ICBUW年次総会報告

 ’05年6月23日〜25日 ブリュッセル


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ICBUW年次総会(ブリュッセル)の報告
ICBUWのHPに掲載、  


3日目、事務局会議が終わって
 ――この日はブリュッセルも「猛暑」で、クーラーなしの部屋での議論はかなりシ
ンドイものがありましたが、一応、「今年の活動方針」概略もなんとか形がついて、
皆、ほっと一息・・・といったところ。

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2005年7月6日(水)

報告
ICBUW=「ウラン兵器禁止を求める国際連合」第二回年次総会
―来年の総会は日本で―

 皆様
 ICBUW= International Coalition to Ban Uranium Weapons(ウラン兵器禁止を求
める国際連合)の第二回年次総会が6月23ム24日、ブリュッセルのヨーロッパ議
会内にて開催され、事務局会議も続いて25−26日、場所を移して市内の公共集会
場で開かれました。(事務局会議初日は、地元の人も「こんな暑いのは初めて・・・」
と言うほどの“記録的猛暑”で、ヨーロッパ議会とは打って変わって、クーラーなし
の会議室での議論はかなりシンドイものがありましたが、一応、「活動方針」もなん
とか形がついて、一同、ほっと一息・・・といったところでした。)
 ICBUWが結成されたのが、一昨年10月。普段は電子メールを主たるコミュニケー
ション手段として進めなくてはならない国際キャンペーンの立ち上げは何かと難しく、
試行錯誤続きですが、ようやく、本格的展開への準備が整った感がします。以下、今
回の会議の意義・特長について、簡単に挙げてみます。

[1] 今回の会議は、ヨーロッパ議員の協力も得て、ヨーロッパ議会内での開催が
実現し、フィンランド・フランス・ドイツ・イギリスなどから新しいグループが参加
しました。(フランスの湾岸戦争帰還兵のグループ、AVIGOLFEの代表は、政府によっ
ていまだに無視し続けられ、苦しみ続けている帰還兵の窮状を訴えました。そうした
帰還兵の一人は、最近、二週間を越える「ハンガーストライキ」を行っているとのこ
とです。)

[2]総会の各ワークショップでは、様々な専門家・政治家・活動家の間で活発な議
論が交わされました。
 (1)ワークショップ「ウラン兵器の違法性」では、エイドィヴィル・マクドナル
ドさん(ハーグ:アッサー研究所)が、「[劣化]ウラン兵器の使用は国際人道法な
どに真っ向から反すると見なすことと、明示的な[劣化]ウラン兵器禁止条約を新た
に求めることが法律的に全く矛盾しないこと。また、禁止条約が「補償」の障害とな
ることも全くないこと」などについて、包括的かつ詳細に論じました。(彼女の英語
は、今までに聞いたことがないと思われる程の早口英語でしたが、一時間たっぷり使っ
て述べられたその論旨は、おおむねとても明晰なものでした。彼女の解説は、活動家
の間でも論争を引き起こしてきている点に関する明快な答えとなっており、禁止条約
を求めるキャンペーンにとって極めて大きな意義があると思われます。なお、マクド
ナルドさんも寄稿している、劣化ウラン問題についての国際法論文集が今秋にも刊行
されるとのこと。)

 (2)ワークショップ「劣化ウラン被害者との連帯・支援のために」では、世界各
地での被害の状況が報告されるとともに、イラク・バスラのアル-アリ先生から、バ
スラ地域の被害状況を調べるための疫学調査の提案、および支援要請がなされました。
こうしたワークショップでの議論を踏まえ、事務局会議でも、ICBUWキャンペーンに
おける「被害者支援・被害調査など被害者との連帯の重要性」が改めて確認され、ア
ル-アリ先生によって提案された疫学調査も、できる限り積極的に支援していく方針
が決まりました。

