劣化ウラン兵器の禁止及び被害者支援等を求める、日本政府への要請書(案)

 下記の対政府「要請書」への賛同をお願い致します。
「要請書」の提出日はまだ確定しておりませんが、できれば本年度2月中
ということで調整中です。まだ間に合いますので、まだの方、よろ
しく願いします。周囲の方々にもぜひ拡げて下さい!

「要請文」への賛同のご連絡は下記まで(できるだけメイルか
ファックスで)お願いします。

「ICBUWジャパン」連絡先:〒663-8183 西宮市里中町
2-1-24 振津かつみ
E-mail: du-ban-hibaku@theia.ocn.ne.jp
または
f-katsumi@titan.ocn.ne.jp
Fax: 0798-44-2614

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劣化ウラン兵器の禁止及び被害者支援等を求める、日本政府への要
請書(案)

2010年1月◯◯日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 様
外務大臣 岡田 克也 様

劣化ウラン兵器は、地雷やクラスター爆弾と同じく、国際人道・人
権法に反する「非人道的無差別殺傷兵器」であり、国際的に禁止さ
れるべき兵器です。

劣化ウラン弾が、戦車などの固い標的に当たると高熱を発して燃え
上がり、装甲を貫通し、劣化ウランの微粒子が広い範囲に散らばっ
て環境を汚染します。兵士のみならず一般市民も、劣化ウランの微
粒子を吸い込むなどして体内から被曝します。そして汚染と被曝
は、戦争が終わっても長期にわたって続きます。劣化ウラン兵器は
核兵器(=核エネルギーを破壊・殺傷に用いる兵器)ではありませ
んが、核兵器と同じく放射能汚染と被曝をもたらします。劣化ウラ
ンは、放射性毒性と化学毒性を合わせ持ち、がんを引き起こすな
ど、健康に様々な有害作用を及ぼすことが、動物実験などによりす
でに科学的に証明されています。

このような劣化ウラン兵器に対し、「国連差別防止及び少数者保護
に関する小委員会」(1999年に「人権促進・擁護小委員会」
と改称)は、1996年、人権擁護の立場からも、核兵器、化学
兵器、クラスター爆弾、生物兵器などと並んで「大量あるいは無差
別な破壊をもたらす兵器」として批難する決議を、「人権とりわけ
生命権の享受のための不可欠の条件としての国際的平和と安全保
障」のタイトルの下に採択し、1997年、2002年にも同
様の決議がなされています。アナン前国連事務総長は「戦争と武力
紛争による環境収奪を防止する国際デー」に際し、劣化ウラン兵器
の環境へ及ぼす危険性を指摘し批難しました(2002年)。

欧州議会は、これまでに5回
(2001、03、05、06、08年)、劣
化ウラン兵器使用の「モラトリアム決議」を採択し、2008年
の決議では、欧州連合と欧州理事会に対し同兵器の「禁止条約」制
定のために主導的役割を担うよう求めています。同様の決議は、ラ
テンアメリカ議会人権委員会でも採択されました(2009年9
月)。

また、世界に先駆けてベルギーでは、「予防原則」に基づき劣化ウ
ラン兵器の製造・使用・売買・移送・貯蔵等を禁止する国内法が
2007年に採択され、2009年6月に発効しました。同様の
禁止国内法は、中米コスタリカの国会でも審議中であり、間もなく
成立の見通しです。さらにアイルランド、ニュージーランドでも同
様の禁止法制定の動きが出ています。(ノルウェー政府は、昨年か
ら、ICBUWによる劣化ウラン被害調査等のプロジェクトへの資
金援助を開始しています。)

