2006年11月4日
11月1日、イギリスのBCCが、「“無視された”劣化ウランのリスク」と題されたニュースを報道しました。(まず、BBCラジオの朝の番組「Today」で放送され、インターネット版に掲載されたもののようです。)今年8月広島で開催されたICBUW国際大会にも参加したキース・ベイウ゛ァーストック博士(元・国連放射線専門研究員)もインタビューを受けて発言しています。
大変重要なニュースですので、ご参考までに抄訳してみました。
なお、原文全文は、下記にアップされています。
<http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/middle_east/6105726.stm>
草々 嘉指(かざし)信雄
NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表
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BBCニュース、2006年11月1日
“無視された”劣化ウランのリスク
BBCの調査によれば、劣化ウラン兵器には発ガンの危険性があるという警告にもかかわらず、英国と合衆国の軍隊は劣化ウラン兵器を使い続けてきている。
科学者たちは、1991年と2003年の戦争において劣化ウラン兵器が使用されたイラクにおける保健統計に注意を向けてきている。
WHO(世界保健機構)による2001年の報告は、劣化ウラン兵器による汚染のリスクは小さいものでしかないとしている。
しかし、国連の上級研究員の一人は、いかに劣化ウランがガンを引き起こしうるか示した研究が差し止められたと述べた。
英国国防省は、劣化ウランの使用と病気を結びつける証拠はないと述べた。
劣化ウランはきわめて固く重たいため、装甲貫通弾などとして使われている。
健康への影響に対する懸念から、2001年、WHOによって研究がなされることとなった。
(中略)
国連によるこの報告を監督したマイク・レパコーリ博士は、BBCラジオ4「Today」番組のアンガス・スティックラーに対し、劣化ウランは、“基本的に安全”であると語った。博士は、「健康に対する悪影響を生じさせるためには、膨大な量の劣化ウランを吸引する必要があるだろう」と述べた。
「微粒子からのリスク」
しかし、国連によるこの研究プロジェクトに加わったキース・ベイウ゛ァーストック博士によれば、アメリカ国防総省によって行われた研究は異なる結果を示している。
(中略)
ベイウ゛ァーストック博士は、劣化ウランが吸引された際に引き起こされる、「遺伝毒性」として知られているプロセスを説明した。
「溶解性の微粒子は、部分的には放射性毒性、そして、部分的には化学的毒性に由来するリスクを肺に及ぼす」と述べた。博士によれば、さらに、そうした体内に入った微粒子は、血流に入り込み、骨髄、リンパ系や腎臓に影響を及ぼしうる。
こうした研究は、WHOの報告には取り入れられなかったが、ベイウ゛ァーストック博士は、それは妨害されたためだと信じている。
レパコーリ氏は、こうした研究結果は他の報告によって裏付けられておらず、”推測上(speculative)の”データを発表することはWHOの方針ではない、と述べた。氏は、いかなる圧力も否定した。
しかし、他の上級研究員たちは、イラクにおけるガンや先天性障害の増加をしめす、憂慮すべき保健統計を指摘している。(以下略)