 (3)ワークショップ「武器・ウラン兵器に投資する銀行をめぐるキャンペーン」
では、ベルギーの「ネットワーク・フランダース」の取り組みが紹介され、参加者の
間にとても大きな関心を呼び起こしました。
 劣化ウラン兵器を含む武器を製造している企業に投資している銀行のリストを作成
し、そうした投資を止めるように、市民サイドから銀行に働きかけるという「ネット
ワーク・フランダース」の活動は、すでに具体的な成果を上げ、メディアによっても
大きく取り上げられているとのこと。

[3]
 昨年夏に開始されて以来、日本では17万筆を越える署名が集まっている国際署名
は、5月に実現した国連への提出に続いて、その約10分の1のコピーを欧州議会
(外交委員会)に提出すべく、今回の総会の実現に尽力されたエルンスト・ゲルヒナー
議員に託して来ることが出来ました。(なお今回は、アメリカとフィンランドの団体
からの分と合わせての委託となりました。)
 日本各地で国際署名にご協力くださった皆さんに、改めてお礼申し上げますととも
に、引き続きご協力を何卒お願いいたします。(下記の「活動方針」にもありますよ
うに、今年の11月6日の「国際行動デー」には、ジュネーブなどで何らかのロビー
活動をする方針が立てられましたので、国際署名の第三次締め切りは、10月末とし
たいと思います。)
 署名の引き渡しなど、会議の様子は、ICBUWあるいはNO DU ヒロシマ・プロジェク
トの写真リポートをご覧ください。
http://www.bandepleteduranium.org/modules.php?name=News&file=article&sid=177

[4]劣化ウラン問題に関するドキュメンタリ「知られざるDUの恐怖」(約20分/
制作:清水仁、豊田直己、加藤久美子など)を紹介。イラクのみならず、日本やイタ
リアでの取材に基づいて作られたこのドキュメンタリは、とても好評でした。特に、
コソボ帰還兵の間で劣化ウラン被害が問題となり続けているイタリアなどからの参加
者が大きな関心を示しました。

[5]来年の総会は、日本で開くことになりました。(広島で8月上旬に開催予定)
 日本での開催については、すでに昨年の総会でも強い要望がありましたが、今年は
何しろ「被曝60周年」にあたり、数多くの会議・集会が開かれますので、辞退せざ
るをえませんでした。しかし、オーストラリアなどを含むアジア・太平洋地域の国々
の人々とも連携して、今後、国際キャンペーンを一層広く、迅速に押し進めて行くた
めにも、来年、日本で開催することには、非常に大きな意義があると考え、引き受け
ることと致しました。
 しかしながら、こうした国際会議の開催には、多くの方々のご協力をお願いしなく
てはなりません。ご協力の程、心よりお願いする次第です。(このICBUW総会開催の
件につきましては、昨年に続いて、今年も広島で8月上旬に予定しております「劣化
ウラン禁止キャンペーン交流会」の席などで改めてご説明させていただきたく存じま
す。
 今年の「交流会」の日時・場所については、近日中にご連絡させていただきます。)

   嘉指信雄(ICBUW評議員、NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表)
   振津かつみ(ICBUW評議員、ヒバク反対キャンペーン)

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ICBUW=International Coalition to Ban Uranium Weapons
「ウラン兵器禁止を求める国際連合」第二回年次総会・事務局会議

[I]年次総会(公開)
  ・期間:2005年6月23―24日
  ・場所:ブリュッセル・ヨーロッパ議会内会議室
・ 参加者数:約70名(10カ国、17グループ:その内、欧州議会議員10名)
――
 日本からは6名:「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」1名、「ヒバク反対キャンペー
ン」1名、「JIM-NET=日本イラク医療支援ネットワーク」1名、「ウラン兵器禁止
条約実現キャンペーン」3名)
  ・プログラム(下記参照)
[II]事務局会議(非公開)
・ 期間:2005年6月25―26日/場所:ドゥ・マルクテン内会議室(ブリュッ
セル)

