「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」
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中国新聞 2005年11月2日

元米兵、あすウラン弾被害で講演 '05/11/2

 劣化ウラン弾による健康被害を訴えている元米兵ジェラルド・マシューさん(31)の講演会が三日午後五時から、広島市中区の原爆資料館東館である。市民団体「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」と「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」が主催する。

 マシューさんは二〇〇三年四月、軍用トラック運転手としてクウェートに派遣され、イラク南部の基地から使用済み兵器を回収するなどの業務に携わった。間もなく頭痛や顔のむくみがひどくなり、九月に帰国。尿検査でウラニウムが検出された。〇四年六月に生まれた長女に身体障害があり、マシューさんは劣化ウラン弾被害を訴える活動を始めたという。

 講演会には妻ジャニスさん(31)も加わり、健康被害の実態を伝える。米政府に補償を求める取り組みへの支援も訴える。

 ヒロシマの会の森滝春子共同代表によると、マシューさんがいた場所の近くで自衛隊が活動しているという。資料代千円。森滝さんTel090(9064)4705。




毎日新聞 2005年10月29日

イラク戦争:深刻な劣化ウラン弾被害、米帰還兵が講演−−中区で来月3日 /広島

 ◇偏頭痛に苦しみ、我が子にも障害

 湾岸戦争やイラク戦争で米軍が使用した劣化ウラン弾の人体や環境への被害について来月3日、中区の原爆資料館で講演するイラク戦争の帰還兵、ジェラルド・マシューさん(31)=米・ニューヨーク=は、現在も激しい偏頭痛に悩まされているだけでなく、帰還後に生まれた女児(1)も右手の指が3本しかないという障害がある。マシューさんは「劣化ウラン問題は全く知らされていなかった。裏切られた気持ちだ」と憤っているという。

 マシューさんは、イラク戦争終結後のイラクに派遣され、クウェートからバグダッドまで補給品を運搬するトラック運転手を務めた。だが、しばらくして偏頭痛に襲われるようになり、03年9月に帰国した。その後、障害を持った女児が生まれたので検査すると、マシューさんの尿から劣化ウランが検出された。

 講演会を共催する「NO DUヒロシマ・プロジェクト」(嘉指信雄代表)によると、帰国後に体調を崩した米兵約10人中、4人から劣化ウランが検出されたという調査結果もあるという。マシューさんらは米国防総省に補償を求め、訴訟も検討しているという。マシューさんは劣化ウランの被害をより多くの人に知ってほしいと、長崎、大阪、東京でも講演を予定している。

 嘉指代表は「体調不良を訴えた帰還兵には、イラク戦争終結後のサマワに派遣されていた人もいる。劣化ウランの危険性を認識しながら、米政府に追随して自衛隊のイラク派遣を続ける日本政府の無責任さは明らかだ」と批判している。午後5時〜同8時。資料代1000円。【田中博子】

毎日新聞 2005年10月29日




2005年10月26日

劣化ウラン弾:被害訴え、元米兵が講演会−−来月、原爆資料館で /広島

 イラク戦争に従軍後に生まれた娘が先天性異常を持ったことから、「劣化ウラン弾による被害」と訴える元米兵、ジェラルド・マシューさんの講演会「兵士として、親として劣化ウラン被害を訴える」が来月3日午後5時から、中区中島町の原爆資料館地下会議室である。資料代1000円。

 マシューさんは米軍輸送部隊員としてイラクに赴き、被弾した戦車の部品などを運んだという。03年9月、体調不良で帰国。今年6月に右手が不自由な娘が誕生。マシューさんの尿からは劣化ウランが検出された。

 主催する「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」の嘉指信雄代表は「米兵にも劣化ウラン弾による被害が出たと聞き、自衛隊をイラクに派遣している日本も無縁ではないと知ってほしい」と話す。問い合わせは森滝さん(090・9064・4705)。【遠藤孝康】

毎日新聞 2005年10月26日




2005年10月22日

高遠菜穂子さん:昨年イラクで拘束、その後の支援活動を報告−−中区で講演 /広島

 ◇「無実の民間人も犠牲」

 昨年4月、イラクで人質として拘束された高遠菜穂子さん(35)が、このほど中区中島町の原爆資料館で講演した。拘束事件後も、ヨルダンと日本を行き来してイラクへの支援を続けていることを報告。米軍が掃討作橇展開したイラク・ファルージャでの惨状を、入手した映像を交えながら紹介した。

 「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」が主催。高遠さんは「命に国境はない−報道の見えない壁の向こうで、イラクでは何が起きていたのか」と題して講演した。

 高遠さんによると、ファルージャでは当初、空爆で身内を失った遺族が米軍に反抗していたが、昨年春ごろ、外国人武装勢力が侵入して米軍への攻撃を開始し、混乱が増したという。高遠さんは「地元住民は、無差別に爆撃する米軍と無差別に爆弾をしかける外国人武装勢力に苦しめられている」と訴えた。

 さらに、イラク人や欧米のジャーナリストが撮影したイラクの様子として、結婚式会場への米軍の空爆や、ファルージャ掃討作戦の犠牲になったイラク人を撮った映像を流し、「イラク人死者は2万とも3万ともされる。検問所で撃たれて死ぬ無実の民間人も多く、現在でも多くの避難民がヨルダンに流れている」と現状を語った。

 講演会では、広島大病院で研修中のイラク人医師、モハマッド・アリ・アルクレイさん(33)も講演。劣化ウラン弾の影響とみられる先天性異常や悪性腫瘍を患う子どもの写真をスライドで紹介し、「治安が悪いため、NGOも入国できず、医薬品の不足が深刻だ」と支援を求めた。【遠藤孝康】

毎日新聞 2005年10月22日




TSSスーパーニュース 2005年10月3日

 TSSスーパーニュース 10月2日(日) 
劣化ウラン弾の被害に目を向けて
 劣化ウラン弾の放射能被害に苦しむイラクの子供たちの現状を知ってもらおうと、2日、福山市内の高校生がパネル展を開きました。このパネル展は福山市の盈進高校の学園祭の一環として行われたもので、劣化ウラン弾の深刻な放射能被害に苦しむイラクの子供たちを写したパネルなど55枚が展示されました。劣化ウラン弾とは、アメリカ軍が湾岸戦争やイラク戦争で使った兵器で、大きな破壊力を持つ一方で、放射能を含む微粒子を大気中にばらまくため、ガンや白血病などの放射能被害が深刻になっています。パネル展は、ゼミで劣化ウラン弾について学んだ生徒28人が自分たちにできることは何かと考え企画しました。生徒たちは、会場で劣化ウラン弾の禁止を求める署名も集めていました。




