2004年11月22日(月)

イラク占領監視センター エマン・アフメド・ハマスさんを迎えての交流会案内







●イラク・バグダッドでのエマンさんインタビュー(占領監視センター(Occupation
Watch Center)当時所長)(自宅で青柳行信と木村公一が5月15日)

占領監視センター(Occupation Watch Center)

このセンターは米軍占領直後の03年7月に設立、現在はエマン女史によって運営されているイラク人のNGOである。資金は欧米の民間ファンド,その他によって運営されている。
米英軍のイラク占領は次の三つの理由によって正当化された。「大量破壊兵器の倉庫としての国際テロ組織の拠点」であり、「フセイン独裁体制からイラク民衆を解放する」、「中東に民主主義と人権を確立した国家をつくる」ことであった。けれども、過去一年間は侵略と暴力であった。経済、政治、法的の激変から来る様々な人権侵害(米軍のみならず連合軍による)を調査することであった。
なぜなら、イラク人の人権状況が最悪な事態に陥っている。
米軍はフセイン政権を倒壊しただけではなく、イラク国家そのものとイラク人の社会生活システムをも破壊した。そのためイラク人は人権侵害されても、そのケースを持っていく場がないのだ。イラク人の70%から80%の人々が失業していることからくる経済的困難、社会生活の破局に直面している。政治に関しては民主主義が全く機能していない。6月30日の主権委譲は非現実的、なせなら、このシナリオは、@占領状態の停止。A米兵は米軍基地に引き上げる。Bアメリカが作った「イラク政府」がアメリカの利益を保証する。同様のことは第二次大戦後から今日まで、日本においても起こったことではないであろうか。日本には何万という米兵が駐屯し、日本政府は彼らの給与を含めた駐屯費用まで負担しているという現実を、私たちは知っている。同様のことは世界のどこでも起こっている。
現在イラクでは、生命と、労働による収入、言論の自由などの基本的人権が直接的に間接的に占領者によって蹂躙されている。
ブッシュによれば公式には戦争は5月1日に終わったことになっているが、その後も米軍による殺戮は続いている。@無差別殺戮、A無差別逮捕、B強盗、C負傷、D家屋の破壊


1. 無差別殺戮:この殺人には様々な方法が行使されている。戦中は爆撃や砲撃など、戦後は機銃掃射などによります。アメリカ兵は恐怖に憑つかれている。従って、バダダッドなどでは一般市民は市場や繁華街へ行くのも恐れています。爆破や銃撃で殺傷され、障害を負うひとがあとを絶たない。例をあげれば切がない。3台のクルマが停電状態の市場に近づいてきた。彼らは米兵がそこで武器を探していることを知らなかった。一台目のくるまには一家6人が乗っていた。息子は学校の卒業祝いの帰り、既婚の娘は妊娠していた。そのクルマに米軍は一斉射撃して車中の全員を殺してしまった。二台目のクルマには薬科大学の試験に合格した3人の青年が乗っていた。米軍は一斉射撃した後に、手榴弾を投げてクルマを爆破した。運転していた学生は死亡し、負傷した他の2人は米軍の基地に連れて行かれた。3台目のクルマはそれを見て直ちに引き返したが、猛スピードでコンクリートの壁にぶつかり運転手が死亡した。米軍が彼らを撃ったのは、電線がショートしたのを敵の銃撃と間違って過剰反応したためであった。私たちはこれを「ランダム・シューティング」と言う。


