2005年7月
帰還兵に健康診断を受ける権利を認める法案
ルイジアナ州とコネチカット州で通過
皆様
2005年8月29日
このニュース(下に翻訳全文を貼り付け)は、今、日本でもっと広く知られるべき、そして徹底的に問題にされるべきニュースだと思います。(翻訳してくださった方々に感謝いたします。)
ちなみに、同じような法案は、コネチカット州に続いてルイジアナ州でも7月に通過しています。
ピースデポの『イアブック核軍縮・平和2005/市民と自治体のため』に収録されている「広がる劣化ウラン兵器禁止の声」の項目では、世界各地の関連する動きが列挙されています。(下の抜粋をご参照下さい。)
こうした世界各地の動きを、マスコミにも取り上げてもらえるような仕方で、もっと広く知ってもらう工夫・努力が必要かもしれないと、改めて感じています。ご参考までに。
草々 嘉指信雄
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以下、 ピースデポの「イアブック核軍縮・平和2005」、164-65頁より抜粋。
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一方で、内部被曝を懸念させる知見や、司法・行政レベルでの取り組みも、各国で具体化しつつある。
2004年4月−ニューヨークの「デイリー・ニュース」紙は、イラク戦争後にサマワに駐留し、体調不良で帰国した米兵9人中4人の尿から劣化ウランが検出されたことをスクープ。現在、これらの帰還兵は国防省に対し賠償金を請求している。
同年4月-欧州委員会は、スコットランドのダンドレナン射爆場からソルウェー湾に撃ち込まれた劣化ウラン弾による汚染を調査することに合意した。
同年6月-ローマの裁判所は、イタリアの兵士ステファノ・メローネの遺族に対し賠償金50万ユーロ(約6500万円)を支払うよう国防省に命じた。メローネ氏は、コソボ紛争後、劣化ウランに汚染された残存物に接触したが、帰国後、ガンにかかり、01年に死亡した。
04年10月末、「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」が03年6月の劣化ウラン弾被害調査の際にイラクで採取した一人の急性白血病患者(7才の女児)の尿サンプルから、劣化ウランが検出されていたことが、金沢大学の分析によりほぼ確認された。(*『中国新聞』04年11月2日。)この女児の住居は、バグダッド郊外にあり、爆撃地点から100m以内の地点に位置している。(より詳しくは、『劣化ウラン弾禁止を求めるヒロシマ・アピール(英語・短縮改訂版)』3-4頁を参照)
05年になって、米国では、劣化ウラン兵器が人体や環境に及ぼす影響に関する科学的調査を求める法案を下院に提出する動き(注:ワシントン州選出ジム・マクダーモット議員)・・・などが、起こっている。 ]
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【以下、転載・転送自由です】
反戦翻訳団-Antiwar Translation Brigade-
主として反戦運動にかかわる海外記事の翻訳紹介。
2005年08月28日
【劣化ウラン:出征兵と帰還兵を護るために行動を起こす州】Kevin Zeese , The
National Gulf War Resource Center , Inc.(2005/7/19)
原文:Depleted Uranium : States Take Action to Protect Their Soldiers and Veterans
翻訳:203号系統
帰還兵に健康診断を受ける権利を認める法案が、ルイジアナ州で通過した。
先日ルイジアナ州では、全ての帰還兵に対して劣化ウラン被爆に関する精密な集団検診を受ける権利を認める法案が承認された。今回の法案通過に献身した活動家の一人であるBob Smithへの取材を以下にご報告しよう。彼はLouisiana Activist Networkに参加している。そしてVeterans for PeaceとViet Nam Veterans Against the Warの会員でもある。テキサス州の海軍一家に生まれ、三人の兄弟と共に育った。彼はベトナムから帰還した数年後、1977年にルイジアナ州に引っ越してきた。青年たちと共に精神病院で働き、そこで妻となる女性に出会う。彼女は職場の同僚であった。そして彼は再び軍に戻り、八年前に部隊最先任上級曹長で除隊した。議会が憲法に反してイラク開戦権限を大統領に譲り渡した日を前後して、彼はより積極的に参加するようになり、そしてそれ以来、長老派教会と共に平和運動に取り組んでいる。
Zeeze:ルイジアナ州に劣化ウラン関連法を採択させようと云う動機は何だったのでしょう?