毎日新聞 2005年8月29日 大阪朝刊


小泉政乱:’05衆院選の争点/下 
イラク派遣と平和 語られぬ「瀬戸際の非戦」

 裸足の少年たちがほとんど強奪するように物を持ち去り、夫を亡くしたと思われる女性が物ごいをしている。03年6月のバグダッド。「NO DU(劣化ウラン弾)ヒロシマ・プロジェクト」事務局長の森滝春子さん(66)は、目の前の光景に言葉を失った。
 そのNの3月に開戦したイラク戦争。ブッシュ米大統領は約1カ月半後の5月1日、大規模な戦闘の終結を宣言した。間もなく2年4カ月がたつ。だが、イラクに平和は訪れていない。
 91年の湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾による健康被害の実態を調査するため、森滝さんは02年12月にもイラク入りしていた。冬なのに学校の窓ガラスがなかったり、病院の医薬品不足など、既に経済制裁の影響が深刻だった。しかし、それでも物ごいの姿はなく、人々は普通に暮らしていたという。わずか半年後の惨状に森滝さんは「戦争というものが、物心共に破壊するすさまじさを見た」と話し、「今は危険でNGOさえ入れない。イラクの人たちは孤立感を深めているでしょう」と胸を痛める。
 今月27日、兵庫県伊丹市の陸上自衛隊千僧駐屯地。第6次復興支援群の最終第3陣約200人がイラク南部のサマワから帰国した。迷彩服に緑のベレー帽とスカーフ姿の隊員らは日焼けした顔をほころばせ、飛びついてきた子どもを抱き上げた。ある男性2佐(41)が「爆破事件もあった。心配だったと思う」と気遣うと、妻(41)は「テレビ電話で頻繁に話すことができ、乗り切れた」と振り返った。
 派遣中の6月23日、移動中の車列が初めて爆発物による攻撃を受け、反自衛隊デモも相次いだ。派遣当初の会見では「不安はない」と強調していた幹部も、「バグダッドに比べ安定しているが、状況は少し変わった」と、発言が微妙に変化した。派遣部隊の指揮官の鈴木純治1佐(45)は27日の帰国会見で「我々の安全に影響がないか、毎日のように分析した」と語り、困難な状況の一端をうかがわせた。
 さらに別の幹部はこう漏らす。「国内では自衛隊だが、現地の人にとっては軍隊だ。住民とは友好関係にあるが、全員に受け入れられるのは難しい。派遣期間の延長など議論をつくしてほしいが、選挙は郵政民営化だけに関心が集まっている」
 大阪府高槻市では市民団体が今年10月から、無防備地域宣言の条例化を目指す署名運動を始める。宣言をすれば、国際人道法であるジュネーブ条約に基づき、紛争時でも他国から攻撃を受けない。自分たちの町を、戦争に協力しない町にする運動でもある。事務局の会社員、中村知さん(38)は「憲法改正の動きもある中で、日本は戦争ができる国になるかどうかの瀬戸際に来ている。もっと選挙の争点として取り上げられるべきではないか」と危機感を募らせる。【田倉直彦、鵜塚健】

 ■5党のマニフェスト■

□自民 国際平和協力は、一般法(国際協力基本法)を制定し、迅速な対応が可能となるよう検討する
□民主 12月までにイラクから自衛隊撤退。平和を創造するソフトパワー国家への道を歩み出す
□公明 イラク人道・復興支援の継続。平和・人道外交でアジア近隣諸国から信頼される日本へ
□共産 自衛隊のイラクからのすみやかな撤退を要求。あらゆる海外派兵、日米安保の侵略的変質に反対
□社民 イラクから自衛隊を早期撤退。憲法の理念を生かし、平和基本法や非核基本法を制定する.




NO DU ヒロシマ・プロジェクトも広島県の構想に参画し、
NGOとして提案し、採用されたことをお知らせします。

中国新聞 2005年7月20日

           紛争集結国から研修員

        広島県初の受け入れ イラクなど男性4人

 広島県は十九日、「ひろしま平和貢献構想」に基づき、初めて紛争集結国から受け入れる海外技術研修員四人を明らかにした。イラク、アフガニスタン、カンボジアの男性四人となっている。
 4人は、イラクの医師のカルザン・ノーラルディン・ハマさん、ムハンマド・タリブ・アリさん▽アフガニスタンの映像作家ヌルラ・サイフィさん▽カンボジア保健省の医師スフェイ・ソマナさん。
 既に来日し、東広島市の広島国際協力センターで日本語の研修を始めたカルザンさんは、病院でがんの放射線治療を学ぶ。秋以降に来日する他の三人のうち、ヌルラさんはテレビ局などでドキュメンタリー映像の製作手法を研修。ムハンマドさんは、病院で白血病治療や骨髄移植を、スフェイさんは保健所や病院で地方の保健医療システムを学ぶ。
 県は、現地や県内で活動する非政府組織(NGO)の提案を基に、四人を選んだ。研修は十二月中旬まで続く。
 県の海外技術研修員の受け入れは一九七二年度に始まった。本年度は紛争集結国の四人のほか、中国、ブラジル、アルゼンチン、ペルーからの計五人も相次いで県を訪れている。






毎日新聞 2005年7月5日

劣化ウラン弾:「内部被ばくは原爆と共通」 来年8月に総会−−NGOネット /広島


 劣化ウラン弾問題に関わるNGOネットワーク「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)が来年8月、広島市で総会を開く。「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」の嘉指信雄代表(52)は、「放射性物質による内部被ばくの問題は劣化ウラン弾と原爆で共通。未解明で論争の多いこの問題について、被爆地で議論する意義は大きい」と話している。
 ICBUWには日本や欧米など20カ国の約75のNGOや市民団体が加盟。広島での開催は先月末、ベルギーのブリュッセルであった年次総会と事務局会議で決まった。
 嘉指代表によると、事務局会議では、ウラン兵器禁止条約の締結に向けたロビー活動の強化や、イラクで医師が計画中の同弾被害の疫学調査への支援などを決めた。
 各国の自治体に対する「ウラン兵器禁止を求める決議」の要請も決まり、「NO DU」では、来月の平和市長会議総会で来広する各国の市長に働きかける。【遠藤孝康】




中国新聞 2005年7月2日

ウラン弾廃絶へ広島総会 来夏 '05/7/2


 劣化ウラン弾(DU)の廃絶などに取り組む民間団体「ウラン兵器禁止国際連合」(ICBUW、本部オランダ)の年次総会が来年八月初め、広島市内で開かれる。ベルギー・ブリュッセルであった今年の総会に出席した「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」の嘉指信雄代表(52)らが一日、広島市役所で会見して明らかにした。
 嘉指代表によると、今年の総会は欧州連合(EU)欧州議会の議員を含め、十カ国の運動家たち約七十人が出席。その後の事務局会議で来年の開催地が話し合われ、広島開催を求める意見が大勢を占めたという。
 被爆地であり、DU禁止運動に熱心な同プロジェクトの活動が評価されたとみられる。準備に当たる同プロジェクトは今後、国内の運動家らと協議して総会の具体的な内容を詰める。核兵器とともにDUの廃絶を広くアピールするため、原爆忌の八月六日前の開催を目指す。
 同プロジェクトは、今年八月に広島市内である平和市長会議総会に各国から参加する都市に、DU禁止決議の採択を働きかける方針。これらの運動を通じ、総会の開催機運を盛り上げる構えだ。
 今年の年次総会ではこのほか、イラクのバスラ教育病院がんセンター長のジャワッド・アルアリ氏が、がんや白血病などとDUとの因果関係を探る疫学調査を提唱し、ICBUWとしての支援を申し合わせた。

●クリック
ウラン兵器禁止国際連合(ICBUW)
 日本や米国、英国、ドイツ、イラクなど20カ国の75団体で構成する。米軍が劣化ウラン弾(DU)を使用した2003年春のイラク戦争を機に、同年10月に結成された。DU被害者の支援とともに、ウラン兵器全面的禁止条約締結を目的とする署名運動を各地で展開している。