決定事項
[1]今後の主な活動方針
(A)ロビー活動――
 (1)10月から始まる国連総会第一委員会(軍縮関係)などへの働きかけの準備
に取り組むとともに、2006年12月に予定されているCCW=Convention on Conventional Weapons
(特定通常兵器使用禁止・制限条約)の再検討会議で、劣化ウ
ラン兵器に関する議定書を追加する可能性を探る。具体的には、国連によって、「武
力紛争と戦争における環境収奪を防止する国際日」に制定されている11月6日を昨
年に引き続き「ウラン兵器禁止国際共同行動日」として各国で取り組むと同時に、ジュ
ネーブにてWHO,UNEPなどの国連機関への働きかけも含めた公開ワークショップを開
くことを検討する。
 (2)ヨーロッパ議会に対し、2003年2月にヨーロッパ議会が採択した「劣化
ウラン兵器使用のモラトリアム(暫定的使用禁止)」を実効あるものにすることを求
めていく。
 (3)各国、および各国地方自治体のレベルにおいて、「ウラン兵器禁止を求める
決議」の採択を求めていく。(今年8月4−6日、広島で開かれる「平和市長会議」
などでアピールする。)

(B)被害者支援――
  (1)イラク疫学調査
 バスラがん治療センター(Cancer Treatment Center)によって提案されている、バ
スラ地域での腫瘍発生などに関する疫学調査の計画を、ICBUWとしてもIPPNW-Germany
(核戦争防止国際医師の会・ドイツ支部)など他の団体と協力しながら支援をしてゆ
くことになった。(ただし、調査の具体的内容などに関しては、今後慎重に検討して
いくこととする。)
  (2)支援活動のコーディネーション
  (3)ウラン兵器製造会社に投資している銀行に対するキャンペーン
        (ベルギーでの取り組みをモデルとして/大きな可能性として)

[2]来年度総会開催地:日本(広島:8月上旬開催予定)

[3]組織面
  以下の地域コーディネータを置くことになった。
・ アメリカ:タラ・ソーントン(Military Toxics Project)
・ ヨーロッパ:フランチェスコ・ヤンヌツェッリ(Peace Link)
・ アジア・太平洋:嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト)

***

「ウラン兵器禁止を求める国際連合」
第二回年次総会プログラム

2005年6月23日(於:ブリュッセル・ヨーロッパ議会)
 開会式
 10:00 歓迎
    ・ヘンク・ヴァン・デア・クール(オランダ事務局)
     嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト)
    ・各国からの活動報告
 13:00 ウラン兵器禁止についてアピール行動(欧州議会建物内)
 15:00 パネル・ディスカッション「劣化ウラン兵器:その多面的問題性」
    ・ジャワッド・アルーアリ博士
        (イラク・バスラ教育病院がんセンター長)
    ・キース・ベーバーストック博士
     (フィンランド・クオピオ大学環境科学部:
                 元WHO放射線管理部長)
    ・ マンフレート・モーア教授(国際法:国際反核法律家協会ドイツ支部)
    ・欧州議会議員
 18:00 終了:レセプション

2004年6月24日(於:ブリュッセル・ヨーロッパ議会)
 10:00 ワークショップ
「武器・ウラン兵器に投資する銀行をめぐるキャンペーン」
 ・ネットワーク・フランダース
 11:30 ワークショップ「ウラン兵器の違法性について」
    ・マンフレート・モーア(国際法:国際反核法律家協会ドイツ支部)
    ・ エイドヴィル・マクドナルド(国際法:
             ハーグ・アッサー・インスティチュート)
 14:40 ビデオ紹介(Unknown Terror of Depleted Uranium
     =知られざるDUの恐怖)/制作:清水仁・豊田直己
 15:00 ワークショップ
     「劣化ウラン被害者との連帯・支援のために:疫学的観点から」
    ・アル-アリ博士(バスラ)、井下俊(JIM-NET)、振津かつみ(ヒバク反対
キャンペーン)、グレーテル・マンロー(平和のための草の根行動―アメリカ)、フ
ランチェスコ・イアンヌツェッリ(ピースリンクーイタリア)など
 17:00 新メンバーの活動紹介
 18:00 欧州議会での閉会イベント