報告「ウラン兵器禁止に向けて」3月6日,ジュネーブ国連本部でのセミナー

 

2007年3月13日

皆さま

ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)は、3月5~9日、ジュネーヴで国連本部内セミナー「ウラン兵器禁止に向けて」、ロビー活動(各国代表部やWHOへの訪問)、軍縮関連国際NGOとの交流・意見交換などを行いました。ベルギー、ドイツ、イギリスのICBUWメンバーとともに、日本からは嘉指、振津が参加し、一昨日帰国いたしました。

今回の活動は、国連軍縮会議(UN Conference on Disarmament)の会期に合わせて行われたもので、6日は朝から、軍縮会議の会議場入口で各国代表に同日午後開催のセミナーへの参加を呼びかけ、その後、会議の傍聴をしました。

周知のように、軍縮会議は核軍縮問題で膠着状態に陥ってしまっていますが、国連の枠組みの外では、10年前の「対人地雷禁止条約」締結や先月下旬のオスロ会議で動き始めた「クラスター爆弾禁止」への取り組みなど、「無差別殺傷兵器」禁止に向けた成果が具体的にあがりつつあります。そのことが、軍縮会議に対し、良い意味で大きなプレッシャーとなっていることが各国代表の発言からはっきりと伝わってきました。
ICBUW主催のセミナーには、ベルギーをはじめ10カ国ほどの軍縮会議代表、軍縮・人権関連の国際NGO、ジャーナリストなど約40名の参加者があり、地雷、クラスター爆弾に続いて、「ウラン兵器禁止」への関心も確実に高まって来ていると感じられました。セミナーでは、ウラン兵器の健康影響、禁止条約も含む国際法的なプロセスなどについてICBUWメンバーなどによる報告がされ、その後、参加者との間で熱のこもった質疑・応答がされました。(下掲プログラム参照)
なお、ジュネーヴでのICBUWによる取り組みは、二年前のワークショップに続き二回目ですが、今回の取り組みも、長年、平和や人権問題に取組んでいる「女性国際平和自由連盟」(WILPF)や国際平和ビューロー(IPB)など、ジュネーヴに本部をおく国際NGOの協力を得て実現したものです。国際的ネットワーク作りの観点からも、大変意義の大きいものでした。

翌日からは、ベルギー、アイルランド、ニュージーランド、コスタリカ、ペルー、アルゼンチン、チリなどの各国の国連代表部を訪問し、国連第一委員会での決議採択を初めとする、本格的取り組みを展開してくれるように要請しました。とりわけベルギーでは「ウラン兵器禁止」の国内法制定が国防委員会において「全員一致」で決まった当日だったこともあり、国際的禁止に向けた外交努力に前向きな姿勢が感じられました。コスタリカなど中南米の国々でも好意的な対応がみられました。(なお、コスタリカでは、昨年8月のICBUW広島大会にも参加したダマシオ・ロペス氏が、同じく広島大会に参加した米国のイラク戦争帰還兵ハーバート・リード氏とともに講演会やロビー活動を今月下旬に予定しています。)

また、嘉指、振津は、スイス北東部の町ヴィル近郊での講演会にも招かれて出かけ、劣化ウラン兵器問題に強い関心を持つ医師グループなどと交流を行って来ました。(このグループは、昨年11月、イタリアを訪問中の写真家の豊田直巳さんや映像ジャーナリストの清水仁さんを急遽スイスにまで呼んで集会を開いたグループです。)さらに、滞在の最後の夜には、「対人地雷禁止キャンペーン」のコーディネーターの一人、スーザン・ウォーカーさんにも会い、運動の経験などを伺うことができました。

今回の活動の詳細は、また別途ご報告させて頂きたいと思いますが、今回の行動は、劣化ウラン兵器禁止国際キャンペーンにとって大変大きなステップになったと感じています。それと同時に、目標実現のための課題も一層明確になったと思います。

このような取り組みのさらなる前進のため、ICBUWでは、今年5月には、ヨーロッパ議会内部でワークショップに加えて豊田直巳さんの写真展を開催し、さらに、10月には、国連総会の開始時期にあわせて、ニューヨークで第4回ICBUW国際大会を開催する予定です。
また、国際的な取り組みと連携しつつ、皆さんとともに日本国内での取り組みも拡げてゆきたいと思います。
今後とも、皆さんのご協力・ご支援を何卒よろしくお願い致します。

取り急ぎ、帰国早々のご報告のみで、失礼致します。

嘉指信雄(ICBUW評議員、アジア・太平洋地域コーディネーター)
振津かつみ(ICBUW評議員、科学チーム)


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プログラム

「劣化ウラン兵器セミナー」
主催: ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)
日時: 2007年3月6日(火)午後1―3時
場所: ジュネーブ国連本部、Palais des Nations、会議室11


・「イントロダクション:ICBUW創設の理由とその目標」
レイ・ストリート(CADU、ICBUW評議員)

・「劣化ウラン兵器に対するEUROMILの立場」
エマニュエル・ヤコブ(代表、EUROMIL=European Organization of Military Associations)

・ 「ウラン兵器禁止に向けて」
マンフレート・モーア(国際人権法律家、国際反核法律家協会、ICBUW評議員)

・ 「ウラン兵器が禁止されるべき科学的・医学的理由」
振津かつみ(ヒバク反対キャンペーン、ICBUW評議員)

・ 「閉会の言葉/劣化ウラン兵器禁止運動を加速化するために」
嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト、ICBUW評議員)

司会:スージー・スナイダー(事務局長、WILPF=婦人国際平和自由連盟)


より詳しい情報については、ICBUWホームページをご参照ください。
www.bandepleteduranium.org/

日本国内連絡先:info@nodu-hiroshima.org/
ICBUW事務局:info@bandepleteduranium.org/