読売新聞 2005年4月24日

NYタイムズに核廃絶広告 掲載費募金呼びかけ


中区で市民団体
写真:写真説明
協力を呼びかける嘉指教授
 5月に米ニューヨークで開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、現地のニューヨークタイムズ紙に核廃絶を訴える意見広告を掲載しようと準備している「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(森滝春子・共同代表ら)は23日、広島市中区紙屋町の繁華街で街頭活動を行い、掲載費用の募金を呼びかけた。

 意見広告は24〜29日の間に掲載予定で、約500万円が必要だが、22日までに集まったのは百数十万円。この日は同会の約10人が、約2時間街頭に立ち、声をからして協力を訴え、通行人にビラを配った。同会運営委員の嘉指(かざし)信雄・神戸大教授は「戦争が起こっていてもいなくても、核を保有している国が存在するという現状に憤りを感じてほしい」と呼びかけていた。

 同会は、郵便振替などでも募っている。問い合わせは事務局(082・502・3850)へ。




中国新聞 2005年3月10日

 中国新聞地域ニュース
劣化ウラン弾の悲惨訴え サビエル聖堂で写真展 '05/3/10

 ■イラク被害など37点

 「劣化ウラン弾禁止(NO DU)・ヒロシマ・プロジェクト」世話人の森滝春子さん(66)=広島市佐伯区=が、二〇〇二年十二月と〇三年六〜七月に、イラク南部などを訪れ、撮影した三十七点を展示。劣化ウラン弾が原因とされる白血病や先天性の奇形に苦しむ子どもたちや、同弾で破壊され、放射線を放つ戦車の残骸(ざんがい)などの写真が並ぶ。
 会場に立ち寄った福岡県宗像市、無職荒牧文章さん(60)は「ここまでひどい状況とは知らなかった。もっと現地のことを知らなくては」と感想を漏らしていた。
 山口市内のカトリック信者でつくる、戦争や憲法九条などについての勉強会「CUM(クム)の会」主催。会員の主婦増田キリエさん(58)=山口市錦町=が「多くの人が戦争について思いをめぐらすきっかけをつくろう」と、森滝さんの協力を得て実現した。
 同会は月二回、勉強会を実施。一般の参加も受け付ける。電話083(922)4222。
 湾岸戦争やイラク戦争で使用された劣化ウラン弾の被害を伝える写真展「恐怖の放射能兵器・劣化ウラン弾」が、山口市亀山町のサビエル記念聖堂隣のダミアンホールで開かれている。十三日まで。入場無料。
【写真説明】会場で劣化ウラン弾被害の深刻さを訴える増田さん(右端)




朝日新聞 2005年3月10日
ウラン兵器の禁止求める署名に12万人 

【大阪本社版】朝刊 


 人体への悪影響が懸念されている劣化ウラン弾などの禁止を目指す市民団体「NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト」と「ヒバク反対キャンペーン」は、ウランを使った兵器を禁じる国際条約を求める署名が、日本国内で約12万2千筆集まったことを明らかにした。5月に米ニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けてさらに署名を集める。
 問い合わせはヒバク反対キャンペーンにメール(hibaku−hantai@nyc.odn.ne.jp)で。






 中国新聞地域ニュース
写真が語る劣化ウラン弾 広島女学院大 '04/12/7

 ■ゼミ仲間 残虐さ訴え開催

 ゼミで劣化ウラン弾(DU)問題を調べている広島女学院大(東区牛田東)の三年生七人が六日、学内で写真展「劣化ウラン弾とその影響」を始めた。DUの理解度を測るアンケートや使用禁止を求める署名もしている。十日まで。
 会場の学生ラウンジには、市内の市民団体「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマプロジェクト」が昨年夏、イラク戦争のDU被害を現地調査した時に撮った写真六十八点を並べた。白血病の病床でほほ笑む少女の画面を見つめる学友たちには、案内役の学生が「この子は、撮影の数日後に亡くなったそうです」と伝えていた。
 七人は、現代社会論のゼミ仲間。文献研究に加え、今年六月にはテレビ電話を通し、DUについて米国の学生とも意見を交わした。「思った以上に知られていない」現実に焦りを募らせ、写真展の自主開催を考えた。
 アンケートでは、放射線を放つDUの人体への影響や戦場での投下状況などについて問う。ゼミ生の三年石田未来さん(21)=安芸区中野東=は「まず、同年代に残虐な兵器の存在を知ってもらい、家族、知人へと語り広めてほしい」と話していた。

【写真説明】イラク戦争などで使われた劣化ウラン弾の被害を伝える広島女学院大での写真展



毎日新聞 2004年11月15日

反ウラン弾集会で、財団冊子の「安全」批判−
−馬場・広島修道大教授 /広島

 ◇「体内被ばくを無視」

 湾岸戦争などで使用され、人体への影響が指摘されている劣化ウラン弾の使用禁止を求める集会がこのほど、中区の原爆資料館であった。広島修道大の馬場浩太教授(物理学)は、「劣化ウランは安全」とする日本原子力文化振興財団の冊子について、「非科学的、非論理的内容で、劣化ウランは安全との結論を導くためだけに作った冊子だ」と厳しく批判した。

 集会は市民団体「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」(森滝春子世話人)などの主催で、パロディストのマッド・アマノさん(65)が講演。映画「華氏911」のマイケル・ムーア監督に原爆投下のドLュメンタリー映画の製作を依頼する「ムーア・プロジェクト」代表でもあるアマノさんは「米国には原爆投下を知らない若者もいる。ムーア監督に原爆の犯罪性を暴いてもらい、世界の人々に伝えよう」と協力を呼びかけた。

 馬場教授は「劣化ウラン弾の環境影響」と題した同財団の冊子について、「劣化ウラン弾の問題は、(燃焼後の)ウラン微粒子を吸い込むことによる体内被ばくだ。冊子は外部被ばくの危険性が低いことだけを取り上げ、安全としている。問題のすり替えだ」と指摘した。

 森滝さんも昨夏に撮影したイラクの病院のビデオを上映し、「科学者は、がんや白血病の急増などイラクでの異常な現象を直視し、一日も早く原因解明を進めるべきだ。科学的証明がないからといって劣化ウラン弾とは無関係とは言えない」と訴えた。【遠藤孝康】


2004年11月8日 読売新聞




2004.11.8 中国新聞

 中国新聞地域ニュース
反劣化ウラン弾集会でアマノさん講演 広島 '04/11/8

 ■「怒りと嘲笑で反核を」

 劣化ウラン兵器禁止を求める集会「笑いで撃つ!戦争に傾斜する日本」が七日、広島市中区の原爆資料館で開かれた。パロディストのマッド・アマノさんが講演し、約七十人が参加した。
 小泉純一郎首相などのパロディー図画で知られるアマノさんは「権力批判には怒りと嘲笑(ちょうしょう)が重要だ」と話した。ブッシュ米政権を痛烈に批判する映画監督マイケル・ムーア氏に、原爆投下をテーマにした映画を撮ってもらう構想を披露。「広島と長崎の事実を世界に伝えたい」と訴えた。
 集会では、日本原子力文化振興財団が発行する冊子で「(劣化ウラン弾が)白血病、がんに結びつく理由はほとんど考えられない」などと記載した問題を取り上げ、広島修道大の馬場浩太教授が「科学的とは程遠い」と批判。財団への公開質問状を採択した。
 集会は、世界の市民団体が参加する劣化ウラン兵器禁止キャンペーンの一環。市民団体「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」などが開いた。
【写真説明】劣化ウラン兵器禁止を求める集会で講演するアマノさん