2. 無差別逮捕:路上や住居など、どこでも逮捕する。コーヒーショップにやって来て、30人の店員とお客を集団逮捕し、1ヶ月間刑務所に拘留した。武装勢力の家族としての容疑で家宅捜索を受け、容疑者がいないと家族全員が逮捕されるケースが珍しくない。家族の代表的な男が犠牲となって連行されていく。深夜の2時に来て4人の女性ら(50才の母親、21才の娘、19才の娘、12の娘)はCPAに連れて行かれ、次に「共和国宮殿」へ、そしてバグダッド空港へ連れて行かれた。そこはキューバ島の米軍グアンタナモ基地の巨大な牢獄と同じである。バグダッド空港そのものが巨大な牢獄になっている。バグダッドにはロサファ、アル・グレイブ、バグダジ、そして「空港」という4つの巨大牢獄があり、南部のバスラにはウンカサル、その他、カルクーク、アル・ムーサン、、ナスリアというところにも巨大牢獄がキャンプがある。自分たちが知っているだけでもこれだけある。
まだ知らないところにもたくさんの巨大牢獄があるはず。
 米兵による襲撃は路上でも家屋でも行われている。家屋が襲撃されたがイラク民衆にとって最も怖い時である。兵士はヘリコプター、戦車、装甲車などで襲撃する。兵士はヘリコプターから降下して屋根を破って家屋を襲う。歩兵は家屋のドアを爆破して突入する。ドアの向こうで眠っている子どもたちが死ぬ。 2週間前のことである、アル・グレイブ近郊に住んでいる家族は、TNT火薬をドアに仕掛けて爆破され、急襲された。ドアの向こうに眠っていた14歳の男の子が死亡しました。米兵は警告とか要求とかをせず、問答無用で突入してくる。彼らのその家の家主を逮捕した。
 先日、イラク国内にある軍事刑務所の責任者であるチャック・ライアン将軍は、現在の拘束者数について「1万3千人」と答えた。人権問題を扱っているイラクの団体は「1万8千人」という数字を持っている。一般の人々はこれらの以上のひとが拘束されているとおもっている。このアパートでも、一家10人が全員逮捕されるということが身近で起きている。これは「人間の生命の破壊」(human catastrophe) 以外の何ものでもない。逮捕される人々の多くは家計を支える立場にある人たちなのである。家族にとって大きな経済的ダメージである。 

 世界に知れ渡ったアル・グレイブ刑務所の拷問と虐待は人種差別主義者の軍人たちによる仕業であると理解する。これは最近になってはじめて行われたの蛮行ではなく、バグダッドが陥落する以前から、すでに占領されていた南部のバスラのウンカサル刑務所においてすでに行われていた。


3.強盗、補償、家屋の破壊 東洋人にとって人間の身体というものは神聖なものです。これは特に女性だけでなく、男性にとって重大な問題である。裸にされ、沐浴もできない状態に置かれるといおうことは、イスラム教徒にとって辱めであるだけでなく、祈りも礼拝もできないということである。
 女性が逮捕された場合、刑務所では様々な拷問を伴った性的虐待が行われる。イラクの女性にとって、性的虐待を受ける以上に、その体験を告白することの方が耐えがたい恥辱なのである。なぜなら、それが家族に恥辱を与えることになるからである。 
 OWCは損害賠償を要求するよう被害者を支援している。けれどもここにおいても民族差別をともなった屈辱的な賠償措置が行われている。家族四人が殺されたケースではひとり2500ドルの割合で1万ドルを与えられた。飛行機事故でアメリカ人の人命を失えば、ひとり1000万ドルの保証がある。イラク人の生命価値はアメリカ人の≪4000分の1≫ということである。それでも賠償を貰えれば「幸運」の方なのだ。さらに03年5月1日(終戦宣言)以前の被害については保証の対象にならない。なぜなら、それは戦争中だからという理由である。戦後においても多くの場合賠償の対象にすらならない。理由は、戦闘行動中の出来事だからというのだ。こうして、イラク人の価値の低さを人々のこころの中に焼き付ける。6000年の歴史をもったイラク人の自尊心を250年の歴史しかもたないアメリカ人に理解しろというのは酷な話かもしれないが。こうした陵辱の背後に、イラク人の誇りや自尊人の破壊をもくろむ米軍の巧妙かつ組織的な犯罪という実体が浮かび上がってくる。
この度の戦争の前に、私たちは二つの戦争を経験した。それは8年間続いたイラン・イラク戦争と90-91年の湾岸戦争である。その後の国連による13年間の経済制裁を受けて、イラク経済は完全に破壊された。その後のアメリカの対イラク政策はスンニ派とシーア派に分裂させ、クルド族を分離する政策を遂行している。日本の人々に是非お願いしたいことはアメリカ政府に圧力をかけてこうした分断占領政策を一日も早く停止し、米軍がイラクから撤退するための行動を起こして欲しいということである。
 日本はイラクに「人道支援」の名のもとに軍隊を送った。けれども軍隊は人を助けるものではなく、占領支配するために訓練された集団である。人々を助けるのは、教師であり、エンジニアであり、人権活動家であり、そして友人たちである。軍隊を送らないで欲しい。日本人とイラク人の間には類似点がたくさんある。民衆同士の間には古い文化、人間観、感情、文学、芸術などの分野において共有できる価値観がたくさんある。日本の兵隊がイラク人を殺する前に、また、イラク人が日本の兵士を殺する前に、日本の軍隊が一日も早く撤退することを強く望む。
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エマン・ハマスさんはICTI福岡公聴会(11月21日)の招きで来日されたものです。
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エマン・ハマスさん(前イラク占領監視センター所長)を囲む会のご案内