このような中で、国連総会では、2007年、2008年と二
年続けて、「劣化ウランを含む武器・砲弾の使用による影響」に関
する決議が採択されました。同決議は、世界の多くの国々が、「劣
化ウランを含む武器・砲弾の使用が人体や環境に及ぼす、潜在的に
有害な影響を考慮に入れつつ」(前文第4項)、「環境を保護する
ため直接的手段を取る必要をより強く認識しているが故に、そうし
た努力を脅かす事柄に対しては、いかなるものであっても、必要な
措置を速やかに講じる必要があると確信し」(前文第3項)、採択
されたものです。従ってこの決議は、国際社会が、国連憲章と国際
人道法に従い(前文第1項)、劣化ウラン兵器の問題に関しても武
器規制と軍縮を進めることの決意(前文第2項)を示したものと言
えます。この決議に従って、国連事務総長は、国連加盟国と世界保
健機構(WHO)などの関連国際機関に、同兵器使用がもたらす
影響に関する見解を求めています。

日本政府は、これら二回の国連決議に賛成票を投じ、そのことを私
たちは大いに歓迎しました。しかし、2008年5月末に日本政
府が国連事務総長に提出した見解では、NGOや市民社会との対話
を行う意向は示されたものの、同兵器の被害評価を日本政府として
独自に行う姿勢は示されず、WHO等の国際機関の調査動向を注
視してゆくことを表明するに留まっており、同兵器の規制や禁止に
向けて積極的に取り組む姿勢は、残念ながら示されませんでした。

また、在日米軍基地内に劣化ウラン弾が貯蔵されていることを、外
務省は繰り返し認めてきました。しかし、火災事故等による基地周
辺の劣化ウラン汚染や住民被曝の危険性を危惧する国民に対し、具
体的にどの基地にどれだけの量の劣化ウラン弾が、どのような状態
で貯蔵されているのか、またそれがどのように使用されてきたのか
について、米国側に問い合わせることも一切してきませんでした。

新政権におかれましては、このような前政権の施策を早急に見直
し、対人地雷やクラスター爆弾と同じく、劣化ウラン兵器の「非人
道性」を深刻に受けとめ、被害調査・被害者支援そして規制と禁止
に向けて、積極的かつ迅速に取り組まれることを強く望みます。放
射性兵器である劣化ウラン兵器の一日も早い禁止を目指し、国際社
会でリーダーシップを発揮して積極的に取り組むことは、「被爆
国」日本として、また諸国民の「平和的生存権」(憲法前文)を謳
う憲法を持つ国としても、当然の国際的責務であると考えます。日
本政府が、その責務をぜひとも果たされますよう、以下の項目につ
いて申し入れます。

1. 劣化ウラン兵器が「非人道的無差別殺傷兵器」であることを踏ま
え、日本国政府が同兵器の禁止に向けて国際的イニシアティブを発
揮し、積極的に取り組むよう要請します。
2. イラク等の劣化ウラン兵器被災地域の被害調査の支援と、現地の
実情に沿った医療等の被害者支援を日本国政府として積極的かつ速
やかに行うよう要請します。
3. 前政権が2008年に国連事務総長へ提出した劣化ウラン兵器
の使用の影響に関する見解を更新し、今秋の第65回国連総会
に向け、新政権としての「新たな見解」を出すよう要請します。そ
の際、劣化ウランの健康影響に関する最新の科学的調査研究につい
て、日本国政府として独自に十分に検討し、その成果をふまえた報
告書を作成して下さい。
4. 過去及び現在の在日米軍基地内の劣化ウラン兵器の貯蔵、使用
(イラクなどの戦地や紛争地域での使用や試射等)の実態を把握
し、国民に公表するよう要請します。また現在基地内にある劣化ウ
ラン兵器については、それらのすみやかな撤去を米国政府に求めて
下さい。
5. ベルギーに続き「劣化ウラン兵器禁止法」を国会へ政府提案し議
決を働きかけるよう、さらには北東アジア「非劣化ウラン兵器地帯
(フリーゾーン)」設置に向けて努力するよう要請します。

ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW)ジャパン
ICBUW運営委員:嘉指信雄、森瀧春子、振津かつみ