中国新聞 2004年11月4日

 中国新聞地域ニュース
劣化ウラン弾冊子に 広島の市民団体 '04/11/4

 ■原子力振興財団 「影響を過小評価」

日本原子力文化振興財団(東京都)が報道機関向けに配った冊子「劣化ウラン弾による環境影響」に、広島市の市民団体が「人体影響を過小評価している」と反発し、七日に市内で開く劣化ウラン兵器禁止を求める集会で反論文を採択する。
 劣化ウラン弾は一九九一年の湾岸戦争や昨年のイラク戦争で使われ、現地の医師たちは「子どもたちを中心に白血病が増えた」と指摘する。
 一方、同財団は今年六月に配布したA4判、十ページの冊子で「子どもや胎児に特定して影響が出ることはない」「白血病、がんに結びつく理由はほとんど考えられない」と記述。財団の横手光洋常務理事は「劣化ウランについての正しい情報提供が目的で(過小評価の)意図はない」と話す。
 これに対し、市民団体「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」の嘉指信雄代表(51)は「医学的に解明されていない段階で、影響がほとんどないとの見方を流す姿勢は問題だ」と批判する。
 集会は同プロジェクトが主催し、七日午後四時から広島市中区の原爆資料館東館で。パロディストのマッド・アマノさんの講演もある。
 劣化ウランはウラン濃縮の過程で生じる。比重が大きいため対戦車の貫通弾などに使われる。


中国新聞 2004年11月2日

 中国新聞地域ニュース
イラク白血病児の尿から劣化ウラン 広島の団体発表 '04/11/2

 広島市の市民団体「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」(嘉指信雄代表)は一日、メンバーが昨年夏にイラクで採取した急性白血病患者の児童の尿に劣化ウランが含まれていた可能性が高いと発表した。金沢大の山本政儀教授(放射化学)の分析で分かった。
 分析は尿に含まれる同位元素のうち、ウラン238に対するウラン235の比率を調べた。ウラン235を増やして原発燃料などにするのがウラン濃縮で、その過程で生じる廃棄物の劣化ウランは比率が0・2%前後となり、天然ウランの0・725%より低くなる。
 分析によると、五人ののうち一人の尿で比率が0・663%だった。山本教授は「劣化ウランを体内に取り込み、天然ウランと混ざったのだろう」とみている。他の四人の比率は天然ウランと差がなかった。
 女児は昨年夏に七歳でバグダッド市内の病院に入院していた。イラク戦争では自宅の百メートル圏内で爆撃があったという。メンバーの森滝春子さん(65)は「イラク戦争で使われた劣化ウラン弾の健康影響を本格調査するよう、世界保健機関(WHO)などに働き掛けたい」と話している。


毎日新聞 2004年12月2日

イラク白血病患者の尿、分析 劣化ウラン影響? 森滝さんら調査訴え /広島

 ◇「調査の必要性訴える」

 イラク人白血病患者の尿サンプルから、劣化ウラン弾の影響とみられるデータが検出されたことに、市民団体「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」の森滝春子世話人は1日、「この分析結果を各地で紹介し、本格的な調査の必要性を訴えていきたい」と話した。
 森滝世話人は、イラクから持ち帰った22人分の尿サンプルの分析を、金沢大自然計測応用研究センターの山本政儀教授に依頼。
 今年3月までの調査では、日本人の平均値より、ウラン濃度が20倍以上高いものもあったため、ウラン235とウラン238の放射能比を追跡調査していた。
 追跡調査した5例のうち急性白血病患者の女児(7)の尿から、劣化ウランの摂取を示す数値が出た。
 山本教授は「女児の場合は、肺の奥深くに入ったウラン微粒子が血中に流れ出て尿に出たのではないか。食品や飲料水から摂取した場合は、直後に排出されるとみられる。他の4人の放射能比が今回特異な数値を示さなくても、摂取していないとは言えない」としている。【遠藤孝康】

毎日新聞 2004年11月2日



読売新聞 2004年11月2日
劣化弾でウラン汚染? イラク人女児の尿を分析 市民団体発表
 広島市の市民団体「NO DU(劣化ウラン弾禁止) ヒロシマ・プロジェクト」(嘉指信雄代表)は一日、イラクで採取した急性白血病の女児の尿から、劣化ウラン弾による汚染を強く推測させる検査結果が得られたと発表した。イラク戦争の帰還米兵から同様の結果が得られたケースはあるが、現地の子供からは初めて。白血病との関連は不明だが、イラクでは子供の白血病やがんが急増。同団体は、国連などに科学的な検証を呼びかける。
 金沢大の山本政儀教授(放射化学)らが、バグダッドの病院に急性白血病で入院している七歳女児の尿から検出したウランを分析したところ、ウラン235の含有率は0・66%だった。
 ウラン235の含有率は、天然ウランの場合は0・72%程度で、劣化ウランは0・2%程度。このことから、山本教授らは、女児が空気や食べ物を通して劣化ウランを摂取し、体内で天然ウランと混じった可能性が高いと見ている。
 山本教授は「自然にはありえない数値で、劣化ウラン弾以外に原因は考えにくい」と分析。「白血病などとの因果関係は、唯一の被爆国として日本が先頭に立って検証しなければならない問題だ」と話している。
 劣化ウラン弾は、天然ウランから原発や核兵器に使うウラン235を精製した後に残る劣化ウランを使った兵器。米軍が湾岸戦争やイラク戦争で対戦車砲などに使用している。




中国新聞 9月27日

 中国新聞地域ニュース

「禁止提案、賛同得た」 劣化ウラン弾影響懸念

'04/9/27


 ■市民団体がIPPNW報告会

 市民団体「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」が二十六日、広島市中区の広島国際会議場で、中国・北京で今月中旬にあった核戦争防止国際医師会議(IPPNW)第十六回世界大会への参加報告会を開いた。

 十五日から五日間の大会に出席した嘉指信雄代表(51)と森滝春子さん(65)が、メンバーや報道関係者に報告した。

 森滝さんは、分科会でのスピーチについて話した。イラク戦争後の昨年六〜七月に現地を調査訪問し、住民から採取して持ち帰った尿の検査結果を参加者に説明。ウラン同位元素の一つウラン238が高濃度で検出された事実を話したという。

