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【報道と人権:フジテレビ「ニュースJAPAN」人質脅迫映像20日放映に厳重抗議】

2004.4.21
前田丈志

-----Original Message-----
From: 前田丈志 [mailto:maeda@iwanami.co.jp]
Sent: Wednesday, April 21, 2004 11:48 AM
To: NO DUヒロシマML
Subject: [noduproject][01530] 【報道と人権:フジテレビ「ニュースJAPAN」人質脅迫映像20日放映に厳重抗議】

拉致被害者の保護・救済に尽力されている関係者のみなさまに深く敬意を表したく思います。

2004.4.21
前田丈志

【報道と人権:フジテレビ「ニュースJAPAN」人質脅迫映像20日放映に厳重抗議】

昨夜20日にフジテレビ「ニュースJAPAN」で放送された「人質脅迫映像」放映直後に、フジテレビに電話で厳重抗議しました。以下、要点をお知らせします。

1.放送内容

事件発生以来、各局が放送を控えていた「人質脅迫映像」を放映、松本方哉キャスターは、「アルジャジーラに犯人から送られてきた映像は、演出されたもので日本政府はそれを見抜いていた」とコメント。和田圭解説委員は、「こうした犯人の脅しに屈して世論にに乗せられて小泉政権が自衛隊を撤退させていれば、安全保障上の国益を失うところだった」とコメントしました。
(注:私の記憶によるので、表現・字句は要旨を伝えたものです。)


2、問題点とフジテレビ「ニュースJAPAN」担当者の電話回答

・今朝21日の産経新聞朝刊は、一面トップで「3邦人人質ビデオの未公開映像を解析」との記事を掲載しており、昨夜のフジテレビ「ニュースJAPAN人質脅迫映像」放映と連動した世論操作の可能性が考えられます。

●前田・発言
・拉致被害者は、複数の医師からPTSD(心的外傷ストレス障害)と診断されている。ようやく帰国して自宅に戻ったばかりであり静養が必要とされる状態にある。

・被害者に関する報道につていては、「放送倫理規定」からみても最大限の人権尊重が求められている。

・フジテレビ「ニュースJAPAN人質脅迫映像」放映は、被害者・家族に PTSD(心的外傷ストレス障害)のフラッシュバックと呼ばれる症状悪化 を引き起こす危険性がある。

・被害者本人が、外国にいる段階ではなく、国内に戻った状況では 公共の電波で「人質脅迫映像」を放映することは、放送にによる人権侵害 を引き起こす可能性があり、控えるべきであった。

・フジテレビは、どういう意図で「人質脅迫映像」を放映したのか。また、 拉致被害者の人権侵害の危険性があると思うか。報道内容に対する 「自己責任」をどうとるつもりなのか。

・フジテレビの報道責任者である報道局長の氏名、「ニュースJAPAN」 の番組責任者であるプロデューサーの氏名を教えてください。

・「放送と人権等権利に関する委員会(BRC」)に救済申し立てするような案件 になりうる内容だと思います。
(放送番組による人権侵害を救済するため、1997年5月にNHKと民放により設立された「第三者機関」)


●フジテレビ「ニュースJAPAN」担当者の応答

・事件発生当時は、「人質脅迫映像」の放映は控えていた。
 理由は、@犯人の脅しに屈しない  A家族への配慮 であった。

・15日木曜日から、人質が解放され事件が解決したので 「人質脅迫映像」の放映に踏み切った。
 理由は、@事件が解決した  A事件の背景に迫るために必要と判断した

・既に他局でも、「人質脅迫映像」を放送したテレビ局はある。

・被害者の状態やPTSD(心的外傷ストレス障害)については、分かっている。

・事件解決前には、「家族への配慮」の理由があるのに、事件解決後の理由に 「被害者への配慮」が理由にないのは、なぜかは答えられない。
 
・担当者個人の意見や氏名は、言えない規則になっています。

・フジテレビ報道局長:小櫃(びつ)真佐己氏
「ニュースJAPAN」番組プロデューサー:山本周氏
 フジテレビ解説委員:和田圭氏
 フジテレビ・キャスター:松本方哉氏

・放送についてのご意見は、「フジテレビ視聴者センター」にお願いします。
 放送と人権についてのご異議は、「フジテレビ広報室」にて受けることに なるかと思います。
 ●フジテレビ代表電話番号 TEL03−5531−1111
 
・貴重なご意見ありがとうございました。お話は分かりましたので局側に 伝えるようにします。これで電話を切らせていただきます。


3.放送の背景および今後の対応

・フジテレビ担当者が、人質解放後の15日に「人質脅迫映像」を放映すると 局側の判断を変えたとの発言は、注目すべき事実です。政府・与党関係者と 産経新聞、読売新聞、日経新聞、週刊新潮、週刊文春などの保守系 マスコミが「自己責任論」一斉に主張し始めた時期と一致しており、 自衛隊撤退論の世論を抑える意図が働いたと考えられます。

・まずは、「犯罪被害者の人権尊重」こそ優先されるべき事柄と思います。

・マスコミ報道の人権侵害に対しては、市民の側からのチェツクが必要です。

 
●放送番組による人権侵害を救済するための「第三者機関」 「放送と人権等権利に関する委員会(BRC」)の活動を紹介します。
 http://www.bro.gr.jp/index.html
 
 BRCは名誉・プライバシーなどに関わる人権侵害を審理します

放送局の個別の放送番組によって生じた人権侵害苦情申立人と放送局との間で話し合いがつかない状況にあるもの放送のあった日から3か月以内に放送局に申し立てられ、かつ、1年以内に「BRC」に申し立てられたもの原則として人権侵害を受けた個人または直接の利害関係人が申し立てるもの

個別の番組でなく、放送全般に対する苦情
裁判で争っているもの
損害賠償を求めるもの
NHKと民放連加盟社の放送番組以外のもの
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放送番組によって人権等が侵害されたと思った時は、その放送を行った放送局に苦情の申立てをしてください。苦情は、まず放送局が真剣に受け止め解決に当たります。
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放送局との話し合いで問題が解決せず、BRCの審理を求めたい場合、電話・ファックス・郵便などの方法でその内容を示していただきます。
苦情内容が、BRCで取り扱う範囲のものであれば、事務局から「権利侵害申立書」を送ります。必要事項を記入し返送していただきます。
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BRCは、苦情の内容を検討し、審理の対象とするかどうかを決定します。
BRCは、苦情申立人、放送局側から提出された資料(放送テープなど)を基に審理し、必要に応じて双方の出席を求め意見を聞きます。
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審理の結果を、「見解」あるいは「勧告」としてまとめ、当事者に通知するとともに公表します。BRCは審理結果を当該放送局に放送するよう求めます。
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〒102−0094
東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館7階