Smith:20年軍役に就いた退役兵として、私はベトナムから帰還して以来ずっと退役兵たちの健康問題に関心を払って来ました。軍務を終えた兵隊たちに対して国家が極めて不十分な対応しかしてくれないことを、先ず私の経験から知っています。第一次湾岸戦争以降、毎年のように不可思議な病気と診断される帰還兵が続出しております。詰まり、それが湾岸戦争症候群( Gulf War Syndrome ; GWS )ですが、その原因やエージェント・オレンジ汚染によく似た影響を考察する重要研究は為されておりません。
ここニューオーリンズに在る退役軍人省ベトナム帰還兵開放センターや帰還兵センターにて派遣相談員をしていた八十年代、政府がエージェント・オレンジ汚染にどのように対処していたかを見てきました。25年間に渡って政府から研究を請け負ってきたランド社は、退役軍人とその子供たちに発症している健康上の問題とエージェント・オレンジとの因果関係を否定しておりました。今週やっと、退役軍人省はエージェント・オレンジと糖尿病に繋がりがあることを認めた位です。ベトナムからの撤退が完了したのは三十年以上も前なんですよ?今、劣化ウラン汚染と健康との因果関係を否定しているのが、その同じランド社であると云うことは言っておいた方が良いでしょうね。
昨年末に膨大な書籍を読んで劣化ウランに関する理解を深めました。1月にLuisiana
Activist Networkが企画した、ニューオーリンズで−民主主義をジャズで弔う−平和デモの場で或る若い第一次湾岸戦争帰還兵に出会いました。Dennis
Kyne氏です。彼が語って呉れたのが、現地に居る時分から兵隊たちが既に発症していることに衛生兵として先ず最初に気が付いたと云うこと、そして彼が劣化ウランの知識を身に付けたのは帰還して来てからと云うことでした。私は更に調査と研究を重ねました。3月には地球科学者のLeuren
Moret氏と知り合いました。彼は、Dennis Kyne氏が私に語って呉れたことや私が書籍に読んだことと、全く同じ主張をしておりました。それから私は調査と研究を続け、Doug
Rokke氏とお会いしたりもしました。彼は、第一次湾岸戦争後の汚染除去担当の統括責任者でしたので、劣化ウランの専門家です。彼の部署にいた人員の三割から四割が既に死亡しております。
この問題を大衆的に討議して貰うためにはどのようにすれば良いのか、と云うことを次第に考えるようになりました。Leuren氏がコネチカット州に居る若い女性を教えて呉れました。Melissa Sterryさんです。彼女もこの件で行動を起こしておられていたのです。コネチカット州の共和党Patricia Dillon議員と共に、州内の帰還兵全員を診察させるための法案を通過させようとしている方です。いつも献身的なMelissaさんは、コネチカット州の法案写しを分けて下さいました。彼女は第一次湾岸戦争後の劣化ウラン汚染除去班の一員でした。彼女自身も酷く健康を損ねており、彼女の居た班の仲間も八人のうち六人が帰還してから亡くなっております。しかもみんな三十五歳にもならない内にです。
ルイジアナ州で知己の共和党JAlia Jefferson-Bullock議員に連絡する前に、コネチカット州の法案を土台にして名前をルイジアナ州に変更した上で幾つかの微修正を行いました。私たちが打ち合わせを終えた時には、提出期限まで既に24時間を切っておりました。共和党Juan LaFonta議員が法案提出者となり、共和党Jefferson-Bullock議員が共同提出者となりました。締め切りには間に合いました。
Zeese:法案の目的とは何でしょう?
Smith:この法律で、劣化ウラン被曝に関する精密検査を受ける権利を、全ての帰還兵に与えます。低レベルの劣化ウランでも検出できる精微な方法として生体試料分析法を採用し、天然に見出されるウラニウムのレベルとその特定比そして劣化ウランを指標として放射性同位体の違いを識別することができる装置を使って検査を行うことになります。
この検査によって、兵隊が被曝しているかどうかが明らかになるでしょう。それで誤診を防ぎ、ありがちな誤投薬で兵隊の病気が更に悪化することも無くなるでしょう。そして被爆した兵士たちには、自分の子供は先天性疾患や欠損を伴って生まれてくる可能性が高いことについて、覚悟を決めて貰うことが出来ます。
またこの法律の定めるところにより、今まで陸軍の規定により為されてきた講習会と演習の方法論は、ルイジアナ司法長官が州議会に提出することになります。
Zeese:ルイジアナ州に続こうとする他州の活動家たちに何か助言はありますか?
