アフガニスタン戦争での劣化ウラン/ウランによる汚染・被害の実態
UMRCドラコビッチ博士による調査報告集会
中国新聞ニュースより (2003年11月22日)
新型ウラン兵器使用か 米の研究者広島で報告 |
'03/11/22 |
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カナダに本拠を置くウラニウム医療研究センター(UMRC)の責任者で元米陸軍軍医のアサフ・ドラコビッチ氏=米ワシントン在住=の調査報告集会が二十一日夜、広島市中区の原爆資料館東館であった。ドラコビッチ氏は、米軍が二〇〇一年から始めたアフガニスタン空爆で「新たなウラン兵器を使った可能性がある」と指摘した。
新兵器使用の裏付けとしてドラコビッチ氏は、UMRCがアフガニスタン住民の尿を分析した結果を紹介。核分裂性の強いウラン235などの割合が、天然ウランとも劣化ウランとも異なった。天然ウランに極めて微量が含まれるウラン234も検出されたという。
さらに、民間人八人の尿から検出されたウラン全体量は、平均で国際水準の約二十三倍、最大で二百倍にも上った点を挙げて、劣化ウラン弾とは違うタイプのウラン兵器使用の見方を強調した。どんな兵器なのか断定はしなかった。
このほか、イラクの住民の尿を調べた結果、イラク戦争で使用された劣化ウラン弾が原因とみられる高濃度のウラン汚染があることも伝えた。
湾岸戦争の帰還兵の健康調査をした後、ドラコビッチ氏は米国防総省から解雇された。二十三、二十四の両日、大阪と東京でも報告する。
【写真説明】アフガニスタンでのウラン弾被害について、報告するドラコビッチ氏
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自衛隊派遣候補地 イラク・サマワ
劣化ウラン弾汚染の恐れ
元米軍医が分析
「イラクに派遣される自衛隊にもウラン汚染が及ぶ危険性がある」と語るドゥラコビッチ博士=東京都千代田区の参院議員会館で
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自衛隊のイラク派遣の時期が注目される中、核医学の第一人者の米国人で、元米軍医(大佐)のアサフ・ドゥラコビッチ博士(63)が初来日し、本紙のインタビューに対し「自衛隊派遣候補地のイラク南部のサマワ周辺も、米英軍がイラク戦争で使用した劣化ウラン弾による高濃度の放射能汚染が予測される」と語った。また、「自衛隊派遣は、日本のどのような利益につながるのか。日本が得られるものは何もない。イラクの復興は、破壊した米英国の責任でなされるべきだ」と指摘した。
(聞き手=社会部・佐藤直子)
「戦車の装甲を焼き切るために、砲弾のコーティングに使われた劣化ウランは、爆発の際、粉じんとなって大気中に飛散する。これを吸入することで体内被ばくが起きる。サマワでもウラン汚染が予測され、被ばくの危険性は否めない」と博士は言う。
博士が所長を務める独立系の民間団体「ウラニウム医療研究センター(UMRC)」では最近、イラク戦争で激しい爆撃を受けた南部のバスラ近郊の村の九歳の少年の手術を行ったところ、全身に高濃度の放射能汚染が確認された。
また、三週間ほど前にはセンターの研究チームがイラクを訪れ、バグダッド、バスラ、カルバラなどイラク国内十五カ所で、住民の尿や遺体の組織、土、水、大気など百以上のサンプルを採取した、という。現在までに分析された放射能は、比較対象としたカナダ・トロントの水や空気の数千倍に達するものもあったという。十五カ所の中にはサマワも含まれており、サマワの汚染も確認されたが「十分に分析されたものではないので、数値はまだ公表したくない」と語った。
劣化ウラン弾は貫通力が高く、安価なことから湾岸戦争後も、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、コソボ紛争などでも北大西洋条約機構(NATO)軍が使用したとされる。イラク戦争でも英国国防省が使用を認め、米中央軍も三十一万一千発余を使用したと発表している。
米政府は、劣化ウランの人体への影響を否定しているが、その理由について博士は「米軍も英国軍も、環境や人体に壊滅的な影響を与えた罪を負いたくはないし、補償問題を恐れているからだ」と批判。「湾岸戦争(一九九一年)までは生物、化学、核兵器の時代だった。だが、それ以後、放射能兵器による戦争の時代に入った。生命を無差別に殺傷する大量破壊兵器を語るとき、私たちは放射能兵器についても言及せざるを得なくなった」と述べた。
博士はかつて、大佐の地位にある医師として米軍に所属していた。だが、湾岸戦争後、多くの帰還兵や退役軍人に発症した原因不明のさまざまな疾患が「湾岸戦争症候群」として社会問題化したとき、治療研究に当たり、元兵士らの体内に高いレベルでの被ばくが起きていることを確認。「対戦車砲に使用された劣化ウランの微粒子を吸ったことが原因で、重い肝臓疾患や機能不全が生じている」と結論づけた。