 劣化ウラン弾とイラクで頻発する白血病などの因果関係は分かっておらず、森滝さんは「疫学的解明に医師の協力が不可欠だ」と訴えていた。

 嘉指代表は「人体に対する悪影響が考えられる以上、劣化ウラン弾を禁止して(被害を)予防すべきだという点で、参加した医師たちと合意できた」と成果を述べた。

【写真説明】IPPNW世界大会での議論などについて報告する嘉指代表(右)と森滝さん


毎日新聞 9月27日

劣化ウラン弾問題 IPPNW世界会議参加2氏が帰国会見 /広島

 ◇医療支援推進を期待
 劣化ウラン弾の被害実態を報告するため、今月15〜19日に北京で開かれた第16回IPPNW(核戦争防止国際医師会議)世界会議に参加した市民団体「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」の嘉指信雄代表(51)と森滝春子世話人(65)が26日、中区の広島国際会議場で帰国会見し、「世界の医師が劣化ウラン弾問題に目を向け、白血病やがんの発症との因果関係の解明や被害者への医療支援を進めることを期待したい」と語った。【遠藤孝康】
 IPPNWは、核戦争に反対する世界各国の医師が集まった国際反戦団体。2人は18日の分科会「ウラン兵器−諸問題とその対応」に出席した。
 嘉指代表は同弾問題への国内での取り組みを紹介。森滝世話人は、湾岸戦争で同弾が使われた地域のイラク人白血病患者から採取した尿サンプルのウラン含有量の分析結果などを報告し、「ヒロシマはヒバクシャが増え続けることを黙認はできない。劣化ウラン弾廃絶のため、連帯の輪を広げよう」と訴えた。
 この会議で、同弾問題を取り上げるのは初めて。白血病などとの因果関係には慎重な意見もあったが、フランス人医師は「(イラクの白血病患者の尿のウラン含有量は)異常に高い数値を示しており、意義深いデータだ」と指摘したという。
 森滝世話人は「イラクで集めた科学的データが大きな意味を持ちつつある。因果関係の解明は困難だが、IPPNWが医療支援に取り組むなら、大きな意味がある」と話した。
毎日新聞 2004年9月27日



中国新聞 9月27日

 中国新聞地域ニュース
ウラン兵器禁止条約の締結へ署名集め 広島の市民団体 '04/9/28

 オランダに本部がある民間団体「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)が今夏から進めている国際キャンペーンの一環。集めた署名を活用し、各国政府や自治体、非政府組織(NGO)などに条約の実現を働き掛ける。さらに、劣化ウラン弾を受けた地域での住民健康影響調査の実施、被害者への医療支援と補償なども訴えていく。
 「ヒロシマ・プロジェクト」のホームページ(HP)で署名用紙がダウンロードできる。ICBUWのHPにもリンクしてあり、オンラインで署名することもできる。 劣化ウラン弾は湾岸戦争やイラク戦争などで使われ、子どもの白血病増加との関連などが指摘されている。メンバーの森滝春子さん(65)は「被爆地として、ヒバクシャの増加に黙っているわけにはいかない。世界の市民の連帯で条約を実現したい」と協力を呼び掛けている。HPは、http://www.nodu-hiroshima.org



中国新聞 5月23日

 中国新聞地域ニュース
劣化ウラン兵器禁止訴え 広島の市民団体 '04/5/23

 ■2国際会議終え帰国報告

 欧州を訪れ、ウラン兵器をテーマにした二つの国際会議に出席した広島市の市民団体「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」のメンバーが二十二日、同市中区の広島国際会議場で帰国会見した。
 嘉指信雄代表(51)と森滝春子さん(65)は、ドイツのベルリンで開かれた核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のヨーロッパ会議(七―九日)に参加。森滝さんが活動を報告した。
 その中で、昨年六月にイラクを訪れ、ろ紙で戦車の表面をふき取ったところ、劣化ウランの微粒子が付着したことを発表。「劣化ウラン兵器が原因で、新しい被曝(ひばく)者が生まれている現状に、ヒロシマは黙っていられない」と訴えたという。
 続いて、同プロジェクトも加わるウラン兵器禁止国際連合(ICBUW)がベルギーで開いた会議(十四〜十六日)に参加。その中で、劣化ウラン弾禁止の国際的世論を高めるため、署名や被害者支援の募金などに取り組むことを決めた。嘉指代表は「日本の他のグループにも呼び掛けたい」と話している。

【写真説明】欧州から帰国し、会見する嘉指代表(中)や森滝さん(左)たち


 中国新聞地域ニュース
劣化ウラン弾被害問う 人文字その後 '04/3/21

 ■危険性証明へ進む連携

 「NO DU」。二〇〇三年三月、被爆地広島の人文字集会で一躍、時の言葉となった。
 「なじみのない問題の『NO DU(劣化ウラン弾禁止)』は人文字に使わず、『NO WAR』だけにして、人集めに集中しよう」。イラク開戦の機運に危機感を深め、集会の実行委では、そんな声も強かった。
 「知られてないからこそ、人文字にすべきだ」。敢然と譲らなかったのが、集会の呼びかけ人代表で神戸大教授の嘉指信雄さん(50)だった。二〇〇二年十二月、訪ねたイラクでDU被害とみられる病苦にあえぐ市民の姿が忘れられなかった。
 嘉指さんは集会の参加者たち十数人と組み、〇三年六月、人文字で訴えた「NO DU」を世界に広げるキャンペーンを始めた。「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」である。

 イラクの土壌調査

 同プロジェクトの事務局メンバー六人が今月十三日、広島市中区の市まちづくり市民交流プラザに集まった。現地の医師を招き、二十日に中区の原爆資料館東館で開くイラク開戦一周年フォーラムの打ち合わせだ。
 「知れば知るほど、イラクの実情をもっと広めなきゃと思う」と話すのは、事務局の尾崎令枝さん(34)=佐伯区。医師の出迎えや資料準備など、雑多な裏方仕事も全くいとわない。
 イラクでは、湾岸戦争で米軍が使用したDUの影響を疑われるがんや白血病が、罪の無い子どもたちにも多発している。しかし、米国も世界保健機関(WHO)も「因果関係を認める科学的根拠はない」として、危険性を認めていない。
 同プロジェクトは結成後、イラク市民の窮状を国内外に伝えると同時に、DU被害の科学的証明につなぐ取り組みを地道に進めてきた。
 昨年六月には、メンバーの森滝春子さん(65)が調査団に加わってイラクに渡り、現地の土壌や患者の尿を採取。科学者の分析を見守る。インターネットや国際会議で人脈を広げ、イラク市民の白血病患者を診察した医師、DU禁止を求める欧州の運動団体、専門家との連携も進めている。

 レバノンから反響

 「派手なイベントとは無縁だけど、劣化ウラン弾の危険性について(米国などの)反論を許さないだけの事実を、着実に積み上げたい」。長年、いろいろな平和運動にかかわってきた森滝さんは今、プロジェクトに力を注ぐ。
 思わぬ反響もある。「あなたたちのキャンペーンと小冊子に、とても興味を持った」。今年二月、中東レバノンで環境問題の月刊誌を発行している編集長から、電子メールが届いた。
 小冊子というのは、〇三年八月六日に発刊した「ヒロシマ・アピール」。「化学的毒性が高い放射能兵器」とDUの使用禁止を訴える内容で、日本語版は一万二千部、英語版は三千部が完売した。注文が相次ぎ、印刷が追いつかない。
 レバノンからのメールは、「ヒロシマ・アピール」のアラビア語版の出版を勧める提案だった。「アラブ圏のメディアや政府に届けよう」「要約版を、雑誌の別冊付録にしたい」―。
 「覆い隠されてきたDU問題を明るみに出す作業こそ、米国の言う正義の戦争や核軍拡路線を問い、それに付き従うだけの日本政府の姿勢を突き崩す鍵になる」。嘉指さんの思いは、プロジェクトの波紋が広がるほど、強くなる。