Smith:自信を持つことです。劣化ウラン検診の目的は、放射性廃棄物から創り出された非常に恐ろしい物質によって汚染されているかどうかを発見することです。兵隊への本当の支援とは、こういうことです。貴方の地区選出代議士たちに、時にはそれを思い起こさせて下さい。専門家たちやこの種の法律を成立させた人たちと一緒に学習会・議論を行って下さい。また覚えておいて下さい、兵器製造業者は斯様なことが公になることを嫌がります。この死の物質のお陰で、企業は大金を得ています。そして軍隊もまた、これら非常に有効な攻撃兵器を手放そうとはしません。私たちの兵隊や市民・敵の兵隊そして自然環境にどれ程の影響があろうともです。上述の二つの潜在的対抗勢力、即ち兵器製造業者或いは軍隊からの反撃には遭いませんでしたが、それらにしても専門家にあたる準備をしているはずです。帰還兵たちの証言を得ていることが、私たちの支えです。Baton Rouge出身の退役兵Ward Reily氏も、委員会で法案を通過させる為に助力して下さいました。
Zeese:この法案を巡って直面した困難とその克服方法をお教え頂けますか?
Smith:本当に大変だったのは、代議士への教育だけです。彼女に知識を持って貰わなければならないのに時間の猶予がありませんでした。しかし幸いなことに、彼女は最低限一時間の学習会を受けて呉れました。代議士は二人とも友軍の兵隊に非常に気を遣っておられて、帰還兵の為にも助力を惜しまない方たちだったのです。他には何も障害はありませんでした。
Zeeze:貴方のこれからの動きは?
Smith:大衆を教育するために、喫茶店や公開催事の場で学習会を開催して来ました。文書を配布したり、講演会を開催したり、インターネット上で文書を公開したり、記録映像を上映したり、様々な方法を使ってです。また、他州の支援者たちとも情報や情報網を共有して連絡を取り合っており、役に立つ秘訣を提供しています。若しそれで上手くいかないようなら、屋根のてっぺんで真実を叫んでやりますよ。
原注:私( Bob Smith )は陸軍と州軍に20年間服務した後、部隊最先任上級曹長で除隊しました。特殊部隊グリーン・ベレーの隊員として三度ベトナムに出征し、「砂漠の嵐作戦」にも従軍しました。社会学そして機械工学の学位を取得しております。現在は、結婚して26年になる妻Julieそして愛犬Maggieと一緒に暮らしていて、ニューオーリンズで技師として働いております。Veteran for PeaceそしてViet Nam Veterans Against the War更にLouisiana Activist Networkの会員でもあります。
Kevin ZeezeはDemocracy Risingの代表です。
劣化ウランに関して更に詳しく知りたい方は、GNNの書籍【True Lies】を参照下さい。著者のLapp? とMarshallは、放射線実験を指揮するためにイラクに赴いています。
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−転載ここまで−
ニュース原文はこちら
http://www.ngwrc.org/index.cfm?Page=Article&id=2010&NoMenu=1
Kevin Zeese
Democracy Rising
Jul 29, 2005
Depleted Uranium: States Take Action to Protect Their Soldiers and Veterans
Tue, 19 Jul 2005 06:17:50 -0700
By Kevin Zeese
Louisiana passes law giving returning veterans the right to get tested
Louisiana recently passed legislation giving all returning veterans the right to get a best practices health screening test for exposure to depleted uranium. Interviewed here is Bob Smith, one of the activists that helped make this bill possible. He is with the Louisiana Activist Network. He is also I am a member of Veterans for Peace and the Viet Nam Veterans Against the War. Born a Texan and raised in a Navy family with three siblings, moved to Louisiana in 1977 a few years after returning from Viet Nam. He worked with adolescents in a psychiatric hospital where he met his wife, a co-worker, returning to the military and retired eight years ago as a Command Sergeant Major. He became actively involved the day Congress gave the President unconstitutional, power to make war on Iraq and has been active ever since in the peace movement and with the Presbyterian Church.
Zeese: What made you pursue legislation regarding depleted uranium in Louisiana?
Smith: As a twenty year veteran I have been concerned about veterans health since I returned from Viet Nam. From first hand experience I knew the treatment of veterans by our country was highly inadequate after their service. Each year after Gulf War I, more and more veterans were being diagnosed with a mysterious illness, Gulf War Syndrome (GWS) without significant research for cause and effect much like what happened with Agent Orange contamination.
I learned about how the government dealt with Agent Orange contamination during the eighties as an outreach counselor at the VA’s Viet Nam Veterans Outreach Center or Vet Center here in New Orleans. We were actively involved in trying to alert the VA to the effects of Agent Orange contamination. For twenty five years a government study done by the Rand Corporation denied any cause and effect between Agent Orange and health problems experienced by veterans and their offspring. Just this week the VA has finally recognized the connection between Agent Orange and diabetes. Remember the last troops returned from Viet Nam over thirty years ago. Worth mentioning is that the same Rand Corporation now denies any cause and effect between depleted uranium contamination and health.