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アブグレイブ刑務所等でおきた拷問等、生々しいお話しを伺うことになり
ます。またとない貴重な機会です。お誘いあわせの上、ご参集ください。
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日時:11月22日(月)18:00〜19:30
場所:広島国際会議場(研修室3)  
講師:エマン・ハマスさん(前イラク占領監視センター所長)
講演:「占領下のイラク女性―アブグレイブの戦争犯罪―」(仮題)
主催:WTI広島公聴会実行委員会
   NODU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト
後援:核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
連絡先:森滝(090−9064ー4705)
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(関連資料)
●エマンさんのプロフィ−ル
名前:エマン・アフメド・ハマス
年齢:1955年生まれ、49歳
家族:夫はバグダッド大学芸術学部の教授、二児の母親
職業:ジャーナリスト、翻訳家、平和活動家、短編小説家
学位:文学修士
言語:アラビア語、英語、フランス語の編集長
著作:
International Organization of Journalists 1983・/FONT>の編者
The Rhetoric of Fiction (Trans)1989 の翻訳 (『創作のレトリック』)
50 Contemporary American Poems 1992 (『現代アメリカ詩50選』)
The Anti-hero in Contemporary Fiction1996(『現代創作文学におけ
る反英雄主義』)その他、人権、女性問題分野の論文も多数執筆し、平和
と人権関係の国際会議でも活躍されてきたイラクにおける女性運動のリー
ダーのひとりである。

●イラク占領監視センターとは
http://www.occupationwatch.org/
2003年7月に日本の全交をはじめとする世界各国のNGOの出資によっ
て設立・運営されているイラク国内のNGO。イラク占領下で多岐にわたる
監視活動を行い、世界に情報を発信している。
・外国企業の行動
・占領軍の責任追及
・政権委譲の過程
・人権状況
・抵抗運動に関わる情報
・占領下の女性の状況
・民衆の生活状況
・外国からの調査団の受け入れ 
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●エマン・ハーマスさんの行程・スケジュール
11月19日 来日 関空(午後4時25分)着      
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20日 東京で 学生ユースの公聴会 午前10時半より
     一ツ橋大学東2号館2201教室
     午後3時の飛行機で 福岡へ
     午後6時 福岡エマンさん歓迎食事会会場:メルパルクFUKUOKA
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21日
 イラク国際戦犯民衆法廷 九州公聴会 in福岡
 日 程 11月21日(日)午後1:30〜5:30
 会 場 カテドラル大名町カトリック教会講堂
     福岡市中央区大名2-7-7(西鉄グランドホテル前) 
     TEL092-741-3687
 参加費 ¥1,000 (大学生¥500 高校生以下無料)
 主催  イラク国際戦犯民衆法廷九州公聴会 in福岡実行委員会
    共同代表 青柳行信 新田久子 木村公一 大倉純子
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22日 広島交流会
    平和公園、原爆資料館を案内、広島の方々と交流会
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11/23講演集会
イラク現地は訴える:米占領の暴虐の真実
−−「イラク占領監視センター」元所長エマン・ハーマスさんを迎えて−−
日時 : 11月23日(土) 午後1時半から(午後1時開場)
場所 : ヒューマインド(環状線芦原橋下車5分) <地図>
主催 : アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
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集会名称 「今、イラクで起こっていること ――イラクの母の訴え」
日  時 2004年11月23日(火・祝) 午後6時開場
参加費 ¥500−
主催  NO DU(ウラン兵器禁止)KOBE 
連絡先:西宮市山口町名来1 −10 −1
    神戸消費者クラブ内マエサコ 090 −3358 −2567
   吉村誠司(peace-no-war)" <peace-no-war@m7.dion.ne.jp>
賛同団体(募集中)
  KOBEピースiネット 神戸LOVE&PEACE さよならウラン連絡会
場  所:兵庫県中央労働センター
     650-0011 神戸市中央区下山手通6丁目3-28
TEL 078-341-2271

24日 帰国