クリック

 劣化ウラン弾 核燃料にする天然ウランの濃縮時にできる劣化ウラン(低レベル放射性廃棄物)の高い比重や強度に着目し、合金化して貫通力を強化した砲弾。主に対戦車用で使う。燃焼時に酸化ウランが微粒子となって飛び散るため、放射線や化学的毒性による健康被害が懸念されている。米軍が開発し、湾岸戦争で初めて使った。

【写真説明】イラク開戦1周年フォーラムの準備に集まった「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」事務局のメンバー




中国新聞地域ニュース

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn04032132.html

劣化ウラン弾、影響深刻 イラクの2医師が訴え '04/3/21

 イラクの小児科医モハマド・ハッサンさん(30)と内科医アサド・アミールさん(34)が二十日、広島市中区の原爆資料館東館であったフォーラムで、満足な医療ができないイラクの現状を訴えた。
 バクダッド教育中央病院のハッサンさんは「米軍の警備が厳しく、救急車さえ動きにくい。医療設備も壊され、十分な治療ができない。遺体を中庭に並べている」と窮状を語った。
 南部のバスラ教育病院に勤めるアミールさんは、一九九一年の湾岸戦争以降、劣化ウラン弾の影響とみられるがん患者が十一倍に急増したとのデータを紹介。「電気も水も、薬もない。医師に知識を与えてほしい」と支援を求めた。
 二人は、名古屋市の市民団体の招きで一月上旬から、名古屋大医学部付属病院で研修中。初めて訪れた被爆地では、原爆ドーム前での市民集会やデモにも参加し、「平和とは軍隊がいないこと。戦争はこれを最後にしてほしい」と話した。
 フォーラムは「NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト」が主催し、九十人が参加した。



 中国新聞地域ニュース
イラクで採取の尿、ウラン値やや高め 広島   '04/3/11

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn04031104.html

 ■劣化弾 影響は不明

 広島市の市民団体が昨年夏、イラクで現地の人から採取して持ち帰った尿の測定結果が十日、まとまった。ウラン同位元素の一つ、ウラン238は比較的高い値を検出した。イラク戦争で使用された劣化ウラン弾の影響かどうかは不明で、研究者たちが引き続き分析を続ける。
 「劣化ウラン弾禁止(NO DU)・ヒロシマ・プロジェクト」の調査団が昨年六―七月に首都バグダッドや南部のバスラを訪れた際、イラク人の十八人から尿を採取。金沢大自然計測応用研究センターの山本政儀助教授(放射化学)らが分析した。
 それによると、尿一リットル当たりのウラン238は、急性リンパ性白血病で入院中の女児の二五一・〇ナノグラムを最高に、一九〇ナノグラム台二人を含む四人が一〇〇ナノグラム台で、平均七二・六ナノグラム。最も低いのは三・二ナノグラムだった。日本の平均値は数十ナノグラムとされ、山本助教授は「少し高めと言えるが、尿内のウラン量は食事内容などで変わる」との見方を示した。
 天然ウランもウラン238を含む。放射性廃棄物を軍事転用した劣化ウラン弾の影響かどうかを判断するには、ウラン235の比率なども調べる必要がある。
 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)の調べではすでに、調査団がバグダッド近郊の戦車の表面をふき取ったろ紙から、劣化ウランの微粒子が見つかっている。

【写真説明】尿の測定結果などについて会見する山本助教授(左)たち





廃絶へ広がる反響 劣化ウラン弾報告の冊子増刷

神戸新聞2004/02/16

 米軍がイラク戦争や湾岸戦争で使用した「劣化ウラン弾」の廃絶を目指し、広島の平和団体などが発行した「ヒロシマ・アピール」が増刷を重ねている。初版は2000部だったが、すでに1万部を増刷した。放射線を放ち、人々の健康を蝕(むしば)む劣化ウラン弾。発行グループは「イラクへ派遣された自衛隊員が被爆する恐れもある。この冊子をきっかけに、派遣の是非を考えてほしい」と話している。(田中陽一)

 グループは「NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト」。前任が広島市立大教授だった嘉指(かざし)信雄・神戸大教授(50)が、代表を務めている。

 冊子は、昨年八月六日の原爆忌に合わせて発行し、九月と十二月にそれぞれ五千冊ずつ増刷。広島をはじめ、関西や関東、陸自の派遣元である北海道からの注文も多いという。英語版も三千冊発行した。

 同弾は戦車などに命中すると微小な粒になって飛散。吸入したイラク市民や子どもらの間で健康被害が広がり、がんの発症率は湾岸戦争前の十倍にも上るといい、冊子では、その現状を写真で紹介している。

 白血病で異様におなかが膨れた少年、変わり果てたわが子を抱き、表情をなくした母親…。米政府は劣化ウラン弾と健康被害の関連を認めていないが、「これが何よりの証拠」と嘉指教授。

 陸上自衛隊が派遣されたサマワでも同弾が見つかり、日本政府は自衛隊員に放射線測定機を携行させた。

 嘉指教授は「『イラクのため』というなら、自衛隊員だけでなくイラク市民の心配もすべき」とし、「放射能汚染の実態を調べて救済の先頭に立つことこそ、被爆国・日本がすべきこと」と話す。

 一冊七百円。注文は、ファクス(082・922・2595)か、メール
(order[at]nodu-hiroshima.org(atを@に変更して下さい))で。





中国新聞 2003年10月6日 




ヒロシマ・アピール


 売れている。広島の平和活動家と市民らが連携して仕上げた冊子「ヒロシマ・アピール」(A4判、六十四ページ)。今年の8・6に合わせて二千部出版したものの、多数の追加注文を受けて先月、第二刷改訂版を五千部刷った▲冊子はこの二年間を振り返る。米中枢同時テロから米英軍のイラク先制攻撃、深まるイラクの混乱。広島の人々は世界に平和を訴え、海外に出向いて平和行動を重ね、志を同じくする人たちと共鳴しあってきた▲冊子を貫くテーマは「劣化ウラン弾禁止」。戦争被害の跡が生々しいイラク現地調査報告を盛り込んだ。惨状とイラクの人々の悲しみの表情が迫ってくる数多くの写真。共感を呼ばずにはおかない▲硬派の刊行物の場合、二千部売りきることさえ容易でないのが昨今の出版状況だ。冊子への予想を超えた反応。イラク問題、「戦争と平和」に対する関心の高まりが如実にうかがえる▲冊子には人々が親近感を持つ要素もあった。この三月、広島で六千人が参加してつくった人文字「NO WAR」の空撮写真を配した表紙の効果である。「写っている」と当日の連帯感を呼び覚まされて買う人もいると聞く▲一冊七百円。二十部以上まとまると五百円。「これでは赤字になりかねない」とちゅうちょする意見もあったが、買ってもらいやすい価格帯に抑えた。勢いをつけて、世界へ発信する英語版も準備している。ブッシュ米大統領には無料で差し上げてほしい。