Late last year after a lot of reading I found out about depleted uranium. In January at the Jazz Funeral for Democracy, a peace march in New Orleans organized by the Louisiana Activist Network, I met a young Gulf War I veteran, Dennis Kyne. He talked with me about what he knew first hand as a combat medic about illnesses of our veterans even before they returned home and what he has found out about DU since returning home. I then did more research and studying. In March I met Leuren Moret, a geoscientist, who reaffirmed everything that Dennis Kyne had told me and reaffirmed what I had been reading. I then did more research and studying including conversation with Doug Rokke. Doug was the overall supervisor in charge of the clean-up after Gulf War I and is an expert in depleted uranium. Thirty to forty percent of his team are now dead.
I then became concerned about what could be done to bring this issue out into the public conversation. Leuren told me about a young lady in Connecticut, Melissa Sterry, who was doing something about it. Working with Rep Patricia Dillon of Connecticut they were introducing a bill to have all of their state’s veterans tested. The always unselfish Melissa willingly shared a copy of the Connecticut bill with me. Melissa had been a member of a depleted uranium clean-up team after Gulf War I. She herself was very sick and had six of her eight team members die since returning home. All six were less than thirty-five years old.
Taking the Connecticut bill, changing the name to a Louisiana bill, and making a few minor amendments preceded a call to my Louisiana congressperson, Rep. Jalila Jefferson-Bullock. The submission deadline was less than twenty-four hours after our meeting. Rep. Juan LaFonta sponsored and Rep. Jefferson-Bullock co-sponsored the bill. The deadline was made.
Zeese: What does the legislation accomplish?
Smith: The legislation will allow all returning veterans to have the right to get a best practices health screening test for exposure to depleted uranium. The test will use a bioassay procedure involving sensitive methods capable of detecting depleted uranium at low levels and the use of equipment with the capacity to discriminate between different radioisotopes in naturally occurring levels of uranium and the characteristic ratio and marker for depleted uranium.
This test will determine if a soldier has been contaminated. It will prevent mis-diagnosis so soldiers are not given the wrong medications that usually make them sicker. It will allow the contaminated soldier to decide about parenting further offspring who have an increased chance of serious birth illnesses or defects.
The bill also prescribes a reporting mechanism from the Louisiana’s Attorney General to the legislature that requires that awareness sessions and training have been done as required by Army regulations.
Zeese: What tips do you have for activists in other states interested in pursuing this in their state?
Smith: Stay focused. Depleted uranium testing is for discovery of contamination of a very hazardous material made from radioactive nuclear waste. This is something that truly supports the troops. Remind your elected representatives of that often. Read, study, and discuss with the experts and others experienced in this type of legislation. Other advocates should remember that the weapons manufacturers do not want this in the public. They make a lot of money off this death bringing material. Likewise the military does not want to give up these very effective offensive weapons regardless of how it effects our soldiers or civilians, enemy soldiers, or the environment. Although we did not encounter resistance from those two potential adversaries, weapons manufacturers or the military, others might and they should be prepared to bring in experts. Having veterans testify helps. Another veteran, Ward Reilly, from Baton Rouge was instrumental in helping get the bill through committee.
Zeese: What were some of the challenges you faced with this legislation and how did you overcome them?
Smith: The only real obstacle we encountered was educating our representative. We knew we would have to educate her and do it quickly but fortunately she agreed to a minimum one-hour meeting. We were lucky as both representatives cared deeply about our troops and taking care of them after they come home. There were no other obstacles.
Zeese: What are your next steps?
Smith: We have been having awareness sessions at coffeehouses and public events to educate the public, either by passing out literature, making educational speeches, posting literature on the internet, or showing documentaries. We are also communicating with advocates in other states by sharing information, resources, networking, and offering tips to help. And if that doesn’t work I may just stand on top of the roof and scream out the truth.
Note: I retired after 20 years in the Army and National Guard as a Command Sergeant Major, serving three tours in Viet Nam as a Special Forces Green Beret and was mobilized for Desert Storm. Education includes a Bachelor of Arts in Sociology and a Bachelor of Science in Mechanical Engineering. Currently employed as an engineer living in New Orleans with Julie my wife and life partner for over twenty-six years and our dog, Maggie. Member of Veterans for Peace, Viet Nam Veterans Against the War, and the Louisiana Activist Network.
Kevin Zeese is a director of Democracy Rising. You can comment on this column on his blog spot at DemocracyRising.US.
For more on DU, see GNN’s book True Lies. Authors Lapp? and Marshall travel to Iraq to conduct their own radiation tests.