こうした研究によって政府から「政治的な圧力がかけられるようになり、軍医を解職された」という。博士は「イラク戦争時の『衝撃と畏怖(いふ)』作戦に参加した兵士の中にも、『湾岸戦争症候群』のような症状が起きている、という情報を得た」とも語った。
アフガニスタン戦争での劣化ウラン/ウランによる汚染・被害の実態
UMRCドラコビッチ博士による調査報告集会
日時:2003年11月21日(金)18:30〜20:30
場所:平和資料館地下会議室
講演:アサフ・ドラコビッチ博士
UMRC(ウラニウム医療研究センター)責任者
資料代 1000円
共催:NO DU ヒロシマ・プロジェクト
:(財)広島平和文化センター
◆ウラニウム医療研究センターUMRCはアフガニスタン戦争での米軍による人体と
環境への深刻なウラニウム汚染の実態を解明に取り組んでいます。昨年の2度にわ
たって現地で唯一の科学的調査を行い、アフガニスタン住民の尿から通常の200倍
に及ぶ高濃度のウラニウムを検出し、広範囲の人々が深刻な汚染に曝されたことを明
らかにしました。
◆UMRCは現在イラクに現地調査団を派遣し、米英軍によるイラクの劣化ウラン/
ウラン被害の調査にも取り組んでいます。この調査も米英の戦争犯罪と汚染の実態を
暴く上で極めて重要です。その調査にあたったドラコビッチ博士から直接調査結果に
ついて報告してもらう機会をようやく実現することができました。今回、東京・大阪・
広島での講演のこの機会に是非ご参加くださり、劣化ウラン被害の実態を知り、放射
能被害について考えましょう。
連絡先 NODUヒロシマ・プロジェクト世話人
森滝春子(090−9064−4705)
※ 詳しくは、HPをご覧下さい。
NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト
http://www.nodu-hiroshima.org/
吉田正弘さんのメールから
(以下、「イラク戦争劣化ウラン情報 No.8」からの抜粋転載です。)
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イラク戦争劣化ウラン情報 No.8
2003年11月1日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 吉田正弘
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転載歓迎
カナダをベースに活動するUMRC(ウラニウム医療研究センター)の責任者、ア
サフ・ドラコビッチ博士が来日し、国会議員へのブリーフィングを行い、東京、大阪
の報告集会などで話されます。
UMRCは米軍の攻撃にさらされたアフガニスタンでウラニウム汚染の調査に取り
組んだ唯一の組織です。昨年2度にわたって現地調査を行い、尿や土壌、水のサンプ
ルを採取し人体と環境の汚染調査を実施しました。分析結果は驚くべきものでした。
米軍の「不朽の自由作戦」による爆撃地点付近の住民の多くがウラニウムによると思
われる急性症状を示しただけでなく、症状の出た患者の尿から一般の人の45倍
(ジャララバード)、200倍(カブール)という高濃度のウラニウムが検出されま
した。また爆撃クレーターや付近の水田の水からの通常の数倍から20数倍のウラニ
ウムが検出されました。
米軍がA−10攻撃機や戦車の砲弾に劣化ウランを使っていることはよく知られて
います。しかし、UMRCの調査結果は米軍がアフガニスタンで大量に用いたバン
カーバスターなどの貫通型爆弾がウラニウムを含んでいるかウラニウム製であること
を示しています。また、検出されたのは劣化ウランではなく非劣化ウラン(天然ウラ
ン)でした。アフガニスタンで使われたウラニウムは600トンから1000トンに
上るという評価も行われていますが、アフガニスタンの人々が爆撃によって深刻な汚
染に直面していることは間違い有りません。
イラク戦争では米英軍が劣化ウランを人口密集地帯で大量に使いました。その上多
数の貫通型爆弾を都市部の目標に向けて投下しました。使われた劣化ウラン/ウラン
の量は湾岸戦争をはるかに上回ると考えられています。アフガニスタン以上の汚染が
心配され、至急の大規模な汚染調査が必要です。しかし国際機関などが米英軍の占領
下で調査を拒否されています。このような状況の下で、UMRCは9月末にイラクに
対する現地調査を行い、ウラニウム汚染の被害調査を開始しています。(同様の調査
はNODUヒロシマプロジェクトが行っているのが知られているだけです)。
ドラコビッチ博士は核医学の専門家です。元々はペンタゴンの医学専門家として湾
岸戦争帰還兵の健康調査と治療に携わっていましたが、帰還兵の症状から本格的な調
査を行うべきだと主張したことで解雇され、クリニックを閉鎖されました。その後、
科学者としての良心に従い帰還兵の健康調査を独自に行うために仲間の科学者達とU
MRCを設立しました。その意味で、博士は湾岸戦争症候群とウラニウム汚染に関す
る第1級の専門家です。
UMRCは独立の科学・研究・調査機関で、その活動は市民からの寄付によって支
