出する勇気を得ています。彼が希望しているのは、いつかまたふたたび普通の生活が送れるようになることです。イラクへの再帰もあり得ないことではありません。


(訳責は梶村太一郎にあります。原文は2004 tagesschau.de:
http://www.tagesthemen.de/aktuell/meldungen/0,1185,OID3254572_TYP6_THE_NAVSPM1_REF1_BAB,00.html
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2)訳者解説

 ドイツの公共テレビの全国放送は第一放送ARDと第二放送ZDFのふたつがあり、それぞれニュース番組があります。訳出した今井紀明さんのニュースは5月6日の夜のニュースで2度にわたり放映されました。また時間をずらして地方放送の第三放送でも全国で繰り返し放映されます。視聴率はそれぞれが通常20%前後です。周辺のドイツ語圏諸国でも視られており影響力が最も高いドイツ語のニュース番組のひとつです。
訳文のなかの小見出しはテキストだけに付けられているもので、実際には放送されていません。

映像は、今井家の居間で紀明さんとお母さんに直接インタヴューするかたちで行われており、事件当時の報道映像なども交えながら構成されています。最後の場面は紀明さんが商店街の人込みの中をひとりで速足で歩いているところです。

事件当時ナイフを突きつけられた脅迫の場面はドイツでも繰り返し放映されており、視聴者に強烈な印象を遺しているため、素顔の紀明さんの無事な姿に「よかった」と胸をなでおろす人は非常に多いと思われます。(脅迫場面が日本で放送されておれば、人質と家族に対する極端なバッシングもあれほどにはならなかったのではないかと思われます。日本のメディアは深刻に反省すべきです。)
以上簡単な解説を付けました。

また、ご覧になった方にお願いがあります。「自己責任」を合唱した政治家達、メディアにも是非以上の翻訳を参考として転送してあげて下さい。
日本の市民運動には思いやりがありますから。(ベルリン・梶村太一郎)

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     中国帰還者連絡会WEBサイト
     http://www.tyuukiren.org
    撫順の奇蹟を受け継ぐMLのサイト
  http://www.egroups.co.jp/group/uketugu/
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