中国新聞9月14日

劣化ウラン弾禁止 ヒロシマ、国際会議へ代表派遣 '03/9/14

 広島市民たちでつくる「NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト」は、十月にドイツで開かれる劣化ウラン弾に関する国際会議に、代表の嘉指信雄神戸大教授を派遣する。これを機に、国際社会による被害調査と、製造・使用禁止を求めるアピール活動を強める。
 会議は、ドイツの非政府組織(NGO)「核兵器廃絶を目指す非暴力アクション(GAAA)」の呼び掛けで十月十六―十九日、ハンブルク市で開催。広島大原爆放射線医科学研究所の星正治教授を含む各国の科学者や国際法学者、市民活動家たちが顔をそろえる。
 嘉指代表は二日目の分科会に出席し、イラク戦争での被害に対する市民調査団派遣など、プロジェクトを中心とした被爆地の活動を報告。三日目のワークショップで、劣化ウラン弾禁止に向けた国際社会の行動計画や戦略を練る論議に加わる。
 嘉指代表は十月十―十二日、研究者たちのNGO「国際劣化ウラン研究チーム(IDUST)」のダマシオ・ロペス代表が働き掛けてベルギーで開かれる会議にも参加。プロジェクトは両会議までに、劣化ウラン弾を告発する冊子「ヒロシマ・アピール」(改訂版)の英語版作成を目指す。



YAHOO NEWS 9月11日より 毎日新聞記事

「劣化ウラン弾禁止プロジェクト」が来月の国際会議に参加
 ハンブルグで開催 /広島

◇世界と連携、人脈づくりに

 イラクで劣化ウラン弾被害の調査などを進めてきた「NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト」(嘉指信雄代表)は10日、独・ハンブルグで10月に開催される大規模な劣化ウラン弾禁止国際会議に参加すると発表した。セッションで発言し、これまでのプロジェクトの取り組みなどを紹介する。

 国際会議は劣化ウラン弾廃絶に向け、具体的なキャンペーンの計画を考えていこうと、独の反核団体「核兵器廃絶を求める非暴力的行動(GAAA)」が主催。来月16〜19日の期間中、六つのセッションやワークショップが行われる。米軍で劣化ウラン弾に関するプロジェクトに取り組んだ経験を持ち、同弾の危険性を訴えるダグラス・ロッキー氏や英の劣化ウラン兵器研究家のダイ・ウィリアムズ氏ら世界中の研究者や平和運動家が多数参加する。
 日本からは嘉指代表のほか、広島大原爆放射線医科学研究所の星正治教授、金沢大低レベル放射能実験施設の山本政儀教授らが参加。嘉指代表は「自分たちの取り組みに賛同してもらい、協力を呼びかけたり、世界と連携するための人脈づくりをしたい」と話している。
     ◆
 また、同プロジェクトは、イラクでの調査報告や劣化ウラン弾をめぐる歴史などをまとめた「劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール」(A4判、68ページ)を発行。700円(20部以上購入なら500円)で販売する。イラクの子どもたちの医療援助用募金も募っている。申し込みはメール(order@nodu―hiroshima.org)かファクス(082・922・2595)で。 【牧野宏美】(毎日新聞)
[9月11日21時41分更新]



毎日新聞 2003年8月8日

平和の目 2003/8/8
イラクの2医師が広島赤十字・原爆病院を訪問/広島

 イラクから来日中のジャワッド・アリ医師とジナン・ガリブ医師は7日、多くの被爆者が入院する広島赤十字・原爆病院(中区千田町1)を訪問し、被爆医療の現状に触れた。

 同病院の土肥博雄副院長が、病院の概要について説明。アリ医師らは、戦争後も医薬品が不足している実態を訴え、「多くのNGOが医薬品を持ってきてくれ感謝しているが、それでも足らず、1週間で使い果たしてしまう」と訴えた。産科・小児科が専門のガリブ医師は、子どもの白血病治療などに関心を示し、無菌室も見学した。

 同院の被爆者専用病棟にも訪問。入院中の男性被爆者にアリ医師は「私たちも放射能の被害に苦しんでいるので、あなたの気持ちがよく分かる。頑張って長生きを」と励ました。また広島大原爆放射線医科学研究所を訪問し、劣化ウラン弾の調査のために持参したがん患者などの尿18人分を手渡した。
[2003年8月8日 毎日新聞広島版から]


毎日新聞 2003年8月7日
平和の目 2003/8/7
広島原爆忌 劣化ウラン弾禁止求めアピール−−イラクのジャワッド・アリ医師

 イラクから来日し広島市での平和記念式典に参列したジャワッド・アリ医師(59)は6日、同医師らを招いたNGO「NO DUヒロシマ・プロジェクト」(代表・嘉指信雄神戸大教授)の会見に出席。同プロジェクトがまとめた「劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール」を読み上げた。同プロジェクトは、イラクの現状報告などを冊子「ヒロシマ・アピール」(64ページ、700円)にまとめている。問い合わせはorder@nodu‐hiroshima.org
[2003年8月7日 毎日新聞大阪朝刊から]




毎日新聞 2003年7月30日 

平和の目 2003年7月30日
[劣化ウラン弾再び]揺らぐヒロシマ〜03年夏/4 参加型イベント演出へ/広島

 「新たな平和の風をおこしたい」と、21世紀型の「8・6」を模索する動きがある。ヒロシマの若い世代が8月6日夜、原爆犠牲者を追悼するために流す灯ろうを使い、ピースマークとアラビア語やハングルなどで「平和」の文字を描く。

 にぎやかな音楽や踊りを盛り込み、若者が気軽に立ち寄れる「参加型」のイベントに演出する計画だ。同月1日からは、若者が集まる中区新天地の「アリスガーデン」で、灯ろうやオリジナルのTシャツなどを販売し、イベントへの参加を呼びかける。

 「原爆の日」の催しは、慰霊の気持ちから、しめやかに行われるものがほとんどだった。呼びかけ人の一人、広島市西区の会社員、門田よし子さん(33)は、「同世代の人たちが、自主的に肩の力を抜いて集まれる場をつくりたい」と話す。

 門田さんは、今年3月2日の「NO WAR NO DU(劣化ウラン弾)!」の人文字に、参加した一人だ。「既存の平和運動には抵抗があった」というが、人文字をきっかけに、平和運動にかかわり始めた。

 人文字実行委員会のメンバーなどが中心となって6月に発足した「劣化ウラン弾禁止ヒロシマ・プロジェクト」は8月上旬、劣化ウラン弾禁止を呼びかける冊子「ヒロシマ・アピール」を発行する。米国に劣化ウラン弾の非人道性をアピールするのが目的だ。冊子は英語版も作り、世界的な同弾禁止キャンペーンへと発展させていく。

 今年の平和記念式典には、イラク南部の都市・バスラで、同弾の影響で発症したとみられるがん患者の治療にあたるジャワッド・アリ医師らが出席し、黙とうをささげる。同プロジェクトが、イラク人医師の受け入れにあたる。

 ヒロシマは、イラク戦争、劣化ウラン弾問題をきっかけに、平和運動へ若い世代の力を加え、世界へ新たな反戦、反核のメッセージを発信する場に変わろうとしている。(この項終わり)

[2003年7月30日 毎日新聞広島版から]




リンク
ヒロシマ調査団に同行取材した中国新聞、城戸収記者の記事です。
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/03abom/taido/iraq/030719.html




HPのニュースから

ヒロシマ調査団のニュースが載っています。

Hiroshima peace group to probe depleted uranium arms in Iraq
Japan Today06/18/2003


Wednesday, June 18, 2003 at 09:00 JST HIROSHIMA ? A group of Japanese peace activists plan to visit Iraq next week to investigate possible radioactive hazards from depleted uranium weapons used by the U.S. military during the Iraq war.