えられています。尿のウラニウム調査は1サンプルの分析に約10万円もかかる精密
な検査が必要です。今回博士を招聘する「UMRCイラク・ウラン被害調査カンパ
キャンペーン」は、この分析費用へのカンパを日本で呼びかけ、博士達の調査活動を
サポートし、イラク調査のカンパキャンペーンにも取り組んでいます。
(1)ドラコビッチ博士招聘日程の概要
11月20日(木)東 京 午後3時から5時 参議院議員会館第5会議室で議員むけブリー
フィングと記者会見 (東京泊)
21日(金)広 島 市民グループや研究者との交流
22日(土) 大阪で記者会見/交流会(予定)
23日(日)大 阪
「アフガニスタン戦争の劣化ウラン/ウランによる汚染・被害の実態、
UMRCドラコビッチ博士による調査報告大阪集会」
主 催;UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
時 間 午後1時半より
場 所 府立杜会福祉会館5階ホール(地下鉄谷町線、谷町6丁目下車)
会場費・資料代 1000円
24日(月)東 京
「アフガニスタン戦争の劣化ウラン/ウランによる汚染・被害の実態、
UMRCドラコビッチ博土による調査報告東京集会」
主 催;UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンぺーン事務局
UMRCドラコビッチ博士による調査報告東京集会実行委員会
時 間 午後6時半より
場 所 文京区民センター(地下鉄丸ノ内線後楽園より徒歩3分、都営三田線春日駅すぐ)
会場費・資料代 1000円
25日(火)帰国
(2)連絡先
・UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局
・アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
吉田正弘 090-5016-3844 e-mail masayo@silver.ocn.ne.jp
大阪府松原市南新町3-3-23阪南中央病院労働組合気付け
東京集会実行委員会
ASIANSPARK 松田卓也 090-4289-6360 e-mail
tensaitakuyasan@mail.goo.ne.jp
参加団体・個人 ASAIANSPARK、アフガニスタン国際戦犯民衆法廷実行委員会、アラブイスラームの子供たちを助ける会(ジャミーラ高橋)、イラク国戦犯民衆法廷、基地はいらない!女たちの全国ネット、テロ特措法海外派兵は違憲市民訴訟の会、タンポポ舎、ピースニュース、ふくろうの会、劣化ウラン研究会、芦澤礼子、加藤賀津子、倉林正明、斎藤紀代美、坂上武、清水竹人、高瀬晴久、細井明美、山崎久隆
(3)UMRCの新しい論文が発表されました。
UMRCのアサフ・ドラコビッチ博士がクロアチア・メディカル・ジャーナルCM
Jに「診断未確定の病気と放射能戦争Undiagnosed
Illnesses and Radioactive
Warfare 」(CMJ October 2003; Vol 44, No 5, pages:
520-532
)という新しい論
文を書いています。この中でUMRCのアフガニスタン調査の結果が報告されていま
す。そして、ジャララバードなど1次調査の対象地区の住民の尿中ウラニウム濃度
(各サンプル別)のデータやグラフが公表(公表は初めてです)されています。被曝
した8人のデータは非被曝の住民(コントロール群)と比べて平均で9倍という高い
値となっています。(米国の平均的な値と比べると27倍です)。またテッド・ウェ
イマン氏が土壌などのサンプルを採取している様子が写真で紹介されています。
論文はCMJのエディトリアルで、英文ですがpdfファイルで全文を見ることがで
きます。ドラコビッチ博士とCMJ誌の了承を得て、現在日本語に翻訳する作業を進め
ています。
CMJのアドレス http://www.bsb.mefst.hr/cmj/2003/4405/4405.htm
----------------------------(転載以上)
全文は、HPに掲載しています。
「イラク戦争劣化ウラン情報 No.8
UMRCドラコビッチ博士が初来日」
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/no_du_report8.htm
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アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
URL:
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/
e-mail:
stopuswar@jca.apc.org
〒580-0023 大阪府松原市南新町
3-3-28
阪南中央病院労働組合 気付
FAX
072-331-1919
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