The four-member group, led by Haruko Moritaki, the head of a Hiroshima antinuclear group, plans to leave for Iraq on June 24 and stay in the country for 10 days. Other members of the group include Nobuo Kazashi, a professor of Kobe University, and Naomi Toyota, a professional photographer who covered the Iraq war. (Kyodo News)
http://www.japantoday.com/e/?content=news&cat=1&id=263507




中国新聞 2003年7月6日

市場でも放射線確認 劣化ウラン弾調査団帰国

 イラクで劣化ウラン弾被害を調べた広島市民らの調査団が五日、帰国した。関西空港経由でJR広島駅に到着した「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」共同代表の森滝春子さんは「市場に放置された戦車から、通常より高い数値の放射線を確認した」などと、劣化ウラン弾の影響とみられる現地の状況を述べた。
 一行は「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」が派遣し、六月二十二日に広島を出発。フセイン大統領を狙って米軍が爆撃したマンスール地区をはじめ、首都バグダッドの市街地や郊外、南部の都市バスラなどを回り、劣化ウラン弾が着弾したとみられる建物や戦車の周辺など十三カ所で土壌を採取した。
 アルファ線を発する劣化ウラン微粒子を吸い込むと、がんや白血病を患う恐れがあるとされる。体内被(曝(ばく))状況を調べるため、調査団はマンスール小児病院の白血病患者ら七人の尿を採取。広島を昨年十二月に訪問したバスラの医師ジャワッド・アル・アリさん(59)と現地で再会し、尿の採取も含め今後の調査への協力を依頼した。今夏の広島訪問も打診した。




 中国新聞地域ニュース
イラク調査団が広島出発 劣化ウラン弾影響探る '03/6/23

 イラク戦争で米軍が使った劣化ウラン弾の被害状況を調べるため、広島市民たちによる調査団が二十二日、JR広島駅から出発した。二十三日に関西空港からヨルダンに向かい、陸路バグダッド入りする。
 調査団を代表して、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会の森滝春子共同代表は「気候も治安も悪く、活動に制約も予想されるが、今後の国際機関による本格的な調査につなぐための糸口にしたい」と抱負を述べた。現地で、フォトジャーナリスト豊田直巳さんらと合流して五人規模の調査団を編成する。
 一行は、バグダッドと南部の都市バスラを訪れ、劣化ウラン弾が着弾したとみられる場所で放射線を測定する。病院などで市民の健康被害について聞き取り、現地の専門家や医師らと今後の継続調査や広島からの支援の在り方について意見交換する。帰国は七月五日の予定である。
 調査団は、広島市民有志らが始めた「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」(代表・嘉指信雄神戸大教授)が、キャンペーン活動の第一弾として派遣した。
【写真説明】劣化ウラン弾被害の調査のため、JR広島駅からイラクに向かう森滝さん(手前左)



朝日新聞 2003年6月22日 asahi.com

イラクの劣化ウラン弾の被害調査


 広島の市民団体「劣化ウラン弾禁止ヒロシマ・プロジェクト」(代表=嘉指信雄・神戸大教授)世話人の森滝春子さんが22日、イラクでの劣化ウラン弾の被害を調べるため広島を出発した。

 東京などから参加する3人の調査団メンバーとともに来月2日までイラクに滞在し、主にバグダッド、バスラ両市で住民からの聞き取り調査や水などのサンプル採取をする。

 現地では、米軍が劣化ウラン弾を使ったとみられる場所で放射線を測定したり、劣化ウラン弾による被害を調べている地元の医師や研究者と意見交換したりすることを目指す。

 採取したサンプルは帰国後に広島大原爆放射線医科学研究所で分析してもらう。

 今回の調査は、国際機関による本格調査の呼び水とする狙いもある。

 同プロジェクトは、市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」や、広島市内で3月にイラク反戦の人文字づくりをした実行委員会のメンバーらによって今月10日に発足した。

(6/22)




 中国新聞 2003年6月11日  

劣化ウラン弾禁止訴え 広島でプロジェクト始まる


 放射能兵器とも呼ばれる劣化ウラン弾(DU)の使用禁止を訴える世界的なキャンペーン「劣化ウラン弾禁止(NO DU)ヒロシマ・プロジェクト」が十日、広島市内で始まった。
 中区の広島平和会館で立ち上げ集会があり、市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」が設けた劣化ウラン弾禁止ワーキンググループのメンバーや、今年三月に市内で六千人規模の人文字集会を開いた実行委員有志たち十五人が参加した。
 キャンペーンはまず、二十二日ごろから七月初旬まで、イラク戦争での劣化ウラン弾使用の実態調査のため、メンバー数人を、首都バグダッドやバスラに派遣。現地での放射線測定、土壌採取に取り組み、現地の専門家らとの連携も模索する。
 さらに八月六日までに、DU問題を国内外に訴える小冊子「ヒロシマ・アピール(仮称)」やポストカードを作成。国内の他団体などとも連携し、イラクから医師や研究者を招く計画だ。
 活動を通じて、最終的には国連環境計画(UNEP)など国際機関がイラクの実態調査をするよう働きかける。被害者支援にも取り組む。
 劣化ウラン弾は一九九一年の湾岸戦争以来、コソボ紛争、イラク戦争などで使われ、二〇〇一年のアフガニスタン空爆でも使用されたとの見方がある。米政府は、放射線被害を否定している。
 プロジェクト代表に決まった嘉指信雄神戸大教授は「より広く訴え、具体的な解決を目指したい。迅速かつじっくり取り組もう」と呼びかけた。




2003年5月7日 中国新聞

劣化ウラン弾被害でイラクへ調査団 ヒロシマの会 

 広島市の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は六日、米軍がイラク戦争で使用した劣化ウラン弾の放射線被害を調べるため、六月にも調査団を現地に派遣する、と発表した。九日に市内で開く総会で正式決定する。近く会の内部にワーキングチームを発足させ、劣化ウラン弾使用禁止キャンペーンを本格展開する。 
 調査団の具体的なメンバーは未定。線量測定の専門家を含む小人数で行動する予定である。一九九一年の湾岸戦争ではイラク南部で劣化ウラン弾が多く使われ、住民への放射線被害が指摘されてきた。今回のイラク戦争ではバグダッドなどで使用された疑いがあり、都市部を中心とした調査になる。 
 低レベル放射性廃棄物の劣化ウランは比重が鉛の一・七倍あり、弾芯(しん)に利用すると貫通力が増す。微粒子を吸い込むなどして体内に蓄積されると、がん、白血病、腎臓(じんぞう)障害などを引き起こすとされる。 
 ヒロシマの会は従来、メンバー個々が使用禁止を訴えてきた。新設するワーキングチームは、専門的な観点から「放射能兵器」の問題点を整理し、市民への情報発信を通じて廃絶に向けた取り組みを本格化させる。 
 会の森滝春子共同代表は「被害をヒロシマから実証し、使用禁止の国際世論喚起の引き金にしたい」と話している。